艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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みんなでそれぞれ準備するよ! の談。

ネタ、独自設定含みます。

いつもより長めです。


艦これSS二百四十八話

 

 ○○鎮守府、一○○○ーー

 

 執務室ーー

 

大淀「提督、こちらの書類のご確認をお願い致します」つ書類

提督「ん、任せなさい」

 

 当鎮守府は明日行われる『鎮守府秋祭り』の準備に取り掛かっていた。

 秋祭りと言っても特別大きなことをするのではなく、艦娘達の交流や慰労を兼ねた行事である。

 今年は所属艦娘も多いため、当日は埠頭前の広場と中庭を使用して行う手筈になっている。

 もう既に埠頭前広場や中庭では有志の艦娘達による露店の準備も始まっていて、提督と大淀は明日の段取りや出し物の最終チェックをしていた。

 

大淀「明日に迫った秋祭りですが、水面下で準備もしていたのでスムーズに準備が出来ていますね」

提督「うむ。比較的準備が大変なのはお好み焼き屋をする黒潮達と、たこ焼き屋をする龍驤達といった大きな調理器具を使う班だろう。まぁ、一日あれば準備は終わるだろうけどな」フフ

大淀「そうですね。ただ、比叡さんと磯風さんがタッグでカレー屋を開きたいと申請された時には、お二人には失礼ですが衝撃が走りました」ニガワライ

提督「そ、そうだな……間宮さんが機転を利かせて食堂陣の出し物を一緒にやろうと提案してくれなければ、どうなっていたか……」

大淀「お二人共、普通に料理をすることは出来るようになったんですが、やはり気合いを入れられると……まだちょっと……」

提督「何はともあれ、楽しい秋祭りになればそれでいい。店を出す側も利用する側も笑顔で過ごせればそれで」

大淀「はい♪ そうですね♪」

 

 その後も提督と大淀は明日に向けた最終確認を進めていった。

 

 

 埠頭前ーー

 

 その頃、埠頭前広場では有志で露店を開く艦娘達が明日に向けて準備の真っ最中だった。

 

黒潮「親潮から先に下ろしてええで〜♪」

親潮「はい、じゃあ離しますね」ゴトン

黒潮「よっと……ん〜、焼き台の準備は終わりやから、浦風達が鉄板持って来るまで休憩しよか♪」

親潮「そうですね♪」

 

黒潮「ん〜、今年は人数も多いから楽しみや〜♪」

親潮「去年はどんな感じだったんですか?」

黒潮「去年? 去年は人数も五十人くらいやったから……裏山でハイキングして、戻ってから大広間で明石はんと大淀はんが考えたプラネタリウム観て、最後は食堂でパーティってな感じやったな〜」

親潮「うわ〜、それも面白そうですね〜」イイナー

黒潮「裏山のハイキングではサプライズで司令はんが居合斬り見せてくれはったで♪ 藁巻いた棒が一瞬でババ〜っと切れてな〜、迫力あったで〜♪」

親潮「おぉ〜……」キラキラ

黒潮「不知火(ぬいぬい)なんて目ぇハートにしてちょろぬいやったわ」ケラケラ

親潮「あはは……それは不知火姉さんに失礼ですよ」ニガワライ

黒潮「でもホンマやからな〜♪」

 

「随分な言い方ね、黒潮」

 

親潮「あ」

黒潮「(°ー°;)」タラー

 

 噂をすればなんとやら……鉄板を運びに行っていた不知火がみんなと鉄板を持って戻って来たのだ。

 

陽炎「でも事実じゃないの」クスクス

不知火「不知火に落ち度でも?」ゴゴゴゴゴ

 

浦風「まあまあ、姉さん」ドォドォ

浜風「そんなに気にすることではないかと」ニガワライ

谷風「そうそう♪ それに喧嘩してたら提督が悲しんじゃうよ?」

不知火「……司令が悲しむのは不知火も嫌です。陽炎、黒潮、今のは聞かなかったことにするわ」

陽炎「それはどうも」ニガワライ

黒潮「お、おおきに〜」ニガワライ

親潮(やはりちょろぬい?)

 

 そんなこんなでその後も去年の秋祭りを体験した不知火、黒潮の思い出話を聞きながら順調に準備を進めていった。

 

 一方その向かい側では、たこ焼き屋を開く龍驤と大鳳が、すぐ隣でソースせんべい屋を開く秋雲と巻雲の班と休憩していた。

 

龍驤「ん〜、準備も順調やし明日が楽しみやな〜♪」

大鳳「そうね♪ ただ瑞鳳が一緒に出来ないのは寂しいわ」

龍驤「せやな〜。瑞鳳は瑞鳳で祥鳳と中庭で玉子焼き屋をやるっちゅう話やからな。玉子焼き屋って何やねんってツッコんでもうたわ」アハハ

秋雲「(ーー;)」

巻雲「(=o=;)」

 

 龍驤と大鳳が楽しく話す中、秋雲と巻雲はお腹……と言うよりは胃を押さえながら黙って二人の話を聞いていた。

 何故なら、

 

龍驤「あれ? うちらの隣でわざわざ()()()! みたいに()()()()! で、それよりも()()()()! ソースせんべい売る二人は元気無いな〜? どうしたん?」ニコニコ

大鳳「そうですよ。私達は何も気にしてませんよ?」ニコニコ

 

 笑顔だが瞳は決して笑っていなのいだ。

 

秋雲「いや〜、だからさ〜……悪気があってこうなったんじゃないんだよ?」

巻雲「」コクコク

龍驤「知っとるで〜? くじ引きで決めたんやからな〜」

大鳳「私の運が招いた結果ですから、お二人が気にすることじゃありませんよ?」

秋雲(めっちゃハイライトさんがいないじゃないですかやだ〜!)

