魔法少女リリカルなのは~白い冥王の妹、天翼の朱里~   作:天翼

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復活までの番外編2

 

 衛宮邸のリビングでは話し合いが行われています。私は素知らぬ顔をしながら本を読みながらお茶を飲んでいます。

 

「で、アーチャーが衛宮君だって事は事実なの?」

「遠坂、そんな事あるはずないだろう」

「アーチャー?」

「凛、君はそのような事があると本当に思っているのかね?」

「そうよね、そのはず……」

「肯定も否定もしておらず、話を彼女の事に変えましたね」

「アーチャーっ!」

「くっ!」

 

 話を変えようとしたので、元に戻してあげました。すると思いっきり睨まれました。

 

「なあ、アイツが俺だってのは事実なのか?」

「事実です。彼は貴方が第五次聖杯戦争を終えて魔術師として歩み出した後、幾多の戦場を得て英雄となった姿です。そして、彼の願いは過去の自分、マスターを殺す事です」

「なっ!?」

「本当なの? 答えなさい、アーチャー!」

「断る。どうしてもというのならば、令呪を使うんだな」

「いいでしょう。令呪を持って命ずる。全てを話しなさい!」

「いいだろう」

 

 それから話されたこの第五次聖杯戦争の内容はマスターと赤い彼女には衝撃の事実だったのでしょう。私も元を知らねば驚いたでしょうね。

 

 

 さて、アーチャーへの詰問が終れば次は私の番のようですね。

 

「で、貴女はなんなの?」

「既に名乗りましたよ。それとも、もう忘れてしまったのですか?」

「んな訳ないでしょう! だいたい、本来なら衛宮君はセイバーのアーサー王を召喚していたんでしょ! それがなんで魔法少女なのよ!」

「アーサー王なら喧嘩を吹っ掛けられたので吸収しました」

「ちょっ!?」

「ええと、つまり?」

「食事中に襲われたので返り討ちにして、私の食料にしました」

 

 事実です、嘘は言っていません。どうせ抑止力から命令でもされたのでしょう。

 

「馬鹿な、彼女がそんな事をするはずは……」

「わかった……納得はできないのだけれど、今は置いておきましょう。それで、なんのクラスだって言ってたかしら?」

「魔法少女ですね」

「その前よ!」

「アルターエゴ、複合英霊とか言っていたな」

「そうです。私はとある天翼種の英雄(?)ジブリールと英雄(断言)のシュヴィ、二人の複合英霊になるのでしょう」

「聞いた事がないわね」

「当然です。この世界の英雄ではありませんから」

「ちょっ、そんな事があり得る訳……」

「有り得ない事こそあり得ませんよ。それより、聖杯戦争をどうするのですか? 私は私の目的の為にサーヴァントを狩りますが」

 

 聖杯を使えば蘇生が叶うかも知れません。それに佐々木さんとは会ってみたいですしね。あの斬撃能力、欲しいですから。夢のルシフェリオンブレイカー三発同時発射とか、素晴らしくありませんか?

 

「取り敢えず、聖杯はやばい物になっているのが分かっているんだから対策が必要ね。それと桜を変態から助け出さないと」

「そうだな。なあ、朱里も協力してくれないか?」

「構いませんよ。虫はキライですから焼却してあげましょう」

「後の問題はあのくされ神父ね」

「それはいい考えがあります。私に任せてください。英雄王を倒してご覧にいれましょう」

「それなら任せたわ。ギルガメッシュなんて相手もしたくないし……後はアインツベルンね」

「爺さんの娘なら助け出したいな。ましてや聖杯にされているなんて……でも、サーヴァントを倒すとまずいんじゃないか?」

「いや、それはそこのお嬢さんが居れば問題ないだろう。何せ英霊だろうと吸収できるのだからな」

「ええ、問題ありません」

 

 アサシン達の事も話、取り敢えず今日はお開きになりました。もう時間も遅いですしね。

 

「じゃあ、料理を作るか」

「手伝いましょう」

「出来るのか?」

「任せてください。お母さんのお手伝いはちゃんとしています」

「あんなおかしな実力でも小学生の女の子なのよね……」

「君も見習えばどうだね?」

「うるさい! だいたい、アンタはどうするのよ? 自分を殺す事が目的なんでしょ?」

「それは取り敢えず、保留しておこう。彼女を相手にするのは骨がおれ……いや、平気で見捨てそうだな」

「でしょうね。実際、令呪を使わなかったら殺されていたでしょう」

 

