艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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提督から幸せを貰い隊の艦娘達。

独断と偏見があります。

ブラックコーヒーの準備をお願いします。


艦これSS十八話

 ○○鎮守府、一五○○ーー

 

 第四会議室ーー

 

大鳳「皆さん集まりましたね?」

 

 そう言って周りを見渡すのは、大鳳型一番艦、装甲空母の大鳳。

 鎮守府で唯一の装甲空母だが、不運にも駆逐艦の娘とよく間違えられその都度説明するのが嫌になっている。

 

山城「では、点呼しますか。隊員はナンバーと自分の名前を言って」

 

深雪「隊員No.3。深雪」

飛鷹「隊員No.4。飛鷹」

陸奥「隊員No.5。陸奥」

最上「隊員No.6。最上」

雲龍「隊員No.7。雲龍」

天城「隊員No.8。天城」

 

 深雪、吹雪型駆逐艦の四番艦で四女。

 駆逐艦仲間の電とは軍艦の時も今もぶつかる事が時たまあり、本人はその都度入渠している。(電は無傷)それ故、姉妹や他の艦娘達から常々「不憫」と言われている。

 

 雲龍は最近着任した雲龍型正規空母一番艦の長女。

 長女故、基本的には真面目。だがオフの日はのんびりすることが好きで、良く鎮守府屋上で多摩とお昼寝している。

 

 天城も同じく最近着任した雲龍型正規空母二番艦の次女。

 姉の雲龍と同じく真面目だが、どこかおっとりとした性格で、提督を深く慕って居るがあまり好機が訪れない。

 

 因みに隊員No.1(隊長)が大鳳。隊員No.2(副隊長)は山城である。

 

大鳳「全員居るわね。じゃあ『提督から幸せを貰い隊』の報告会を始めます!」

 

『提督から幸せを貰い隊』

 それは軍艦だった頃の不運を艦娘に生まれ変わっても受け継ぎ、未だに日々起こる大小の不幸を互いに支え合い乗り越え、提督と共に歩んで行こうと結成した隊である。

 

 彼女達の中で提督は生きる希望と自分に幸せを与えてくれる運命の人だと強く感じている。

 

 他の会や隊と同様、最終規約を守りつつ(七話、十二話参照)、彼女達は今日も報告会(提督と触れ合った一時ののろけ)をするのだ。

 

山城「では、副隊長である私から……一昨日の訓練でのことなんだけどーー」

 

 ◆回想◆

 

 訓練中ーー

 

山城「ほら、貴女達! そんなんじゃ敵戦艦は沈められないわよ! もっと正確に当てていきなさい!」

 

 すると、他の駆逐艦の娘が別の訓練で外した練習用魚雷が山城に命中し、艤装がお釈迦になった。

 

駆逐艦ズ『魚雷で戦艦を沈められるようになるまで頑張ります!』キラキラ

 

 ◇現在◇

 

山城「ーーと言った感じにやる気は出たんだけど、不幸だったわ……」ハァ

深雪「見てたよそれ。あれはちょっと……な」

陸奥「分かるわ。私も訓練に付き合った時に流れ弾が嫌な所に当たって艤装が燃えちゃったもの……」

山城「でもね、提督にその事を報告をしたらーー」

 

 ◆回想◆

 

 執務室ーー

 

山城「ーーと言う理由で艤装を駄目にしてしまいました。申し訳ございません」フカブカ

提督「そうか……艤装が壊れただけで、山城に怪我は無いんだな?」

山城「は、はい。私は幸いにも無傷です」

提督「……なら良かった。艤装は新しく開発すれば良いが、私の知る山城は君だけだからね。山城に何も無いのであれば私はそれで良い……それで良いんだ」ナデナデ

山城「……提督////」ウルウル

提督「さぁ、涙を拭きなさい。早速、工廠で君の艤装を開発しよう」ニコ

山城「は、はい! お伴します! ありがとうございます、提督!」ニコ

提督「そうそう。私は笑っている山城が一番好きだな」ニコニコ

山城「もう、提督ったら……////」テレッ

 

 ◇現在◇

 

山城「ーーと言って、私の手を引いてくれたの////」テレテレ

雲龍「羨ましいわ……でも流石は提督ね。聞いてるこっちまで幸せになるわ」ニコ

天城「はい……こう胸がぽかぽかとするお話です」ホワァ

飛鷹「そうね……自分のことのように幸せになれるわ」ニコニコ

 

最上「じゃあ、次はボクが話すね。昨日のことなんだけどーー」

 

 ◆回想◆

 

 埠頭ーー

 

最上「いったたた~……」ボロッ

三隈「もがみん、ごめんなさい……帰還できて気が緩んでしまって……」ナミダメ

最上「いや、避けきれなかったボクも悪かったから……」ニコ

三隈「はい……」シュン

提督「久しぶりに派手にやったようだな……」ウデクミ

三隈「て、提督! 申し訳ございません! 私が……三隈が至らぬせいで……!」フカブカ

最上「提督、ボクも悪かったんだ……だから三隈を叱らないで」

 

