どうぞ
(ここで、生きなければならない。)
しかし、それならばヤマメは、おじいさんに本当のことを話さなければならないと考えるようになった。
(しかし、おじいさんにいきなり言ったら怪しまれる。どのタイミングで言えばいいだろう。)
そう悩んでいると、
「ヤマメ?どうした。もう21:30をこえてるぞ。」
おじいさんだ。
「きゃ!?」
声を裏返して小さな悲鳴をあげてしまった。
タイミングがタイミングなだけに今話さねば今後話すのは辛くなると考え、おじいさんに本当のことを話してみることにした。
「おじいさん、少し時間いいかな。」
千里視点
驚いたものだ。
何時もなら苦しくて早く寝ようとするのだか、今日は途中から気分が楽になった。
そして、パソコンのシャットダウンをしていないことに気がつき、私はリビングへ向かった。
リビングに行くと誰かがパソコンで何かをしているのが見えた。
ヤマメだ。
電気もつけないで、パソコンをするのは体に悪いから注意しなければと思い、近くにあった時計から今の時刻を確認してリビングに入った。
「ヤマメ?どうした。もう21:30をこえてるぞ。」
珍しく私に気がつかなかったらしいヤマメは小さな悲鳴をあげ、何かを考えるように見えた。
(珍しい。この子がここまで動揺するのはいつ以来だろうか。何かあるな。)
そう思った直後
「おじいさん、少し時間いいかな。」
ヤマメ視点
電気をつけてテーブルに座るようにおじいさんにいい、私はキッチンから茶葉を取りだし、ポットとコップ2個をおじいさんの前にだした。
話が長くなる合図だ。
私はゆっくりと自分のことを語った。
おじいさんの病気を緩和したこと、妖怪の土蜘蛛であること、数百年生きていること、幻想郷のこと、穴のことを・・・
千里視点
驚いた。何かあると思ったこの子が妖怪だったなんて。
実際に糸を出してもらったから現実なんだろうが。
だが、ヤマメはヤマメだ。それ以外の何者でもない。私は5年間この子を見てきたが賢く、少し抜けたところがあるがやさしい彼女であること知っている。
彼女がここまで自身のことを話してくれたんだ。私の過去もしっかり話さなければな・・・
ヤマメ視点
おじいさんに本当のことを話してみたが、おじいさんは少し驚いたような顔をしたあと、おじいさんの過去を教えてくれた。
私は始めておじいさんが医者だったことをしり、また、自身の経験から自分の体はもう長くはないだろうとも言っていた・・・
おじいさんが話を一旦切った。少しの沈黙を挟み、おじいさんは私にこう言った。
「なぁヤマメ、私の医術を少しでも受け継いでほしい。ダメなら薬学でもいいからやってくれないか?」
私はすぐに答えた。
「やります。」と・・・
次の日からおじいさんとの特訓は始まった。
家の地下にカギがかかった部屋があったがそこには薬品と、医学、薬学の資料が一杯になっており、そのさらに奥に実験室があった。そこで私は、寝る暇も惜しんで教えてくれるおじいさんに私は答えるべく、一生懸命に習った。大きかった頃の私なら医学や、薬学なんて教えてもらうことは絶対にしなかっただろう。妖怪にそのようなものは必要ないからだ。
気がつく頃には小学校をもう少しで卒業のところまで来ていたがそれでもおじいさんとの特訓は続いた。
中学校は、一番近い私立椚ヶ丘中学校に進学し、少しでも通学時間を短縮して、おじいさんから教えを乞うためだった。
寝る時間は授業中となり、このままの授業態度だと3年はE組行きだぞと言われたが知ったことか。
私のような妖怪の人生はとてつもなく長いが、病気を緩和したとしてもいつ倒れるかわからないおじいさんの時間の方が大切であると考えていたからだ。
中学2年の夏休みついにおじいさんは私にすべての知識をたくし、将来苦労しないようなお金とおじいさんとの思い出の家を私に渡し、75歳という人生に幕をおろした。
明日は書けるかわからないから今書いたので出しておきました。