艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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軽巡洋艦のみ。

キャラ崩壊、他作ネタ含みます。


艦これSS二百二十話

 

 ○○鎮守府、二○○○過ぎーー

 

 軽巡洋艦寮、長良・五十鈴・名取部屋ーー

 

長良「はぁ〜、今日は楽しかった〜!」ノビー

 

 長良は満足した表情で自分のベッドに寝転んだ。

 

 一九四四年のこの日、長良は鹿児島を出港して佐世保へ向かう途中、熊本県天草諸島の西においてアメリカ潜水艦からの雷撃に遭った。四本の魚雷が射出された内の一本の魚雷が長良の右舷後部に命中し、長良はほどなくして沈んでしまった。そんな日なのだ。

 

 そんな日を提督の計らいで長良は姉妹みんなで休暇を貰い、今日は目一杯楽しく過ごせたのだ。そしてお風呂も済ませた長良達はそれぞれの部屋でまったりと過ごしていた。

 

五十鈴「良かったわね」クスクス

名取「今日は長良姉さんにとっても私達にとっても悲しい日だけど、提督さんのお陰で楽しく過ごせて良かったよね」ニコニコ

 

長良「私はそんなに気にしてなかったんだけどね〜……提督は気配り上手だよね。明日から頑張って任務をこなして恩返ししなきゃ!」フンス

五十鈴「長良姉さんもとうとう提督に惚れた?」ニコニコ

名取「仲間仲間〜♪」ニコニコ

長良「うん、同じにしないで。私は上官として信頼してるってだけだから」

五十鈴「あら、残念」ニコッ

名取「姉さんは強情なんだから〜」ニコッ

長良「」ニガワライ

 

 コンコンーー

 

五十鈴「は〜い」

 

 ガラガラーー

 

阿武隈「お姉ちゃ〜ん……」ヒョコ

 

五十鈴「阿武隈じゃない」

名取「元気無いけどどうしたの?」

長良「何かあったの?」

 

阿武隈「助けてぇぇぇ!」ヒシッ

 

 阿武隈は涙ぐみながら長良達に飛び付いた。長良達は戸惑ったが阿武隈をしっかりと受け止め、阿武隈をなだめた。

 

五十鈴「何があったのよ?」

阿武隈「あのね、由良お姉ちゃんと鬼怒お姉ちゃんがーー」

 

 コンコンーー

 

阿武隈「ぴぃ!?」ガクブル

長良「ま、まぁ、落ち着きなよ」ナデナデ

名取「とりあえず二人にお話を訊くから、中に入れるね?」

阿武隈「」コクコクコクコク

五十鈴「」ニガワライ

 

鬼怒『長良姉〜、五十鈴姉〜、名取姉〜! 入ってもい〜い〜?』

 

長良「いいよ〜!」

 

 ガラガラーー

 

鬼怒「さっきぶり〜♪」コロンビア

五十鈴「はいはい……で、説明してもらえないかしら?」

鬼怒「???」キョトン

名取「阿武隈ちゃんが鬼怒ちゃん達に対して凄く怯えてるの」

長良「阿武隈に何したの? 怒らないから、言ってみ?」ニコニコ←威圧ではない

鬼怒「あ〜! 阿武隈(あぶぅ)やっぱりここに居たんだね!」

 

阿武隈「あぶぅ〜」ガクブル←部屋の隅で小さくなっている

 

長良(あぶぅ〜って鳴いちゃってる……)

名取(一体何されちゃったのかな?)

五十鈴「ほら、説明なさい。鬼怒」ジロリ

鬼怒「えぇ〜とですね〜ーー」

 

 鬼怒はこれまでの経緯を長良達にちゃんと説明をした。

 

鬼怒「ーーという訳!」

 

長・五・名『( ゚д゚)』ポカーン

阿武隈「(´>Д<`)」アブアブ

 

 鬼怒の説明に長良達はポカン顔をせざるを得なかった。それとは反対に阿武隈は部屋の隅でさらにうずくまり、小刻みに震えていた。

 

長良「つまり、心霊番組を観てたけど物足りなくて……」

五十鈴「由良と鬼怒は酒保でホラー物を借りに行くってなって……」

名取「阿武隈ちゃんはそれが嫌で部屋を飛び出した、と……」

 

