艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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駆逐艦メイン。

キャラ崩壊含みます。


艦これSS一話

 

 ○○鎮守府ーー朝。

 

 提督自室ーー

 

提督「ん……? 朝か……」

 

 布団から起き上がり「う~ん」と伸びをする。

提督(今朝も良い天気だ。これで戦いなど無ければ尚良いのだが……)

 

 タタタタタッーー

 徐々に大きくなる足音。

 自室に誰か向かって来ている。

 

提督「この音量からして四人、か……」

 

 バァーン!

 

雷「じゃーん! 司令官、おっはよう!」

電「お、おはようございます、朝なのです!」

響「やぁ、司令官。迎えに来たよ」

暁「レディが迎えに来てあげたのよ、感謝しなさい!」

 暁型駆逐艦の四姉妹。

 

雷「ほら、早く準備してっ。私も手伝ってあげるから!」グイグイ

 

 世話好きな暁型三番艦で三女の雷。

 

電「コーヒー淹れてくるのです」パタパタ

 

 気配り上手な暁型四番艦で末っ子の電。

 

響「ふむ……この温もりは良いものだな」ヌクヌク

 

 物静かな暁型二番艦で次女の響。

 改二になり名をヴェールヌイと改めたが、基本は今まで通り『響』と私を含めみんなで呼んでいる。

 

暁「こら、響! 司令官のあぐらの所に入らないのっ! はしたないわ!」プンプン

 

 背伸びがかわ……レディな暁型一番艦で長女の暁。

 

提督「はははっ、相変わらず元気だな。軍服に着替えるから部屋の外で待っていてくれ」

 

 そう言ってそれぞれの頭を優しく撫でると、四人は笑顔で頷いて外に出ていった。

 

 これから私の一日が始まるーー。

 

 軍服に着替えた私は暁達と共に食堂に向かった。

 

 鎮守府の食堂は間宮さんと伊良湖さんと鳳翔が妖精さん達と共に切り盛りしている。

 鳳翔は鎮守府内で居酒屋『鳳翔』を営んでおり、酒好きの艦娘達に人気だ。

 

 

 食堂ーー

 

間宮「あら、おはようございます。提督さん」ニコ

伊良湖「おはようございます!」ニコ

鳳翔「おはようございます、提督」ニコ

 

 来たのが私だと分かると三人共わざわざ厨房から出てきて挨拶をしてくれた。

 

提督「あぁ、おはよう。今日もよろしく頼む」ニコ

 

 三人が笑顔で挨拶をしてくれたので、私もそれに習って挨拶をする。

 

間宮「っ////」カオマッカ

伊良湖「~////」ポー

鳳翔「はぅ////」ボン

 

 三人は何故か固まってしまった。

 

四姉妹『ゴホン!』

 

 私が三人の反応に困っていると、暁達がわざとらしく咳をした。

 

三人『はっ!』

 

 三人は我に返ったのか愛想笑いを浮かべて厨房の方へと姿を消した。

 

提督「私の挨拶に何か問題があったのだろうか?」ズーン

電「そ、そんなことないのです!」

雷「そうよっ、気にすることなんてないわ!」

響「破壊力は核兵器並だったけどね」

暁「//////」カミノケイジイジ

 

 四人(?)に励まされつつ、私は暁達と厨房脇の看板を見る。

 

 A鮭の塩焼き定食

 B鯖の味噌煮定食

 Cモーニングセット

 

提督「コーヒーはさっき電が淹れてくれたのを飲んだばかりだから、朝はA定食にしよう」

暁「暁はレディだからCにするわっ」

響「私はレディじゃないけどCにするよ」

雷「私は司令官と同じのにするわ!」

電「い、電もA定食がいいのです」

 

 そしてみんなそれぞれの朝食を持って、一つのテーブルに座った。

 

雷「今お水持ってくるわね!」

電「あ、電もいくのです!」

響「ほら、司令官の分のお箸だ」

暁「こっちはお絞りよ」

提督「ありがとう」

  (至れり尽くせりとはこの事か……)

 

 雷達も戻って来てみんなで手を合わせる。

 

提督「頂きます」

四姉妹『いただきま~す!』

 

 みんな思い思いに朝食を堪能している。

 

響「司令官……」

提督「ほら」つ胡椒

響「Спасибо(ありがとう)

暁「司令官っ」

提督「暁はこれだったな」つ塩

暁「当然よ」フンス

 

 モーニングセットの目玉焼きにかける調味料をそれぞれに渡していると、

 

雷「司令官、私は何をかけるか覚えてる?」クビカシゲ

提督「雷はソースだろ? 因みに電が醤油だ」

電「はいなのです! 覚えていてくれて嬉しいのです!」キラキラ

 

 自分の好みを把握しているのが嬉しいからか、四人は満面の笑みを見せていた。

 

 暁達との朝食を終えた私は執務室へ向かった。

 暁達は遠征任務の準備に工廠へ。

 

 

 執務室ーー

 

