【ヤマメ宅】〔隠居から数日後〕
雨咲が居なくなって数日、私は自分自身が臆病者だと感じる。
(散々戦争で人を殺してきたのに・・・身内が死んだ瞬間にこれだ・・・まいっちゃうね。)
溜め息を吐き、私は銀河系の地図を見つめた。
「・・・旅行にでもいこうかな。私と小傘、魔理沙にウォルター・・・夫を無くした文も。」
ヤマメはある場所を指差していた。
「第二の地球・・・ペコポンか。」
偵察員がとるに足らない存在で、現在ディアモント共和国の足枷となるから放置してきた星だった。
ただ、もしかしたらあの場所があるかもしれないと期待した。
「全ての始まりの場所・・・幻想郷が。」
〔数ヵ月後〕
色々な準備の後に私達は月から出発した。
「もしかしたら帰らないかもしれない。」
私はそう呟いた。
【ペコポン】〔さらに数週間後〕
暗い森の中に着陸した私達はとりあえず情報収集をすることにした。
現地の諜報員の1人と暮らすこととなり、私はその日はそのままおじゃますることにした。
【アパート】
彼は漫画家らしく、自作の漫画を角山という編集社に載せてもらっているらしい。
「山本さん!!原稿を取りに来ました!!」
「日向さん。いつもありがとね。」
「おや?そちらのお嬢さんは?」
「私は山本さんの親戚の黒谷ヤマメです。行く大学が叔父さんの家の近くだったので・・・。」
「大学!?ならこんど家庭教師としてうちの子をお願いしようかしら。」
「お金がないのでアルバイトを探したんですよ。」
「ならこんどの日曜日にお願いしようかな。」
「わかりました。・・・あの、住所は。」
「あ、地図出しますね。」
「あら?今日の山本さんは動きが機敏ね。」
(意識してるんだな。冷や汗で背中がすごいことになってるし、太っているから正座がきつそう。)
元とはいえ、神のような扱いの私は(実際に神)彼にとっては失礼なことをしたら末代までムラハチにされてしまうからだと思い、楽にしていいとも言えずに早く日向が帰るのを願うヤマメだった。
【日向宅】〔数日後〕
私は玄関の前で立ち止まった。
(なにかがいる。・・・足音でわかる。下が空洞になってる。)
そのなにかに注意しながら私はチャイムを押した。
「はいはいであります!!」
中から出てきたのは緑色の男性擬きだった。
(人間ではないな。たぶんこれで擬態していると思うけど私にはわかる。気が頭の部分に集中している・・・いや、体は作り物かな。さて、どうするべきか。)
私は笑顔で
「日向さんから家庭教師として雇われた黒谷ヤマメです。」
「教師殿でありましたか、どうぞなかに。」