〔転移まで残り118年〕
拡大した情報部から魔法世界の連合で政変がおこったようだ。
地球からの攻撃はないが、戦争という物資を無限に吸い込む魔物に市民のしわ寄せがついに限界を迎えたのだ。
最初はネギの次男が士気向上に市民に向かって演説をしていた時のことだったらしい。
勇気ある誰かが死神と叫んだらしい。
その言葉で演説を聞いていた市民はネギの次男を魔法で攻撃し出したのだ。
味方だと思っていた者達の攻撃によりあっけなく討ち取られ、その勢いで駐屯地を市民は攻撃した。
諜報員は危険だと感じ遠巻きから見ていたらしいが、駐屯地の兵士達も暴動に参加したらしい。
ネギはこの暴動に対して巨大魔法を撃ち込んだ。
諜報員はその顔が自分の正義によっていると報告し、病院に運ばれたらしい。
自国民を大量虐殺したことで暴動は国内の約7割りの地域に広がったらしい。
暴動開始から半年後・・・ネギ一族が住む場所で自爆テロが発生、これは諜報員が映像に納めて持ち帰った。
(・・・指導者の末期か。)
ネギの娘だろう女の子がすっかり年をとったパルと一緒に焼かれているのが映っていた。
〔転移まで残り117年〕
臨時政府が成立、代表はクルト・ゲーデルの側近だった男が代表を勤めた。
ネギ一族は正式発表している人数と計算して約25名が討ち取られていた。
このどさくさに紛れてネギの娘の1人を諜報員がさらってきた。
ヤマメの前に連れてこられた少女は焦点があっておらず
「アー?アー。」
としか言わなかった。
(・・・精神が崩壊してるな。雨咲いわくもう普通に生活するのは不可能らしいし・・・。)
「何かしらの交渉材料になるかもしれない。精神病院にて治療をおこなってくれ。」
「わかりました。」
(私も気をつけないとこうなるのか。)
身を引き締めるヤマメだった。
その後、臨時政府は第三国の賠償金の調査を条件に講和を申し込み、インド、アメリカ、ポーランドは承諾した。
オーストラリアは徹底抗戦を叫んだが結局は講和に応じた。
《メガロセブリア講和条約
・臨時政府を正式な政府として認める
・政府の名前はマルス連邦共和国とする
・賠償金の支払いの義務
・前指導者一家の引き渡し
・戦犯リストに記された人物の処刑》
となった。
すぐにネギ一族の捜索が開始されたが中々見つからなかった。
【ディアモント共和国 政府】
政府執務室に8人の家族が私の前で亡命手続きをおこなっていた。
那波千鶴と村上夏美、その夫の犬上小太郎と子供達だ。
彼女らは超が生存時にすでにネギと意見が合わずヘラス帝国に亡命していたため今回の戦争から逃げ延びることができた。
こちらに亡命してきた理由は火星全土でネギと関係がある人物の私刑がおこなわれていたのでテオドラ女帝からの申請だった。
村上夏美が私に
「ヤマメさんは戦争が怖くないの?」
と聞いてきた。
私は
「怖くはない。戦争は人類の歴史その物・・・それがたまたま今おこっただけだよ。」
「3度の戦争でヤマメさんは何を感じたの?」
「正確には4度ね・・・悪の裏は正義ではなく、別の悪である。その中で自分を本当の正義の勇者だと思う人物ほど危険な思想家の最後は儚い・・・ルーデンドルフしかり、ミクしかり、スターリンしかり、ルーズヴェルトしかり、ネギしかり・・・。」