艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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お艦や良妻艦メイン。
独断と偏見が入ってます。


艦これSS十二話

 

 ○○鎮守府、○九三○、提督自室ーー

 

 座椅子にゆったりと座り、趣味の小説を読む。

 そして目では小説を読みながら、手では煙草を探し、その一本を取り出して口へくわえる。

 

○○「はい提督、火はこちらに」

 

 ふとした声の方を見ると、そこには私のジッポライターを片手ににこやかな表情をした夕雲が居た。

 

 彼女は夕雲型駆逐艦の一番艦で、何かと世話好きな長女だ。

 

提督「あぁ、すまないな。……時に夕雲」

夕雲「はい、何ですか?」

提督「何故、私の部屋に居るのだ?」

夕雲「それは今日お休みである提督のお世話をしたいからです♪」

提督「……そうなのか」

 

 そう、本日の私は休日なのだ。

 長門や加賀達に『たまには休んでください』と頭まで下げられたので、業務をみんなに代行してもらい、私は久し振りの休日を満喫していたのだ。

 

提督「気持ちはありがたいが、夕雲も他の姉妹達の世話があるんじゃないか?」

夕雲「今日はみんな任務や加賀さん達のお手伝いをしてるわ。みんな提督のお力になりたいみたい」ニコニコ

提督「そ、そうか……」

夕雲「夕雲にお世話されるのは嫌ですか?」ウワメヅカイ

提督「そんなことはない。分かった、よろしくtーー」

 

 ガチャーー

 

雷「はーい司令官、今日はお休みなんでしょ? なら私が面倒見てあげるわ!」ジャーン

提督「雷も来たのか……」

雷「? あ、夕雲じゃない♪ 先に来てたのね♪」

夕雲「ええ、今日は提督がお休みの日ですもの♪」

 

\ソーヨネー ソーソー キャッキャッ/

 

 どうやら元々来るつもりだったらしい。

 

雷「てことで司令官、今日は一杯甘えてよね!」キラキラ

夕雲「私にもですよ?」ニコニコ

提督「あ、あぁ、よろしくtーー」

 

 ガチャーー

 

瑞鳳「提督~、今日お休みなんだよね? 卵焼き作ってきたよ~♪ 食べりゅ?」ニコニコ

鳳翔「私も日頃の感謝の気持ちを込めてお世話致しますね」ニコ

浦風「うちに任せとき~♪」ニコニコ

龍鳳「私も何かお世話させてください」ニコ

提督「」アングリ

 

 何だかんだで、自室にかなりの人数が集まってしまった。

 

 鳳翔、瑞鳳に加え、陽炎型駆逐艦の十一番艦の浦風に、龍鳳型軽空母の龍鳳までも揃うとは。

 それもみんな世話好きで包容力に溢れた艦娘達ばかりとは……まぁ、それだけ慕われて居ると思って良いのだろう。

 

提督「……今日はよろしく頼むよ」

全員『はい♪』キラキラ

 

 艦娘達お世話中ーー

 

雷「こっちのワイシャツはアイロン掛けしちゃうわね♪」

夕雲「こちらの戸棚の整理を致しますね♪」

龍鳳「では私はお茶を淹れて来ますね♪」

提督「あぁ、すまないな」

 

鳳翔「提督、動かないでください。危ないですよ?」ミミカキ

浦風「普段、座り通しじゃから足をマッサージじゃ♪」サスサス

瑞鳳「はい、提督。あーん♪」つ卵焼き

 

 本当に至れり尽くせり。

 鳳翔に膝枕で耳掻き、浦風には足のマッサージ、瑞鳳には卵焼きを食べさせてもらい、雷、夕雲、龍鳳にはアイロン掛けや整理整頓などをしてもらって……自分が駄目になりそうだ。

 

 

 

雷「…………」キョロキョロ

 ワイシャツにギュッ

雷(洗剤の香りとほんのり司令官の匂い……)ポャァ

 

