キャラ崩壊、独自解釈含みます。
○○鎮守府、一四○○ーー
中庭ーー
能代「阿賀野姉ぇ、そんなに引っ張らないで〜!」
阿賀野「だって早く行きたいんだもん!」グイグイ
矢矧「そんなに急がなくても水着は逃げないわよ?」クスクス
酒匂「でも早くしないと可愛い水着が売り切れちゃうよ〜!」
阿賀野「そうだよ〜! 姉妹お揃いの水着で海に行く約束でしょ〜?」
能代「それは分かってるけど急かさないで〜!」
酒匂「矢矧ちゃんも〜!」グイグイ
矢矧「酒匂、スカート引っ張らないで!」アワワ
/ワイノワイノ\
大井「最近はみんな水着とか夏の話題一色ね……」
大井は一人、中庭の木陰の下に座って阿賀野達を眺めていた。
本日、七月十九日は重雷装艦『大井』が南シナ海へ沈んだ日である。そのため今日は提督の計らいで非番をもらってのんびりと過ごしていた。
大井自身、一九四四年のこの日のことはとても辛く、今でも脳裏に当時のことがハッキリと浮かぶが、大井の心は落ち着いていた。
大井(今日をこんな風に迎えるなんて思わなかったわ……)クスッ
大井にとってこの日は戦没した日であるが、自分にちゃんと気を配ってくれる提督や大好きな北上と大切な姉妹達、そして艦隊みんなとの充実した日々のお陰で大井は何ら変わらない日々として過ごせているからだ。
「大井っち♪」
ぴとっ……
大井「ひゃぁ!?」
名前を呼ばれると同時に右の頬へ冷たい物をあてたられた大井は思わず声をあげてしまった。
しかし大井はそれをやった犯人が誰なのかすぐに分かった。何故ならその声は大好きな人の声だったから。
大井「もう、北上さん、酷いじゃないですkーー」
提督「すまない、大井」ニガワライ
大井「」
大井は声が出なかった。北上だと思っていた人物は提督だったからだ。
北上もそばに居た。ようするに北上が自分を呼び、提督が冷たい物を頬へあてたのだ。
しかし大井にとって最も声を出せなかった理由は提督の顔がすぐそこにあったからだ。
大井「////」ボンッ
北上(本日秘書艦)「おぉ〜、これは満開ですな〜」ニヤニヤ
提督「大井、大丈夫か?」ノゾキコミ
大井「ちちちち近いですすすすす!//// うううう嬉しいからららら////」←混乱
北上「ドッキリ大成功♪」ニシシ
提督「大井、落ち着いてくれ」アセアセ
大井「わわわ、私ははは、おちおちおち落ち着いておりますすするるですす////」
北上「いやぁ、今日も見事な動揺っぷり♪」パチパチ
そんなことを言いつつ北上は大井の右に座り、提督は大井の左側へ腰を下ろした。
大井「どどどどうして、わわわ私を挟むですすすす!?////」
(きゃ〜! 幸せだわーー!♡)←心の声
北上「聞いてよ大井っち〜、提督ったら今日のお仕事終わらせちゃったんだよ〜? だから暇でさ〜……」
大井「てててて提督くくく!//// 北上さんをこまこま困らせないでくださいいい!//// 本当に有能で素敵なんですから!♡////」←本心だだ漏れ
提督「いや、私はその……今日は大井にとって辛い日だから、早く仕事を終わらせて北上を大井の元へ行けるようにしようとしてだな……」
大井「いいいい言い訳はいいんですすす!//// 何してるんですかかかか!//// 本当にどれだけわわわ私を落とす気ですかかか!♡////」ニヨニヨ
北上「まあまあ落ち着いて大井っち、ラムネでも飲んでさ♪」ニヤニヤ
大井は北上の言葉に従い、そして三人で並んでラムネを飲んだ。当然、大井は暫くの間、ちゃんと喋れなかった。
そしてーー。
大井「もう……北上さんったら酷いですぅ////」ニヨニヨ
北上「ごめんごめん♪」
(顔と声は全く怒ってないけど……)
大井「提督も、いくら北上さんに言われたからってやらないでくださいね!////」
(少女漫画のワンシーンみたいで最高だったわ!♡)←心の声
提督「すまなかった」フカブカ
大井「もう……仕方ない人♡」フフフ
北上(雌や、雌の顔をしていらっしゃる……)オォー!
