艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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駆逐艦のみ。

キャラ崩壊、独自設定含みます。

いつもより長めです。


艦これSS百九十一話

 

 ○○鎮守府、一一○○ーー

 

 執務室ーー

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

 ガチャーー

 

朝潮「失礼します! 駆逐艦、朝潮! 只今参上致しました!」ケイレイ

 

提督「ん、わざわざありがとうな、朝潮」ナデナデ

朝潮「は、はい////」ァゥ

提督「本日朝潮を呼んだのは他でもない……大潮、資料を」

朝潮「」キンチョウ

 

大潮(本日秘書艦)「司令官、これがその書類です!」

提督「ありがとう……うむ、確かに」

 

朝潮「」ドキドキ

大潮「」ニコニコ

 

提督「朝潮型一番艦、朝潮。これから工廠にて改二及び丁への改造を行う」

朝潮「え……この朝潮が改二丁へ……?」

提督「あぁ、大本営から先日発表された。朝潮なら練度も十分だしな。大本営からもすぐに許可書を貰えたよ」

朝潮「私が改二丁……」

提督「と言っても最終決定権は朝潮にある。無理にとは言わん。どうする?」

朝潮「……これまでよりももっと司令官のお役に立てるのなら、是非改二丁への改造を希望します!」

提督「そうか……私は本当に良い部下に恵まれた」ナデナデ

朝潮「あ……きょ、恐縮です////」エヘヘ

大潮「では早速工廠へ連絡しますね!」フンス

 

 そう言いながら大潮は既に工廠へ連絡を取る。

 

提督「あぁ、よろしく頼む。では朝潮、共に工廠へ向かおう」テサシダシ

朝潮「はい!」ギュッ

 

提督「」チラッ

大潮「♪」ピース

提督「」ニカッ

 

朝潮「司令官?」

提督「あぁ、悪い。さぁ行こう」

朝潮「はい♪」ルンルン

 

 パタンーー

 

大潮「」フフン

 

 ガサゴソ……

 

大潮「こちらコード(オー)朝潮(ターゲット)は司令官と共に工廠へ向かった。そちらの準備はどうか?」

 

荒潮『こちらコードAR(アラー)。お料理の準備はバッチリよ♪』

 

満潮『こちら満潮。部屋の飾り付けはもう既に終えたわ』

 

大潮「ミッチー! 何で教えたコードネーム使わないの!? もっと心を熱く! 思考はクールに! 朝潮の改造記念なんだよ!?」

 

満潮『嫌よ。大体、どうして私のコードネームがコードMT(ミッチー)なのよ! ふざけんじゃないわよ!』

 

荒潮『ならミッチーじゃなくでミッチャンが良かった?』クスクス

 

満潮『荒潮、後で覚えときなさいよ』ワナワナ

 

大潮「とにかく! お昼には朝潮を連れて行きますからね! 慢心せず!」

 

満・荒『了解』

 

 プツン……

 

大潮「さて、では大潮も早く書類整理してお迎えに行きますか!」セッセッセッセッ

 

 

 その頃、駆逐艦寮ではーー

 

 駆逐艦寮、共同厨房ーー

 

荒潮「朝雲ちゃ〜ん、このサラダお部屋に持っていって〜!」

朝雲「分かったわ♪」

 

山雲「荒潮姉ぇ、間宮さんからケーキ受け取って来たわよ〜♪」

霰「冷蔵庫に入れとく? それとももうお部屋に持ってく?」

荒潮「ん〜……大潮ちゃんから連絡があってからにしましょうか。一旦冷蔵庫に入れて、二人は他のお皿持って行って♪」

山・霰『了解♪』

 

 

 駆逐艦、朝潮・大潮・満潮・荒潮の部屋ーー

 

満潮「座布団よし、飾り付けもよし!」

霞「ねぇ、テーブルはもう少し窓際に持ってかない?」

満潮「それもそうね。今日は晴れてるし」

霞「んじゃ、端持って」

満潮「分かった」

 

