魔法少女リリカルなのは~白い冥王の妹、天翼の朱里~   作:天翼

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第9話

 

 

 

 フェイト

 

 

 

 私達は強制発動させたジュエルシードを封印する為にチームを分けて行動しています。私はレヴィと一緒で、アルフといづなが一緒です。シュテルは時計台から動いていません。一度では強制発動しないものもあるみたいですし、砲撃支援をしてくれるそうです。あと、恥ずかしげに飛べないといっていたのも理由ですね。

 

「お姉ちゃん、見つけたよー!」

「さくっと封印しよう」

「うん♪ 封印剣~」

 

 レヴィが光の柱の中からジュエルシードを見つけ、封印しました。これで今日、8個封印しました。残りはあの白い魔導師、なのはが持っている分と、海鳴温泉にある奴だけらしい。つまり、私達の手元には17個のジュエルシードがある。

 

「じゃあ、帰ろっか」

「だね~」

「待てっ!!」

「う?」

「鬱陶しいのが……」

 

 私達に声をかけてきたのは白髪の髪の毛を長くし、弓を持った少年をはじめとした前回の人達でした。私はインカムで連絡を入れます。

 

「敵性体とエンゲージしました」

『了解しました。ジュエルシードは?』

「回収したよ」

『では、撤退支援を開始します。こちらに合流してください』

「了解」

「おい、聞いてるのか!」

「レヴィ、行くよ」

「おっけー」

「くっ、話を……」

「べーだ!」

 

 レヴィが懐から取り出した丸い物のスイッチを押して、相手に投げつけます。私とレヴィは直ぐに眼を手で覆って瞑り準備します。激しい閃光を発している間に準備していた魔法を発動して急いで地上から隠れて逃げます。相手は私達とは別の方向へと向かっていきます。

 今回使ったのはスタングレネードという物と、フェイク・シルエットです。これで違う方向に空を飛んで逃げて貰っています。

 

「こちらレヴィ! 目標は予定通りの位置に向かってるよ! シュテるん、どーんってやっちゃってよ!」

『シュテるん……まあ、いいでしょう。任せてください』

「いいんだ。こちらは歩いて向かいますね」

『気を付けてください』

「はい、ありがとうございます」

 

 シュテルさんに任せて行きましょう。

 

 

 市役所へ向かっていると頭上を巨大な光線が通過していきました。そして光線は私の幻影を負う三人の背後から迫っていき、シルエットもろとも呑み込み爆発しました。後には巨大なクレーターが存在しています。そのクレーターの一部が海と繋がって海水が流入していきます。

 

「う~?」

「非殺傷設定、されてない……?」

 

 結界内だからこそ元に戻ると思うけど、これは酷い火力です。

 

「死んじゃった? 死んじゃった?」

『ちっ、まだです。逃げられました。あと少しで殺せたのですが……』

 

 シュテル、殺す気満々だった。でも、生き残ったんだ凄い。そう思ったらなんだかまわりの風景が変わっていって空には歯車が出て、沢山の剣が刺さった丘になった。

 

「くそっ、なんでだ! なんでカーバンクルが効かないんだ!」

「魔法ではないという事なのだろう。それよりも感謝しろよ。俺が固有結界を展開しなければ死んでいたぞ」

「ああ、感謝してやる。それに子猫を見つけられた」

「お姉ちゃん、逃げないと!」

「っ!?」

「逃すとでもーー」

「逃げられないとでも思ってやがる、ですか」

「ぶべぇぇぇぇっ!?」

 

 金髪の人が凄い速さで飛んできたいづなちゃんに顔を蹴られて回転しなが吹き飛んで行きました。

 

「雑種如きが、よくも我の顔に……」

「いづなかよ!?」

「ノーゲーム・ノーライフだと」

「いづなを知ってやがるですか、ならここで会ったが百年目。容赦しねー、ぶっ壊してやるぞ、です」

 

 髪の毛が赤くなり、身体中に赤い文様が浮かび上がっています。そして次の瞬間には衝撃波を残して残りの二人へと突撃していました。

 

