艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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はじめまして! の談。

キャラ崩壊、独自設定、独自解釈含みます。

いつもより長めです。


艦これSS二百三十四話

 

 ○○鎮守府、○九○○ーー

 

 埠頭ーー

 

金剛「そろそろデスカネ〜」ウーン

イタリア「そ、そうですね」ニガワライ

ローマ「…………」

 

 金剛、イタリア、ローマは本日着任することになっている新艦娘の到着を埠頭で待っていた。新艦娘を執務室へ案内することとその後に鎮守府内を案内するという役を提督に任されたからだ。

 

 のんびりと穏やかに待つ金剛とは違い、複雑な表情を浮かべながら待つイタリアとローマ。

 すると海の向こうから大本営の艦隊が姿を見せ、その中から二つの影がこちらの埠頭へと向かってきた。

 

ローマ「……到着したみたいね」

イタリア「うぁ……」

金剛「警戒し過ぎネ〜」ニガワライ

 

 イタリアはとても怯え、ローマにいたっては艤装があれば今にでも砲塔を相手に向けそうな勢いだった。そんな二人を金剛がなだめながらいると、到着した二人が三人に声をかけた。

 

「お出迎えありがとうございま〜す♪ 地中海ジェノヴァで建造されていたパスタの国の航空母艦、アクィラです〜♪」ケイレイ

 

 アクィラと名乗った艦娘はイタリアのアクィラ級正規空母の一番艦である。イタリア人らしく陽気でニコニコしていて、とても穏やかな口調であり、イタリアとローマも同じイタリアの艦娘ということで少しだけ表情が明るくなった。

 

「クイーンエリザベス級戦艦の二番艦、ウォースパイトです。以後よろしくお願いします」ペコリ

 

 一方、ウォースパイトと名乗る艦娘。彼女はイギリスのクイーンエリザベス級戦艦の二番艦である。その振る舞いがまさに英国淑女そのものであり、かつ堂々たる振る舞いだった。挨拶をした後は敬礼ではなく、敢えて金剛達に対して頭を下げてお辞儀した。彼女なりの礼儀なのだろう。

 そんなウォースパイトの振る舞いにイタリアとローマは戸惑った。

 

イタリア「え、えっと……イタリアと言います。ど、どうも、です」ペコリ

ローマ「……ローマよ、よろしく」

ウォスパ「えぇ、よろしく」ニコッ

 

イ・ロ『』ビクッ

ウォスパ「?」クビカシゲ

 

 ウォースパイトが二人に笑みを向けると、二人は思わず肩を震わせた。そんな様子を見て、アクィラが二人に声をかけた。

 

アクィラ「アクィラ達はもう戦争をしていないわ。だからそんなに怯える必要も無いし、警戒する必要も無いわよ」ニコッ

金剛「これからはウォースパイトも仲間デス♪ 急には無理でも、少しずつ仲良くなる努力が必要ネ♪」

イタリア「は、はい……あの、改めてよろしくお願いしますね、ウォースパイトさん」ニコッ

ローマ「よろしく。同じ戦艦同士、今度は仲間として海を駆けましょう」

ウォスパ「Thank you for your thoughtfulness(お心遣い感謝するわ)」ニッコリ

 

 イタリアとローマは今度こそ素直な笑顔でウォースパイトと握手を交わした。それを見ていた金剛とアクィラも笑顔を浮かべ、金剛達はアクィラとウォースパイトの二人を連れて提督の待つ執務室へ向かった。

 

 

 鎮守府本館前ーー

 

金剛「それにしても久しぶりネ〜、ウォースパイト♪」

ウォスパ「ふふ、そうね……こうして仲間として貴女の隣を歩ける日が来たのは本当に喜ばしいことだわ」ニコニコ

金剛「案内が終わったらワタシのシスターズも加えてティータイムにするネ♪ とっておきの紅茶を淹れるワ」ウインク

ウォスパ「嬉しいわ……楽しみにしてる」クスクス

 

