やはり俺がデュエリストなのはまちがっている。   作:sewashi

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ハッピーニューイヤー!

2019年初投稿!

本当は大晦日に投稿したかったけど間に合いませんでした……

追憶編です。どうぞ!


45話

それは去年の学園祭が終わったばかりの頃だった。

 

『比企谷~、飯行こーぜ~』

 

最近はよく昼休み前の授業の後に同じ授業をうけたレッドの連中によく話しかけられる……

 

「あ~、いや、あれがあれだから……」

 

『あれがあれ?』

 

『ばっか! 比企谷だぞ! 他に約束があるんだろうよ!』

 

あれ? なんか勘違いされてる?

 

『あー悪い悪い、じゃな』

 

学園祭が終わってから俺のレッド生による扱いは今までとかなり変わった。

 

今までなら、さっきの反応はキモい扱いだったが、今はさっきのような反応をされる事が多くなった。

 

そしてブルーやイエローの奴等には……

 

『やべー、比企谷だ……』

 

『あのカイザーとも互角に闘ったっていう……』

 

『やべーよ、怒らせたらやべーよ……』

 

学園祭のエキシビジョンデュエルの結果が盛るに盛られて噂が独り歩きして恐れられるようになった。

 

つまり元々オーナーの推薦によって再試験入学の俺は『オーナーからの推薦=卑怯な奴』から『=ヤバい奴』に変わったということだろう。

 

つまりさっきのレッド連中から見れば『関わりたくない奴』から『味方にしておけば役に立ちそうな奴』に変わったということだろう。

 

しかし、俺は相変わらずルームメイトの材木座と藁巻先輩以外とはほとんど話さずに過ごす。

 

「えっと……あの……ひ、ヒッキー……」

 

俺のベストプレイスである屋上場所に一人の女子生徒がやって来た……

 

茶髪お団子頭の……誰だっけ?

 

とりあえず用があるのは俺ではないと思うのでスルー……

 

「ちょっ!? 無視しないでよ!?」

 

そう言ってお団子頭は俺の肩に手を置く。え? 俺の事?

 

「……誰?……」

 

「ちょっ!? お、覚えてないの!?」

 

はて? どこかであっただろうか? いや、授業が何か一緒だったか?

 

「あ、あの……えっと……その……ご、ごめんなさい!」

 

え? なに? いきなり謝られたんだけど……?

 

「あ? えーと……何がだ?」

 

「実技試験の日」

 

実技試験? 俺が事故にあって試験を受け損なった……ん? 待てよ……

 

「あのときの犬の飼い主か?」

 

「そ、そう!」

 

え? あの犬の飼い主、ここの生徒だったの?

 

「えっと……ずっと謝りたかったの……でもヒッキー、学園ですっごく大変な目にあってたから恨まれるのが怖くて……それで言い出せずにいて……」

 

「んで、俺の評判が良くなって言いやすくなったと?」

 

「ち、違うし! ようやく言う決心がついたって言うか……その……本当にごめんなさい!」

 

お団子頭は俺に深々くお辞儀する。

 

「いや、まぁ、オーナーからの推薦で再試験も受けられたし、轢いた車の搭乗者も結構な金持ちだったお陰で治療費もかかってねぇし、俺は気にしてねぇよ……」

 

俺がこう言うとお団子頭は……

 

「で、でも……あたしがあのときサブレのリード果たさなかったらヒッキーは普通に試験受けてラーイエローの実力生徒になれたかもだったのに……」

 

サブレ? ああ、あの犬の名前か? いや、事故がなかっただけでそこまでは変わらんと思うが……

 

「いや、俺はそこまでの実力じゃねぇよ……カイザーとのデュエルの話は大きくなりすぎてんだよ。それにもし事故が無かったとしても俺は今と大してかわんねー生活してたと思うし無駄に気を使う必要はねーよ」

 

「で、でもヒッキー!?」

 

「あー、なら、その俺の事を『ヒッキー』って呼ぶのはやめてくれ」

 

「え? でもヒッキーはヒッキーだし……」

 

そこは譲れないのかよ……まぁいい……

 

「あー、もう本当にいいから気にすんな」

 

「う、うん……本当にごめん……」

 

「おう……えーと……」

 

「あ! ゆ、結衣! あたし由比ヶ浜結衣!」

 

「お、おう……そうか……そういうことだから……じゃな」

 

俺はすぐさまベストプレイスから離れた……

 

しかし、あの犬の飼い主がここにいたとは世間は狭いとは言ったものだ……

 

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 

放課後となり俺は寮に戻るべく準備をしていると……

 

「比企谷君、少し良いかしら?」

 

俺に話かけるやつがいた。また例の奴等かと思ったが女子の声だったので由比ヶ浜かとも思ったが違った。

 

「雪ノ下?」

 

元一年最強の女、雪ノ下雪乃。二年のカイザーと似たエンプレスと名をもつデュエリストだ。

 

なんのようだ? まさかこいつもカイザーとの粋すぎた噂信じて腕試しとか言い出さないよな……?

