艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自解釈含みます。


艦これSS二百四話

 

 ○○鎮守府、一一○○ーー

 

 執務室ーー

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

 ガチャーー

 

吹雪(本日秘書艦)「失礼します! 司令官、言われていた過去の作戦資料を持って来ました!」

 

提督「ありがとう、吹雪。私の机の上に置いてくれ」

吹雪「了解しました!」

 

「司令官、動かないでよ〜……」

 

吹雪「」ハァ

 

 吹雪はその声を聞くなり大きなため息を吐きながら肩をがっくりと落とした。

 

提督「あぁ、すまない」ナデナデ

初雪「ん〜♪」ゴロゴロ

 

 提督はいつもの執務机ではなく、執務室のソファーテーブルに座っていた。

 何故なら初雪が提督の膝枕を堪能しているからである。

 

吹雪「初雪ちゃんさ〜、司令官のお仕事の邪魔になっちゃうから止めなよ〜」

初雪「やだ」プイッ

吹雪「はぁ……すみません、司令官」フカブカ

提督「いやいや、謝る必要はない。初雪だってこんな日はこうして甘えたくもなるさ」ニッ

吹雪「でも……」

提督「膝枕くらい執務に何も影響はない。両手が動かせるからな」テヒラヒラ

吹雪「司令官がそう言うなら……」

初雪「吹雪は真面目過ぎる。たまには肩の力を抜くことを私から学ぶべき」

吹雪「初雪ちゃんは抜き過ぎなの!」

 

 吹雪は両頬をぷっくりと膨らませて初雪を睨むが、初雪はそんなの知らないとばかりに持参した3○Sの画面から視線を逸らす素振りも見せず、

 

初雪「うわ〜ん、吹雪お姉ちゃんが怒る〜(棒)」ピコピコ

 

 この始末である。

 

提督「まあまあ、吹雪」ドォドォ

吹雪「むぅ〜」

 

 提督が怒る吹雪をなだめるように声をかけると、吹雪は唸り声のような声を出しつつもそれ以上初雪を責めることはなかった。

 

吹雪「……とりあえず、何か飲み物を持って来ます」

提督「ありがとう、頼むよ」ニガワライ

初雪「私、麦茶〜」ノシ

吹雪「はいはい……」

 

 そう言って吹雪は執務室の冷蔵庫から麦茶を取り出し、それぞれのコップへ注いでいった。

 

吹雪「司令官も麦茶で大丈夫でしたか?」

提督「あぁ、大丈夫だ。ありがとう」ナデナデ

吹雪「はい♪」

初雪「吹雪〜」ノシ

吹雪「はいはい、初雪ちゃんもね」ニガワライ

初雪「ありがと〜」

 

 そして初雪はちゃんと座り直し、麦茶を飲み始めた。

 吹雪と提督も麦茶を飲み一息ついた。

 

提督「ふぅ……」

初雪「本当に迷惑なら言って。部屋に戻るから……」

提督「あぁ、今のはただ一息吐いただけで、そういう意図はない。誤解させてすまない」

初雪「そう……」

提督「迷惑なら最初から膝枕なんてしないよ」ナデナデ

初雪「うん♪」

吹雪(父親に甘える娘みたい……)ホホエマー

 

 本日、七月十七日は初雪が空襲により戦没した日である。

 

 時は今から七十三年前の一九四三年・昭和十八年。

 パプアニューギニアの南太平洋、ソロモン諸島北部に位置するブーゲンビル島・南端部の町、ブインには日本軍の基地があった。

 同日の早朝、駆逐艦『初雪』はブイン沖にて他の艦艇と共に輸送任務を行っていた。そこへ米軍の大型戦闘爆撃機約二十機と百を超える戦闘爆撃機の大空襲を受けた。

 至近弾多数と艦橋後部附近に被弾した駆逐艦『初雪』は、これにより浸水。後に水平状態で沈没するということがあった日なのだ。

 

