艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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正規空母メイン。

キャラ崩壊含みます。


艦これSS百四十八話

 

 ○○鎮守府、一五三○ーー

 

 執務室ーー

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

 ガチャーー

 

翔鶴(本日秘書艦)「只今戻りました。提督、大淀さんから次の任務発令書をもらって参りました。ご確認お願い致します」つ発令書

提督「あぁ、ありがとう。すまないな、おやつ休憩時間を過ぎてまで働いてもらって」

翔鶴「いえいえ、これもお仕事ですから。それにおやつは逃げませんから」ニコッ

提督「そうか……ありがとう。翔鶴にはいつも気を遣わせて悪いな」ニガワライ

翔鶴「むぅ、私のさっきの言葉はお気遣いなんかじゃありませんよ? 本当にそう思ってるんですから」

提督「はは、本当にありがとう。翔鶴」ニカッ

翔鶴「はい♪」ニパッ

 

 それからも私と翔鶴は仕事を続け、仕事が一段落した時には、時計の針は一六○○を指していた。

 

提督「ん〜、やっと一段落だな」ノビー

翔鶴「お疲れ様です。お茶を淹れて参りますね」ニコリ

提督「あぁ、頼む」

翔鶴「はい♪」

 

 明るく返事を返した翔鶴は軽やかな足取りで給湯室に行き、すぐに二つの湯のみをお盆に乗せて戻って来た。

 

翔鶴「どうぞ」つお茶

提督「ありがとう」ウケトリ

 

提督「緑茶はホッとするな」ズズズ

翔鶴「そうですね♪」

提督「」ウズウズ

翔鶴「ふふ、私は気にしないのでどうぞ、お吸いになられてください」クスクス

提督「心遣い感謝する……」

 

 私は翔鶴の心遣いに礼を述べ、席を立ち、近くの窓際へ移動した。

 

 カラカラーー

 

提督「おぉ……」

 

 窓を開けると穏やかな春風に乗り、本館の花壇に植えてある沈丁花(じんちょうげ)の香りが執務室に流れてきた。

 

翔鶴「良い香りですね」

提督「そうだな……まさに春だ」

 

 翔鶴の感嘆の言葉に私はそう相づちを返しつつ、一本の煙草をくわえ火をつけた。

 

 カチッ……ジュッ……カチンーー

 

提督「すぅ……ふぅ……」

 

 煙草の煙を肺に少し留め、ゆっくりと窓の外へ吐く。

 煙は春風に運ばれ、春空へと舞い上がり見えなくなる。

 そして消えた煙の先に、四機程の瑞雲が舞っているのが見えた。

 

提督(また日向が瑞雲を飛ばしているのか……)スゥ

 

翔鶴(提督がおタバコを吸っている姿ってなんでこんなに魅力的なのかしら……////)ドキドキ

 

翔鶴「そ、そういえば、本館の花壇に沈丁花を選んだのは提督ですよね?」

 

提督「あぁ、私の独断で植えさせてもらった」

翔鶴「その理由をお訊きしてもいいですか?」

提督「簡単な理由だ。香りが良く美しいからだ」ニカッ

翔鶴「うふふ、本当に簡単な理由ですね」

提督「もう一つの理由は……」スゥ

翔鶴「?」

提督「もう一つの理由は沈丁花の花言葉だ」

翔鶴「花言葉……」

 

提督「そう『栄光』・『不死』・『不滅』・『永遠』だ。『歓楽』という花言葉もあるがな」フフ

 

 私はそう言いつつ、煙草の火を灰皿で消した。

 

翔鶴「『栄光』・『不死』・『不滅』・『永遠』……」

提督「我々はこの海の平和を取り戻す使命がある……しかしそれは常に死と隣り合わせだ。私は誰一人として欠けることなくこの海を平和にしたいと常々思っている。そして平和になった海でみんなと笑い合って過ごしていく未来を私は望んでいる……私の考えにぴったりな花だと思わないか?」

