艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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軽巡洋艦メイン。

キャラ崩壊含みます。


艦これSS二百二十五話

 

 ○○鎮守府、一一○○ーー

 

 埠頭ーー

 

赤城「第一艦隊、無事に帰投しましたね」ニコッ

速吸「速吸が中破してしまったばかりに……本当にごめんなさい……」ショボン

提督「気にするな。誰かを失ってまで手にする勝利に何の意味もない。私は他の者達から何と言われようと、みんなが生き残るよう尽力する。だから気にする必要は何もない。今はゆっくりと体を休めて、次に備えてくれ」ナデナデ

速吸「はい……ありがとう、ございます////」アゥ

 

扶桑「今度はしっかりと私達が敵を殲滅して、速吸さんを守りましょう」

山城「勿論です。その為の私達ですから」

雷「大変だけどみんなでやればきっと大丈夫よ♪ 私達は私達で今度こそ、ドラム缶二つを輸送するわ!」

電「なのです♪ まだ時間があるのですから、焦らず着実に遂行していくことが大切なのです♪」

 

速吸「皆さん……ありがとうございます! 速吸も頑張ります!」フンス

扶桑「えぇ、頑張りましょう」ニコッ

山城「じゃ、その前に修復ね」フフ

速吸「あ……はい////」エヘヘ

提督「では各自、ドックで修復作業に入ってくれ。そして補給を済ませたらそのまま午後まで休息を取ってくれ」

艦隊『了解!』ケイレイ

 

 提督の言葉に艦隊がそう返事をした後、艦隊はドックへと向かった。

 

 当鎮守府はつい先日、今行われている大規模作戦での前段作戦『南西海域・ブンタン沖』の攻略に成功した。

 そして提督は執務室に戻りながら、今遂行している作戦『南西海域・エンドウ沖』の攻略に向けて、頭の中で戦略を練っていた。

 

 

 執務室ーー

 

 ガチャーー

 

提督(やはり途中の潜水艦による雷撃は脅威だ……期限にはまだ余裕があるから、ドラム缶を一つ減らして対潜装備を一つ加えるか……)ウーン

 

由良(本日秘書艦)「提督さん?」

 

提督(支援の方はどうするのかももう少し練る必要があるかもしれない……資材と相談しつつこれも練っていこう……)ウンウン

 

由良「提督さん!」

 

提督「お、おぉ〜、由良か。すまん、考えごとをしていたんだ」

由良「由良、邪魔かな?」

提督「邪魔だなんてとんでもない。由良はとても頼りになる存在だ。居てもらわなくては困る!」

由良「嬉しいけどそこまで言われると照れちゃうわ////」ハゥ

提督「照れる必要は無いぞ。私は由良を本当に頼りにしているからな」ナデナデ

由良「〜♡」←恍惚ポーズ

 

 それから提督は由良と共に書類仕事を開始し、時は過ぎていった。

 

 

 その頃、軽巡洋艦寮ではーー

 

 共同厨房ーー

 

名取「…………」

 

 名取は料理中だった。

 大規模作戦中であるが、名取は提督から休暇をもらった。

 

 今日は軽巡洋艦『名取』がアメリカ軍の潜水艦により攻撃を受け、戦没した日なのである。

 本来なら長良の時と同様に姉妹揃って休暇を与えたかったが、長良型姉妹は揃って大規模作戦中は本作戦、支援活動と引っ張りだこなので、名取にしか休暇を与えられなかった。

 提督は名取に『申し訳ない』と謝ったが、名取は笑顔で『謝らないでほしい』と返した。

 名取としては提督がちゃんと自分のことを知っていて、その上で気を遣ってくれたことが嬉しかったからだ。

 

 そんな提督に感謝の気持ちを伝えたくて、名取は今日の休暇を使い少し凝った料理を作っていたのだ。

 

名取「うん、いい感じ♪」

 

長良「たっだいま〜♪」ノシ

鬼怒「ま〜!」ノシ

阿武隈「ただいま、名取お姉ちゃん」ニコニコ

五十鈴「ただいま、名取。料理なんかしてどうしたの?」

 

名取「みんな、おかえりなさい。今日は提督にお休みを頂いちゃったから、そのお礼に作ったの」ニコッ

 

鬼怒「揚げ物か〜……コロッケ? メンチ?」

五十鈴「それにしては大き過ぎるんじゃない?」

名取「これはカレーパンと響ちゃんから教わったピロシキだよ♪」

阿武隈「わぁ、カレーパンとピロシキなんだ!」

長良「ふぇ〜! 凄いね〜!」

名取「えへへ♪ 初めて作ったけど上手に出来たの♪」ピース

 

長良「でも何でパンにしたの? 提督なら何でも喜びそうだけど、ご飯の方が良かったんじゃない?」

五十鈴「分かってないわね、長良姉さんは」ヤレヤレ

鬼怒「提督への愛が足りない証拠だね」ハァ

阿武隈「長良お姉ちゃ〜ん……」ニガワライ

長良(何でそんなに呆れられなきゃいけないの!?)