イタリア「アクィラも久しぶりね♪」

アクィラ「そうね〜……こっちにはもうザラやポーラ、リベッチオも着任してるんでしょう? 早く会いたいわ♪」

ローマ「みんなも会いたがっていたわ。鎮守府内を案内する前に寮へ案内することになるから、その時にでも会えると思うわ」ニコッ

 

 思い思いの会話をしながら歩いていると、二人の艦娘が鎮守府本館から出て来た。

 

ビスマルク「あら、みんな……新しい艦娘を連れてきたの?」

プリンツ「」ビクッ

 

 ドイツ艦のビスマルクとプリンツだった。二人は午後の演習にそれぞれ旗艦として参加する予定で、その時の詳細を提督に知らされた帰りだった。

 

ビスマルク「ウォースパイト……」

ウォスパ「ビスマルク……」

 

 ビスマルクはウォースパイトの前に立ち、ウォースパイトを見つめた。ウォースパイトもビスマルクの真正面に立ち、静かにビスマルクを見つめた。

 

プリンツ「(どどど、どうしましょう!)」

金剛「そんなに心配しなくても大丈夫ネ〜」ニガワライ

 

ビスマルク「久しぶりね……今度は仲間としてよろしく頼むわ」

ウォスパ「えぇ、こちらこそよろしく」

 

 短く言葉を交わすと二人はガッチリと握手を交わした。

 二人が艦だった時代……大戦時は敵だった。でも艦娘として生まれ変わった今では味方。個人的には互いに色々と言いたいことはあるだろう。しかし、二人は敢えて何も話さなかった。

 何故ならその時の話をしても、もうその時には戻れないと知っているからだ。そして今自分達が何故手を取り合っているのか理解しているからだ。

 

 当時のことは忘れもしないが、そのことを引きずっていても何も解決には結びつかない。ビスマルクや他のドイツ艦娘にしても、イタリア艦娘にしても、アメリカ艦娘、イギリス艦娘にしても、大戦当時は艦艇であり、それぞれが祖国の為に戦った。しかし今は違う。意思を持ち、言葉を交わせるのだ。ならばこそ、過去に囚われてはいけない。だからこそ前を向かなくてはいけない。

 

 二人の握手にはそういったメッセージがあったのだ。

 

ウォスパ「今度一緒にお茶でもしましょう」ニコッ

ビスマルク「私はコーヒー派だけどコーヒーは出るのかしら?」

ウォスパ「あら、イギリス人が紅茶だけを飲んでいると思ってるの?」

ビスマルク「そこの金剛がそう言ってたわよ?」

ウォスパ「金剛?」チラッ

金剛「(;゜3゜)〜♪」←口笛吹いて素知らぬ振り

 

ウォスパ「はぁ〜……とにかく、貴女がコーヒー派ならコーヒーを用意するわ。だからゆっくりお話しましょう。勿論親睦を深める意味でね」ニコッ

ビスマルク「了解よ♪ ならその時、私はバームクーヘンでも持って行くわね♪」

ウォスパ「えぇ、楽しみにしてるわ」ニッコリ

 

イタリア「(何も無くてよかった……)」ホッ

ローマ「(どちらも大人の対応で、本当に素晴らしいわね)」カンドウ

プリンツ「(最初はどうなるかと思いましたが、何とかなってよかったです♪)」

 

ウォスパ「それはそうと、金剛? 我が祖国を変な風に他の艦娘の娘達にも教えてないわよね?」

金剛「ワタ〜シ〜、帰国子女デスカラ〜? 過ごしたのは少しデスシ〜? その時のことしか教えてマセ〜ン」

ウォスパ「貴女ね〜……そうだからって虚実を定着させるのはどうなの?」ハァ

ビスマルク「確か……エイプリルフールの次の日は英国では嘘をついてはいけない日で、その日はプロポーズする人が多いとか……」

金剛「Σ(´∀`;)」ビスコ=サン!?

