少しの真面目なシーン、独自解釈、独自設定、キャラ崩壊、ネタ含みます。
○○鎮守府、○七○○ーー
重巡洋艦寮、古鷹型姉妹部屋ーー
加古「すぅ……すぅ……」Zzz
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あの日の朝日は心地よかった
海戦後、しかも勝利した日の朝日は格別だ
みんなで祝賀ムードだった
しかし
それがいけなかったーー
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加古「」パチッ
いつもよりハッキリと目覚めた加古は横向きから仰向けになり、天井を見つめた。
一九四二年のこの日は、重巡洋艦『加古』がアメリカ軍の潜水艦による雷撃を受け、沈んでしまった日なのだ。
その時の記憶が艦娘の加古にも残っている。
加古自身、あの日のことはちゃんと受け入れていて、あの日と同じことを繰り返さないよう、常に心掛けているのだ。
辛い記憶であると同時に自分が慢心しないために必要な記憶だと加古は考えていた。
加古(今年もそんな時期になったか……)
「……っ」
加古(毎年のことだけど気持ちを改めるのにはちょうどいい……)
「……こっ」
加古(ま、今はみんなが居るし、慢心さえしなきゃ来年もこの日を迎えらrーー)
「加古ってば!」
加古「うわぁっ」
耳元で名前を呼ばれた加古は思わず布団から飛び起きた。
それから辺りを見回すと、すぐ右隣に古鷹が立っていた。
加古「なんだ、古鷹か〜……驚かすなよ〜……」フゥ
古鷹「だって加古ったら天井を見つめたまま動かないんだもん。心配したんだから」ムゥ
古鷹はそう言うと両腕を胸の前で組み、両頬をぷっくりと膨らませた。古鷹は機嫌が悪くなるとよくこうなるのである。
加古「悪い悪い」ニガワライ
古鷹「もぉ……今日は加古にとって特別な日だけど、
加古「悪い……」
そう、古鷹としては妹が沈むのを見てしまっているのである。
古鷹の様に残された方としてもこの日は特別なのだ。
加古「……ん? 私
加古は『私』ではなく私『達』というフレーズが気になった。
すると、
青葉「お、加古さんも起きましたね♪」
衣笠「加古っちゃん、おは〜♪」
加古「あ〜、二人も来てたのか〜。おはよ。あと衣笠、そのこ○っちゃんみたいな呼び方やめて」ニガワライ
衣笠「えぇ〜、可愛いのに〜」クスクス
古鷹達の部屋に第六戦隊が勢揃いしていたのだ。
あの日もこのメンバーで帰還中だった。そして加古だけが沈んでしまった。つまり青葉と衣笠も加古が沈む瞬間を見ているのだ。
青葉「目を開けたまま寝るとは器用ですね〜♪」
青葉は古鷹とは反対側の左隣にやってきて、コロコロと笑いながら加古に声をかけた。
加古「あたしはちゃんと起きてたんだけどね……」ニガワライ
青葉は今でこそこうして笑っているが、去年の青葉は自分のせいで古鷹も加古も、多くの仲間を沈めたと深く悔み、着任当初からずっと愛想笑いしか出来ないでいた。
しかしそんな青葉に『青葉のせいじゃない』と提督や古鷹達が心から訴えた。そうした結果、青葉は今のように心から笑うことが出来ているのである。
衣笠「まあまあ、そんなことより早く準備しよ♪」
すると衣笠は満面の笑みで両手を叩いた。
加古「んぁ? 今日って休みでしょ? まだ寝かせてよ……」
古鷹「ダメダメ! お休みだけど、用事があるの!」
衣笠「昨日提督から言われたでしょう?」
加古「ん〜?」クビカシゲ
青葉「先日の出撃で鎮守府の近隣地域の方々が操縦する漁船を救出しましたよね?」
加古「あぁ、そんなことあったね〜。そういや昨日提督から集合時間とか聞いたな……」ウンウン
古鷹「その漁協の人達が今日の一○○○から、お祭りを開催するの。それで私達はその漁協の人達に提督と招待されてるの!」
衣笠「あの時、一緒に救出活動をした吹雪ちゃん、天城さんも行くのよ! 早く準備しよ!」
加古「集合時間までまだ時間あるじゃん……後一時間くらい……」
古・衣『ダメ!』
加古「(>△<)」ミミキーン
青葉「LOVE勢には逆らわない方が得策です。準備という名の気合いが違いますから」ニガワライ
加古「仕方ないな〜……LOVE勢は〜」ヤレヤレ
古鷹「衣笠!」キラキラ
衣笠「古鷹ちゃん!」メラメラ
こうして古鷹達は朝食を軽く食べた後で準備に取り掛かった。
正門前、○八三○ーー
提督「」
提督は夏用の軍服に身を包み、集合時間の三十分前から待機していた。
招待された漁協からは開催セレモニーに出席してほしいとお願いさているので、最低でも○九三○には会場に着かなくてはならない。
