艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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駆逐艦のみ。

キャラ崩壊、他作ネタ含みます。


艦これSS百九十三話

 

 ○○鎮守府、○三○○ーー

 

 駆逐艦寮、暁型姉妹部屋ーー

 

響「」パチッ

 

 むくり……

 

響「」チラッ

 

暁「んぅ〜……わらひはれで〜なろよ〜」Zzz

雷「しれいかんったら〜……んへへ〜」Zzz

電「なすはきらい……なのれすぅ」Zzz

 

響「」クスッ

 

響(良かった。みんな居る……夢じゃない)

 

 響は心から安堵した。何故なら姉妹がちゃんとすぐ横に居たから。

 

 本日は七月五日。そしてこの日は駆逐艦『響』がソ連(今のロシア)へ賠償艦として引き渡された日である。同日に響だけでなく橘型駆逐艦『(しい)』、松型駆逐艦『(かや)』もソ連へ同じく賠償艦として引き渡している。それは今から六十九年前の一九四七年のことである。

 

 響にとっては日本を離れた日なのだ。

 そして響は過去の夢を見た。日本を離れ、大陸の異国へと旅立つ夢を……。

 

響(もう何処にも行かない。行く必要もない。今はみんなとここに……)

 

 そして響は暁の眠る布団に静かに潜り込み、珍しく暁にくっついて再び眠りについたーー。

 

 

 ーーそして時は過ぎて朝の○七○○

 

暁「ん〜……暑い……」パチッ

 

 この日、最初に目が覚めたのは暁だった。いつもなら姉妹で一番最後に起きることの多い暁だが、今日は違った。

 今日はいつもより布団の中が暑くて目が覚めたのだ。

 

暁「〜〜」バサッ

 

響「すぅ……すぅ……」Zzz

 

暁「」

 

 暁は暑くて仕方ないため掛け布団を捲る。すると自分の布団の中でいつも自分をからかい、何かとクールな妹である響が規則正しく寝息を刻んでいたのだ。

 

暁(これは夢?)

 

 ペチペチ……←暁、響のほっぺたを叩く

 

響「んぅ……姉さん? 何だい? トイレかい?」ポケェ

暁「トイレじゃないわよ! 今は朝よ、朝!」

響「ん……朝か……起こしてくれたんだね、ありがとう」ノビー

暁「起こしてあげたって訳じゃないけど……」

響「ん? じゃあどうしたんだい?」ギューッ

暁「今日の響はおかしいわ」ギューッ

 

 それもそのはず。何故なら響が珍しく自分に甘えるように抱きついているからだ。

 しかし、そう言いつつも暁は抱きついてくる響を抱きしめ返す。おかしいことは確かだが、抱きついてくる妹が可愛くて仕方ないからだ。

 

響「今日は私がソ連……今のロシアへ旅立った日だから。だから今姉妹が揃ってることに私は心から喜んでる。ただそれだけさ」スリスリ

暁「そっか……今日は響が……」ナデナデ

響「だから、ちょっと今日は甘えん坊になるね」ゴロゴロ

暁「仕方ないわね♪ ま、響も私の大切な妹だもん。今日だけと言わずに毎日このレディな長女、暁に甘えていいのよ♪」ドヤァ

響「それは無理だ」キッパリ

暁「」グヌヌ

響「でもその気持ちは受け取るよ、Спасибо(ありがとう)」ニコッ

暁「はいはい」ナデナデ

響「〜♪」

 

「そういうことなら私が居るじゃない♪」

 

暁・響『?』クルッ

 

 声のした方に視線を移すと、そこにはいつの間にか起きていた雷が聖母のような笑みで両手を広げていた。

 

雷「暁姉なんかより、私の方がずっと甘えさせてあげるわ♪」ヘイカマン

暁「な、わっ、私がお姉ちゃんなんだから響だって私の方がいいに決まってるわよ!」

雷「普段から暁姉は甘える側でしょ? 無理しなくていいのよ♪」ニコニコ

暁「無理なんてしてないわよ!」ムキーッ

響「やめて〜、私のために争わないで〜」←棒読み

 

