艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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重巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


艦これSS二百六十二話

 

 ○○鎮守府、○九○○ーー

 

 埠頭前ーー

 

 本日の全艦隊がそれぞれの任務に向かった後、手の空いている艦娘達は昨晩のオクトーバーフェストの本格的な後片付けをしていた。

 

隼鷹「頭痛ぇ〜……」

千歳「前にもこんなことがあったような……」

足柄「はしゃぎ過ぎたわ……」

イタリア「楽しくてつい飲み過ぎちゃった。頭ガンガンするぅ……」

 

飛鷹「自業自得でしょ……ったくもう」ギロッ

千代田「学習してよね〜。いつもは深酒しないのに……」プンプン

妙高「節度を持って飲みなさいね」ニコニコ

ローマ「姉さん、次はそのライト外して」フゥ

 

 二日酔いに苦しみながらも保護者監視の元で片付けを手伝う隼鷹達。

 

ポーラ「…………」ハイライトオフ

 

 その中でもポーラだけは一切無駄口を発さずに黙々と作業をこなしていた。それはザラ姉様の槍と言っても過言ではない程の鋭い視線が自身を貫いているからだった。

 

ザラ「ポーラ」

ポーラ「ハイ、ザラネエサマ」

ザラ「このビール瓶のケースいっぱいになったから持ってくね。少しこの場を離れるけど、ちゃんと次のケースに入れておいてね」

ポーラ「ハイ、ワカリマシタ。ザラネエサマ」

ザラ「うん。よろしくね」ニッコリ

ポーラ「ハイ」ガクブル

 

 ザラはケースを荷台に乗せ、酒保の方へ向かった。ポーラはザラが居なくなっても小刻み震えながら黙々と作業を再開した。

 

鈴谷「ポーラちん大丈夫なのかな〜?」ニガワライ

熊野「大丈夫も何もしっかり役目を果たしているのですから、問題無いのではなくて?」

最上「昨日のあの笑顔はどこへ行ったやら」

三隈「可哀想ですけど、仕方ないですわ」

 

 そんなポーラを見ながら掃き掃除をしていた最上型姉妹。昨日との違いに心配する最上と鈴谷に対して、至って冷静に『当然の報い』と言ったように返す三隈と熊野。

 

鈴谷「まぁ、流石に昨日はポーラちんが悪いけどね〜」

最上「うん……もう少しでストリップポーラダンスになるところだったもんね〜」

 

 そう、昨晩のオクトーバーフェストでポーラはザラの監視の元でも酔っ払ってしまったのだ。その理由は昨晩提供されたビールが原因なのである。

 

 日本でのビールはアルコール度数が5%〜5.5%なのに対し、昨晩のドイツビール『フェストビア』や『ヴィーゼンビア』は5.8〜6.4%とういうビールの中では高アルコール度で醸造されている物だったため、ザラが気がついた時にはポーラはすでに酔っ払っていたのだ。

 

 そして酔って気分が上がったポーラが、ライトアップ用のライト固定のために用意された鉄製の竿に近寄り、音楽隊の曲に合わせて見事なポールダンスを披露したのがポールダンスならぬポーラダンスなのだ。

 そこまでは良かったが、ポーラは「暑い〜♪」と言って上着をヒラリ、スカートをヒラリと瞬く間に脱いでしまったのだ。そして下着姿のまま、またポールダンスを始めた。これが『ストリップポーラダンスだ!』と誰かが名付けた。

 

熊野「ポールダンスは素晴らしかったですけど、下着姿のまま踊るのは……驚きましたわ」

三隈「駆逐艦の娘達が真似したら大変ですわ」

鈴谷「流石に下着姿まで真似する娘はいないと思うな〜」ニガワライ

最上「まぁ無礼講にしてもTPOは守んなきゃだしね」アハハ...

鈴谷「鈴谷的にはポーラちんよりもザラちんの方が印象深いけどね……」

 

 鈴谷がそう言うと、姉妹は揃って『あ〜』と何か納得したように苦笑した。

 

 それはその後下着姿のポーラがポーラダンスを再開した矢先の出来事だった。

 

 酔った勢いで下着姿になり、ノリノリでダンスするポーラにそれをまた酔った勢いで煽る呑兵衛艦達で大盛り上がりの中、ザラが静かにポーラの肩を叩いのだ。

 顔は笑っていたが目は決して笑って居らず、それを見たポーラはサァーっと顔が青ざめて酔いは遥か彼方へマッハで消えていった。そしてザラがポーラの首根っこをガシッと掴むと、ポーラは何も抵抗せず暗闇の中へと引き摺られていったのだ。

 その光景を見ていた者達はザラの絶対零度の微笑みとオーラに凍り付き、自分達は何も見ていないといった感じで酒盛りを再開した。

 その数分後、暗闇から姿を見せたザラの後ろに付いて服を着て戻って来たポーラは、今まで何事も無かったかのように笑顔でビールを飲み始めた。その横ではザラが微笑みながら両手の指をコキャッと鳴らしていたとか……。

 