「うはっ、カッコイイっ!!」

「えっと、えっと、どうすればいいのかな?」

「ちっ、そいつの相手は任せるぞ」

「お、おい!」

「俺は約定通りにフェイトをやらせてもらう」

「わかったよ、はやての時は頼むぞ!」

「わかっている」

 

 長刀の人がいづなの方へ向かい、白髪の弓使いがこちらに向かってきます。私達は急いで戦闘準備をする。

 

「レヴィ、相手は弓使い。速度と数で翻弄するよ」

「任せて!」

「フェイク・シルエット」

「多重影分身!」

 

 沢山の私とレヴィは一斉に攻撃をしかけます。

 

「おお、なんて幸せ光景が……」

「「「プラズマランサー」」」

「「「電刃衝(でんじんしょう)」」」

「ぐっ!? なんて数なんだっ!」

「戦いは数ですから」

「その通り!」

 

 しかし、彼は花弁のような盾を展開して防いでしまいます。仕方ないのでみんなで走り回って次の準備です。

 

「集え、雷光!」

「幾千幾万幾億と重なりて」

 

 詠唱しながら立体的に魔法陣を描いていきます。この技術はメディアさんやはやてに教えて貰いました。

 

「ボクとお姉ちゃんの敵を討ち滅ぼす槍となるんだ!」

「祖は雷神の力を受けし者」

 

 私とレヴィは上空で右手と左手を握り合い、空いている手を空へと向けます。

 

「「何人たりとも逃れられない」」

「なにっ!!」

 

 立体魔法陣から伸びる無数の鎖が少年を囲い込み、封じ込める。ただ動き回るだけじゃなく、魔法陣を書いていました。巨大な魔法陣を描くのは時間がかかりますが、私達の魔力で作られた分身体自身が筆の変わりになってくれます。

 

「凄くて強い極大魔法だよ!」

「私達姉妹の合体技!」

 

 上空に膨大な量の雷が生成され、圧縮されてひとつの槍へと変わります。

 

「「雷神の鉄槌(トールハンマー)エターナルサンダーレイジ!!」」

「そこは揃えようよ! トールハンマーにするって言ってたよね!」

「てへ♪」

「もう、レヴィ!」

 

 放たれたトールハンマー? エターナルサンダーレイジ? 彼を押しつぶし、そのまま地下深くへと雷の塊がまわりをプラズマ化させながら突き進んでいきます。

 

「生きてるかな~?」

「非殺傷設定だから、生きてるよ……たぶん。それよりも逃げるよ。これを耐えられたらもう無理だから」

「ジュエルシードから魔力を貰ってこれだからね。戦略的撤退だ~~~」

「うん。でも、その前にアルフやいづなを迎えに行こう。シュテルは大丈夫だろうし」

「おっけ~~」

 

 直ぐに空を飛んでいづなちゃんのところへと向かいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いづな

 

 

 

 

 いづなをボコボコにしてくれた奴らに復讐してやる機会が来たぞ。まずはこいつからぶっ殺してやる、です。

 

「ふははははは、あたねーぞ、あたらねーぞ、です!」

「くそっ、早すぎる! 来い、オーディン!」

「あ?」

 

 馬にまたがった巨大な鎧男が大剣を空中に居るいづなに向けて斬りかかってきやがる、です。でも、空中を蹴って方向転換して思いっきり剣をぶん殴ってやる。すると無茶苦茶手が痛くなりやがったです。

 

「解析しやがれ、です」

「あ?」

 《構造解析完了。対策を構築……構築完了》

 

 マスターである朱里と繋がってやがるから、こんな事もできるぞ、です。

 

 《展開・偽典振動破砕》

「砕けろ、です」

 

 剣を触れた指がなんの抵抗もなく、すんなりと入って握り潰すと剣が粉々なりやがったです。

 

「嘘だろ、斬鉄剣だぞ!」

「はっ、たかが鉄を斬る剣でいづなを殺ろうだなんて甘えんじゃねえ、です」

 

 高速で近づいて鎧をぶん殴って粉砕してやるです。

 

「くそっ、いづなが相手なら……来いシヴァ!」

 

 クソでかい青い女が現れたと思ったら一気に周りが寒くなりやがった、です。

 

「うぅ~寒いのは苦手だぞ、です」

「知っている。これで終わりだろう。氷漬けにしろ、シヴァ」

 