大井「執務室を空けていて大丈夫ですか?」
提督「問題無い。今日は出撃任務も終えているし、演習の申し込みも申し込むことも無い。更に今に限ってはみんな訓練中か遠征中だからな。ちゃんと執務室のドアにも外出中と札を掛けて来た」
北上「暇してたら丁度執務室の窓から大井っちが見えたんだ。だからアタシが提督を誘って中庭に行こうって誘ったの♪ 因みにラムネは提督の提案♪ イタズラはアタシ♪」ニシシ
大井「もう……ありがとうございます////」
提督「お礼なんかいい。大井が元気なら私はそれでいいんだ」ナデナデ
大井「」トゥンク
大井「なら私ももうイタズラしたことについては何も言いません////」デレデレ
提督「あぁ、ありがとう」ニカッ
大井「はい♡」デレェ
北上(ま〜たLOVE度が増しちゃったね〜)クスクス
そして話は夏の話題へーー
北上「ねぇねぇ、提督、大井っち〜」
提督「む?」
大井「はい?」
北上「最近暑いじゃ〜ん?」
提督「暑いな。熱中症対策を皆にきちんと言い聞かせなくてはいけない」ウンウン
大井「そうですね。これだけ暑いのにまだ梅雨が明けてないのが不思議なくらいですよね」
北上「もう殆ど夏だよね〜」
大井「ですね♪」
提督「そうだな」シミジミ
北上「夏といえばさ〜」ニシシ
大井「はいはい♪」
提督「?」
北上「海だよね〜♪」
大井「そうですね♪ 埠頭のすぐ隣はビーチですし、今年も私と行きましょうね♪」
提督「規模も小さく軍事用に人工的に作った浜辺だから、基本的に私達しか利用出来ないがな……」
大井「北上さんを変態な豚共の脅威に晒さなくて済むので、私は嬉しいです♪」
提督「そういう言葉使いは止めなさい」ニガワライ
北上「大井っちはさ、水着どうするの?」
大井「私は去年に北上さんとお揃いで買った物がありますから、それを♪」
北上「あ〜、なるほどね〜」ウンウン
大井「はい、なので問題ありません♪」
そう言った大井は満面の笑みでラムネを口に含んだ。
すると北上は大井に耳打ちする。
北上「(提督を落とすために新しい水着買ったら?)」
大井「っ!?」ブホッ
提督「大井!?」ギョッ
北上「うわぁ、虹が見えたよ〜、今〜」パチパチ
大井「ゴホゴホッ……ん……はぁ……」
北上「炭酸だからむせるとキツイよね〜」ケラケラ
提督「」セナカサスサス
大井「ゴホッ……(どうしたんですか、いいいいきなり……////)」
北上「(いきなりも何もないよ〜。大井っちは提督大好きでしょう? 提督だって男だしさ、大井っちのセクシーなとこ見せたら意識してくれるんじゃないかな〜って♪)」
大井「(わ、私は……別に北上さんさえ居れば……////)」
北上「(他のLOVE勢はみんな気合い入れて水着選んでるの何度も見たよ〜? 叢雲とか満潮とか霞とか敷波だって買ってるの見たし)」
大井「(それは知ってますけど……でもぉ////)」
提督「???」
提督は二人が何を話しているかさっぱり分からなかった。すると北上が提督に向かって訊いた。
北上「提督はさ、どんな水着が大井っちに似合うと思う〜?」
大井「ちょ、北上さん!?////」
提督「大井に似合う水着か……大井は元々が綺麗だからな、大井が気に入った物を身に着けるのが一番魅力的だと私は思う」
大井「綺麗とか魅力的とか勝手なこと言わないでください!♡//// ありがとうございます!♡////」
提督「お、おぉ〜……」タジッ
北上「よぉし、じゃあ大井っち酒保に水着買いに行こ〜♪」
大井「はい、北上さん!」キラキラ
そして二人は提督に一言言ってから酒保へ走って行った。提督は乙女心は難しいと苦笑いを浮かべ、ラムネを飲み干すのだったーー。
ということで今回はまたかと思われる方も居るかと思いますが、大井さんをメインに辛い日ですが、艦娘となった今の穏やかな生活を書き上げました。
大井さんに限らず、艦娘となったみんなが穏やかに日々を過ごせることを心から祈っています。
そして重雷装艦『大井』と大井さんと共に海へと沈んでしまった方々に心からお祈りします。
大井は南西方面艦隊の移転輸送のためスラバヤからマニラへ2度航海。その任務終了後、大井は7月18日にシンガポールへ向けマニラを離れたが、7月19日に大井は香港の南570海里の南シナ海でアメリカの潜水艦フラッシャー(USS Flasher, SS-249) から発見された。
大井が距離1400ヤード(1300m)を通過したところでフラッシャーが艦尾から魚雷を4発発射し、2発が大井の左舷に命中、1発は不発だったがもう1発が大井の機関室で爆発した。駆逐艦敷波が大井を曳航しようとしたが、17時25分、北緯13度12分 東経114度52分 / 北緯13.200度 東経114.867度の地点において大井は艦尾から沈没した。敷波が柴勝男艦長と368人の乗組員を救助したが153人が戦死した。 Wikipediaより
因みに1942年のこの日にはめでたいことがありました。
それは能代さんの進水日です!
おめでとう、能代さん!
では後書きが長くなりましたが、此度も読んで頂き本当にありがとうございました!