魔法少女リリカルなのは~白い冥王の妹、天翼の朱里~   作:天翼

22 / 23
第22話

 

 

 

 まどろんでいると、私の下へと急激に力が流れこんできます。確認すると、それは魂と呼べる者でした。

 

「なんですかこれは……」

 

 送られてきた場所を確認すると、ある意味では当然でした。

 

「なんで宇宙戦争をやっているんですか……」

「あの……ここは……?」

「ああ、あなたは……どうせなら一緒に甦りませんか?」

「いいの?」

「ええ、問題ありません。過剰なエネルギーが集まっていますし」

 

 

 

 

 

 

 数時間前。最高評議会より立案された作戦により、管理局本局の全戦力の4割が投入される大規模作戦が開始された。無数の艦隊が地球を目指して侵攻する。彼等の目的はただ一つ。そう、災厄指定されているロストロギア、天翼種と機凱種の討伐である。

 

「だっ、大丈夫かな……クロノ君、艦長……」

 

 ただ一人、逃げることに成功したエイミィにより、伝えられた情報はすぐさま最高評議会に入り、遠征が決定した。

 太陽系に無数の艦隊が出現し、全てが地球へとアルカンシェルを向けて発射準備を行う。管理局の作戦は簡単だ。地球ごと確実に消し飛ばす。他次元世界を守るためならば星一つの犠牲など容認されるのだ。

 

「提督。発射準備は間もなく……」

「どうしたの?」

「前方に空間歪曲を確認!」

 

 大艦隊の前の空間が歪曲し、宇宙空間だというのに一人の翼が生えた美少女と機械でできた幼女が現れる。

 

『皆様、ようこそおいでくれました。この度はわざわざ生贄を寄越していただけるとは下等生物にしてはよくやりました。と、褒めてさしあげましょう』

『ん、命、の寄付……感、謝……』

『シュヴィ、システムの起動は?』

『完、了』

 

 シュヴィと呼ばれた機械の幼女の身体の中心部には永遠結晶エグザミアをもとにして作られた術式が刻まれていた。

 

『よろしい。それでは下等生物の魂を持って我等がマスターの再誕の儀を執り行いましょう。マスターの一部になれるのですから、感謝してください』

「撃てぇえええええええええええええぇぇぇぇっ!!!!」

 

 艦隊から一斉にアルカンシェルが放たれる。一撃で地球を破壊するほどの威力を持つアルカンシェルが無数に放たれる。しかし、その間を縫うかのように自在に飛ぶ二人は瞬く間に戦艦に接近する。

 

「あはっ♪」

 

 小さな手が戦艦の装甲に触れた瞬間にミシミシと握りつぶされ、更には戦艦そのものも圧縮されて爆発する。

 

「……む、だ……」

 

 もう一人の少女は戦艦に触れるとその支配権を奪い、同士討ちをさせていく。多数の艦が瞬く間に沈み、宇宙空間に爆発を巻き起こす。この戦場で……いや、狩場で行われたのはただの蹂躙である。そもそもが宇宙空間を自由に飛び回る小さな人間サイズの相手など、戦艦は想定していないのだ。ましてや、彼女達は戦艦を一瞬で沈められるだけの火力を持っている。

 

「とりあえず、これくらいでいいですか?」

「ん。や、る」

 

 すぐに残骸だらけになった場所で無数の魂が集められる。そして世界が軋みをあげるほどのエネルギーに変換されていく。そこから無数の死体を利用した人体錬成が行われていく。そして、生まれたのは金髪の一人の少女。背中には赤い魄翼がはためいている。そして、もう一人。

 

「……どうやら、復活できましたか……それにしても派手ですね」

「あははははは、そうだね」

「お迎えに上がりました。マイマスターとその他一名」

「ん」

 

 抱き着いてきたシュヴィとジブリールを朱里は優しく撫でていく。その隣で頬っぺたをかく金髪の少女アリシア。いや、アリシアの姿はユーリ・エーベルヴァインというべきか。

 

「地球へと戻りますよ。パーティが待っていますから」

「わかりました。いきましょうか、アリシア」

「おっけー」

 

 四人の少女達は消えて、地球にある一家へと戻ってきた。彼女達は暖かな家族へと迎え入れらる。しかし、そこには高町家はない。まずはテスタロッサ家と八神家だけで行うことにしたのだ。

 

 

 

 

 

 

「全、滅、だと!?」

「有り得ぬ! なぜだ!」

「計算では勝てるはずというのに!」

「こうなれば次の手段だ」

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。