巻雲(秋雲に関わるとろくな事起きない……)

 

龍驤「しっかし、二人は最初、薄い本や薄い画集でも売るんかと思っとったのに、なんでソースせんべいにしたん?」

秋雲「秋雲も最初はそうしようとしたんだよ? でも秋祭りに即売会ってどうかな〜ってなって。なら絵も描けるこっちにしようかなって……」

大鳳「なるほど……」

巻雲(少しは落ち着いてくれたのかな?)

 

龍驤「でも絵ぇ描くならホットケーキみたいなんでも良かったんちゃうか?」

秋雲「いやぁ、ホットケーキだって()()()()()じゃん。()()()()に焼くのも難しいsーー」アッ

龍驤「せやな〜♪ どっちにしても()()()()()()()! なことには変わらへんよな〜?」ニコニコ

大鳳「()()()()! に焼くのもコツが要りますからね〜♪」ニコニコ

秋雲「あ、あはは〜……そ、そうなんだよね〜……」アセアセ

巻雲(自分から地雷を踏んでいくスタイル……)ニガワライ

 

 その後も龍驤達の自虐的話題に胃が悲鳴をあげた秋雲達だったが、龍驤も大鳳も()()なので最後は本当に何も気にせずに準備を終えた。秋雲と巻雲は心底ホッとしたそうな。

 

 

 中庭ーー

 

 一方、中庭でも有志で露店を出す艦娘達が準備を進めていた。

 

祥鳳「瑞鳳、紙皿と割り箸買って来たわよ」ニコッ

瑞鳳「ありがとう♪」

祥鳳「あと何か揃える物ある?」

瑞鳳「特には無いかな〜。食材は秋祭りが始まる前まで酒保の冷蔵庫に保管してもらってるし、調理器具もカセットコンロと玉子焼き用のフライパンで十分だから」

 

祥鳳「そう……ねぇ、玉子焼きだけでお客さん集まるかしら?」

瑞鳳「大丈夫大丈夫♪ 普通の玉子焼きだけじゃなくて、チーズ入り、明太子マヨ、ツナマヨって色んな種類を作るんだから♪」

祥鳳「まあ……瑞鳳の玉子焼きはみんな美味しいのを知ってるから食べに来てくれるとは思うけど、なんか心配なのよね……」

瑞鳳「どの露店だって基本的に一品なんだから大丈夫だよ♪ 気にし過ぎ♪」

祥鳳「それもそう、よね……うん、もう気にしないわ♪」

瑞鳳「うんうん♪ それじゃ看板作りに入ろう♪」

祥鳳「は〜い」ニコッ

 

 玉子焼き屋を開く祥鳳と瑞鳳は楽しく看板作りに移った。

 

 そしてその向かい側でも準備を進める者達が居た。

 

鳳翔「皆さん、お手伝いありがとうございます。お茶をお淹れしましたので一旦休憩にしましょう♪」

三日月「ありがとうございます♪」

望月「休憩休憩〜」

水無月「いただきま〜す♪」

 

 鳳翔の露店準備のお手伝いとして水無月、三日月、望月が来ていた。三人は湯呑を受け取ると冷たい緑茶を飲んで一息入れた。

 

三日月「そう言えば、鳳翔さんはどうして飲み物を提供するお店にしたんですか?」

鳳翔「皆さんが食べ物や遊びを提供しますから、私はジュースやお酒の方が良いかと思ったの」

望月「まぁバランスが大切だよね〜。明石さんも埠頭で飲み物提供するみたいだし」

水無月「色々と考えてるんですね〜」

鳳翔「皆さんが楽しむことを提督は望んでいますから。ですので木曾さんの射的もあり、飛龍さん達の輪投げもあり、偏らないように出店する側の皆さんで調節したんです」ニッコリ

三日月「そうなんですね〜……」フムフム

 

水無月「木曾さんの射的屋さん、見て来たけど凄かったよ〜。訓練そのまんまって感じ」

望月「確か点数で景品が変わるんだよね。漫画とかで見る射的屋とは違うから射撃に自信ある人は行くだろうね」

鳳翔「他にも露店だけでなく、色々と出し物もありますからね♪」

水無月「早く明日にならないかな〜♪」

三日月「今日寝れるかな?」

望月「寝てても起きてても時間は過ぎるんだから大丈夫だよ」

三日月「もう、望月(もっちー)ったら」ニガワライ

鳳翔「ふふ、楽しみに待ちましょうね」

水・三・望『は〜い♪』

 

 こうしてそれぞれ準備に追われつつも、どこも笑顔が溢れていた。

 一五○○の午後三時になると全ての準備が完了し、鎮守府は秋祭りムードに包まれていたーー。




今回は秋祭りの前日の風景を書きました♪
明日は秋祭り本番のお話になるので、楽しんでもらえるお話が書けるよう頑張ります!

では今回も読んで頂き本当にありがとうございました☆

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