 よいしょ……こらしょ……

 

満潮「あとは料理を運んでくればいいわね」

霞「ねぇ、司令官も来るんだから、司令官は座布団より座椅子がいいんじゃない?」

満潮「それもそうね。なら私が倉庫に取りに行くから、霞はーー」

霞「座椅子の場所を空けとけばいいんでしょ?」ニコッ

満潮「……えぇ、お願い」ニコッ

 

 朝潮の改造を祝うため、姉妹達はパーティの準備を進めていった。

 

 

 工廠内・改修&改造室前ーー

 

 ピピピッ、ピピピッーー

 

提督「私だ」

 

大潮『大潮です! 司令官、朝潮はまだ改造室から出てきてませんよね!?』

 

提督「あぁ、まだだ」

 

大潮『分かりました! では書類整理が終わったので大潮も現場へ向かいます!』

 

提督「あぁ、分かった。書類整理ありがとう。気をつけてな」

 

大潮『は〜い!』

 

 プツン……

 

 私が大潮との連絡を終えるのと同じくらいに、改造室から工廠妖精さん達が顔を見せた。

 

提督「おぉ、みんな。改造は終わったのか?」

 

工廠妖精β「問題なく終えました!」

工廠妖精γ「またいい仕事をしてしまった……」

工廠妖精α「朝潮さん、どうぞこちらへ!」

 

 ザッ……

 

朝潮「駆逐艦としては、かなり良い仕上がりです、司令官! これならこれまで以上の戦果をあげられます!」

 

提督「おぉ〜!」

 

 改造室から出てきた朝潮はまさに『素晴らしい』の一言に尽きる仕上がりだった。

 

 制服は大潮、霞と同じく朝潮型改二標準のジャンパースカート。

 更に丁への改装によりボレロを羽織り、これまでのオーバーニーソックスから黒のストッキングへ変わった。背負っている機関も霞の改二乙と同じく肩紐が赤く変わる。

 

提督「? 朝潮、ちょっといいかな?」

朝潮「はい、何でしょうか?」

提督「そのリボンタイは結ばないのか?」

朝潮「あ、これですか?」

 

 そう朝潮はリボンタイを結んでいなかった。

 些細なことかもしれないが気になった私は朝潮にそのことを訊いた。

 

朝潮「あの……司令官に、お願いがあるんです!」

 

 朝潮は緊張した様子で私の前に歩み寄る。

 

朝潮「最初のリボンタイは司令官に結んで欲しいんです!」

提督「……理由を聞いてもいいかな?」

朝潮「これは私のワガママなのですが、私個人のおまじないなんです」

提督「おまじない?」

 

朝潮「はい……私がこれまで頑張って来れたのは司令官のお陰です! 司令官が私の司令官でなければ私は……朝潮はここまで来れなかったと思います!」

 

朝潮「そんな司令官により一層の忠誠を誓います! なので今の気持ちを忘れないよう、リボンタイを結ぶ度に思い出すよう、司令官のその手で私の想いを結んで欲しいんです」

 

提督「朝潮……」

朝潮「だめ……でしょうか?」

提督「駄目なものか……記念すべき一回目、しっかりと結ばせてもらう」

朝潮「はい!」ニパー

 

 朝潮らしいおまじないだと私は思った。でもそれでこそ朝潮だとも思えた。

 私は朝潮の前に片膝を突き、『この笑顔を守る』と誓いながら、ゆっくりと朝潮のリボンタイを丁寧に結んだ。

 

提督「出来た……どうだ、苦しくはないか?」

朝潮「////」ポー

提督「朝潮?」

朝潮「はっ……すみません、司令官がとても優しく丁寧に結んでくれたので見惚れてしまいました!////」

提督「大袈裟な奴だ」ナデナデ

朝潮「あ……あぅ////」

提督「さぁ、お迎えも来たぞ」ニッ

朝潮「え?」

 

 バターーン!