ウォスパ「こ ん ご う?」ニ"コ"ニ"コ"

金剛「おちゃめなブリティッシュジョークネ〜!」ピューン←逃げ

ウォスパ「Hold on(待ちなさい)!」

 

ビスマルク「あれが英国淑女ね〜」ニガワライ

プリンツ「でも既に馴染めている感じがして、私は安心します♪」

アクィラ「でもどこまで行っちゃうのかしら〜?」

イタリア「多分そのまま執務室に行っちゃうかもしれないわね〜」ニガワライ

ローマ「なら私達も早く追いかけましょう。提督は怒らないと思うけど、騒がしくするのはいけないわ。それに今日はザラが秘書艦だったはず……」

 

 こうしてイタリア達はビスマルク、プリンツと別れ、金剛とウォースパイトの後を追った。

 

 

 執務室ーー

 

提督「」カキカキ

ザラ(本日秘書艦)「提督、こちらの書類のチェックをお願いします」

提督「あぁ、分かった」

ポーラ「提督〜、このファイルいっぱいになっちゃったよ〜」←ザラの言い付けで強制的にお手伝い

提督「む、ならばこのファイルをtーー」

 

 ババーーン!

 

提・ザ・ポ『!?』ビクッ

 

金剛「ヘルプミー!」

ウォスパ「っ!」←鬼の形相

 

提督「???」

ザ・ポ『Σ(゚Д゚)』

 

金剛「テートクゥ! ウォースパイトがイジメるネ〜!」ギューッ

提督「君がウォースパイトかい?」

ウォスパ「え?」

 

?<時よ止まれ!

 

ウォスパ「Noooooooo!!////」←状況を理解

ザ・ポ『( ˘ω˘)』←気絶

 

 それからイタリア達が合流し、事情を説明。ウォースパイトは失態を恥、暫く執務室の隅で体育座りをして落ち込んだ。ザラとポーラは突然のウォースパイトの登場に対応しきれずにその場で気絶してしまったため、みんなでソファーへ寝かせた。金剛は提督に罰としてデコピン(めっちゃ痛い)を喰らい、やっと落ち着いた。

 

 ーー。

 

提督「では一人ずつ自己紹介を頼むよ」

 

ウォスパ「わわ、我が名は、クイーンエリザベス級戦艦、ウォースパイトトトっ! アアア、アドミラル……よろしく頼むわねねねっ////」←まだ混乱中

アクィラ「Buon Giornov(こんにちは)! 地中海生まれの航空母艦アクィラです。活躍する……はずです〜♪ 楽しみにしてて!」

 

提督「遠路遥々よく来てくれた。二人の着任を心から歓迎するよ。知っての通り、私がこの鎮守府の提督だ。二人は日本へ来てまだまだ慣れないところもあるだろうが、出来る限りサポートさせてもらう。これならよろしく頼む」

 

 提督は笑顔で新しい仲間へそう声をかけると、アクィラはニコニコしながら頷き、ウォースパイトは恥ずかしさが拭えずに顔を真っ赤にしたまま、ただただコクコクと頷くことしか出来なかった。

 

提督「ウォースパイト、そんなに気にする必要はないぞ。元はといえば私の部下である金剛の責任なのだからな」アタマグリグリ

金剛「ご、ゴメンナサイデ〜ス!♡」←痛いけど提督にお仕置きされて嬉しい

 

イ・ロ『』ニガワライ

 

ウォスパ「T-Thank you////」ウツムキ

 

提督「二人には早速、この鎮守府内をそこに居るイタリア達と見て回って来てほしい。金剛は今暫く私からお説教タイムだ」ニッコリ

金剛「イェッサー♡」←お説教だけどやっぱり嬉しい

 

 そんなこんなで慌ただしい顔合わせになったが変に畏まることが無かったお陰か、ウォースパイトもアクィラもその後は肩肘張らずに行き交う艦娘達と笑顔で交流しながら鎮守府内を見て回ったーー。




今回はイタリア空母のアクィラさんとイギリス戦艦のウォースパイトさんを登場させました!
ウォースパイトさんは名前が長いので、作中ではウォスパと表記します。ご了承お願い致します。

今回も読んで頂き本当にありがとうございました!

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