やはり俺がデュエリストなのはまちがっている。   作:sewashi

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前回色々とミスをして少し落ち込んでしまいましたが、くじけない!
由比ヶ浜と材木座登場!


6話

雪ノ下とのデュエルに引き分けという結果に終わり、レッド寮に戻ろうとすると……

「見ていたぞ、比企谷八幡!」

ラーイエローの制服を来た一人の男が現れた。

俺は無視して行く。

「ちょっ!? 待って!? いや、待てぇい!」

「……なんの用だ? ……材木座」

ラーイエロー2年。材木座義輝。去年まではオシリスレッドの制服を来ていた俺の元ルームメイト……ちなみに現在、オシリスレッド寮の俺の部屋は三人部屋だったが、材木座がラーイエローへ行き、もう一人の万年落第生は去年やっと卒業したので、現在俺一人。ラッキー☆

そんな奴が俺の元へ現れた。

「お主のデュエル、見させてもらった。あれほどの実力。予想外であったぞ!」

「別にいいだろ、お前には関係ない」

「去年、デュエルをあれほど嫌がっていたクセにどういう心境の変化だ?」

「部活を辞めたかったんだが、辞める条件がデュエルで勝つことだっただけだ。もうやらん」

「ふん、だがここはデュエル・アカデミア! デュエルはどうあっても避けられん運命だ! ……というわけで我とデュエルだ! 比企谷八幡!」

「断る」

「なぜだ!?」

――当然だ。ようやく雪ノ下とのデュエルが終わった所なのに、これから材木座の相手なんてできるか……

「ぬぐぐ、そんなに我とのデュエルは嫌か?」

「当然だな……まぁ、雪ノ下とも暫くデュエルはしないだろうが……」

そもそも俺がデュエル・アカデミアに居ながらもデュエルをほとんどしないのには別の理由がある。それは――

 

(ボッチィー! ボッチボッチ!)

 

――入学試験当日の交通事故の後、こんな幻覚が見えるようになってしまったからだ……

今、俺の目の前には半透明な《クリボッチ》がふわふわ浮いて目の前を動いている……

俺はあの事故以来、こんな妄想を見てしまうのはデュエルのせいだと思い、必要最低限にデュエルを拒否してきた……

何回か《クリボッチ》のカードを手放そうともしたが、なぜか俺の元へ戻ってきてしまう。本当に魔法か手品のように……

俺はこんな幻覚か妄想かわからないものをこれ以上見ないようにするために、デュエルをするわけにはいかないわけだ。

……断じてデュエルの相手が居なかったからしていなかったわけではない。

その後俺は、材木座を無視してレッド寮に戻った。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

翌日。俺は放課後、奉仕部室へ行く。

「あら、来たの? もう来ないかと思ったわ」

「昨日のデュエルが引き分けだったからな……」

雪ノ下は言う。

「負け惜しみ?」

「ちげーよ」

「じゃあ、サレンダーのし忘れ?」

「ちげーよ! なんでお前が勝ってた前提で言うんだよ」

「あの時、私が迂闊に攻撃しなければ私の勝ちだったもの……」

「ま、そうかもな……」

それは同感だ。

俺はとりあえず部屋のすみにある椅子に座り、本を取り出すと――

 

(ボッチィー! ボッチボッチ! ボッチチチ!)

 

