艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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栄光は誰の手に!? の段。

いつもより長めです。

※百十一話参照


艦これSS百三十一話

 

 ○○鎮守府、○九○○ーー

 

 第一会議室ーー

 

提督「ふむ……」

 

 本日は仕事の前に今月の七日に始まった『鎮守府塗り絵大会』の優秀賞を決める審査を行っていた。

 

 審査員は私を含めた、青葉、夕張、大淀、秋雲の五人で審査する。

 

 先の四名で既に第一審査、第二審査まで済ましており、ここでは最終選考が行われている。

 

青葉「さてさて、では司令官を加えたこの五名で最終審査をするわけですが、何かご質問はありますか?」

提督「一ついいか?」

青葉「はい、何でしょう?」

 

提督「恥ずかしいことに私は芸術に疎い。本当に私の基準で判定してもいいのか?」

青葉「問題ありません♪ 青葉達もただ単に「上手」だと思ったものを厳選しただけですから!」キリッ

秋雲「みんなそれぞれ感性が違うからね〜。ここは純粋に心に響くものを選ぶのが一番だよ」

大淀「そうですね。特に今回はこれといったテーマもありませんし、そもそも艦隊の皆さんが楽しめるようにと企画した催し物なので、審査も楽しんで、簡単で良いかと思います。はい」ニコッ

夕張「でも本当にここから一つ選ぶのは大変よ〜。どれも傑作揃いなんだから!」

 

提督「そうか……。良し、では難しく考えず、皆の塗り絵を楽しみながら審査しよう」ニカッ

青葉「はい♪ ではまず初級編ですが……三枚の作品が残りました!」

 

 

 初級編ーー

 

大淀「一枚目は弥生さんの塗り絵ですね」

夕張「お題はただの大きな木一本を塗るだけだけど、そこをどう塗るかが大切よね!」

秋雲「弥生のはクレヨンなんだよね〜♪」

青葉「それにただの一色だけではなく、黄緑、深緑等、様々な色を重ね塗りしているのがまた良いですよね!」

提督「ほう……よい色合いだ。クレヨンのせいか温かみのある一枚に仕上がってるな」ウンウン

 

夕張「二枚目は木曾ちゃんのね♪」

秋雲「これはこれで秋雲は好き♪ 背景描く才能あるよ♪」

大淀「敢えてただの鉛筆のみのデッサン風に仕上げてますからね」ニコッ

提督「影の具合も筆圧で上手く表現していて、これも素晴らしいな」オォー

青葉「木曾さんは「暇潰しだ」と仰ってましたが、本気が気になりますね〜」

 

秋雲「最後のは妙高さんのだよ〜! いやぁ、これは凄い! まさにピ○ソ並の表現力だよ!」

大淀「はい♪ 木と言う概念が根底から覆される一枚ですね!」

夕張「ここで大胆に赤を使うのがまた抽象的よね!」

青葉「本人は最終選考まで残るだなんて夢にも思ってないでしょうけどね」ニガワライ

提督「しかし発想は凄いな……」

 

 シンキングタイムーー。

 

青葉「では多数決の結果、優秀賞は弥生さんのに決定です!」

全員『』パチパチ

 

 

 中級編ーー

 

大淀「さぁ、どんどん行きましょう! お次は中級の海と空です♪」

 

青葉「最初は蒼龍さんの作品ですね!」

秋雲「この、海をエメラルドグリーンにして、空を薄っすらと蒼く塗ったのが評価出来るよね♪」

大淀「しかも中央、水平線に行くに連れて白くぼかしている表現力も素晴らしいですね〜」

夕張「蒼龍さんらしい優しい作品になってますよね〜♪」

提督「うむ……今にも波の音が聞こえて来そうな、そんな一枚になってるな……」

 

夕張「次は……飛龍さんの一枚ね! 私はこれ好き!」

青葉「皆さんが青く塗る中、お一人だけ夕焼け色の色合いにしてますからね!」

秋雲「それにここ! この空の塗り方! 真ん中に太陽があるかのように白、黄色、オレンジ、赤、紫ってグラデーションにしてるのがいいのよ!」

提督「まさに鎮守府から見る夕焼け色に染まる海と空だな」

大淀「そして海は流れるように塗っていますから、違和感が全く感じられないんですよね!」

 