 そんな会話が行われていますが、ご飯が出来たので持っていきます。しかし、お母さんと呼ばれるだけあって料理の腕は凄いです。解析して自らのモノにしましょう。

 

 

 

 

 深夜。私は空を飛び、冬木の街全体に結界を展開しました。やる事は簡単です。上空でバリアジャケットを展開しています。

 

「集え、明星(あかぼし)全てを焼き消す炎となれ」

 

 星の地脈からエネルギーをたっぷりと吸い上げ、放つ収束砲の狙いは協会です。ギルガメッシュもろとも消し飛ばします。彼から欲しい物はありません。全て、持っていますから。

 

「ルシフェリオンブレイカー」

 

 膨大エネルギーを炎へと変換して収束して放つ、天撃。その一撃は地殻にもダメージを与えます。着弾した地点から円形に赤い光が溢れ出し、冬木を飲み込んでいきます。

 

「カードリッジロード」

『イエス、マイロード』

 

 ルシフェリオンに入れている弾丸に施された紋章の角数が消滅し、膨大エネルギーが一瞬でチャージされます。

 

「さあ、どこまで耐えますか? それとも、死んでしまいましたか?」

 

 非殺傷設定など使っておりませんし、ちゃんとマスター達が居る場所は計算して着弾場所も操作しました。

 

「どちらにしろ、追撃は必要ですね。典開・王の財宝」

 

 なんちゃって英雄王から貰った宝具に合わせて、機凱種が習得していた兵器群も一緒に放ちます。

 

 

 流石にやりすぎたのか、跡形もなくなりました。協会が有った場所には溶岩が見えるほど深くまでえぐれた地面があるだけでした。

 

「ふむ」

「やはりっ、きぃさまかぁあああああああああああああああああぁぁぁぁあぁぁぁっ!!」

「おや、生きていましたか。というか、こちらを認識しているのですね。流石は千里眼の持ち主」

 

 叫びながら船に乗って上がってきたのは上半身しかない、英雄王さんでした。千里眼で並行世界とか見れるみたいですが、この世界ではない別の世界から来た私はいわば、特異点です。故にちゃんと見る事もできないでしょう。

 

「ですが、見苦しいですね。さっさと死んでください」

「貴様っ、雑種の分際で俺を誰だと……」

「慢心して身を亡ぼす馬鹿な英雄王(わらい)さんです」

「許さん、許さんぞぉおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!」

「残念。神性を持つ時点で神殺したる私に勝ち目などありません」

 

 シフトで移動して、英雄王を蹴り飛ばして船は私が収納しておきます。

 

「ゲート・オブ・バビロン!」

 

 下から沢山の宝具を放ってきますが、勿体無いので全部拾って回収します。

 

「この盗人がぁぁっ!!」

「捨てた人が悪いのです」

 

 落下していく英雄王さんからプレゼントを貰った後、落下先に先回りしてルシフェリオンブレイカーをゼロ距離からプレゼントします。

 

「カードリッジロード」

『イエス、マイロード』

「轟熱滅砕(ごうねつめっさい)、真・ルシフェリオンブレイカー」

 

 吹き飛んだ英雄王さん相手に特大の10発チャージでプレゼントです。今度こそ、消し飛んだ英雄王さんの魂を吸収して使った分の消費を戻します。まあ、大部分が星のエネルギーなのですが。

 

「汚い花火でしたね……あっ、マーボウ神父のマーボウを食べるのを忘れていました。残念です。おや、流石に動きますか。では、会いに行きましょう」

 

 空を飛び、必死に逃げているはた目から見れば幼女誘拐班を背後から強襲します。装備はルシフェリオンクローで、ヴォルカニックブローを発動して炎を纏わせて殴ります。それと同時にヒートバレットを放って殺し続けます。同じ攻撃が効かなくても、多種多様な武装を使えば問題ありません。ましてや、先程手数は補充できました。

 

「やっちゃえバーサーカーっ!」

「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」

 

 令呪を使って無理矢理な体勢から私を殴り飛ばしてくれました。お蔭で1キロほど建物を巻き込んで吹き飛ばされてしまいました。

 