 氷の吹雪が周りごといづなを凍らせようとしやがるですが、あめえです。

 《解析……構築》

 

「さみーからあったかくしてやる、です」

 

 マスターの真似をして、片手を振るって異空間倉庫から昨日拝借してきた奴をばら撒いてやる、です。

 

「馬鹿な、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)だと! いや、それ以前になんでミサイル!?」

 

 ミサイルとかいうのを所かまわず射出してやると、大量の炎がそこらじゅうで上がって暖かくなったぞ、です。

 

「楽しいぞ、です!」

「ナパーム弾をばら撒くな!」

「知るか、です」

「ぐっ、こうなったらグラビデ」

「ちっ」

 

 あいつに近づきかけた所を直ぐに空中を蹴って離脱すると、さっきまでいたところが何かいやな感じになりやがったです。

 

「アルテマ」

 

 次の魔法は空間そのものが捻れて黒い球体になりやがった、です。

 

「ぐっ!?」

 

 展開速度が早く、回避が間に合わず指先が少し触れやがったら、腕まで浸蝕して消滅していきやがる、です。仕方ないので腕をちぎって廃棄して、ことなきをえた、です。

 

「いづな~大丈夫?」

「凄い怪我を……」

「こんなのつばつけとけば生えてくる、です」

「そうなんだ!」

「いや、無理だからね?」

『そうですね。帰ってきなさい。面白い攻撃を受けて生きていてくれました。感謝しますよ、いづな。今すぐ戻って治療を受けてください。私もすぐに蹴散らして帰りますから』

「ちっ、しゃあねえ、です」

「じゃあ、帰ろう」

「くそっ、逃がすかっ!!」

「覚えてやがれ、です。次はその命を頂くぞ」

「ふふふふ、ですを忘れてるよー?」

「うっせー、です」

「転送」

 

 金髪の転送で色々な世界を回ってから庭園とかいうのに帰った、です。そこで裸に剥かれて何かのガラスに入れられて水に漬けられた、です。くそむかつくが、勘弁してやる、です。だから、力をもっとよこしやがれ、です。

 

 

 

 

 

 シュテル(朱里)

 

 

 

 

 

「ふむ。フェイト達は勝利し、いづなは負けましたか。しかし、これはこれで問題ありません。本来の目的は既に達成しているのですから。いわばエクストラステージという奴ですしね。さて、貴方はどう足掻きますか、英雄王の力を持つ仮初の存在よ」

「ぐっ、貴様っ!! 王を足蹴にするとは不敬であるぞ!」

 

 私は金髪の少年を足で踏みつけています。戦闘ですか? そんなものはすぐに終わってアルフがおろおろしているくらいです。そもそも、吹き飛ばしたあと追撃しましたし、罠も発動させました。設置型のトラップである空間機雷は不可視であり、威力もそれなりに高くて非常に便利です。メディアさんに教えてもらいましたが、高機動タイプ、ライダーには特に有効です。

 

「そういう言葉は汚らわしくおっ立てた物を沈めてからにしてください。なんですか、消し飛ばして欲しいんですか」

「や、やめろっ、それはやめてくれ!」

「ここですか、ここですか?」

 

 その辺に転がっていた鉄パイプでぐりぐりとしてやります。するとなんだか変な声を発し出しました。

 

「よし、潰しましょう」

「やめよ! いや、やめてくださいっ!!」

「却下と言いたいところですが、そうですね……彼方の財宝を頂きましょう。拒否すれば即座に潰します。鬱陶しいですから、さっさとしてくださいね?」

「くっ、わかった……」

 

 開かれた場所に手を入れて奪える財宝を奪います。奪ったのはカドケウスの杖や禁断の魔法書に加えて薬です。こちらの薬は根こそぎ奪いました。

 

「時間もないので開放してあげましょう。これを飲んでくれたらですが」

「え? 待て、それは……」

「ふふふ、あなたも男の汚らわしさを体験し、自らの行いを悔い改めるがいいのです」

「やめろ、やめてくれっ、それだけは……それだけは……」

「安心してください。全て私が頂いていきますので、薬で戻る事はできないでしょう」

「なななななっ、じょ、冗談だよな? な?」

「本気です」

「や、やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 薬を無理矢理に飲ませてあげます。直ぐに少年の身体は変化していきました。身体が変化する激痛で気絶してしまいました。あとには白目をむいた彼だったものがあります。なので、写真を取っておきます。

