艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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あの日の正午とこの日の正午。の談。

真面目なシーン、独自解釈、独自設定含みます。

いつもより長めです。


艦これSS二百二十四話

 

 ○○鎮守府、一一○○ーー

 

 埠頭ーー

 

提督「…………」

 

 提督は軍服をしっかりと身にまとい、埠頭で水平線をまっすぐと見つめていた。

 

 本日、八月十五日は日本の終戦記念日である。

 

 鎮守府ではこの前に大本営から発令された大規模作戦を遂行中ではあるが、この日ばかりは一時作戦を中断し鎮守府に所属する全員で、あの戦争で亡くなった多くの人々に対し正午から一分間の黙祷を捧げようと埠頭前に集まるように前から知らせていた。

 

 そして提督は一足先に埠頭へ訪れていたのだ。

 

「どうなさいました、提督?」

 

 そんな提督に声をかけた者が居た。

 

提督「?」

 

 提督が振り返ると、そこにはにっこりと微笑む鳳翔の姿があった。

 

 提督は鳳翔に笑顔を返すと、鳳翔はゆっくりと提督の左隣へ歩み寄った。

 鳳翔が隣へ来てから、提督は海を見つめたまま鳳翔に言った。

 

提督「海を見ていた。我々の誇り高き先人達が駆けた、この海を……」

鳳翔「そうですか」ニコッ

 

 鳳翔はそれだけを返し、自分もまた提督と同じように水平線を見つめた。

 

鳳翔「あの日の正午はよく晴れていて真夏日でした……」

 

鳳翔「そしてそんな日にあの放送が全国に響き渡りました……」

 

鳳翔「私が言っていけないことかもしれませんが、『やっと戦争が終わった』とそう思いました」

 

鳳翔「あの日、あの時を共に迎えられなかった娘達が、今はこうして……艦娘としてみんなで迎えることが出来るのが、私はとても嬉しいく思います」

提督「そうだな……鳳翔も含め、私はみんなが生まれ変わって来てくれたことを心から嬉しく思い、そして感謝しているよ」

 

 鳳翔の言葉に提督は優しくそう返した。

 そして少しの間、提督と鳳翔は静かにそのまま海を眺めた。

 

 

 一一三○ーー

 

 埠頭前ーー

 

 提督と鳳翔が埠頭から離れ、みんなが集まる埠頭前へ行くと、もう多くの者達が集まっていた。

 

飛鷹「隼鷹、私に寄り掛からないでしっかり立ちなさいよ〜」

隼鷹「今はまだいいじゃんか〜」グデー

 

飛鷹「暑いんだからちゃんと立ってってば〜!」グイッ

隼鷹「んぁ〜、もっと優しく〜」

 

千代田「隼鷹さんは今日も変わらないわね〜」ニガワライ

千歳「変わらないのがいいのよ」ニコッ

祥鳳「あの日居なかった飛鷹さんが今は居る。このことが隼鷹さんにとってどんなに嬉しいことか分かりますね」クスッ

瑞鳳「飛鷹さんも分かってるから、何だかんだで今日は甘いもんね♪」

 

 ーー。

 

龍鳳「あの〜、イクちゃん?」ニガワライ

イク「な〜に〜?」ギューッ

龍鳳「そんなに抱きしめなくても、私は大丈夫よ?」

イク「イクがしたいからするの〜!」ヒシッ

龍鳳「もぉ……」クスッ

 

ゴーヤ「おい、早く離すでち……」グイッ

ろ「や〜だ〜! 今日はでっちを一人にしないって決めたの〜!」ググッ

ゴーヤ「だからってずっとセーラー服の裾を掴んでなくてもいいでしょ!? あとでっちって言うなでち!」

ろ「離したらでっちが何処かに行っちゃう……」

ゴーヤ「……なら服じゃくて手を握っててよ」スッ

ろ「うん! 離さないからね!」ギュッ

 

イムヤ「どっちも和む光景ね〜」ホホエマー

はち「みんなで迎えた日だからね」ニコッ

しおい「みんなが居るっていいことだよね♪」

まるゆ「来年もみんなで迎えましょう」ニコニコ

イムヤ「当たり前でしょ♪」

はち「二人も今日は甘えてね」ニコッ

しおい「ありがとう♪」

まるゆ「ありがとうございます」ニッコリ

 