「ふん、どんな奴か知らないけれど、これで死んだわね。あれ、バーサーカー?」

 

 幼女を降ろしてこちらに武器を構えるバーサーカー。流石にわかりますか。

 

「失礼ですね。あの程度では死にませんよ」

「嘘でしょ、無傷なんて……」

「いえ、服が汚れてしまいました」

 

 砂煙の中から飛び出して彼女達の下へと出ます。

 

「さて、私のマスターの為にご同行願いましょうか、イリヤスフィール」

「っ!? 嫌よ! バーサーカー、今度こそ殺しちゃって!」

「残念です。では、頑張ってください。私を殺すには最低でも水爆の数倍の威力か、概念兵装が必要です」

 

 バーサーカー、ヘラクレスの一撃を片腕で受け止めて石の斧剣を粉砕します。そのまま殴ってくるバーサーカーの拳を小さな掌で受け止めて、逆にえぐるように掴んで持ち上げて地面に何度も叩きつけます。

 

「なによ、それ……バーサーカーが相手になってないなんて……ヘラクレスなのよ!」

「所詮は半分人間ですから。最低でも星を砕いてください」

 

 ルシフェリオンクローを体内へと突き刺し、内部からヒートバレットを発動して焼き尽くします。炎に対する耐性を習得したようですが、物理攻撃の前には意味がありません。

 

「やはり、セイバーとランサーとの戦闘経験は有用ですね。私に足りない物を補えました」

「くっ……こうなったら……」

「止めなさい。自殺したところで無駄な事ですよ。大人しくついてきなさい。大丈夫です、変態鬼畜外道なロリコンの下へと連れていくだけですから」

「嫌よ! 絶対に嫌!」

「残念ですね。では、彼から十二の試練が欲しいので吸収しましょうか……」

「わかった! 行くからやめて!」

「よろしい。では、こちらに……」

 

 そう言った瞬間、思いっきり頭を叩かれました。

 

「なにやってんのよ、この馬鹿娘っ!!」

「痛いです、凛」

 

 後ろを振り向くと、ひしゃげた鉄パイプをもつ凛と驚いているお兄さん。それと呆れている未来のお兄さんが居ました。

 

「遠坂、いくらなんでも鉄パイプは……」

「どうせきいちゃいないわよ」

「まあ、そうなんですが」

「まじか……魔法少女、やべぇ……」

「お兄ちゃんっ、助けて!」

 

 イリヤスフィールが何を思ったのか、お兄さんへと抱き着いて私から盾にします。

 

「おや、自分から変態鬼畜外道なロリコンマスターのところに行きましたか」

「え!?」

「違う! 濡れ衣だ!」

 

 イリヤスフィールもささっとお兄さんから離れました。

 

「濡れ衣ではありません。私はマスターが御所望でした幼女を捕まえにきただけですよ。身の安全の為に」

「シロウが変態だったなんてっ!?」

「違う!」

「必死に否定しているところが怪しいわね」

「なんでさっ!? 当然だろう!」

「まあ、あれです。元気を出してください」

「お前が原因だろ!」

「えっへん」

 

 胸を張って答えます。私、頑張りましたよ。一日でサーヴァント三体撃破です。

 

「カオスね」

「仕方あるまい。それよりもさっさと連れていったほうがいいのではないか?」

「それもそうね。アンタ達、とりあえず衛宮君の家に移動するわよ」

「ああ、そうだな」

「わかったから、バーサーカーを殺さないで」

「朱里」

「わかっていますよ」

 

 アムリタを突っ込んで飲ませた後、全員を集めてからシフトで移動します。転移は便利です。

 

「……本当、出鱈目ね」

「魔砲少女ですから」

 

 胸を張りながら答えます。

 

「イメージが崩れる……」

 

 それから、着替えた私は紅茶を入れてゆっくりとします。あちらの話会いはノータッチで。

 