 普段の訓練や任務ともなれば頑張るが、休日となると部屋に引きこもりがちな初雪。そんな初雪も今日ばかりは誰かと一緒に過ごしたいということなのだろう。

 

提督(白雪と深雪は訓練。叢雲と磯波は遠征。私の配慮が足らなかったな……)

 

 提督はそう反省しながら、提督は自身の膝を枕にしながらゲームをする初雪の頭をそっと撫でるのだった。

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

 ガチャーー

 

皐月「失礼しま〜す♪」

望月「邪魔するよ〜」ノシ

 

提督「二人共、何かあったのか?」

皐月「初雪探してたんだ♪」ヒシッ

望月「んでここに来たらビンゴだったわけ。あ、あたしにも麦茶〜」ノシ

吹雪「は〜い」フフフ

 

 執務室に現れた皐月と望月に私がそう訊ねると、皐月は透かさず提督の隣に座り、望月は吹雪の座る隣の椅子に腰掛けながら答えた。

 

初雪「私に何の用?」

皐月「何の用って一つしかないでしょ!」

望月「これが目に入らぬか!?」つ3○S

 

初雪「あ〜、モン○ンか〜。今じゃなきゃダメ?」

皐月「今じゃなきゃダメって訳じゃないけど、せっかくみんなして今日は訓練も任務も無いんだし、一緒にやろうよ〜♪」

望月「トラップ職人の初雪居ると楽なんだよ〜」

初雪「ほうほう……」

 

吹雪「はい、二人の分の麦茶♪」

望月「サンキュ〜」

皐月「ありがと♪」

 

 吹雪はタイミング良く二人に麦茶を差し出すと、二人はお礼を言ってコップを受け取る。

 そして二人は一口麦茶を飲むと、また初雪の方へ視線を移した。

 

初雪「う〜ん……」

 

初雪「」チラッ

 

 初雪は少し悩んでから、提督の方へ視線を向けた。

 

提督「私のことは気にしなくていいぞ? 二人がせっかく誘ってるんだ、仲間との交流も大切だ」ナデナデ

初雪「ん〜……」

 

 提督がそう声をかけても初雪はまだ悩んでいる様子だった。

 

 そして、

 

初雪「お昼御飯食べてからで。午前中は私、司令官の膝枕を堪能する義務があるから」コロン

 

皐月「( ゚д゚)」ファッ!?

望月「んじゃ、どうせならお昼一緒に食べよう。それからあたしらの部屋に行こうよ」

初雪「ん、了解〜♪」ノシ

 

吹雪「司令官……」

提督「大丈夫大丈夫、書類なら問題ないから」

吹雪「すみません……」フカブカ

 

皐月「ねぇ、司令官……」クイクイ

提督「どうした?」

皐月「ボクも何か手伝うよ。ただここに居るのも悪いし……」

提督「ありがとう、なら吹雪と終わった書類の整理を頼みたい」ニッ

皐月「うん、任せて!」ニパッ

提督「任せたぞ」ナデナデ

皐月「は〜い♡」エヘヘー

初雪「司令官〜、私の頭が寂しいって〜」

提督「それはすまなかったな」ナデナデ

初雪「ふふ〜ん♪」キラキラ

 

望月「LOVE勢の皐月と甘えてる初雪の相手をするのは大変だな〜」

吹雪「司令官の人徳……なのかな?」ニガワライ

 

 そしてお昼まで提督の膝枕を堪能した初雪。

 そのままの流れで昼食は提督、吹雪、皐月、望月と一緒に楽しく食べ、初雪はその後も笑顔でその日を過ごしたーー。




今日は初雪ちゃんメインで書き上げました!
初雪ちゃん、艦娘に生まれ変わってくれてありがとう!
初雪ちゃんだけではなく全艦娘に言えますが、みんながこのように笑顔で過ごせているのを願うのみです。

この日、海へ沈んだ駆逐艦『初雪』と英霊達に心からお祈り致します。

今回も読んで頂き本当にありがとうございました!

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