 ーー。

 

北上「大井っち〜、暑い〜……」ニガワライ

大井「私は常に北上さんには熱い気持ちをぶつけてますよ!」ヒシッ

球磨「アツイの意味が違うと思うクマ……」

多摩「いつものことにゃ。でも今日ばかりは仕方ないにゃ」フフフ

木曾「ま、みんなで過ごすことに意味があるんだし、いいんじゃないか?」ニガワライ

球磨「クーラーでキンキンに冷えた部屋で球磨は北上を抱っこしてやるクマ♪」フッフッフー

多摩「なら多摩は特別に北上の膝の上で寝てやるにゃ」ニッシッシー

木曾(素直じゃねぇな、相変わらず……)ニガワライ

大井「ま、今日くらいは姉さん達の顔を立てますよ」ニコッ

北上「あの〜、アタシの意思は〜?」ニガワライ

  (まぁでも、こんなことも有りかな……)フフッ

 

球磨「もちろん北上が終わったら次は木曾の番だクマ」キラリーン

木曾「へ?」

多摩「差別しない。北上も木曾も自慢の妹にゃ」ニッコリ

大井「私も後で沢山撫でてあげますからね♪」

木曾「お、俺はいいよ!////」

北上「一人逃げることだけはさせぬぞ」ガシッ

木曾「離せ〜!////」ウワーン

 

 ーー。

 

神風「妙高さん、高雄さん、今日は神風がずっと護衛しますからね!」キラキラ

妙高「ふふ、ありがとう。とても嬉しいわ」ナデナデ

高雄「こんな風に今日を迎えるなんてあの時は思わなかったわ。ありがとう」ナデナデ

神風「はい♪」ニパー

妙・高『(天使が居るわ〜)』ホワワーン

 

春風「お姉様がすみません」ペコリ

足柄「いいのいいの♪ あの当時を過ごした三人だからこその今日なんでしょうから♪」

那智「我々はあの三人を誇りに思うべきだな」フフフ

愛宕「私達の自慢よね♪」

鳥海「はい。高雄姉さん、妙高さん、そして神風ちゃん……三人は本当に誇りです」ニコッ

摩耶「ま、そんな高雄姉達に負けないようにアタシらも頑張ろうぜ♪ な!」ニカッ

羽黒「うん、頑張りましょうね」ニコニコ

 

 ーー。

 

長門「この日をこうして迎えるのはいいものだな」

陸奥「何黄昏てるのよ」ホッペツンツン

長門「い、いいだろ、別に////」

 

ローマ「長門でもああいう顔するのね。いいと思うわ」ギューッ

イタリア「ローマ、そんなにしがみついてなくてもいいんじゃない?」ニガワライ

ローマ「今日だけはお願い……こんな日でもないと素直になれないから」ヒシッ

イタリア「ふふ、しょうがないわね」ナデナデ

 

ビスマルク「プリンツ〜、この日までよく頑張ったわね〜」グスグスッ

プリンツ「姉さま、お鼻が……」フキフキ

ビスマルク「ぐすっ……プリンツ〜……」エグエグ

 

マックス「はぁ……」ヤレヤレ

レーベ「まあまあ、マックス」ニガワライ

グラーフ「ビスマルクにも色々思うことがあるんだろう、今日ばかりは仕方ないさ」

リベッチオ「みんなが揃ってるっていいことだよね♪」

ザラ「そうね」ニコッ

ポーラ「これは後でみんなでワインをnーー」

ザラ「ポーラ」ニッコリ

ポーラ「ハイ、ツツシミマス、ハイ……」ガクブル

 

 ーー。

 

陽炎「雪風〜、一人にしてごめんね〜!」ギューッ

不知火「今日はずっと一緒に過ごしましょう」ナデナデ

黒潮「みんな一緒やで♪」ニコッ

親潮「笑顔で今日を過ごしましょう」ニッコリ

雪風「はい!」ニパー

 

初風「私達も忘れないでね」ナデナデ

時津風「姉妹みんな一緒にね!」

浜風「みんなで過ごせることを噛み締めましょう」ニコッ

浦風「うんと甘えてええからね〜♪」

磯風「ふふ、姉妹とはいいものだな」

 

