昼下がりの○○鎮守府、重巡洋艦寮の一室ーー
鈴谷「ねぇねぇ、みんなでこれやろ~♪」
そう提案するのは、最上型航空巡洋艦の三番艦、鈴谷。
明るくマイペースで周りを巻き込むやんちゃな三女。
最上「これって確か……」
三隈「人生ゲーム、でしたわよね……」
鈴谷の持ってきた人生ゲームを見つめるのは、最上型航空巡洋艦の一番艦、最上と二番艦の三隈。
最上はボーイッシュで爽やか系僕っ娘女子の長女で、三隈はおっとりお嬢様系女子の次女だ。
熊野「どうしてこんなものを持ってますの?」
そう鈴谷に訊ねるのは、最上型航空巡洋艦の四番艦、熊野。
ちょっと高飛車なお嬢様系の四女である。
鈴谷「今日の鈴谷達ってヒマヒマじゃん? だから提督に構って攻撃したら、今は手が離せないからこれを貸してやろうって、これを貸してくれたの」
熊野「貴女って人は……提督にご迷惑をかけるなんて、淑女の恥ですわよ?」メッ
三隈「三隈達がお休みでも、提督はお仕事をされてるんですから……」メッ
最上「あんまり困らせたらダメだよ、鈴谷?」メッ
鈴谷「だから素直にこれを受け取って帰って来たんじゃん! いいからやろうよ~!」ブンブン
三人『はいはい』ニガワライ
艦娘達準備中ーー
鈴谷「じゃ、順番はさっきの通りね♪」二番
最上「了解~」三番
三隈「では、銀行家の三隈から始めますわね♪」一番
熊野「お茶を飲みつつやりましょう」四番
三隈「え~と……幼稚園のお遊戯会で賞を受賞、お祝いとしてみんなから千円もらう、ですわ」
鈴谷「えぇ~! 三千円しかないのに千円も持ってくの~!」つお札
最上「それがルールでしょ?」つお札
熊野「すぐに取り戻せますわ」つお札
鈴谷「何々……滑り台から落ちて骨折。治療費として千円払う~!? 普通親が出すじゃん!」
熊野「細かすぎますわよ。ほら、早く払いなさいな」
最上「世知辛いね~」
三隈「強く生きてくださいね、すずやん」
鈴谷「ぜーったい億万長者になってやる~!」つお札
最上「えーと、ピアノのコンクールで優勝する。ボーナスとして五千円もらう。やったね♪」
三隈「幸先良いですわね、もがみん♪」
熊野「流石ですわね、最上さん」
鈴谷「ずるい……」グヌヌ
熊野「……部屋の掃除をしていたら親のへそくりを見つける。ボーナスとして三千円もらう。まぁまぁ、良いですわね♪」フフン
最上「おめでとう~♪」
三隈「良かったですわね、熊野」ニコ
鈴谷「損したの私だけじゃん!」ガーン
それからもゲームは進み、ついに進学マスまで迫ってきた。
三隈「あら、私はインテリコースですわね」
鈴谷「私はエンタメかぁ~」
最上「ボクもエンタメコースだ」
熊野「わたくしは……インテリコースですわ」
三隈「上手く分かれましたね♪」
熊野「このまま政治家や医者になれればトップは安泰ですわ」フフン
鈴谷「タレントとかモデルになればまだ逆転出来るし!」ガー
最上「ボクはスポーツ選手が良いなぁ♪」
三隈「え~と……教師になりました♪」
最上「お~、なんか三隈に似合いそう」
熊野「お似合いだと思いますわ」
鈴谷「優しい先生になってね~♪」
鈴谷「あぁ~! もう少しで歌手になれたのに~!」
最上「ドンマイドンマイ。次があるよ」
熊野「まだ中盤なのですから大丈夫ですわ」
三隈「他にもまだ就職先は残ってますよ」
最上「……あれ、ボク、パティシエになった」
三隈「夢は自分のお店ですわね♪」
熊野「ハーブティーにも気を遣うお店をご所望致しますわ」
鈴谷「良いなぁ良いなぁ~」
熊野「う~んと……警察官ですわね。まぁ、良しとしましょう」
鈴谷「熊野は婦警姿似合いそう」
三隈「確かに似合いそうですわね」
最上「そして女刑事だね。カッコいい!」
就職マスも終わり、ようやく人生ゲームの前半が終わった。
最上→パティシエ
三隈→教師
鈴谷→スタントマン
熊野→警察官
鈴谷「なんか私だけ将来が不安定なんだけど……」
熊野「貴女らしいじゃありませんの。お給料マスで常にギャンブルですわね」フフフ
三隈「映画や特撮で活躍出来ると良いですね♪」
最上「ボクもそっちが良かったなぁ。面白そうだもん」
鈴谷「ぜーったい逆転してやるんだから!」
人生ゲームの前半を終えたみんなの順位は、熊野、三隈、最上、鈴谷の順だ。