 

「シュテル、大丈夫だった?」

「ええ、こちらは問題ありません。アルフもいましたしね」

「いや、何もしてないから」

「そうなんだ」

「ああ、いづなには置いていかれるし、踏んだり蹴ったりだよ」

「おせーのがわりー、です」

「おまえが速過ぎるんだよ!」

「まあ、ミッションコンプリートなのですから撤退しますよ」

「だね。お菓子がボク達を待っているんだ!」

「その人はどうするの?」

「放置です。外傷はありませんから」

「う、うん、わかった」

 

 さて帰りましょう。はやてやなのは達が待っています。なのはは家ですけどね。しかし、テスト結果が楽しみです。なのは、お姉ちゃんにもご褒美を用意しないといけませんね。

 

 

 自宅に帰った私は少し困った事になっていました。

 

「はやて、何をしてくれたんですか」

「洗濯や」

「だからといって、何故私の服を全部洗っているんですか」

「やーどうせやから朱里ちゃんの姿で着せ替えして遊んでたんや」

「もういいです。なのはの服を着ればいいだけですし」

「なんや、スクライドのかなみちゃんみたいやね。その格好も似合ってるで」

「ありがとうございます。ですが、後ろから見たら私となのはは見分けがつけにくいんでせめて服は別にしていました」

「あ~リボンとかで判断するしかないやろうな」

「はい。それとはやて」

「なんや?」

「あとで着せ替え人形になってもらいましょうか」

「え? まじで?」

「まじです。安心してください。ここにある服は全てお母様から教えて貰って私が作った自作の品です。なのはの分も作っているので経験値は十分です。とびっきり可愛い服を作ってあげましょう」

「や、やめてや、うそやろ?」

 

 冷や汗をだらだらと流しているはやてにとどめの一言を行って差し上げましょう。

 

「安心してください」

「ほっ。なら……」

「メディアさん達八神家の人とフェイト達テスタロッサ家の人達とファッションショーをします」

「どこが安心すんねん!!」

「私が評価をしてもらって安心できます。誰もはやてが安心するなんて一言も言っていません」

「鬼、悪魔っ」

「鬼や悪魔の姿がいいんですね。作ってあげましょう」

「いや、違うって」

「ああ、それとはやて」

「な、なんや?」

「私はサディストですから」

「知ってるわ! むしろドSやろ!」

「そうですか。では、納得して頂いたところでたっぷりと弄ってあげましょう」

「え、遠慮するわ」

「遠慮なんてしなくていいですよ。私とはやての仲じゃないですか」

「くっ、こうなったら私も作ってやるで! 死なばもろともや!」

「面白い。どちらが良い品を作るか勝負です。もうすぐ冬ですからそちらで決着をつけましょう」

「望むところや」

 

 そんな事をしていると狐モードになったいづなが、腹減ったから何か食わせろと言ってきたので餌を作ってあげます。

 

「何作るんや?」

「神戸牛のハンバーグです」

「ええな」

「キロ単位でありますから持って帰りますか?」

「なんであるん?」

「暇つぶしで作った置物などをオークションに出したら予想以上に高く売れましたので。なので、買ってくれた方が働いているところの商品を購入しました。明日には果物なども届きますし、ジュエルシード事件が終われば打ち上げをしましょう」

「せやな。まあ、私は何もしてへんけど」

「いいえ、はやては居てくれるだけでも私が安心します、力になってくれています」

「もう、いややわ照れるやん。って、何撮ってんねん!」

「照れたはやての顔です」

「自分も真っ赤やで」

「はい、恥ずかしかったです。くさかったですね。こちらも消すので、そちらも消してください」

「しゃあないな~」

 

 もちろん、こっそり保存しています。あちらも同じ事をしているでしょう。

 

「「ふふふふふ」」

 

 私とはやてはお友達です。ええ、お友達です。気が置ける時と気が置けない時がある親友であり、兄弟弟子です。

 

 

 

 

 


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