 執務室に入り、机の側の窓を開ける。

 

 カラカラーー

 

提督「良い天気だ」

  (彼女達をどうかお守りください)

 

 日課であるお祈りを煌めく水平線に贈る。

 

 さて、今日も私に出来ることを精一杯やろう。

 そう意気込んで机に向かうと同時に執務室のドアをノックする音がした。

 

提督「入りなさい」

 

 私の返事で執務室のドアが開く。

 姿を見せたのは朝潮だ。

 

朝潮「おはようございます! 本日秘書艦を勤めます朝潮です! よろしくお願い致します!」

 

 背筋を伸ばしビシッと敬礼して、挨拶をする朝潮。

 朝潮型駆逐艦一番艦で真面目で忠実、努力を苦としない甘え下手な長女である。

 

提督「あぁ、こちらこそよろしく頼むよ。これから各艦隊が来るだろうから、それまで朝潮は私の隣で待機していてくれ」

朝潮「はっ! かしこまりました!」

 

 そして朝潮は私の隣へ歩を進める。

 

朝潮(今日も凛々しいです、司令官////)

提督「朝潮、少し髪を切ったか?」

朝潮「は、はい! 毛先が痛んでいたので、五センチ程ですが……。良くお気づきになりましたね」

提督「君達のことはいつも見ているからね。些細な事でも見逃さないよう心掛けている」

朝潮「いつもありがとうございます! これからも司令官の為にこの朝潮、精一杯頑張ります!」

提督「いや、朝潮は頑張り過ぎる癖があるからな……今まで通りで良い。過ぎたるは猶及ばざるが如しだ」

朝潮「ですが……」

 

提督「真面目な朝潮には少し難しいかもな。でも、本当に何事にも余裕を持って取り組んでほしい」

 そう言って私は朝潮の髪を手で優しくすいた。

朝潮「し、司令官、あ、あぁ、あの……////」カオマッカ

提督「これはすまない。心配で勝手に手が動いてしまった……」

朝潮「い、いえ! お心遣い痛み入ります!」

  (もっと頑張ればもっと撫でてもらえるのかな……?)

 

 朝潮はそう考えながら提督が先ほどまで触れていた場所に手をやった。

 

 各艦隊が来る前に朝潮とそういうやり取りをしていると、再び執務室のドアがノックされた。

 返事をするとドアが開き、我が鎮守府の第一艦隊が姿を見せる。

 

第一艦隊

旗艦赤城 正規空母 

 制空権の要で艦隊のまとめ役

 

 武蔵 戦艦   

 大和型二番艦、砲撃の要

 

 利根 重巡洋艦 

 利根型一番艦、索敵の要

 

 筑摩 重巡洋艦 

 利根型二番艦、艦隊のオールラウンダー

 

 能代 軽巡洋艦 

 阿賀野型二番艦、敵艦隊の牽制及び雷撃の要

 

 雪風 駆逐艦

 陽炎型八番艦、敵艦隊の撹乱、ムードメーカー

 

 以上六名が我が鎮守府、本日の第一艦隊。

 六名は机の前へ綺麗に横並び、敬礼する。

 私も静かに敬礼を返した。

 

赤城「第一艦隊これより出撃します!」

提督「うむ、作戦は昨晩話した通りだ。慢心せず、連(絡)相(談)報(告)を忘れず事にあたってくれ」

六名『はっ!』

提督「そして皆、誰一人欠けることなく生きて帰ってこい!」

六名『はっ!』

提督「第一艦隊出撃!」

 

 その言葉で第一艦隊は意気揚々と出撃していった。

 

 第一艦隊が執務室を出るのと入れ違う形で、今度は遠征組の第二、第三、第四艦隊の旗艦達が入ってきた。

 

第二艦隊

旗艦長良 軽巡洋艦

  長良型一番艦

  同艦隊所属の長良型五番艦鬼怒と共に明るく元気に艦隊を牽引する

 

第三艦隊

旗艦五十鈴 軽巡洋艦

  長良型二番艦

  同艦隊所属の長良型四番艦由良と共に飴と鞭で艦隊を牽引する

 

第四艦隊

旗艦名取 軽巡洋艦

  長良型三番艦

  同艦隊所属の長良型六番艦阿武隈と共に優しく慎重に艦隊を牽引する

 

三人『遠征準備完了致しました! これより遠征任務に向かいます!』ケイレイ

提督「うむ、本日もよろしく頼む。敵との遭遇、発見ヶ所は必ず記録するように。戦闘になる場合は連相報をしっかりと」

三人『はいっ!』

提督「では艦隊、各自抜錨せよ!」

 

 その言葉に三人は勇ましく返事を返し、各遠征任務へと向かった。

 

 所属艦隊がそれぞれ出撃した後、朝潮に命令を出そうと視線を移すと朝潮は呆然と私の方を見ていた。

 

提督「どうした、朝潮?」

朝潮「え……あぁ、いえ、艦隊の皆さんの勇ましさと司令官が皆さんに指示している姿に見とれていました。申し訳ありません」フカブカ

提督「艦隊の皆が勇ましく見えるのは私も同感だが、私はいつも通りだが……?」

朝潮「いえ! 司令官のお言葉はいつも思いやりがあって温かくて、いつも勇気をいただけます!」

提督「そ、そうか、ならば悪い気はしないな」

 そして私と朝潮はそれぞれ本日の仕事に取り掛かった。

 

 提督の命を受け朝潮は工廠へ向かっていた。

 大本営の任務で艤装開発と資材確認をするためだ。

 

朝潮(司令官は失敗しても良いと言ってくれましたが、毎回失敗しているので今回こそは何かしら開発してみせます!)

