【ラーイグラード】
ウォルター君をラーイグラードの上空から見せると驚いていた。
(まぁこんな辺境に大農園があれば驚くか。)
ちなみに工場群があるのだが、工房のように山の内部がくりぬかれ、内部に作られているため、カモフラージュされている。
工場のから出る汚染物質は律が計算し、最小に抑えていた。
家に到着すると小傘が出迎えてくれた。
「主、お疲れ様です。おや?この子は。」
私は雨咲にも一緒に説明するから呼んできてと小傘に伝え、リビングでウォルター君と座って待機した。
〔5分後〕
雨咲はどうやら工房で重機を作っていたようだ。
雨咲と小傘がテーブルを挟んだ前に座り、ウォルター君は私の横に座りサカキさんから言われたことを全て話した。
「う~ん。お姉ちゃんとサカキさんのことはわかったけど、ウォルター君はどうしたいのかな?」
「・・・力が欲しいです。」
「どんな?」
「・・・」
そこでウォルター君は黙ってしまった。
「力をつけることでどうしたいか決まるまでは私達の監視下で過ごすことになるけどいい?」
「・・・はい。」
ウォルター君はゆっくりとうなずいた。
(・・・身につけた力を何に使うかは重要じゃないんだよな~。使った後に後悔しないかが重要なんだよな~。)
平安時代から生き残り、幻想郷をこえ、前の世界で自身のことを考えた末の持論がヤマメにはあった。
見方によっては冷徹だが、使い方の問題でもある。
こうしてウォルター君・・・いや、ウォルターが仲間に加わった。
〔翌日〕
「ウォルターの強化訓練を始めま~す!!」
「・・・。」
ウォルターはなぜか冷や汗をかいていた。
後ろでポケモン達の集団戦闘訓練がおこなわれており、はかいこうせんや、かみなり、れいとうビームが飛び交っていたのだ。
当たったら普通の人間のウォルター君は死んでしまうので強化服を着せているが、焼け石に水である。
「さぁ頑張りましょうか。」
ウォルターはその後1年間地獄のような特訓が続けられた・・・。
〔1年後〕
「ウォルターお疲れ様でした。そろそろポケモンを捕まえて育てよっか~。」
細身だったウォルターも訓練で密度の高い筋肉と私の糸を指で操り、物体を切り裂いたり、遠くの物を取り寄せたりして執事のような立場になっていた。
もちろん雨咲と一緒に戦術論と料理も教えたので色々と使えるが・・・。
1年間でラーイグラードで変化したことは重機と大砲が配置されたことだった。
農業効率が上がり、ポケモン達の時間ができたのでさらに重機や、大砲の訓練時間が増えてさらに効率が上がり、大砲の命中精度が上がったことと、ワンリキーとゴーリキーを10匹ずつ捕まえて労働力が増加したことがあげられる。
私とウォルター、休憩中だった雨咲を連れて私達はトキワの森に移動するのだった。