艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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司令官、どうぞ宜しくお願い致します! の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


艦これSS二百五十三話

 

 ○○鎮守府、一五○○ーー

 

 執務室ーー

 

提督「…………」

 

 提督は書類を読みながら秘書艦の帰りを待っていた。

 本日、この鎮守府へまた新たに着任する艦娘が到着するため、秘書艦を迎えに行かせたのだ。

 

 今回着任するのは吹雪型十番艦、浦波である。

 艦時代には磯波・浦波・綾波・敷波で十九駆逐隊を編成し、数々の緒戦に参加した立派な駆逐艦だ。

 

提督(先の大規模作戦で着任した者達と少し差が付いてはいるが、基礎訓練なら一緒に訓練させても大丈夫だろう。あとは扶桑達から経過報告を聞きつつ歩調を合わせれば……)

 

 提督はそう考えをまとめつつ、手にしていた資料を机の上に置くと同時にドアがノックされた。

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

 ガチャーー

 

敷波(本日秘書艦)「失礼しま〜す……新しい娘連れて来たよ〜」ヒョコ

 

 開いたドアから敷波が頭だけを出して提督にそう報告すると、提督は『分かった』と言うように頷いた。それを確認すると敷波はニコッと笑って手でブイサインを出した。

 そして新しく来た艦娘の手を引いて執務室へと入って来た。

 

敷波「自己紹介しな♪」

 

 提督の前まで連れられて来た浦波に敷波がそう促すと、浦波は一歩前に出た。

 

浦波「吹雪型の末娘、浦波です。司令官、どうぞよろしくお願い致します!」ケイレイ

 

 ハキハキと自己紹介をして敬礼をする浦波。

 提督は椅子から立ち上がると、ゆっくりと浦波の前に歩み寄った。

 

提督「私がこの鎮守府の提督だ。君の着任を心から歓迎する。着任したばかりで不安だろうが、ここに馴染めるように私も出来る限りサポートすることを約束する」

浦波「あ、ありがとうございます!」フカブカ

 

 提督の言葉に、まるで床に頭をぶつけるんじゃないかと思うくらいの勢いで頭を下げる浦波。敷波はそれをクスクスと笑いながら見ていた。

 

提督「そんなに畏まる必要はない。これから仲間として過ごすんだからな……任務や訓練以外では自分の家だと思って気を楽にしてくれ」ナデナデ

浦波「あ……はい……////」

 

 提督が浦波の頭を優しく撫でると浦波の顔からは緊張が無くなり、柔らかい表情へと変わった。提督はそれを見て「うんうん」と笑顔で頷きながら浦波と暫し見つめ合った。

 

 するとすぐ隣から突き刺すような視線を感じた。その視線の方に目をやると、

 

敷波「…………」ジトーッ

 

 敷波が何か言いた気にしながら提督を物凄く睨んでいた。

 

提督「?」

 

 提督は訳が分からず敷波を観察していると、

 

敷波「…………」ジトトーッ

 

 敷波の視線は浦波……と言うよりは浦波を撫でている手の方へと変わった。

 

提督「こうか?」ナデナデ

敷波「っ……♪////」エヘヘ

 

 撫でてほしいけど素直に言えない女心からの小さな訴えであった。

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

 再びドアがノックされ、それに反応した提督が返事をすると、

 

 ガチャーー

 

吹雪「失礼します! 遅くなって申し訳ありません」

綾波「失礼します。只今参りました」ペコリ

磯波「し、失礼します……」

 

 提督が執務室に呼び出していた三人が姿を現した。

 

提督「いや、気にすることはない。寧ろ訓練中に呼び出してすまなかった」

 

 謝る三人に対して提督がそう声をかけると、三人は揃って笑顔を返した。

 

提督「三人を呼び出したのは新しく着任した浦波の鎮守府内の案内を頼みたいからだ」

浦波「みんな久し振り」ニコッ

 

吹雪「浦波、久し振り〜♪ 吹雪お姉ちゃんだよ〜!」ギューッ

磯波「久し振り、浦波ちゃん」ニコッ

綾波「着任おめでとう、浦波」ニコニコ

 

 提督の言葉の後に浦波が三人に声をかけると、三人は笑顔で浦波に駆け寄った。中でも吹雪は長女から見た末っ子ならではの可愛さからか、浦波をこれでもかと抱きしめ、更には頬擦りまでしていた。

 

浦波「ちょ、吹雪姉さん……恥ずかしいよぅ////」

吹雪「恥ずかしがる必要ないよ〜♪ 末っ子はお姉ちゃんに甘えるのが仕事なんだから♪」スリスリ

浦波「そんなの聞いたことないよ〜////」アワワ

 

 そんな吹雪と浦波のやり取りを提督は微笑んで眺めていたが、他の者達は苦笑いで見つめていた。

 

綾波「いつもよりもテンション高いね……」アハハ...

敷波「日頃からお姉ちゃん扱いされないから、今回は初手でお姉ちゃんアピールに行ってるんだよ……」

磯波「みんな姉としては見てるんだけど、甘えるまではいかないから……」

 

浦波「冷静に見てないで助けてよ〜////」

吹雪「照れない照れない〜♪」ヨシヨシヨシヨシ

浦波「ぎにゃ〜////」

 

 奇声に近い悲鳴をあげる浦波。そんな浦波から三人は吹雪を引き離すと浦波は急いで提督の背中へ逃げ込み、威嚇する猫のように「ふ〜っ!」と言いながら吹雪を睨んだ。

 

吹雪「」orz

 

 吹雪はガックリと床に膝を突き「お姉ちゃんなのに……」と嘆きの声をもらした。

 

綾波「何事もほどほどにね」ナデナデ

敷波「加減ってのがあるからね〜」

吹雪「うぅ〜……」

磯波「元気出して、吹雪()()()()()

吹雪「っ……今なんて!?」

磯波「? 元気出して?」

吹雪「その後!」

磯波「ふ、吹雪お姉ちゃん?」

吹雪「磯波ちゃ〜ん」ギューッ

磯波「ひゃぅ////」

 

 今度は磯波がターゲットになってしまった。

 

綾波「日頃からそんなにお姉ちゃんって呼ばれたいのかな……」ニガワライ

敷波「綾波はお姉ちゃんって呼ばれたい?」

綾波「う〜ん……漣や潮がたまに呼んでくれるから、そんなに」

敷波「漣は媚びる時限定だけどね」アハハ...

 

磯波「吹雪ちゃ〜ん、離して〜////」

吹雪「お姉ちゃんが抜けてるよ〜♪」ヨシヨシヨシヨシ

 

提督「まぁ、このようにみんな仲良く過ごしているから、浦波もみんなと仲良くな」ナデナデ

浦波「ん……はい♪」エヘヘ

 

 その後、浦波は四人と共に鎮守府内を見て回った。

 因みにその時、吹雪は磯波で十分にお姉ちゃんが出来たため、浦波にお姉ちゃんお姉ちゃんすることは止んでいたそうな。

 

 夕食時には食堂で浦波の着任パーティも開かれ、浦波の着任をみんなでお祝いしたーー。




少し遅れましたが浦波ちゃん着任回として書き上げました!
吹雪ちゃんのキャラ崩壊にはご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました☆

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