親しい女性は下の名前で呼びます。
倉橋さん=倉橋陽菜乃→陽菜乃(ひなの) です。
〔日々2〕
大学に入学してもいきなりハードな訓練になることはなかった。
陽菜乃は高校時もある程度訓練していたようで普通についていっていた。
伊丹はたるんだ高校時代をすごしたらしく、訓練のマラソンでは一番うしろの組で走っていた。
私はなぜか教官から30キロの重りを渡され
「走れ」
と短く言われた。
20キロを走ったところで私はさらに10キロの重りを追加され残り15キロを走りきるのだった。
「ヤマメちゃんすごいね~。私は普通に走っただけでくたくただよ~。」
ゼーゼーハーハー
「そのわりには、疲れてないように、見えるの俺だけか?」
そんなことを話していると
「だらしない。女性に負けるなど・・・。」
と伊丹をバカにした男性が現れた。
(たしか柳田だったかな。エリートズラしているけどしっかり結果を残す人だったかな?でもなんか嫌な感じ・・・。)
陽菜乃は癪にさわったらしく
「女性でも男性でもいいじゃん。人それぞれだよ。」
と伊丹をかばったが
「ふん、肉体の構造的に男性の方が女性よりも筋力がつくはずなのに負けるのはおかしいだろ。・・・まぁ無謀にも高等工科高校に入学した女子生徒が3年前にいたらしいがそれだって結果卒業できたかわからないそうじゃないか。」
(本人目の前にいますよ。)
「あれ?それってヤマメちゃんのことじゃ・・・」
「ほほう、知り合いか。今どうなってるか知っているのか?」
「目の前にいるよ。」
「君がそうなのか?・・・どうせギリギリの成績だったんだろ。」
(なんかすごいムカつくな。次の時間なんだっけ?・・・あぁ、格闘術の模擬訓練か。勝負しようかな。)
「聞いてたけど私もそこまでバカにされたらキレるよ。なんなら次の時間格闘の訓練だから勝負しようじゃない。」
「ふん、いいだろう。弱いものいじめは好きじゃないんだけどね。」
と言って去っていった。
伊丹と陽菜乃が我にかえって
「ヤマメ大丈夫か?あんなことを言って。」
「ヤマメちゃんなら大丈夫だと思うけど・・・。」
「心配しないで・・・これでも私レンジャー訓練を夏季冬季のどちらもやってきたから。」
「お、おう。それならいいけど。」
「レンジャー!?何があったか後で詳しく教えて。」
「わかったよ。」
(さて、どうやって倒すか・・・)
〔次の時間〕
「さて、や(殺)りますか。」
「ふ、すぐに男女の差を教えてやるよ。」
(この人思ったより鍛えてるな。言うだけのことはあるけれど・・・)
「用意、初め。」
審判の合図で初めた瞬間に私は柳田の頭を両足で挟んでそのまま叩きつけた。
柳田は何が起きたかもわからず気絶した。
(ちょっと手加減した方がよかったかな?)
その後大学では私達は柳田に話しかけられることはなかった。