鈴谷「あれは一種のホラーだったよね〜」

最上「普段優しい人が怒ると数倍怖いからね」

三隈「昨日の一件で怒らせてはいけない人ランキングが更新されますわね」

熊野「まぁ、一位は不動の提督でしょうけど」

 

 熊野が困ったように笑いながら言うと全員が『確かに』と頷いた。そして最上が「さ、お掃除終わらせちゃおう」と切り出すと三人も笑顔で頷いて休めがちになっていた手を再び動かした。

 

 

 一一○○過ぎーー

 

隼鷹「終わった〜!」

千歳「頭痛に耐え切ったわ〜!」

足柄「疲れたけど、いい感じにアルコールが抜けたわ♪」

イタリア「綺麗になって気持ちいいわ♪」

 

 機材やテーブル、空いた酒瓶等を片付け、掃き掃除も完璧に終わった二日酔い組は清々しい気持ちで空を見上げた。

 

千代田「お掃除終わったから、みんなで手洗いに行きましょ♪」

飛鷹「お疲れ様、みんな。さっき提督から差し入れでお茶もらったから、手を洗ったら取りに来て♪」

ローマ「無くなったら自分で買ってね」クスッ

妙高「早い者勝ちですよ」ノシ

 

 妙高の言葉に二日酔い組は『こうしては居られない』とばかりに急ぎ足で手洗いに向かった。提督はちゃんと全員分を差し入れたのだが、これは保護者組の些細なお仕置きだった。

 

 

 水道場ーー

 

ザラ「ポーラ」

ポーラ「ハイ、ザラネエサマ」

ザラ「お疲れ様。はい、ハンカチ」つハンカチ

ポーラ「アリガトウゴザイマス」

 

 手を洗い終えたポーラにザラはハンカチを手渡した。

 相変わらずハイライトさんがご出張中のポーラは素直にそのハンカチを受け取り、手を拭こうと綺麗に畳まれたハンカチを開いた。

 

 ヒラリ……

 

ポーラ「?」

 

 ハンカチを開くと一枚のカードが落ちた。ポーラは拭いた手でそれを拾うと、

 

Non sono arrabbiato più(もう怒ってないよ)

        (>(ェ)<)エヘヘ』

 

ポーラ「……ザラ、姉様……?」

ザラ「どうしたの? 早くみんなの所に行きましょ♪」

 

 困惑気味のポーラの手をザラは優しく握ってポーラに微笑んだ。

 

ポーラ「うん、ザラ姉様!」ギューッ

 

 いつも通りの温かい微笑みのザラに安心したポーラはザラの右腕にギュッと抱きついた。そんなポーラにザラは「もぉ、な〜に〜♪」と言いながらポーラの頭を撫でた。

 

 ザラ姉様〜♪>

<は〜い〜♪

 

鈴谷「お、仲直りしたね♪」

最上「いつまでもギクシャクしてるのはいけないもんね」クスクス

三隈「一件落着ですわね♪」

熊野「お茶がより美味しく飲めますわ」ニッコリ

 

 心配していた者達も仲直りした二人の姿を見てホッと一息吐くのだったーー。




 おまけーー

 一一三○ーー

 駆逐艦寮、レーベ&マックス&リベッチオ部屋ーー

マックス「…………」

レーベ「マックス、何読んでるの?」
リベッチオ(以降リベ)「青葉さんの新聞?」

マックス「怒らせてはいけない人ランキングが更新されてるの……」
レーベ「そうなんだ♪ 見せて見せて♪」
リベ「リベも見た〜い☆」

マックス「ん」つ新聞
レ・リ『どれどれ〜?』

『○○鎮守府でこの人だけは怒らせるな!
  怒らせてはいけない人ランキング! 』

十位:赤城↓
   ボーキサイトを生贄に素早く逃げよう!

九位:イタリア↓
   ローマさんが泣くほど怖いお!

八位:羽黒↓
   泣きながら繰り出される右はチャンピオンになれる右だ!

七位:神通↑
   神通は伊達じゃない!

六位:不知火↓
   こちらがひれ伏すまで無言でどこまでも一定距離を保ったまま追いかけて来るぅ!

五位:夕立↓
   素敵なパーティにご招待されるお!

四位:ザラ《NEW》↑
   何されるかわからないお!

三位:綾波→
   笑顔でアイアンクローされるお!

二位:霧島→
   暴走モードになったら超逃げて!(逃げられるなら)

一位:提督(殿堂入り)
   新しい扉が開かれちゃうかも!?

リベ「ザラさんが四位に!?」
レーベ「何かあったのかな〜?」
マックス「さぁ……でもあの情報通の青葉さんが四位って言うんだから、正確じゃない?」
リベ「ど、どうしよう……昨日無理矢理踊りに誘ったから、後で怒られちゃうかな?」ガクブル
マックス「その場で怒られてないなら大丈夫でしょ」
レーベ「そうだよ。それに昨日はあんなに笑顔だったんだし」
リベ「一応後で謝ろ……」

 その後、リベッチオはザラに謝ったが笑顔で「大丈夫よ♪」と言われて頭を撫でてもらったーー。

 ーーーーーー

お祭り後の片付け回とザラポラのほっこりするお話にしました!
色々と設定を盛ったことはご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました☆

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