 

妖精ズ『』ギョッ

朝潮「」ビクッ

 

大潮「駆逐艦、大潮! 只今見参!」

提督「タイミングピッタリだな」フフ

大潮「うわ〜、朝潮! 改二丁! おめでとう!」ブンブン

朝潮「あわわ、大潮〜! そんなに揺らさないで〜!」グワングワン

大潮「えへへ♪ では、行きましょう!」ガツッ

朝潮「え?」

提督「行こうか」ガツッ

朝潮「司令官まで!?」

 

 こうして私と大潮は妖精さん達へお礼を言った後で、朝潮を連れて目的地へ向かった。

 

 

 駆逐艦、朝潮・大潮・満潮・荒潮の部屋ーー

 

朝潮「こ、これは……」

 

 部屋に入るとテーブルに所狭しと並べられた料理と『朝潮改二丁・おめでとう!』と大きく書かれた模造紙が飾られていた。

 

大潮「みんなでこの日のために用意したんですよ♪」

荒潮「提督からもカンパしてもらってね♪」

満潮「おめでとう、朝潮」ニコッ

朝雲「改二丁、おめでとう♪」パチパチ

山雲「なんだか〜、親潮ちゃんみたいになったわね〜」クスクス

霰「暁が見たら悲鳴あげちゃうかも……」

霞「流石はネームシップね♪ いいじゃない♪」パチパチ

 

朝潮「みんな……司令官……本当に……ぐすっ……私……私ぃ……」エグエグ

荒潮「ほらほら泣かないの♪」ヨシヨシ

満潮「主役が泣いてんじゃないわよ。まったく」ナミダメ

大潮「ほら、パーティを始めましょう♪」

提督「さぁ、朝潮」ニコッ

朝潮「っ……はい! みんな本当にありがとう!」ナキワライ

 

 こうして朝潮改二丁への改造を祝うパーティをし、夕方には食堂で朝潮はみんなから祝福の言葉をもらい、ちょっとした宴会のような夕飯になったーー。




 
 おまけーー

 ○○鎮守府、一九○○過ぎーー

 お風呂場の脱衣所にてーー

朝潮「…………」プルプル
大潮「朝潮〜、どうしてリボンタイだけ外さないんですか〜?」
荒潮「リボンタイを解かずに服を脱ぐなんて器用ね〜」クスクス
満潮「いい加減に早く解きなさいよ」アキレ

朝潮「で、でも、このリボンタイは司令官が私のために結んでくてたもので……」ガタガタ
朝雲「それを解いたからって姉さんの忠誠心が消えるわけじゃないんだから大丈夫よ」ニガワライ
山雲「それに〜、それくらいで消えちゃうような忠誠心じゃないわよね〜?」

朝潮「も、勿論です! この朝潮、どんなことがあっても司令官へ忠誠心は揺るぎません!」
霰「なら大丈夫」ンチャ
霞「そこまで言い切れるなら早く解いてお風呂入りましょうよ。時間無くなるわよ」

朝潮「うぅ……でも……せっかく司令官が結んでくてたのに……」ガクブル
妹ズ『』ニガワライ

 その後、痺れを切らした満潮と霞の手によって、朝潮のリボンタイは解かれた。

 朝潮も一度解かれてしまえば、何の問題も無くいつも通り過ごせた。

 そして何ら変わりない朝潮に妹達は揃ってまた苦笑いを浮かべるのであった。

 そんなこんなで朝潮達はお風呂にゆっくりと浸かり、明日へ備えて英気を養うのであったーー。

 ーーーーーー

という訳で、朝潮ちゃんの改二丁へのお話でした!
いやぁ、朝潮ちゃんの改二丁、かなりいいですね! ちょっと大人っぽくなって、でも駆逐艦らしいさも残る。本当に素晴らしい改二となりました!
しかしアームカバー(腕のやつ)が無くなったのは個人的にちょっと残念です……。

おまけはちょっと思い付いたので後書きに付け足しました♪

では今回も読んで頂き本当にありがとうございました!

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