黒谷ヤマメの異世界旅行   作:ゆっくり霊沙

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ブルシロフ攻勢

【東部方面司令部】〔6/4〕

この日北東にいる軍団長が集まり、補給の配分や、今後の戦略の会議をしている最中に恐ろしい凶報がもたらされた

 

「なに!?オーストリア方面で戦線が崩壊した!?」

ルーデンドルフ閣下も大声で叫ぶほど驚いたがヒンデンブルクさんが

 

「どれぐらいの規模なのだ?」

と報告に来た士官に聞くと

 

「・・・350キロの戦線が全面攻勢で崩壊しました。」

 

(350キロ!?東部戦線の3分の1が突破されたのか!!)

私は気絶しそうになったがすぐに頭を切り替えて、士官に

 

「ドイツ軍の被害は?」

 

「特に出てません。」

 

「ルーデンドルフ閣下!!即座に軍を移動して戦線を建て直しましょう!!」

 

「そうだな。第九軍、第十軍は移動しろ。」

こうして後にブルシロフ攻勢と呼ばれる戦いは始まった。

 

〔8月初旬〕

なんとか戦線を立て直した私達はマックス・ホフマン参謀から被害の合計を聞いていた。

 

「ドイツ軍35万・・・ロシア軍50万・・・これは誤報ではないんだよな。」

ホフマン参謀は報告書を持ってきた士官に聞き直す程の損害があることを私達は気づき、覚悟して聞いた。

 

「・・・オーストリア軍・・・約150万人です。」

その場にいた全員が絶句した。

オーストリア=ハンガリー帝国の人口は約5000万人で前回の冬季攻勢の損害を合わせると約230万人。

これは民族1つの全人口と同じくらいで国内の男女比が崩壊する被害だった。

すぐにヒンデンブルクさんはルーデンドルフ閣下に

 

「今後についてすぐに考えなければならない。ルーデンドルフ・・・君ならどうする?」

と言うと

 

「・・・オーストリア軍の残りをドイツ軍に吸収させます。士官達!!忙しくなるぞ!!」

これにより事実上オーストリア軍は壊滅しドイツ軍に吸収されるのだった。

ただ、これだけではすまなかったところもあった・・・そう、ドイツ参謀本部だ。

この攻勢で東部戦線のドイツ軍の負担が増してしまい、西部戦線で使っていた戦力を転用したのだ。

これにより講和するための戦略が破綻し、ファルケンハン参謀総長が解任されたのだ。

そして・・・

 

〔8/28〕

ヒンデンブルクさんが参謀本部に召集され、新参謀総長に任命され、同時に新参謀次長にルーデンドルフ閣下が任命された。

ここからルーデンドルフ独裁が開始され、最初に私がミレニアム独立軍団からミレニアム軍に拡大され、私は参謀本部所属、戦略顧問、中将に任命された。

女性では異例の処置に反対意見も出たがルーデンドルフ閣下が全て抑えた。

この時久しぶりにグレーナーとも会うのだった。


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