 

名取「ほら、今は大規模作戦中で何かと忙しいでしょう? だから片手で食べられるのにしようと思ったの♪」

五十鈴「やっぱりね……流石よ、名取」∑d

鬼怒「愛が成せる業だよ!」∑d

阿武隈「流石名取お姉ちゃん!」キラキラ

長良「へ、へぇ〜……」ニガワライ

  (衣が落ちるから結局両手で食べるんじゃないのかってツッコミは入れないでおこう……)

 

「名取姉さん、提督さんへのお料理出来た?」

 

 声がした方を向くと、そこには由良がにこやかに立っていた。

 

名取「うん、出来たよ♪」

由良「なら執務室に持って行ってあげて。提督さんには私から説明してあるから、提督さんは執務室で待ってるわ」

名取「うん、分かった」ニコッ

 

由良「私はお昼休暇もらったから、このまま部屋か食堂に行くわね。提督とゆっくり過ごしてね」ニコッ

名取「えへへ、ありがと♪ あ……みんなの分もちゃんと作ってあるから食べてね♪」

 

長良「やった、ありがとう♪」

五十鈴「ありがとう、感謝して頂くわね♪」

由良「ありがとう♪ 名取姉さん♪」ニコッ

鬼怒「流石名取姉〜♪ ありがと!」

阿武隈「楽しみ〜、ありがとう、お姉ちゃん」ニパー

名取「いえいえ」ニコニコ

 

 こうして名取は急ぎ足で執務室へと向かった。

 

長良「あのさ、今名取本人が居ないから言っていい?」

五十鈴「どうしたのよ?」

長良「カレーパンとかピロシキってさ、両手使って食べない? 衣が落ちちゃうから」

阿武隈「あ、言われてみれば……」

鬼怒「盲点だった……」

 

由良「大丈夫よ」クスクス

五十鈴「それもちゃんと計算に入ってるわよ、あの娘」フフフ

長・鬼・阿『???』クビカシゲ

 

 いまいち分かっていない長良達を見て、五十鈴と由良は執務室に様子を見に行くことを提案し、真相を確かめに行くことになった。

 

 

 執務室ーー

 

提督「すまないな、名取……本来なら今日は私が名取を気遣う日だというのに……」モグモグ

名取「気にしないでください♡ 私はこうしてる方が幸せですから♡」つカレーパン

提督「そう言ってくれると嬉しいよ。本当に何から何までありがとう」パクパク

名取「いえいえ♡ それより、お味の方はどうですか〜?♡」ニコニコ

提督「とても美味しいよ♪ これで午後の仕事も頑張れそうだ♪」ニコッ

名取「〜♡」←恍惚ポーズ

 

 

 執務室の外、ドア前ーー

 

五・由『ね?』ニコッ

鬼怒「アメージング!」キラキラ

阿武隈「さ、流石は名取お姉ちゃん……」オォー!

長良「まさかの自分の手で食べさせるっていうね……」ニガワライ

 

五十鈴「あの娘はしたたかだからね〜♪」

由良「片手で食べれるから、なんて建前よね♪」

鬼怒「やっぱり名取姉はパナイね!」

阿武隈「名取お姉ちゃん、とっても嬉しそう♪」

長良「内向的だった名取がここまでするようになるなんてね〜……恋って凄いな〜」ニガワライ

 

 その後、長良達は名取の邪魔にならないよう、ゆっくりとその場を後にした。

 名取は自分の辛く特別な日を提督との笑顔の思い出を増やし、今日という日を終えるのだったーー。




更新が遅くなってごめんなさいです!
今日は本編に書きました通り、名取さんが沈んでしまった日です。
今回は敢えて明るい感じのお話にしました!

この日、海へと沈んでしまった軽巡洋艦『名取』とその乗組員の方々に心からお祈りします。

では今回も読んで頂き本当にありがとうございました!

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