艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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駆逐艦メイン。

独自解釈含みます。

今回もいつもより長めです。


艦これSS百九十四話

 

 ○○鎮守府、一○○○ーー

 

 駆逐艦寮、談話室ーー

 

初風「七夕の飾りで何か足りない物はある?」

時津風「今陽炎達が他のみんなと飾り付けしてるから、その結果次第じゃない?」

天津風「足りなかったら連絡があるでしょ。それまで私達は短冊作りに専念しましょ」

島風「みんなおっそ〜い♪」スパパパッ!

初風「指を切らないようにね」ニガワライ

 

雪風「そういえば、今日は空母の皆さんは揃って出撃や演習に行ってますね〜。何かあるんですか?」

初風「あぁ、今日は零戦の日だからじゃない?」

時津風「零戦の日〜?」

天津風「私知ってるわ。今日は初めて零戦の試作機が試験飛行を開始した日なのよね」

雪・時・島『へぇ〜』

初風「そんな訳だから空母の人達は今日は揃って出撃や演習を申し出てるそうよ」

 

時津風「じゃあ、今日はボーキが無くなる?」

天津風「流石にそれはないんじゃないかしら……多分」

初風「提督も考え無しに決定してないから大丈夫よ。まぁ、今日の食堂は大変でしょうけど」ニガワライ

 

 /ワイワイキャッキャッ\

 

雪風「…………」

 

雪風(みんな楽しそうで何よりです♪)ニコニコ

 

 雪風は心からそう思い、目の前の光景を笑顔で眺めた。

 

 雪風にとって今日は日本を離れた日だからだ。

 遡ること六十九年前の一九四七年の七月六日。この日、駆逐艦『雪風』を賠償艦として中華民国(今の中国正確には台湾)に引き渡した。後、『丹陽(タンヤン)』と改称し海軍旗艦となる。

 因みに同年同日、松型駆逐艦の『(すぎ)』と『(かえで)』、橘型駆逐艦の『初梅(はつうめ)』が雪風と同じく賠償艦として中華民国へ引き渡され、それぞれ『恵陽(フェイヤン)』『衡陽(ホンヤン)』『信陽(シンヤン)』と改称した。

 

雪風(あの時は寂しかったですけど、今はみんなと居られて嬉しいです♪)

 

天津風「何一人でニコニコしてんよ」ホッペツンツン

雪風「あわわ」

初風「ふふ、まぁいいじゃないの。それより、早く短冊作って飾り付けの様子見に行きましょう」

時津風「()()()()()()に作ればすぐ終わるよ♪」

島風「それで()()()()()()に見に行こう♪」

雪風「……はい♪ みんな一緒です♪」ニパー

 

 こうして雪風はみんなと居られる喜びを噛み締め、みんなと短冊作りに励んだ。

 

 そして一通り短冊を作り終えると、今度はみんなで会場に足を運んでいった。

 

 

 七夕パーティ会場(大広間)ーー

 

初風「あら」

雪風「わぁ!」

天津風「綺麗……」

時津風「うわぁ♪」

島風「もう殆ど出来てる〜♪ はっや〜い♪」

 

 会場に入ると会場の中央に設置された大きな竹は七夕飾りを施され、見事な出来栄えだった。

 

 竹の飾り付け班ーー

 

妖精さんa「次はこれを飾りましょうか。大艇さん。あそこら辺まで運んでください」

大艇「♪」

妖精さんb「えぇ、ちゃんと掴まってますね♪」

妖精さんc「よろしくです♪」

 

秋津洲「大艇ちゃ〜ん、妖精さ〜ん、気をつけてね〜!」

 

 会場準備班ーー

 

大和「武蔵〜、このテーブル持ってって」

武蔵「分かった。姉さんはテーブルクロスを食堂から貰ってきてくれ」

大和「了解♪ じゃ、テーブル頼んだわね♪」

武蔵「あぁ」ニッ

 

 飾り搬入班ーー

 

皐月「長月〜、転けないでよね?」

文月「気をつけてね〜?」

菊月「まぁ転けたとしても今度はちゃんと医務室まで曳航してやるさ」

長月「過保護過ぎなんだよ! ただ七夕飾りを運んでるだけで転けるわkーー」

 

 コケッ

 

長月「んにゃ!?」ビターン

皐月「長月!」

文月「菊月ちゃん! 上空に注意してて!」

菊月「任せろ!」キョロキョロ

長月「……////」グヌヌ

皐月「ほら、今度は離さないから」オテテギュッ

長月「お節介め////」ギュッ

 

 壇上の飾り付け班ーー

 

初春「子日〜、そこの飾り付けはどうじゃ〜?」

 

子日「バッチリだよ〜♪」

 

若葉「子日のやつ、今日は妙に調子いいな」

初霜「昨日提督からスペシャルパフェの引き換え券を貰ったからよ」クスクス

初春「昨日は子日のやつが沈没した日じゃったからの。あやつは気にしてなかったが、提督がちゃんと自分のことを知ってたのが嬉しかったんじゃろうて」フフ

若葉「なるほどな〜」

 

子日「初春お姉ちゃ〜ん! 次に付ける飾り取って〜♪」

初春「今持ってくぞよ〜!」

若葉「初霜、輪っかの飾り足りるか?」

初霜「まだまだあるから足りると思う」

若葉「足りなくなったら作る」キリッ

初霜(飾り作るの楽しかったんだなぁ)クスッ

 

 マイクや照明等の機材チェック班ーー

 

