魔法少女リリカルなのは~白い冥王の妹、天翼の朱里~   作:天翼

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第5話

 

 

 

 気絶した子狐を連れ、近くの公衆トイレで着替えます。服を脱いだ後、機械の両手と機械の両足を元の小さくて細い手足へと元に戻します。幸い、元に戻らないという事はなく両手と両足は組み替えられるようにして元の状態になりました。試しに軽く動かしてみますが、多少の違和感がありましたが問題はありませんでした。

 

「っと、急いで帰らなければいけませんね。何時なのはが帰って来るかわかりませんからね」

 

 手提げ鞄をポシェットから取り出し、その中に子狐を入れてから外に出て帰宅していきます。

 

「っ!?」

 

 家に向かって歩いている途中、身体が急激にだるくなり私は壁に手をついて身体を支える事で転倒を免れました。

 

「脈拍が異常に早く、動悸が収まりませんね……それに手足の痺れが……」

 

 両手を見ると一瞬だけぼやけて機械の腕が見えました。これはまだエクスマキナの力に慣れていないのか、それとも浸蝕と見るべきか悩みますね。いえ、それ以前に霊骸のせいかも知れません。

 諸刃の剣という事かも知れませんね。天翼種のフリューゲル化すれば問題はないのでしょうが……いえ、問題はありますね。戦闘特化しすぎになります。転移(シフト)は欲しいですけどね。そして何より人間でなくなる事です。

 

「ふぅ……どちらにしろこのまま進むしかないですね」

 

 なるようになるしかありません。幸い、身体の異常は直ぐに収まりました。これでしばらくは大丈夫でしょう。あとでメディアさんに調べて貰いましょう。

 帰路に着きながら携帯電話を取り出して八神家へと連絡します。

 

『八神です』

「メディアさん、朱里です」

 

 電話に出たのはメディアさんでした。話し方と声で少女モードだとわかります。

 

『朱里さんですね。どうしましたか?』

「実は診察とお願いがありまして……」

 

 私は先程起こった事とフェイト達の事を話しました。

 

『仕方ありませんね。これからは事前に連絡をくださいね』

「申し訳ございません。急ぎでしたので」

『いえ、構いませんよ。どうやらはやてや私をストーキングしている子達もいたようですし』

「ありがとうございます。彼女達が来たら連絡をください」

『分かりました。それと出来るだけ早く来てくださいね。もしかしたら、朱里さんの身体が危ないかも知れませんから。霊骸はかなり危険ですからね』

「はい。近いうちに必ず伺います」

『それでは身体には気をつけてください』

「ありがとうございます」

 

 電話を終える頃には自宅へと到着しました。幸い、なのははまだみたいで鍵が掛かっています。スカートのポケットから鍵を取り出して開けて中に入ります。スカートはもう慣れました。最初は嫌でしたが、お母様がズボンを用意してくれませんでした。寝巻きはズボンのもありますが、着ぐるみとかもあります。はい、私はお母様に調教されました。逆らう事は出来ません。怖すぎです。思い出しただけでも身体が震えだします。

 

「なのはが帰って来るまでに食事の用意ですね。それとこの子に餌をあげないといけませんか」

 

 籠に布を敷いてあげ、その中に入れてあげます。傷は直ぐに治してあげましょう。

 

「偽典・エリキシル」

 

 変態から手に入れた万能の霊薬を模倣した物を布に湿らせて少しずつあげます。するとみるみる傷が塞がっていきました。

 

「これは使えますね」

「きゅー?」

「おや、起きましたか。少し待っていてください」

 

 冷蔵庫からササミを取り出して解し、狐にエリキシルと一緒に与えていきます。狐は大人しく食べたり飲んだりしていくので、私は優しく撫でてあげます。すると眠ってしまいました。

 

「寝ちゃいましたね。今の間にご飯とデザートを作りましょう」

 

 台所に移動して料理を開始します。まず事前に作っておいたおやつがちゃんと出来ているかを確認します。デザートは事前に作っておいたプリンにキウイやアイスなどを合わせたプリンアラモードです。これをみんなの用意しておきます。アイス以外の準備が整えばカレーライスを作ります。玉ねぎをみじん切りにして炒め、トマトなどを使った中華風カレーライスを作ります。ライスは卵の炒飯です。

 煮るだけの状態まで持って行くと玄関の扉が勢いよく開いて、どたどたと駆けてくる音が聞こえ、リビングの扉が開かれました。そこには予想通りなのはがいました。

 

「おかえりなさい、なのは。手洗いうがいをしてお風呂をお願いします」

「う、うん……って、そうじゃなくて!」

「どうしましたか?」

「朱里、だよね?」

「そうですよ? おかしななのはですね」

「うっ、なのははおかしくないもん……」

 

 不安そうにこちらを見てくるなのはに近づいて、抱きしめて慈しむように頭を撫でてあげます。すると涙目でこちらを見上げて来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 なのは

 

 

 

 

 

 

 シュテルと名乗った朱里にそっくりな女の子は怖いほど冷たい目でなのはを見たけれど、今の朱里は何時もの朱里で優しい目をしながらなのはを抱きしめて優しく撫でてくれるの。やっぱり、別人なのかな? 朱里が魔法を使えるはずなんてないし。

 

「あれ、あの狐さんは……」

「ああ、あの子は私とそっくりな人から託されました」

「え?」

 

 そ、それってあのシュテルって子だよね? やっぱり別人なのかな?

 

「なのはももしかして会ったんですか?」

「う、うん」

「そうですか。この世界には似た者が3人いるという話がありますから、なのはも気をつけてくださいね。死ぬかも知れません」

「ひっ!? そ、それってドッペルゲンガー?」

「そうです。なのは、もしかして危険な事をしているのですか?」

「え!? そ、それはその……」

「なのは、私に隠し事が通じるとでも?」

「うっ、うぅ……それはそのね……」

「まあ、いいでしょう。それよりも早くお風呂を入れてきてください」

「う、うん! あ、一緒に入ろ」

「ええ、いいですよ」

 

 ドッペルゲンガーとか怖いし、朱里と一緒なら大丈夫。それに何時も一緒に入って髪の毛とか洗ってもらっているし大丈夫なの。

 服を脱いで裸でお風呂の準備を整えると朱里が入ってきたの。もちろん、朱里も裸で。

 

「夕食までに上がりましょう」

「うん!」

 

 二人で洗いっ子して綺麗にしていくの。洗い終えると一緒に湯船に浸かるの。今日はシュテルの事ですごく不安になったので朱里に抱きつく。

 

「どうしたのですか?」

「えへへ、なんでもないよ」

 

 朱里のすべすべの身体にすりすりと身体を擦り付けると気持ちいいの。

 

「なのはは甘えんぼうですね」

「そんなことないもん」

「なら、離れて寝ますか?」

「やだ。一緒に寝るの」

「なら、いっそ裸で抱き合って寝ます? その方が直に温もりが……」

「いいと思うの!」

「じょ……いえ、構いませんか」

 

 今夜が楽しみなの。

 

 


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