翔鶴「はい……すごくぴったりだと思います////」キュンキュン

提督「ふふ、そうだろう? だから沈丁花を植えたんだ……花言葉に肖る訳ではないが、この気持ちを無くすことなくいられるようにな……」

 

 すると翔鶴が私の側まで歩を進め、私のすぐ隣に立ち、ゆっくりと口を開いた。

 

翔鶴「私は……私達は誰も沈みません。提督とあの暁の水平線に本当の勝利を刻むその日まで」ニッコリ

提督「ふふ、良い笑顔だ……その笑顔を曇らせないよう、頑張るぞ」ナデナデ

翔鶴「はい!」キラヅケカンリョウ

 

「二人して何してるのかしら〜?」

 

提督「?」クルリ

翔鶴「」ビクッ

 

 声のした方を向くと、そこには満面の笑みの瑞鶴が胸の前で腕を組んで仁王立ちしていた。

 心無しかこめかみがピクピクと動いているように見える。

 

提督「おぉ、瑞鶴。入って来ていたのだな」

瑞鶴「えぇ、ノックしても返事が無かったから」ニコニコ

提督「それはすまん……話に夢中で気づかなんだ。許してほしい」

瑞鶴「えぇ、許してあげるわよ〜。何だか悪いわね〜。いい雰囲気を私が壊しちゃったみたいで〜」ニコニコ

翔鶴「ず、瑞鶴違うの! これは抜け駆けとかじゃなくて……!」

提督「なぁに、ただ沈丁花の話をしていただけだ。気にするな」ナデナデ

  (抜け駆け……?)

 

瑞鶴「……私には仲良く窓際で寄り添う夫婦にしか見えなかったわ」フンッ

翔鶴「そ、そんな……////」

提督「翔鶴が困っているだろう? そう言うな」ナデナデ

瑞鶴「まぁ何でもないならいいわ」

  (頭も撫でてもらえたし♪)

 

提督「それで瑞鶴は何故執務室へ? 何かあったのか?」

瑞鶴「あ、そうよ! 翔鶴姉! 今日は一緒におやつ食べようって言ってたじゃない! 私ずっと待ってたのに!」

翔鶴「あ、ご、ごめんね、瑞鶴……」←忘れてた

瑞鶴「無理なら無理で連絡してよね……」モォ

提督「今回は私の仕事が長引いたのが原因だ。すまない」フカブカ

翔鶴「て、提督! 頭を上げてください! 忘れてた私が悪いんです!」

瑞鶴「ほほぅ……私との約束を忘れて翔鶴姉は提督さんとああ(イチャイチャ)してたと……」ジトーッ

翔鶴「ご、ごめんなさい」フカブカ

瑞鶴「……もういいわよ。それより今は休憩なのよね?」

提督「その通りだ」

 

瑞鶴「なら食堂行っておやつ食べましょ♪ 提督さんも一緒にね♪」ウデダキツキ

提督「あぁ、いいぞ。二人にはお詫びとしてご馳走しよう」ナデナデ

瑞鶴「さっすが提督さん♪ 話が分かる〜♪」

翔鶴「わ、私までいいんですか?」

提督「あぁ、遠慮は要らん。今回の件は私の責任だからな」ナデナデ

翔鶴「あ、ありがとうございます////」ニヘヘ

瑞鶴「……さ、早く行きましょ♪」グイッ

提督「あはは、そんなに引っ張るな」

翔鶴「待ってよ、瑞鶴〜」

 

 こうして三人は少し遅めのおやつを食べに食堂へ向かった。

 そしてそこで赤城、加賀と鉢合わせ、最終的に提督が四(?)人分のおやつをご馳走し、丸く収まったのであったーー。




今回は翔鶴さんをメインに少しだけ大人っぽい回にしました!

此度も読んで頂き本当にありがとうございました!

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