○○「……おちゃん、朝潮ちゃんてば!」

朝潮「きゃ! あぁ、荒潮に満潮……どうしたんですか? 私は今仕事中なのですが……」

荒潮「あら~、そんなの知ってるわよ~。でも私達今日は暇だから手伝おうと思って~」

 

 朝潮型駆逐艦四番艦の荒潮。

 普段はのんびりとしているが、戦場に出れば笑顔で敵艦隊を殲滅する四女。

 

満潮「私は荒潮がどうしてもって言うから仕方なく……」

 

 朝潮型駆逐艦三番艦の満潮。

 いつも尖った態度だが、姉妹を心から思いやる三女。

 

荒潮「あら~? さっきお手伝いするって提督に言い行ったら、頭を撫でてもらって嬉しそうにしてたのは誰だったかしら~?」

満潮「!? そ、そそ、そんなことない! 誰があんな司令官のこと好きだなんて言ったのよ! 勘違いしないでよ!////」カオマッカ

朝潮「あはは……(自白してますよ、満潮……)」

荒潮「そう言う訳だから、一緒に行きましょ?」

朝潮「分かりました。では、お言葉に甘えます」

 

 そして朝潮達は笑顔で工廠へ向かっていた。

 その間満潮は工廠に着くまでずっと顔を真っ赤にしながら言い訳をしていた。

 

朝潮「他のみんなはどうしてますか?」

荒潮「大潮ちゃんは『もっと熱くなれよ!』って叫びながら、神通さんと走り込みしてたわ~」

満潮「また何かに影響されてるわね……」

 

 大潮は朝潮型駆逐艦の二番艦。純粋で周りを鼓舞する心強い次女。

 

荒潮「それから~、朝雲ちゃんと山雲ちゃんは天龍さんと龍田さんの二人と一緒に海釣りに行ったわ~」

満潮「昨日司令官がお刺身食べたいって言ってたからね……」

 

 朝雲は朝潮型駆逐艦の五番艦。ちょっと素直じゃないけど思いやりのある五女。

 山雲は朝潮型駆逐艦の六番艦。一言でまとめるとゆるふわ娘で朝雲と特に仲の良い六女。

 

荒潮「あと~、霰ちゃんと霞ちゃんは今執務室で提督のお手伝いしてるわ~」

満潮「(わ、私もそっちに残りたかった……)」ゴニョゴニョ

 

 朝潮型駆逐艦九番艦の霰。寡黙で真面目だけどついいじりたくなる九女。

 朝潮型駆逐艦十番艦の霞。口調が厳しく態度も大きいけど、誰よりも姉妹を大切に思っている十女。

 

朝潮「……そうですか。私達も司令官の為に頑張りましょう!」

  (早く終わらせて、私も手伝わなきゃ!)

 

 そんな話をしながら朝潮達は仲良く工廠の中へ入っていった。

 

 その頃、執務室ーー

 

霰「この資料のファイリング終わりました……」

霞「早く次の指示を出しなさいよ、このクズ!」

提督「……早いな。なら、二人で緑茶の茶葉を買ってきてくれないか? お徳用の安いので良い。おつりで好きなお菓子でも買うといい」つ千円札×二

霰「んちゃ……ありがとう、司令官」

霞「人をパシって物でチャラにするだなんて本当にクズね! で、でも、ありがと////」フン

 

 霰は私からお金を預かり、頬を赤く染めた霞の手を引いて執務室を出ていった。

 

 ふぅと息をついていると、すぐさま机のモニターに反応があった。

 

赤城『こちら第一艦隊旗艦赤城です。提督にご報告します』

提督「聞こう」

赤城『はい……予定通り、一○○○に戦闘海域に突入したのですが敵影がありません。私と利根さんで現在も索敵部隊を展開していますが、如何しますか?』

提督「ふむ……ならばそのまま索敵をしつつ複縦陣で進軍。能代に電探から目を離さないよう伝えてくれ」

赤城『了解しました。また後程ご連絡致します』

提督「あぁ、よろしく頼む」

 

 赤城からの通信を終え、私はまた机の上の書類に手を目をやる。

 皆が頑張っているからこそ、私も私に出来ることをしよう。




ここまで読んでくれて本当にありがとうございます!

こんな感じでやっていきます。
よろしくお願い致します!

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