舞風「島風ちゃんもね♪」

島風「ありがとう」ニコッ

野分「黙祷を捧げた後は姉妹で過ごしましょう」

嵐「賛成♪ みんなでスイカ食おうぜ♪」

萩風「嵐ったら」ニガワライ

谷風「野暮なことは言いっこ無しだって♪」

秋雲「こりゃいい絵が書けそう♪」

天津風「雪風は私達の誇りね」ウンウン

 

雪風「違いますよ、皆さん全員が誇りです!」ニパー

全員『雪風〜!』ギューッ

雪風「ひゃわ〜♪」ニコニコ

 

 ーー。

 

響「電、大丈夫かい?」ナデナデ

電「だ、大丈夫なのです……」グスグス

響「そんなに泣いて、よく言うよ」フフフ

電「だってぇ〜……」ギューッ

響「ありがとう、電」ナデナデ

 

雷「暁姉は行かなくていいの?」

暁「いいのよ。私は今朝、響にぎゅってしたから」ドヤァ

雷(だから朝から泣き腫らした目をしてたのね……)ニガワライ

暁「姉妹揃って迎えたこの日は特別よ。しっかりと黙祷で感謝と日々の報告をしましょう」ニコッ

雷「えぇ、そうね」ニッコリ

 

 ーー。

 

雲龍「天城、葛城……」ソワソワ

天城「どうしました?」

葛城「?」クビカシゲ

雲龍「私に抱きついてもいいのよ?」リョウテヒロゲ

葛城「へ?」

天城「ふふ、雲龍姉様ったら」

雲龍「…………」バッチコーイ

葛城「そんな目で訴えなくても」ニガワライ

天城「なら、少しだけ甘えさせてもらいますね」スッ

雲龍「いいわよ」ナデナデキラキラ

葛城「えぇ〜……」ニガワライ

 

雲龍「」チラッチラッ

葛城「わ、分かったわよ、甘えるわよ!////」ギュッ

雲龍「それでいいのよ……今の私は二人をこうして抱きしめられるのだから」ギューッ

天城「ありがとうございます、姉様」ニコッ

葛城「ありがと////」エヘッ

 

 ーー。

 

曙「みんなしてお気楽ね〜……ったく」ニコニコ

潮「曙ちゃんったら……」クスクス

朧「とか言ってて曙が一番嬉しそうにしてるけどね〜」ニヤニヤ

漣「ツンデレゴチっす♪」ニヤニヤ

曙「////」プイッ

 

綾波「皆さん、そろそろ整列ですよ〜♪」

敷波「みんなで一緒にしっかり黙祷しようね」ニコッ

 

曙「分かってるわよ////」イソイソ

潮「あ、曙ちゃん、待って〜」アワワ

 

朧「素直じゃないな〜、曙は」フフフ

漣「でも顔は緩んでるのバレバレだよね」クスッ

敷波「ほら、茶化してないで二人も整列する♪」

綾波「置いて行っちゃうよ〜」クスクス

朧・漣『は〜い♪』

 

 

 一一五○ーー

 

伊良湖「そろそろ時間ですね。整列しましょうか」

間宮「そうね。しっかりと黙祷を捧げましょう」ニコッ

明石「ですね! みんなで迎えるこの日のことを皆さんにご報告しましょう♪」

大淀「では号令を掛けますね♪」

 

 そして大淀の号令に全員は素早く整列した。殆どの者達は号令前から既に持ち場に整列していたため、時間は掛からなかった。

 

 

 一二○○ーー

 

提督「黙祷!」

 

 正午になると同時に提督の声で一分間の黙祷を全員で捧げた。

 

 そして黙祷が終わった後で、鎮守府はまた任務へと戻るのだった。

 

 艦娘達一人ひとりの表情はとても晴れやかで、そして穏やかだったーー。




今日は終戦記念日です。
あの戦争で亡くなった多くの英霊達、多くの国民の方々に心からの黙祷を捧げます。
そして艦これではイベント中でありますが、艦娘のみんなには心穏やかにあってほしいです。
そして本編に出せなかった艦娘についてはご了承を。

因みに今日は五十鈴さんと雷ちゃんの竣工日です♪
二人共おめでとう!

では今回も読んで頂き本当にありがとうございました!

最後に連載が滞ってしまい申し訳ありませんでした。

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