――半透明な《クリボッチ》が現れて俺の目の前を暴れだした……ほんとにやめてよマジで……

俺は無視し続けると――

「す、すみませーん。奉仕部ってここですか?」

オベリスクブルーの制服を着た茶髪のお団子頭の女子生徒が部室を訪ねてきた。

「な、なんでヒッキーがここに!?」

「いや、誰?」

「はぁ!? お、覚えてないの!? 同じ授業よく受けてんじゃん!」

「いや、この学園生徒が何人いると思ってんの? 同学年ってだけで覚えてるやつなんて――」

「オベリスクブルー2年の由比ヶ浜結衣さんね」

……居たよ。

「あ、あたしのこと知ってるんだ! よかった……」

「全校生徒覚えてるのか?」

「そんなことは無いわ、貴方なんて知らなかったもの……」

さいですか……

「で、依頼かしら?」

「あ! うん……えっと……」

なにやら由比ヶ浜は俺をチラチラ見て言いづらそうにする……

「……ちょっとマッカン買ってくる」

俺は席を外す。そのくらいの空気は読める。すると雪ノ下は――

「そう、なら私は野菜生活100いちごヨーグルトミックスでいいわ」

――ナチュラルにパシりだした……

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

「で、なにこれ? 木炭?」

「手作りクッキーだし!」

部室に戻ると『調理室へ行きます』と置き手紙があり、向かうと、二人はエプソン姿で居り、なにやら皿の上に木炭が置かれていた。

「では比企谷君。味見をお願いできるかしら?」

「断る。なんとなく依頼の内容はわかったが、俺が味見をする理由はない」

「なんか酷くない!?」

当然だ。炭なぞ食いたくない。

「あら、依頼内容がわかったの? なら当てられたら食べなくていいわ」

「こっちも酷い!?」

「そうだな……さしずめ依頼内容は『料理下手な自分にクッキーの作り方を教えて欲しい』とかそんな所だろ? 渡したい相手でも居て……」

「まあ、そんな所ね。それにしてもよくもあれだけミスを重ねられるものね……」

「ううう……あたしってやっぱ才能ないのかな……デュエルも女子ってだけでオベリスクブルーの制服着てるようなもんだし……あたしってなにやってもダメだし……」

「デュエルは関係ねーだろ……」

「うぅ……デュエルに至ってはヒッキーは仲間だと思ってたのに……実は雪ノ下さんと引き分けるほど強かったなんて……」

「いや、デュエルと料理の腕は関係ねーだろ……」

「まあ、どちらも基本をしっかりとしないと強くも上手くもなれないという点では共通するかも知れないわね。まずは基本通りにもう一度作ってみましょう……」

そう言って、雪ノ下と由比ヶ浜はクッキー作りを続けた。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

何回か作り、やっと食べられるレベルの物はできたが、旨いとは言い難い。

それはそうと、俺は一つ疑問があった。

「あのさ、そもそもなんでお前ら旨いクッキー作ろうとしてんの?」

「はぁ?」

「どういう事かしら?」

「いや、依頼内容は由比ヶ浜の料理の腕をあげることじゃなく、クッキーを渡す相手に喜んで貰うことだろ? なら、最低限に食えるものさえやれば大抵のやつは喜ぶだろうよ……」

「……そんな単純なモノかしら?」

「単純だよ、このデュエル・アカデミアの生徒なんて男女差は約4:1だぞ? 女子と会話できるだけで喜ぶ奴なんてかなりいるそれこそ『手作りクッキー』と呼べるものを貰えたって事実があればかなり単純に喜ぶな……」

「……それって、ヒッキーも?」

「――ま、まあな……嬉しくはあるな……」

すると由比ヶ浜は少し考えて――

「わかった。後は自分でやってみる……」

そう言って、部室を出ていった。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

翌日。

「やっはろー!」

なに? その挨拶?

由比ヶ浜が部室に入ってきた。

「えっと……昨日のお礼に来ました……というわけで二人とも! クッキー作ったから食べて!」

「今、食欲が無いから遠慮するわ」

「えー! 遠慮せずに食べてよゆきのん!」

「ゆ、ゆきのん?」

「あ、ヒッキーもちゃんと食べてね」

「断る」

「えー!? 食べてよ!」

こうなったら最終手段だ。

「食べてほしければデュエルで勝て――」

――雪ノ下に。と言おうとした瞬間……

「っ!? いいよ。ヒッキー、あたしとデュエルしよ」

「は?」

いや待て! なんで俺が!? すると雪ノ下が――

「そうね、昨日無責任な解決方法を提案したのだし、ここは潔く決めてきなさい……」

「いや、待て俺は――」

「――話は聞かせて貰った!」

平塚先生登場。タイミング良すぎだろ!?

「由比ヶ浜対比企谷のデュエルは正式に承認しよう! デュエル場へ行くぞ!」

こうして、俺は雪ノ下に続き、由比ヶ浜とデュエルをすることになったのだった。




次回は由比ヶ浜対比企谷。
なんか無理矢理感がパない……

セブンスターズ編終わったら進級試験編か飛ばして春休み校外学習編かを迷っていますがどちらが見たいですか?

  • 進級試験編(結衣ちゃん大ピンチ)
  • 校外学習編(あの小学生登場)
  • どちらでもなく新学期(小町ちゃん現る)

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