魔法少女リリカルなのは~白い冥王の妹、天翼の朱里~ 作:天翼
お風呂から上がり、夕食の準備を二人でしているとお姉様がお兄様と一緒にリビングへとやってきました。
「ただいま」
「いい匂いだね。カレー?」
「そうです。中華風ですので少し辛めです」
「なのは達は大丈夫なの?」
「だ、大丈夫なの!」
「では、私はハチミツを入れましょう」
「ずるいの!」
味覚は子供のままですからね。辛いものはあまり食べれません。
「なあ、この狐はなんだ?」
「可愛い子だね」
「捨てられる所を見つけて引き取りました」
嘘は言っていません。シュテルが捨て、私が拾っただけです。ええ、そういうことにしておきます。
「なのはに続いて朱里までもか」
「いいじゃない。この子も可愛いし。名前はつけたの?」
「はい。いづなという名前にしようと思っています」
「いづなちゃんか、よしよし」
「父さん達には朱里がしっかりと説明するんだぞ」
「もちろんです」
テーブルに料理を用意して皆で食べ始めます。ユーノといづなにはドックフードを与えておきます。これはユーノ用に買ってきた奴です。ちなみにお父様達はまだお仕事中ですね。お兄様達と交代で食事をしています。
お兄様達と食事を終えたら洗い物をしてお母様達の食事を用意します。お兄様達はお母さんと交代しに行きました。
「ただいま。その子が恭也達が言っていた子だね」
「可愛い狐さんね。でも、神社の子じゃないのよね?」
「神社にも狐がいたんですね。明日にでも確認してみます」
「そうした方がいいでしょうね。飼うことについてはしっかりと世話をするなら構わないわよ」
「分かりました」
お母様達の許可も貰えたのでいづなを飼うことには問題ありませんね。それから私となのはお母様達と一緒にデザートを食べ、歯を磨いてから部屋に戻ります。
「なのは宿題は大丈夫ですか?」
「あっ!? て、手伝って!」
「仕方ありませんね」
「じゃあ、国語と社会をお願いするの! 算数と理科はなのはがやるからね」
「……」
「な、なにかな……?」
「言わなくてはいけませんか? なのはがそういうなら言ってあげましょう」
「うっ、やっぱりいいの……」
「よろしい。こちらは私がやっておきましょう」
「うぅ~~」
算数と理科の宿題をなのはから奪い取り、さっさと終わらせに掛かります。なのはは苦手な国語と社会に取り掛かります。
私は20分で自分の分も含めて全てを終わらせましたが、なのはまだ唸っています。なので私はいづなの寝床を用意しましょう。
「あっ、そうだ」
「どうしましたか?」
「なっ、なんでもないの」
なのはがユーノを膝の上に乗せて宿題をしようとした所で私はユーノを首根っこを掴んで取り上げます。
「これは預かっておきます」
「うにゃ!? 秘密兵器がっ!!」
「何を言っているんですか。それよりもさっさと終わらせてください」
ガタガタと震えるユーノを鍵つきのバスケットに入れて閉じ込め、その上から布をかぶせます。息はできるでしょうが、姿を見ることはできません。
「うぅ~」
「頑張ってください、姉さん」
「ずるいの、ずるいの。そう言われたら頑張るしかないの……」
なのはは私の姉として頑張ろうとしていますから、姉さんと呼んであげると大抵のことは頑張ってくれます。そんな姉さんに私は姉さんの分と自分の分の紅茶を用意してあげます。ちなみに私達の部屋にはティーセットとポットが用意してあります。水はペットボトルで置いています。紅茶は淹れたてがいいですからね。蒸らす時間も必要です、水の廃棄場所もあります。いっそ、ユーノに飲ませますか。いえ、流石に可哀想ですね。いくら淫獣とはいえまだ未遂ですし。それとハーブも家で育てています。ええ、テイルズのアレだと思って飲んでいます。効果は知りませんが。
「なのは、紅茶です。砂糖とミルクは入れておきました」
「ありがとうなの」
なのはが頑張っている横で椅子に座りながら膝にいづなを乗せて撫でながら読書を始めます。
しばらくするとなのは助けを求めて来ました。一時間ほどひとりで頑張ったのでよしとしましょう。
「朱里、お願いなの……」
「では教えていきましょう」
なのはに覚え方や解き方などを教えながら答えを書いていって貰います。そんな事をしていれば夜九時となり、寝る時間となりました。
「さあ、寝る時間ですね」
「うん」
いづなを寝床に戻し、二人で服を脱いで裸でベッドに入り、布団を被ります。
「あったかいの」
「そうですね」
お互いに顔を突き合わせるように抱きしめ合うと肌の温もりや感触がとても気持ちいいです。なんだか安心しますしぐっすりと眠れそうです。やはり双子ということが関係あるのでしょうか?
翌日、扉の開く音で目を開くとお姉様が入ってきました。
「珍しく遅かったから起こしに来たんだけど……」
「おはようございます。寝過ごしてしまいました」
「朱里っ、なんて格好を……!」
「んにゃぁ……もう朝?」
「なのはまで……妹達がいけない道に……どうしよう!」
「別に問題はないですよ。私達は二人で一人なんですから」
「それはそうよね……って、何を知ってるのよ! いや、でも朱里はいっぱい本を読んでるし……」
「それに安心できますから」
「お姉ちゃん、おはよう」
「なのは、なんで裸で寝てるの?」
「その方が気持ちいいから……」
「風邪をひくからやめなさい」
「「は~い」」
二人で返事をしてから着替え、朝食を家族みんなで食べます。食事を終えたらなのはとお兄様、お姉様は学校へ。お父様とお母様はお店へ向かいます。私もいづなを連れて八神家へと向かいます。部屋を漁られたりつけられても困るのでユーノは監禁しておきます。念の為、エクスマキナの固有空間に有った監視装置を起動させて向かいます。傍目からは音楽を聴いているようにしか見えませんが、まわりを全て監視できます。
八神家へと向かう途中、監視装置に反応があって誰かに付けられている事が分かりました。といってもどうしようもありません。私は一般人ですからそのまま人通りの多い道を選び、人混みに塗れて適当な店へと入ります。そこでトイレに入り、窓からこっそりと出ます。子供の私なら簡単に抜け出せます。
人を撒いたので少し遅れて八神家に到着しました。勝手に入る事を許されている私は鍵を開けて中に入りました。そこでは魔女同士の怖い会話が行われていたのです。
そう、方や神代の大魔術師メディアと大魔導師プレシア・テスタロッサがお互いに殺気を出しながらーー
「うちのはやての方が可愛いわ」
「いいえ、うちのフェイトとレヴィよ!」
ーー娘の自慢対決をしていました。仕事してください、原作さん。この二人が相手では無理でしょうが。