提督「反省はしているな?」

三隈「勿論です!」

提督「ならば良い。三隈、皆と先にドックへ行きなさい。それから妖精さん達にこのことを知らせて、入渠の準備をさせておいてくれ。最上は私が運ぶ」

三隈「はい、分かりました! 皆さん、ドックに行きますよ~!」

 

\ゾロゾロ/

 

提督「艤装は妖精さん達に任せるとして……その前に」ファサ

最上「提督の上着……? よ、汚れちゃうよ!」アセアセ

提督「軍服の一枚や二枚気にするな。今は自分のことを気にしなさい。では失礼するよ」ダキヨセ

最上「てててて、提督!? 恥ずかしいよっ////」カオマッカ

提督「これが一番運びやすいんだ。女の子なんだから大人しく運ばれなさい」マガオ

 

最上「だからってお姫さま抱っこだなんて……」ボソッ

提督「何か言ったか?」

最上「う、ううん」ブンブン

提督「じゃあ、ちゃんと捕まってなさい」ニコ

最上「う、うん////」キュッ

 

 ◇現在◇

 

最上「ーーなんてことがあったんだ~////」テレテレ

大鳳「とても幸せで良い話だわ~////」ポッ

陸奥「お姫さま抱っこってのが良いわよね!」

天城「羨ましいです……////」ポワーン

深雪「上着を掛けるものグッと来るよな!」

飛鷹「甘い一ページね~。お酒が欲しくなるわ」ニコニコ

山城「やっぱり提督は私達に必要な人ね////」ポッ

 

雲龍「次は私ね……。あれは私が日課のお昼寝をしている時だったわーー」

 

 ◆回想◆

 

 中庭ーー

 

雲龍「…………」スヤァ

 

 シャッシャッーー

 

雲龍「……ん? 髪に何か……?」

野良猫「にゃっ、にゃっ」シャシャッ

雲龍「これは猫じゃらしじゃないの……髪が傷んじゃうから、止めて……ね?」ニコ

野良猫「にゃ!」ズシャッ

雲龍「痛っ」

 

 タタタタタッ

 

雲龍「……去り際に思いっきり髪を引っ掻くなんて……」ナミダメ

提督「どうした雲龍……涙目じゃないか」スッ

雲龍「あ、提督……お昼寝してたら髪を猫にやられちゃって……」

  (こんな所を提督に見られた……!)ズーン

 

提督「ならば私がすいてやろう。丁度休憩でここに来たし、赤城達の髪をよくすいてやっているからな。腕は確かだぞ?」スチャつ櫛

雲龍「…………お願いします」スッ

 

提督「雲龍の髪は綺麗だな」スーッスーッ

雲龍「私は癖毛で白髪よ? 赤城さんや翔鶴さんみたいな黒髪や銀髪を綺麗だと言うんじゃないの……?」

提督「そうかな? こんなにふわりとしていて優しい髪質なんだがな」シミジミ

雲龍「……物は言い様ね」

提督「世辞ではないからな。雲龍もたまには天城のように髪をそのままにしても良いんじゃないか?」

 

雲龍「私の普段の髪型は嫌い?」ムスッ

提督「嫌いではない。可愛いと思う……でも今の三つ編みを解いた雲龍は綺麗だと思ってな。たまにはそんな雲龍も見たいと思ったんだ」ニコニコ

 

雲龍「……口説き上手なんだから」フフ

提督「私なんかで口説かれるようなら雲龍はお手頃だな」ハハ

雲龍「提督にしかなびかないわよ」フン

提督「それは嬉しいな……さ、出来たぞ」アタマポンポン

雲龍「気持ち良かったわ。またお願いしても?」

提督「あぁ、いつでも来なさい」ニコ

雲龍「そんな事言うと毎日行くかもしれないわよ?」ニコ

提督「任せたまえ」ニッ

 

 ◇現在◇

 

雲龍「それから毎日ではないけど、よく提督に髪をすいてもらっているわ」ニコ

天城「穏やかでそれでいて優しい一時ですね……雲龍姉様!」キラキラ

山城「髪が長いとそういうオプションが……」フムフム

大鳳「伸ばそうかな……」クイクイ

飛鷹「短くても頼めばすいてくれるみたいよ? 龍田や能代とかも良くお願いしてるみたい」

陸奥「これは良いことを聞いたわ♪」グッ

深雪「今度お願いしてみよ♪」ニヘヘ

最上「ボ、ボクもお願いしてみようかな////」モジモジ

 

 それからも提督から幸せを貰い隊の報告会は続いていき、こうして幸薄い乙女達は本日も互いに精一杯励まし合い(のろけ合い)ながら、明日からも頑張るのであったーー。




史実を含めれば不幸艦は扶桑、如月、満潮、曙なども入ってきますが、個人的にどの娘も不幸そうには見えないんですよね……。

扶桑は「空はあんなに青いのに」とは発言はしますが『不幸』と言った台詞はないんですよね。
なので入れませんでした!

読んでくれて本当にありがとうございました!

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