提督「最後は三日月の作品だな……これも……素晴らしいな」シミジミ

夕張「青空、夕焼け空に来て夜空と夜の海だもんね!」

大淀「それにただ黒く塗るのではなく、青などを混ぜた本当の夜空に近い空の色を出してるのも素晴らしいです

!」

青葉「星なんかも白く表現してますからね〜」

秋雲「そんでもって、ちゃんと海にも薄っすらと星が揺らいでるように色付けしてるのがまたポイント高いんだよね♪」

 

 シンキングタイムーー。

 

大淀「では、優秀賞は三日月さんの作品に決定ですね」

全員『』パチパチ

 

 

 上級編ーー

 

夕張「次は上級編の虹の空、ね♪ これは選ぶの苦労したわ〜」

秋雲「三枚に絞るのがやっとって感じただったよね〜」

 

青葉「では早速、一枚目! リベッチオさんの作品です♪」

提督「可愛らしい良い一枚だな」ホホエマー

大淀「綺麗に七色で描かれていて、空の色も温かいんですよね〜」ホンワカ

秋雲「使ってる画材がクーピーってものいいよね〜♪ 濃過ぎず丁度いい薄さなんだよ〜♪」

夕張「人柄が出てるわよね。ほんと、リベちゃんって感じの一枚になってるわ」ニコニコ

 

秋雲「次は鳥海さんの一枚〜♪ これもまたいいんだよ〜!」

夕張「さっきとは違ってはっきりとしたビビットカラーの迫力ある絵よね!」

青葉「この色が一つ一つくっきりしてるのがまた味がありますね〜」ウンウン

提督「鳥海の性格が出ていてとても良いな」シミジミ

大淀「空の色は白を多めに使った青で、虹を際立たせていますね♪」

 

夕張「最後は扶桑さんのね♪ これは発想が飛び抜けてるのよ♪」

青葉「お一人だけ夕焼け空に浮かぶ虹にしてるんですよね。そして、空も夜空に変わる頃のグラデーション模様にしてるのも素晴らしいです!」

秋雲「『空はあんなに青いのに』って言ってるのにこれだもんね〜。いやぁ、一本取られたよ♪」

大淀「虹も虹でグラデーション模様なんですよね〜!」

提督「これも新しいな……ただただ素晴らしい」

 

 シンキングタイムーー。

 

提督「かなり時間が掛かったがこれで決まったな」

青葉「そうですね」

秋雲「優秀賞は扶桑さんの作品だね〜♪」

全員『』パチパチ

 

夕張「これで残りは特級だけね」

提督「特級は私の似顔絵の塗り絵だったな」ニガワライ

大淀「これは提督が全て見て、提督の感じるままに選んでくださいね」

提督「努力しよう」

 

 

 特級編ーー

 

 私の似顔絵の作品は百を超えていた。

 どれも素晴らしい出来だったが、一部は失敗したのか、色が滲んでしまっていたり、水や何かの液体を零した跡もあった。

 私は全てを一つ一つ丁寧に見させてもらい、そして優秀賞を決めた。

 

提督「これが私の選んだ優秀賞だ」

青葉「おぉ〜、阿賀野さんのですね〜!」

秋雲「これは確かにすごいね〜」

夕張「丁寧に重ね塗りされて、この似顔絵の提督もどこか嬉しそう……」

大淀「こんなに精巧に塗られた塗り絵は本当に凄いです……」

提督「あぁ、ただただ感動したよ」

 

青葉「では早速、各優秀賞作品を皆さんに発表しなくては!」

提督「私も仕事に戻ろう。皆、後はよろしく頼む」

全員『はい♪』

 

 こうして『鎮守府塗り絵大会』は無事に終わり、優秀賞を取ったそれぞれの艦娘達は大いに喜び、周りから大いに祝福された。

 一部ではその場で膝から崩れ落ちる艦娘もいたとかーー。

 

阿賀野「えへへ〜♡ 提督の写真集〜♡」ニヨニヨ

能代「これは暫くあのままね」ニガワライ

矢矧「まぁ気持ちは分かるけどね」フフフ

酒匂「後で見せてもらお〜♪」ピャー

能・矢『その時は私も呼んで』ハモリ

酒匂「ぴゃん♪」

阿賀野「姉妹仲良く見ようね!」ニパー

 

 その後、阿賀野達の部屋に長蛇の列が出来たのは言うまでもないーー。




前に書いた塗り絵大会の結果発表というお話にしました♪

読んで頂き本当にありがとうございました!

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