【トキワの森】〔翌日〕
(さ~て、麦わら帽子の子はどこにいるのかな?移動距離を計算するとこの辺りだけど・・・名前を聞き忘れたけどいいや。)
そう考えていると周囲の温度が下がっていることに気がついた。
「トランジスター、低空飛行に移って。」
私が指示を出すとトランジスターは高度を下げて木々の間をゆっくりと移動し始めた。
森の端に移動した私はトランジスターをボールにしまい、木陰から様子を見ると、麦わら帽子の子と白衣を着た青年が若い女性に足を氷で固められて動けなくなっていた。
(・・・ケダマを用意しとこうかな。)
そう思った矢先、固められていた場所だけが周りから切り離され、麦わら帽子の子が脱出に成功した。
追撃しようと女性が動くが、どこからか飛んできた黒い液体によって足止めをされてしまい、麦わら帽子の子の追撃に移ることはなかった。
(・・・私以外にも麦わら帽子の子を守ろうと動く存在がいるのかな。)
再びトランジスターに乗り若い女性から距離をとった私は、麦わら帽子の子を空から追いかけた。
【タマムシシティ郊外】
麦わら帽子の子を追いかけた先はタマムシシティの近くだった。
私は1キロ先から麦わら帽子の子を見張っていた。
視力が触手のおかげて上がっていたのでヤマメには1キロ離れた物を見るのは簡単だった。
〔夜〕
麦わら帽子の子とピカチュウが一緒に寝ているとピカチュウの方がいきなり起きて走り出した。
麦わら帽子の子はピカチュウを呼び止めたがピカチュウはなぜか興奮して麦わら帽子の子にでんきショックをしたのだ。
麦わら帽子の子は説得し始めたがピカチュウの興奮状態は収まらなかった。
(麦わら帽子の子も心配だけど・・・周囲を半包囲されたか・・・ジムリーダーの手先だな。)
麦わら帽子の子にジムリーダーが接触し、会話しているが、これ以上近づくと気がつかれてしまうので遠くから見ていることしかできなかった。
少しするとジムリーダーの手先がジムリーダーに大声で報告したので私にも聞き取ることができた。
それはタマムシ西郊外でレッド君らしき人影が目撃されたとの情報だった。
麦わら帽子の子とピカチュウが移動するのを見た私は遠巻きに後を追った。
【タマムシ西郊外】
私がレッド君らしき人物を見たときにはジムリーダーの頭を踏みつけ、ピカチュウの耳を引っ張っているところだった。
(・・・偽物か。)
瞬時に判断した私はボールからうなぎとポリゴン2、ケダマを出して戦闘体制に入った。
レッド君の偽物は大声で自分は理科系男だと叫び、変装を解くと町の方向に逃げ出した。
(・・・バカだな。確かに町から逃げるのも策だが、逃走要員が見た感じいなかったな。)
私は理科系男にダメ出しを心の中ですると麦わら帽子の子を追いかけるのだった。
【タマムシシティ中心部のビル】
私はビルに登り、高いところから様子を見ていた。
(ジムリーダーの指示は的確だな。流石タマムシの名家出身のエリートさんだ。町の封鎖と援軍がもう来たよ。・・・麦わら帽子の子は危なくなってきたな。)
そう思った直後に麦わら帽子の子に理科系男のポケモンが直接攻撃をし、骨が数本折れる音がしたため、私はビルから飛び降りた。
(・・・流石にそろそろイラついてきたな。自分は安全なところでポケモンに指示をだして戦うのはムカつくな。戦争ならまだしもな~。)
しかし、私が動く前にピカチュウが理科系男の止めをさした。
援軍として合流していたジムリーダー4人は麦わら帽子の子の近くに行き、体調を見ている。
私はすぐに方向を変え、ビルの影に隠れた。
ビルの影に隠れると、理科系男がゴーストに操られて宙に浮いていた。
私は
「ケダマ、かえんほうしゃ。」
と呟き、ゴーストの核を燃やし、再起不能にさせた。
「誰だ!!」
ジムリーダーの1人が私の方を向いて叫ぶが、私はすぐにこの場を離れようとした。
しかし、私がいるビルの裏から
「逃がさない!!」
と少年が出てきた。
「チィ、グリーン君か・・・。」
一瞬の隙をつかれジムリーダー達とグリーン君、麦わら帽子の子に包囲されるヤマメだった。