鬼・阿『』コクコク

 

長良「あのね〜……」ハァ

名取「嫌って言ってるのに無理強いさせちゃ駄目だよ」

鬼怒「えぇ〜……」

五十鈴「阿武隈も心霊番組なんかで怖がらないの。あんなのやらせなんだから」ナデナデ

阿武隈「だってぇ〜……」クスンクスン

 

長良「そう言えば由良は?」

鬼怒「由良姉なら酒保に行ったよ♪」

阿武隈「やぁぁぁぁだぁぁぁぁ!」キョゼツ

名取「阿武隈ちゃん! しっかり!」ギューッ

阿武隈「うぅ〜……」ヒシッ グスグス

長良「何で由良は普段大人しいのに行動は早いのかな〜」ニガワライ

五十鈴「阿武隈、今夜は私達の部屋で寝なさい」ナデナデ

阿武隈「」コクコクコクコク

 

 コンコンーー

 

阿武隈「きぃぃぃやぁぁぁ、きちゃったぁぁぁぁ!」ガクブル

長良「大丈夫だから、落ち着きなよ」ニガワライ

名取「私達が付いてるから」ナデナデ

阿武隈「うん……」ガクブル

五十鈴「どうぞ〜」

 

 ガラガラーー

 

由良「こんばんは♪」

提督「お邪魔するよ」

 

 由良と一緒に現れた提督に部屋に居た全員が驚いた。

 

長良「あれ? 由良だけじゃなくて提督も?」

五十鈴「明日の任務のことで何かあったの?」

提督「いや、由良に誘われてな」

由良「これから由良達の部屋でホラー映画鑑賞するのに、提督さんも誘ったの♪ やっぱり男の人がいると安心するから♡」

 

 そう言うと由良は提督の左腕にギュッと抱きついた。

 

提督「と言う訳だ。私も後は寝るだけだったが、こういうのも交流の内だと思ってな。参加させてもらうことにしたんだ」

鬼怒「やった! さっすが提督〜♡」ギューッ

  (流石は由良姉! 恐るべし!)アイコンタクト

由良「♪」ピース

 

長良(あ〜、雲行きが怪しくなってきた〜)ニガワライ

 

五十鈴「なら私も参加するわ。夏と言えばホラーで涼むのもありよね♡」←便乗

名取「名取もホラーは苦手ですけど、提督さんがご一緒なら観れます♡」←ホラー大好き

 

長良(ほらこうなった……)ニガワライ

 

由良「じゃあ行きましょうか♪」

鬼怒「長良姉と阿武隈(あぶぅ)はどうする〜?」ニヤニヤ

阿武隈「うぅ〜……」

長良「阿武隈、嫌なら無理しなくていいんだよ?」

阿武隈「提督が一緒なら……行く……」ツヨイマナザシ

長良(愛の力って凄いな〜……)トオイメ

 

 その後、長良は提督の身を案じて自分も参加することにした。

 由良達の部屋で由良が選んだホラー映画『神隠しと策士の九尾』を観た提督達。

 提督は映画が割りと好きなため、話の作りと映像技術にただただ頷くばかりだった。

 しかしホラーが大の苦手な阿武隈はわ~きゃー騒ぎつつ提督にしがみついていは蕩けた表情を浮かべた。

 一方ホラー映画が得意な五十鈴、鬼怒でもその作品は怖かったらしく、要所要所で提督にしがみついていはにやけた顔を浮かべた。

 そして最後にホラー映画大好きな名取と由良は怖がるふりをしながら提督に抱きついては、恍惚な表情を浮かべるのだった。

 そんな妹達に注意を払いながら居た長良は映画の内容など全く入って来ず、ただひたすら妹達(特に名取、由良)が提督に過度なスキンシップをしないように止めていたーー。




今日は長良さんが沈んでしまった日ですが、敢えてほのぼの?的な感じにしました!
あの日沈んでしまった軽巡洋艦『長良』と亡くなってしまった乗組員の方々に心からお祈りします。

今回も読んで頂き本当にありがとうございました!

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