夕雲「ちょっとそれはずるんじゃない?」ボソ

雷「あぅ!」

龍鳳「抜け駆け禁止!」ボソボソ デコピン

雷「いった~い!」

 

提督「何かあったのか、雷?」

雷「う、ううん、テーブルに膝をぶつけただけよ!」アセアセ

提督「気を付けてくれよ?」

雷「う、うん!」

 

雷「もう、ちょっとだけ誘惑に負けただkーー」

夕雲「」ワイシャツギュッ

龍鳳「」ワイシャツギュッ

雷「( ゚д゚)ポカーン」

 

鳳翔「では、反対側をやりますのでこちらにお顔を向けてください」

提督「あぁ、頼むよ」ゴロン

浦風「んじゃ、次は足裏マッサージじゃね♪ 動くと危ないから、弱めにやるな♪」

提督「よろしく頼む」

瑞鳳「じゃ、私はお皿洗って来るね」

提督「美味しかったよ。ありがとう、瑞鳳」

 

鳳翔「」カキカキ

浦風「」ギュッギュッ

提督(極楽とはこの事だな……)

鳳翔(提督の息がお腹にあたって……)ドキドキ

浦風(提督さんの足、逞しくてヤバいわ////)ドキドキ

 

瑞鳳「んへへ~♪ 『美味しかったよ』だってぇ~、きゃあ~♪」クネクネ

 

 それからあれもこれもとみんながやってくれて、私は心からみんなに感謝したのと同時に、甘え続けないよう誓った。

 

 時は過ぎーー

 

 あれから結局お昼まで作ってもらったうえに、食べさせてもらってしまった。

 申し訳ないと思いつつも、みんなの眩しい笑顔に断りきれずされるがままになってしまった。

 

 それからみんなは自分達の用事を済ませるとかで私と別れた。みんなどこか満足気な表情をしていた。

 

提督(今度お礼に何か返さないとな)

 

 そう考えて、私はまた小説を読み進めるのだったーー。

 

 

 一方その頃、雷達は会議室に集まっていた。

 

雷「じゃ、『提督の全てを世話し隊』の今回の報告会を始めるわよ!」

 

 提督の全てを世話し隊

 提督のことが大好きで、どんなことでもしてあげたいと心から思う、提督親衛隊である。

 他の会同様、抜け駆け禁止、『提督から告白または求婚されたら提督に思いを寄せる全員の気持ちを教える』を規則に設け、提督にどんなお世話をしたかを毎日記録する。

 今日の様な休日の身の回りのお世話はこの会の加入者に一任されている。

 

夕雲「久し振りにお世話出来て、身も心も満たされたわ♪」ツヤツヤ

龍鳳「そうね♪ それに提督の香りも堪能できて最高の御世話日和でしたね♪」ツヤツヤ

鳳翔「そう言えば、提督のワイシャツを抱き締めていましたね。羨ましいです」ムゥ

雷「でも、鳳翔さんは膝枕で耳掻き出来たじゃない」

夕雲「浦風ちゃんは提督の生足に触れてたし」

龍鳳「瑞鳳ちゃんは提督に『あーん』ってしてた」

浦・瑞『えへへ~♪////』ツヤツヤ

間宮「良いですね、皆さん。私も何かして差し上げたかったわ……」クスン

鳳翔「では今晩、私の店に提督をご招待しますから、その時お酌するというのはどうですか?」

間宮「い、良いんですか!?」ガバッ

夕雲「良いも何も、間宮さんも提督に何かしたいでしょう?」

雷「そうよ。みんなでお世話する為の私達なんだもの。一人だけ除け者になんてしないわ!」

全員『』コクコク

間宮「皆さん……ありがとうございます! お返しに今度スペシャルパフェをご馳走しますね♪」

全員『やった~!』

 

 そして彼女達は時間の許す限り、提督にこんなことをしたい、あんなことをしたいと話ながら絆を深めていったーー。




読んでいただき本当にありがとうございました!
みんな本当に良い娘達ですよね……。
次も頑張って書きあげます!

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