大淀「霧島さん、マイクのチェックお願いします」

霧島「任せて♪ しっかりチェックするわ♪」

 

アイオワ「これが日本の七夕……『The Star Festival』! ロサンゼルスでもやってるけど本場は違うわね!」キラキラ

ローマ「起源は中国だけど、七夕も広く伝わったものよね」シミジミ

イタリア「でも悲しいお話だけどとても素敵な日よね」ウットリ

アイオワ「ドイツでの七夕はどんな感じなの?」

ビスマルク「ドイツには元々七夕なんてものは無かったわ。最近になって七夕の日に竹じゃくて庭にある木とかに短冊や飾りを付けるわね〜。場所にもよるけど、日本人が多く住んでる街ならちゃんとやってるって感じかしら」

 

プリンツ「イタリアには七夕ってあるの?」

ザラ「う〜ん……やっぱりドイツと一緒で日本人が多く住んでる街ならって感じかな〜」

ポーラ「七夕に近いのならシチリアでSan Lorenzo(サン ロレンツォ)の日があるよ〜。その日は八月だけど、この日の夜はみんな外に出て流れ星を見つけて願い事をするのが習慣なの♪」

金剛「それは素敵な日ネ〜♪」

比叡「ヨーロッパでも七夕があるところはあるんですね〜」

榛名「それだけ異文化交流がある証拠なんでしょうね」ニコッ

 

 会場では飾り付けや準備をしながら各グループがそれぞれ思い思いの会話を楽しみながら行っていた。

 

 初風達は会場内の壁の飾り付け作業をする陽炎達に声をかけた。

 

初風「姉さん達、飾り付けはどう?」

 

陽炎「あら、短冊は作り終わったみたいね♪」

不知火「お疲れ様です。不知火達が担当している飾り付けは問題無く終えそうですよ」ニコッ

黒潮「うちらは会場の壁んとこの飾り付けやからな〜。そんなに難しくないで♪」

親潮「でも向こうの夕雲さん達が担当している飾り付けは綺麗ですよね♪」

 

天津風「あ、ホントだ〜」

時津風「みんなのとこだって綺麗だよ〜♪」

島風「みんなで一番って感じ!」キラキラ

浦風「みんなで頑張ったんじゃから当然じゃぁね」ニコッ

谷風「広いから大変だけど準備も楽しみの一つだからね♪」

舞風「明日が楽しみによね〜♪」

 

秋雲「あ〜、捗るわ〜」サラサラ

野分「秋雲はまたスケッチ?」

磯風「今度は何を描いてるんだ?」

萩風「あ、みんなが準備してるところを描いてるんだ!」

嵐「へぇ〜、こういう絵もいいもんだなぁ〜」

浜風「写真で残すのとはまた違った趣きがあります」

 

雪風(去年の七夕のお願い、雪風叶っちゃいました♪)

 

 

 去年の七夕・雪風の願い事

 

 『艦隊のみんな

  姉妹のみんな

  全員がまた七夕を迎えられますように!』

 

 

雪風「えへへ♪」

陽炎「何よ雪風、一人でニコニコしちゃって♪」

雪風「秘密です」ニパー

不知火「気になりますね」コチョコチョ

雪風「ひゃわ〜!」

黒潮「おっと! 逃さへんで〜♪」

雪風「にょわ〜!」

親潮「離してあげましょうよ」ニガワライ

姉妹『あはは♪』

 

 そして雪風は姉妹みんなからもみくちゃにされた。しかしみんなで過ごせることが、雪風にとってこの上ない幸せに満ちた時間なのであったーー。




雪風ちゃんのお話と七夕前日の準備風景を書き上げました!

因みに大戦時、この日は長月が大破し放棄された日でもあります。

1943年の7月5日、南東方面艦隊司令長官草鹿任一中将は増援部隊全力によるコロンバンガラ島輸送を命じ、秋山三水戦司令官は新たに陽炎型駆逐艦2隻『浜風』『谷風』と白露型駆逐艦1隻『涼風』を編制に加える。

秋山少将直率隊『新月』『涼風』『谷風』
第一次輸送隊『望月』『三日月』『浜風』
第二次輸送隊『天霧』『初雪』『長月』『皐月』
という部署であった。

同日の夕刻、第三水雷戦隊はショートランド泊地を出撃、コロンバンガラ島到着直前の23:48よりウォルデン・L・エインズワース少将率いる米艦隊(巡洋艦3、駆逐艦4)と交戦する(クラ湾夜戦)。
『新月』『涼風』『谷風』『天霧』『初雪』が砲戦魚雷戦を展開する中、『長月』『皐月』の2隻は揚陸地へ向かうも7月6日00:46に長月は座礁してしまう。
座礁地点で『長月』搭載の物資兵員を揚陸後、『皐月』による『長月』曳航を試みたが失敗。『皐月』は午前4時以降作業を中止して本来の揚陸地へ向かい、その後コロンバンガラ島を後にした。
『長月』はその日の昼間の空襲により損傷を受け、放棄されるに至った。

Wikipediaより

更にこの夜戦にて秋月型駆逐艦五番艦の『新月(にいづき)』も轟沈しています。
そしてコロンバンガラ島沖海戦へ続いていきます。

ちょっと暗い話が続きましたが、ここで明るい話題♪
この日は五月雨ちゃんの進水日です!
おめでとう、五月雨ちゃん!

本当に知れば知るほど色んな事柄が分かってきますね。
自分の勉強不足が本当に恥ずかしいです。

では後書きが長くなりましたが、これにて終わります!
今回も読んで頂き本当にありがとうございました!

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