因みに熊野と鈴谷の差は約七千万円差。
鈴谷「罰ゲームとか無くて良かった」ボソ
熊野「さて、続きをしていきましょうか」
三隈「えぇ、目指せマイホームですわ!」
最上「じゃ、ボクは大家族目指そう♪」
ゲーム進行中ーー
三隈「双子が産まれました♪」バンザーイ
熊野「一人のお祝い金が五千円ですから、ここでは一万円ですわね」つお札
最上「ボクはまだ一人だよ~。良いなぁ」つお札
鈴谷「ぎ、銀行家殿、借り入れを……」プルプル
鈴谷「よっしゃー! 仕返しマス! 熊野から五万円をもらう!」
熊野「五万円なら安いですわね」つお札
三隈「返済はいつでもよろしくてよ?」ニコニコ
最上「返済したらその五万円は無くなっちゃうね」アハハ
最上「お金に余裕あるし、マイホーム買っちゃお♪」
鈴谷「豪邸に家族三人って贅沢すぎじゃない?」
熊野「お手伝いさんを雇わないと、お掃除が大変そうですわね」
三隈「リアルに考えすぎですわ、くまのん」アハハ
熊野「お給料マスですわね。お札が増えて管理が大変ですわ……」
鈴谷「何それ嫌味?」ジトー
三隈「まあまあ、すずやん」ヨシヨシ
最上「でも、熊野が断トツだね~」
三隈「あら、また子どもが産まれましたわ」
鈴谷「作るのは勝手だけど、貧乏人のことも考えて欲しいんですけど」つお札
最上「さっきは男の子で今回は女の子か。賑やかだね」つお札
熊野「わたくしもそろそろ欲しいですわね」つお札
鈴谷「交通事故で全身打撲。三万円払う……もう!」ウガー
三隈「まあまあ」ヨシヨシ
熊野「ここまで来ると波乱万丈では済みませんね」
最上「一人だけ借金地獄だもんね」
最上「パティシエのコンクールで金賞受賞、ボーナスに十万円もらう。やった♪」
鈴谷「」チーン
熊野「おめでとうございます」
三隈「すずやん……」ヨシヨシ
熊野「刑事に昇格ですわ」フフン
鈴谷「それでまたお給料アップですね、わかります」
三隈「……」ヨシヨシ
最上「これはちょっと熊野に追い付けないかも」
そしてゲームは終盤に差し掛かる。
三隈「ゴールしたらやることがありませんね」
鈴谷「毎ターンお金貰ってるくせに……」
熊野「わたくしは次でゴールしますわ」
最上「開拓地には行きたくないな~」
鈴谷「財布を落とす。一万円を手放す……。そっか、そうなんだね……」ハイライトキエール
三隈「すずやん、おいたわしや」ギュッ
最上「悟り開いちゃってるね」
熊野「仕方ありませんわ。借金が五千万程あるんですもの」
最上「よし、次でゴールかな♪ 熊野が四以下なら二番目になれる可能性もあるかも」
熊野「あら、最上さん。熊野は次でゴールしますわよ」
三隈「確率の問題ですからね。楽しみです♪」
鈴谷「所持金は断トツのビリでゴールもビリ……」ハイライトキエール
熊野「三ですか……まぁ、良いでしょう。ん~と、マイホームが火事になる、ですか……」
鈴谷「お、ここに来て破産!?」パァッ
最上「あれ、でも熊野は火災保険持ってたよね?」
三隈「なら失っても特に問題無いですわね」
鈴谷「」チーン
最上「では、最終結果発表~!」
熊・隈『』パチパチ
鈴谷「」フテネ
最上「一位は一億と五万円で熊野だね。おめでとう♪」
三隈「断トツでしたわね、くまのん」ナデナデ
熊野「お遊びと言えど勝利は嬉しいですわね」ニコニコ
鈴谷「おめおめ~」
最上「二位は三隈の九千三百万円だね。おめでとう♪」
三隈「くまりんこ、ですわ♪」ピース
熊野「なかなかの額ですわね」
鈴谷「教師で安定収入だもんね~」
最上「んで、三位がボクの五千七百二十万円で、鈴谷が借金三千万ってことで」
鈴谷「今回はついてなかっただけだしぃ~」フテクサ
三隈「まあまあ、これを提督に返した後で間宮さんのところでカレーでも食べましょう♪」
熊野「いい時間ですものね、そうしましょうか。ティーカップ洗ってきますわ」
最上「なら、ボクは食堂に行って場所取ってくるね」
三隈「さ、すずやん。三隈と提督の所に行きましょう」ニコ
鈴谷「はぁい。カレー食べてアイスも食べてやる~!」
こうして最上型姉妹の休日は過ぎていったーー。
読んでくれて本当にありがとうございました!
こんな休日って良いですよね♪
人生ゲームは殆どうろ覚えなのでなんか違う感があったらごめんなさい。