 /ギャースギャース\

 

電「ん〜……」ムクリ

 

電(朝なのです……今日は電がビリだったのです)クシクシ

 

響「私はこの人って決めた。だから二人の気持ちには応えられない」ギューッ

電「あ〜、響お姉ちゃんなのです〜……響お姉ちゃんに朝からぎゅ〜ってしてもらえて電は嬉しいのです」エヘヘ

 

暁「な、なんですって〜!?」

雷「末っ子に負けた!?」

 

電「んゅ〜?」←まだ寝惚けてる

 

暁・雷『』キュン

 

暁「なら私が二人一緒に甘えさせてあげるわ。長女だもん」ナデナデ

雷「ダメよ、ここは公平に二人で二人を甘えさせてあげましょ♪」ナデナデ

響(なんかとんでもないことになったな〜)←原因

電「わぁい、嬉しいのですぅ」ニパー

暁・雷『(電、恐ろしい娘!)』←褒めてる

 

 その後なんやかんやあり、電もちゃんと目が覚め、状況を理解した。

 そして姉妹はいつもよりもゆっくりと準備をして朝食を食べに食堂へ向かった。

 

 

 食堂ーー

 

暁「少し遅くなっちゃったけど、その分空いててゆっくり食べれるわね♪」

雷「たまには遅くなるのもありよね♪」

電「今日は訓練もお仕事もないので良かったのです♪」

響「食べ終わったら七夕の飾りも作らなきゃだけどね」

 

「おはよう。皆も今から朝食か?」

 

 暁達に声をかけたのは提督だった。

 

暁「あ、司令官♪ おはよう♪」

雷「おはよう、司令官♪ そうよ♪」

電「おはようございます♪ 司令官さんも今から朝食なら電達と食べませんか?」

響「おはよう、司令官。寧ろ私達と食べるべきだね」フフフ

 

提督「ならご一緒させてもらおう。今日は朝の鍛練に熱中してしまってね。いつもより少し遅くなってしまったんだ」ニガワライ

暁「熱中するのはいいけど時間は気をつけるのよ? 暁達の司令官なんだから」

雷「そうよ〜。前みたいにお迎えに行ってあげてもいいのよ?」

提督「あはは、それは悪いから遠慮するよ。気持ちだけ受け取っておく」ナデナデ

雷「仕方ないわね〜……えへへ♪」

暁(いいなぁ……)

 

提督「皆はどうして遅くなったんだ?」

電「それはですねーー」

 

 提督の質問に電は今朝のことを説明した。

 

提督「そうか。今日はそういう日だったな」

響「昔のことだけどね。それに向こうでの思い出も私は大切にしている」

提督「そうか……でもちゃんとこうして私達の前に響が居るのは幸せなことだな」ナデナデ

響「Спасибо////」テレッ

提督「そんな話を聞いたなら私も響を甘やかしてあげるとしよう♪」

響「え」

暁・雷・電『』←劇画調

 

提督「さ、私の膝の上へ座りなさい」オヒザポンポン

響「Хорошо(素晴らしい)」チョコン

提督「何から食べたい?」

響「コッペパンを要求する!」キラキラ

提督「ほいきた♪」つコッペパン

響「これはいいものだな……」キラキラ

 

暁(まぁ、今日は何も言わないであげるわ。お姉ちゃんだから!)

雷(私も司令官と響姉のお世話したいなぁ〜)

電(電も食べさせてもらいたいのですぅ〜)

 

 こうして響は提督に甘やかされ、暁達姉妹からも大切にされ、今日という日を幸せいっぱいに過ごしたーー。




という訳で今回は響ちゃんメインで書き上げました!

因みに駆逐艦の響、椎、榧がロシアに引き渡された1947年7月5日の同日には榧の姉妹艦、(けやき)がアメリカへ賠償艦として引き渡されています。

という豆知識?を踏まえつつこれで終わりにします♪
此度も読んで頂き本当にありがとうございました!

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