移動時間も踏まえ、あの時の六名には事前に○九○○集合と伝えた。
因みにこのお祭りに参加するため、本日の艦隊運営はお休みとし、他のみんなは思い思いに休日を満喫している。
「お待たせしました、提督」
「おはようございます、司令官!」
提督「いや、待っていないよ。早かったな天城、吹雪。浴衣姿も似合っているぞ」ニカッ
天城「ありがとうございます////」テレッ
吹雪「えへへ、天城さんに着付けてもらいました!」ニコッ
天城E.緑地に
E.茶色の帯
吹雪E.藍地に黄色と白色の水仙柄
E.青色の帯
「お待たせしました! 提督!」
「お待たせ〜♪ 提督!」
「眠い……」
「セレモニー中に寝ないでくださいね〜」
そこに古鷹達、第六戦隊も浴衣姿で登場した。
古鷹E.藍地に白色の朝顔柄
E.山吹色の帯
加古E.白地に黒色のトンボ柄
E.灰色の帯
青葉E.白地に赤色の金魚柄
E.桃色の帯
衣笠E.薄黄色地に紫色の撫子柄
E.黄色の帯
提督「大丈夫だ。第六戦隊のみんなも浴衣が良く似合っているな」ニカッ
古鷹「はぅ……ありがとうございます♡////」モジモジ
衣笠「褒めてもらえて嬉しいわ♡ ありがと♡」ウインク
青葉「二人共輝いてますね〜」パシャパシャ
加古「LOVE勢ってすげぇ」
そして提督達は少し早いが浴衣姿ということもあり、ゆっくりと会場へ向かうことにした。
因みにどうして全員浴衣かというと、漁協の人達が古鷹達の浴衣姿を切望したからだという。
お祭り会場ーー
漁協責任「いやぁ、お待ちしてました!」
提督「本日はご招待ありがとうございます」ペコリ
全員『ありがとうございます!』ペコリ
漁協責任「いえいえ♪ こちらとしてはいつも海を守っていただけて本当に感謝してます! それに加えて先日は漁船も助けていただいて……今日は存分に楽しんで行ってください♪」
全員『はい!』ニパー
提督「何から何までありがとうございます」ペコリ
漁協責任「いえいえ♪ それにしても皆さんお美しいですね〜……これならもう大成功ですよ!」パチパチ
全員『ありがとうございます♪』
提督「私からも重ね重ねありがとうございます」ペコリ
漁協責任「では早速控室にてセレモニーの説明をしますのでこちらへ♪」
それからセレモニーでの説明を受け、予定通りセレモニーにも出席した提督達。
訪れた人々は艦隊に盛大な拍手を送り、古鷹達はそれに笑顔で応えた。
そして滞りなくセレモニーも終わった後、提督は古鷹達に手を引かれて会場内の屋台へ抜錨し、楽しい一時を過ごした。
加古としてもこの日に楽しい思い出が増えたことを心から喜び、これからも頑張ろうと気持ちを新たにしたーー。
おまけーー
お祭りからの帰り道、一六○○ーー
吹雪「楽しかったです〜♪」
天城「ふふ、お土産も沢山頂いてしまいました」ニコニコ
青葉「明日の新聞はこの写真達を沢山載せます♪」ムフフ
加古「鮪の解体ショーとか迫力あって良かったよな〜♪」
衣笠「提督、私の綿飴一口あげる♪」つ綿飴
提督「む、かたじけない……」ムグッ
衣笠「〜♡」ニヘヘ
古鷹「提督、私の林檎飴も一口どうぞ♪」つ林檎飴
提督「ありがとう……」カリッ
古鷹「〜♡」デヘヘ
青葉「あちらはいちゃつき具合が常夏ですね〜」パシャパシャ
加古「その写真、新聞には載せるなよ? 血の雨とか洒落になんねぇから」ニガワライ
吹雪「大和さんとかこの写真を見たらどうなるのかな……」
天城「長門さんや金剛さんも……」
青葉「天城さんはLOVE勢ですが、穏やかですよね〜」
天城「私はただ提督のお側に居られれば幸せですから♡」ニッコリ
加古「眩しい……」
青葉「後光がさしてますね〜」
吹雪「流石は天城さんですね!」
天城「そ、そうでしょうか?」ニガワライ
後日、古鷹と衣笠と提督のデート風な光景を収めた写真は古鷹と衣笠が厳重に保管したそうなーー。
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と言うわけで、今回は加古さんのお話をメインに浴衣回にしました!
本編で浴衣の色や大まかな柄は書きましたが、細かい模様やデザインは敢えて書きませんでした。その方が読者様方のご想像が膨らむかと思いまして……。
ご了承お願い致します。
そしてこの日、沈んでしまった重巡洋艦『加古』と亡くなった方々に心からお祈りします。
更に今日は天城さんと吹雪ちゃんの竣工日でもあります! 二人共おめでとう!
今回も読んで頂き本当にありがとうございました!