艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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海外艦メイン。

キャラ崩壊含みます。

ちょい長めです。


艦これSS百六十五話

 

 ○○鎮守府、一一○○ーー

 

 執務室ーー

 

 我が艦隊は今発令している春の大規模作戦を一時休止し後半戦へ向け、枯渇した資材の調達を優先し通常任務に切り替えていた。

 

 我が艦隊はこれまでの作戦でようやく南方ラバウル基地戦域……俗に言うE-5までの攻略に成功。それに伴い我が艦隊にまた一人の艦娘が着任する。

 

 そこで私はプリンツとザラにその話をするため二人を執務へ来るように呼び出していた。

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

 ガチャーー

 

プリンツ「失礼します」

ザラ「失礼します!」

 

提督「よく来てくれた。早速本題に入る。そこのソファーへ掛けなさい」

 

プ・ザ『はい』

 

 私の言葉に素直に従い、プリンツとザラはソファーへ腰掛けた。

 そして私は二人の正面にあるソファーに座り、口を開いた。

 

提督「ザラ」

ザラ「は、はい!」

提督「先日の南方ラバウル基地戦域での作戦成功で君の姉妹艦であるポーラの着任許可を得た」

ザラ「え」

プリンツ「わぁ! やったね、ザラちゃん!」

ザラ「えっと……本当、ですか?」

提督「ははは、本当だ。その証拠にほら、ここに着任許可が記された書類がある」つ書類

 

ザラ「イタリア艦、重巡洋艦、ザラ級三番艦ポーラの着任を許可す……っ……ポーラが……」ポロポロ

プリンツ「良かったね、ザラちゃん」ヨシヨシ

ザラ「うん!」クシクシ

提督「着任は他の新着任艦の者達と同じで、今作戦が終わり次第各鎮守府へ配属される。二人にはそれまでに今居る寮室の整理を頼みたい。ポーラもその部屋に入室させる予定だからな」

プリンツ「了解しました!」

ザラ「了解、です!」グスッ

 

提督「おめでとう、ザラ」ナデナデ

ザラ「はい……提督、Grazie!」ニコッ

提督「みんなが力を合わせた結果だ。お礼ならばみんなに言いなさい」ニカッ

ザラ「はい……えへへ」ニコニコ

プリンツ「」ニコニコ

 

提督「では私の話は以上だ。二人は下がって、寮室の整理にあたってくれ」

プ・ザ『は!』ケイレイ

 

 パタンーー

 

提督「また、新しい仲間が増えるな……良い事だ」

 

 私は二人を見送った後に、二人が消えたドアに向かいそう呟くのだった。

 

 

 重巡洋艦寮、プリンツ&ザラ部屋ーー

 

ザラ「〜♪」

プリンツ「ご機嫌だね、ザラちゃん♪」

ザラ「だってポーラが来るんだもん!」キラキラ

プリンツ「」フフ

 

ザラ「……でも少しだけ心配なことがあるんだよね〜」

プリンツ「心配なこと?」

ザラ「うん、あれ……」ユビサシ

プリンツ「?」

 

 ザラが指を指したその先にはプリンツとザラが使っている木組みのワインラック(九本用)があった。

 

プリンツ「あれがどうかしたの?」

ザラ「え〜っと……あはは〜」

プリンツ「???」

 

 歯切れ悪く苦笑いを浮かべるザラ、その反応にプリンツはますます首を傾げる。

 

ザラ「……着任したら一緒に住むことになるから、先に言っとくね」

プリンツ「うん……」

ザラ「ポーラは……」

プリンツ「」

ザラ「ワイン大好きなの……」

プリンツ「え」

 

 プリンツは拍子抜けした。何故ならワイン大好きな艦娘はイタリア、ローマを筆頭に他にも沢山居るからである。

 

ザラ「あ〜、言い方が悪かったかな。えっとね……ポーラはワイン大好きなんだけどーー」

 

 バーーン!