「さて、私はお風呂に入って寝ますね」

「待った。一人で行くな」

「……他人の小学生と一緒にお風呂に入れとか、とんだ変態野郎ですね」

「シロウ……」

「衛宮君……流石にそれは……」

「違う! 一人にしたら何をしでかすかわからないから、誰かと一緒に行動してもらおうと思っただけだ!」

「失礼ですね。本当に寝ますよ、眠いんですから。小学生は寝ている時間ですよ?」

「いや、朱里がそれをいうなよ」

「じゃあ、私が一緒に入るわ。色々とお話もききたいしね」

「人の頭を鉄パイプで殴る人は遠慮しておきます」

「ちょっ!?」

「正論だな」

「アーチャー!?」

「じゃあ、私が一緒に入ってあげる。シロウのサーヴァントなら姉である私のサーヴァントでも間違いないし」

「仕方ないですね。お兄さんの性欲を受け止めて貰うのですから、いいでしょう」

「衛宮君……」

「違うっ、違うから!」

 

 イリヤと一緒に居間を出てからお風呂に入ります。といっても、イリヤの身体を私が洗うのですが。お嬢様であるイリヤは一人で洗えませんし。

 

「その、ありがとう」

「なにがですか?」

「私、聖杯にならなくていいんでしょ」

「当然です。サーヴァントの魂は私が美味しく頂きます」

「そっか。じゃあ、お願いがあるの」

「なんですか?」

「えっとね……」

 

 イリヤからの提案は問題ない内容でした。英雄王のアイテムと聖杯の泥を利用すれば問題ないでしょう。いえ、それ以前に依代を作るなど私には容易い事です。材料は確保すれば問題ありませんし。

 

「いいでしょう。代わりにマスターと結婚してください」

「え? 私達、兄弟だよ?」

「血の繋がりはないので問題ありません。これなら本当の家族になれますよ。それに私も襲われる心配がなくなります」

「襲われてもどうとでもできるくせに。まぁ、いっか。どうせ死ぬ命だったし、帰る気もないから……あっ、それだったらついでにアインツベルン、滅ぼしてくれる?」

「お安い御用ですよ」

「契約成立だね♪」

「ええ、お任せください」

「それじゃあ、先ずは既成事実を作るところから手伝ってよ」

「では、媚薬でも飲ませましょうか」

「他にも……」

 

 イリヤと楽しい悪だくみをしていきます。翌日、凛の悲鳴が聞こえてお兄さんの部屋に行くと、そこには裸で抱き合って眠っているイリヤと、お兄さんが居ました。布団には血痕や様々な体液が……

 

「子供がみていいもんじゃないわっ!」

「あっ」

 

 凛に抱きしめられて目隠しされました。それから、凛のののしる言葉に起きたお兄さんは現状を確認して、慌てていました。

 

「なんでさっ!? なんでさっ!?」

「うるさい、シロウ……」

「イリヤ、すぐにその変態から離れなさい!」

「大丈夫よ、凛。だって、ちゃんと責任は取って貰うから」

「待て待て、俺は知らないっ」

「酷いっ、昨日は嫌がる私の身体を散々獣のように貪ったのに!」

「さいてーですね」

「さいてーね。死ねばいいのに」

「いや、本当に知らないんだって! たしか、夕べは朱里から渡された飲み物を飲んで……まさか!?」

「私が渡した水は普通の水道水ですよ」

 

 水は本当にそうです。ただ、器は違いますけどね。そちらは細工済みです。

 

「責任とってくれないなら、バーサーカー!」

 

 庭からゆっくりとこちらに歩いてくるバーサーカー。

 

「わかった、わかったから!」

 

 私とイリヤはにやりと笑いました。これで被害者が少なくなりますね。

 

「あの、先輩……あれ、姉さん?」

「さくら……?」

「なんでここに……? 先輩……」

 

 荷物を落とす音が聞こえ、涙を流しながら走り去っていく音が聞こえます。

 

「アーチャーっ!」

「ああ」

 

 未来のお兄さんが動いて、直ぐに人が倒れるような音がしました。

 

「さくらを確保したわ。これでいいのよね?」

「ええ、もちろんです」

「じゃあ、さっさと移動するわよ。変態は置いて」

「そうですね、そうしましょう」

「待ってくれっ!」

「駄目よ、シロウ。シロウは私と一緒に昨日の続きをするんだから」

「ちょっ、なんでさっ!?」

 

 お幸せに、二人共。

 

 

 

 

 

 




一つだけ言っておきます。槍兄貴もアルトリアも好きです。ですが、それはそれです。
英雄王はロリ女バージョンなら好きかな。男版はあまり。イリヤ? 大好きです。

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