 

プ・ザ『』ビクッ

 

 ザラが話をしている最中、突如部屋のドアが豪快に開いた。

 

 そしてそのドアを開けた者は……

 

足柄「酒好きと聞いて!」

 

 飢えた狼こと足柄であった。

 

那智「失礼にも程があるだろう」ペシッ

足柄「うにゃ!」

 

 そしてその後ろから足柄の姉である那智が呆れ気味で足柄の頭を叩いた。

 

那智「うちの足柄がいきなりすまんな」

ザラ「いえいえ!」

プリンツ「私達は少し驚いただけですから!」

那智「そう言ってもらえると助かる……ほら、お前も頭を下げろ」グイッ

足柄「す、すみませんでした」グググー

 

プリンツ「それで……お二人は私達に何か御用でしょうか?」

那智「用というものではない。今お前達の部屋の前を通り掛かってな……その時話し声がたまたま耳に入ったんだ」

足柄「ワイン大好きがどうのって言ってたでしょう? だから気になって!」テヘッ

ザラ「あぁ、そういうことですか」

足柄「で、誰がワイン大好きなの!?」ワクワク

那智「落ち着け馬鹿者!」ゴチンッ

足柄「うにゃにゃ〜!」

プリンツ「あはは……と、取り敢えず中へどうぞ♪ 今珈琲をお出ししますので」ニコッ

那智「重ね重ねすまない」ペコリ

 

 那智、足柄を部屋へ通し、プリンツは二人の為に珈琲を淹れ、その間にザラは二人に今度着任する艦娘の中に自分の姉妹艦であるポーラが居ることを説明した。

 

ザラ「ーーという訳でして」

那智「ほぅ……ザラの妹が着任するのか。それはめでたいな」

足柄「それでイタリア艦らしく、ワイン大好きっ娘な訳ね♪」

ザラ「まぁ……はい」ニガワライ

 

プリンツ「お待たせしました〜、どうぞ……ミルクとお砂糖はこちらに♪」

那智「あぁ、すまない」

足柄「私はブラックのままでいいわ、ありがと♪」

ザラ「私の分までありがとう」ニコッ

プリンツ「いえいえ♪」

 

 そしてみんなでプリンツの淹れた珈琲を飲んだところでザラが口を開いた。

 

ザラ「遅かれ早かれバレてしまうと思うので、那智さん達にも教えますね」

那智「?」

足柄「何かしら?」

プリンツ「」

 

ザラ「ザラの妹、ポーラは酔うと脱ぐ癖があるんです」

那智「ほぅ……」

足柄「あら……」

プリンツ「だからワインラックのこと気にしてたんだね……」

 

那智「まぁ身内にそういう者が居ると心配になるよな。凄く分かるぞ」ウンウン

ザラ「分かってくれますか!?」

那智「もちろんだ……足柄(こやつ)がそうだからな」

足柄「」メソラシ

プリンツ「意外ですね……今までそんな素振り見せなかったのに……」

那智「みんなの前では流石に脱がん。だが、自室で飲むと基本脱ぐな」

足柄「い、いいじゃない、別に……」

那智「まぁな。その都度お前が姉さんからキツい説教を受けるだけだからな」

足柄「」グヌヌ

 

ザラ「ポーラはどこでも脱ぎます……」ハァ

那智「それは……参ったな」ニガワライ

ザラ「なのでどうしようかと……」

プリンツ「ん〜……お部屋限定で飲ませるとか?」

那智「それが妥当だな。部屋で飲む分には構わんが、他所で飲んで脱いだりしたら大変だからな」

ザラ「そうなりますよね〜」ハァ

 

足柄「そんなに深刻にならないでいいじゃない? 今は妹が着任するってだけで良しとしましょうよ♪」

ザラ「足柄さん……」

那智「足柄の言う通りだな。着任してから対応策を考えればいいさ。乗りかかった船だ、私達も知恵を貸すぞ」ニッ

ザラ「那智さん……はい、そうします!」ニパッ

足柄「うんうん! じゃあ前祝いで今夜は私の奢りで鳳翔さんとこに行くわよ〜!」

那智「それは有り難いな」

足柄「え、那智姉さんの分も奢るの!?」

那智「日頃の迷惑料だと思え」ニコッ

足柄「アッハイ……」

 

プリンツ「着任が待ち遠しいね、ザラちゃん♪」

ザラ「うん!」ニコッ

 

 そしてその後、那智達もプリンツ達の部屋の整理を手伝い、そのまま鳳翔の店へと向かい、平和な一日を過ごしたーー

 

ーー足柄の財布が中破したことを除いて。




今回はポーラちゃん着任に伴うザラちゃんの心境をメインに書き上げました!

読んで頂き本当にありがとうございました!

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