 

「なんのようだ? 腕試しとかはお断r__」

 

「いいえ、違うわ」

 

「__あ、違うのか? なら、なんのようだ?」

 

雪ノ下は少し間を置いた。

 

「彼女が言う決意をしたのだから私も言うしかないのよ……私は貴方に謝罪しなくてはいけないの……」

 

「は? 何を?」

 

「……実技試験の日の事故……」

 

え? またそれ? まさか……

 

「私はあの日、貴方を轢いた車に乗っていたの……」

 

「……え?……」

 

まさか犬の飼い主に続いて車の搭乗者も……?

 

「あ、いや、あれは俺が飛び出したのが悪いわけで……」

 

「いいえ、どちらが悪いの話ではないわ。貴方はあの事故が原因で皆から疎まれるようになってしまった……しかも私は実家の権力で事故の事を揉み消した上にお金で解決した……本来なら私の実家からオーナーに再試験の推薦をすべきなのにその手続きをしようとしたときにはすでに別の人から再試験の推薦を出されていたわ……」

 

あー、まぁ、再試験の推薦を出したのは俺も誰かは心当たりあるが……

 

「だけど学園に入学してからは貴方は再試験の入学のせいで悪目立ちして周りから理不尽な悪意を受ける結果となり、私も謝るタイミングを失ってしまったわ……」

 

「あー、いや、そもそも、お前は別に謝らなくても……」

 

「そしてあの事故の犬の飼い主が貴方に謝罪しているのを見て私も決心がついたの……時間がかかってしまったけれどすぐに謝れなくて本当にごめんなさい……ようやく言えたわ……」

 

「あー、何度も言うが本当に俺は別にどうとも思ってないから……治療費足してくれただけで問題ねえよ……」

 

「そう……」

 

俺はそこまで言ってその場を離れた……

 

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 

由比ヶ浜と雪ノ下の二人から謝罪を受けた翌日。

 

「部活を作ろうと思うの」

 

昼休み。雪ノ下と由比ヶ浜が俺のベストプレイスにやって来て言う……

 

「えっと……は?」

 

「だから部活を作ろうと思うの」

 

「はぁ、そうか……頑張れ……」

 

「いやいや! ヒッキーも入ってほしいんだよ!?」

 

「は? なんで?」

 

「私が作ろうとしている部活で貴方が欲しいの」

 

なんか誤解を招きそうな台詞だな……

 

「学園祭のときの相模さんへの対処を見て欲しい人材だと思ったの……」

 

「は?」

 

「基本的に与えられた仕事はコツコツこなし、スローガン決めの時もあえて不満や悪他意をついて周りを結果的にまとめた。そして最後……わざと罵倒をして自らを相模さんのスケープゴートにして助けようとした……まぁこれは丸藤先輩からの予想外のフォローで失敗したようだけれど……」

 

「どれもたまたまだ」

 

「そしてそれを自慢しない正確……私が作ろうとしている部活に必要な要素を貴方は持っているの……」

 

「いったいどんな部活動だよ……」

 

「『魚を欲する者には魚を与えるのではなく魚の取り方を教えよ』と悩める子羊を解決へ導く活動……『奉仕部』よ。新しい部を発足するには部員が3人以上必要なの……私と由比ヶ浜さん、そして比企谷君。貴方で立ち上げたいの……」

 

「なんで……」

 

「この学園のレッド、イエロー、ブルーの寮分けはブルーの方が実は色々とやりづらい事が多いのよ……周りからの勝手な期待……他者からの嫉妬……私はそんな優秀な人が生きづらい世界を変えたいの……デュエリストとして、人として……そのためには目の前の人の悩みからと思って……でも一人ではできない……それを学園祭で学んだわ……だから貴方達にお願いしたいの……お願い……私に力を貸して……」

 

雪ノ下の言いたいことはメチャクチャだが、わかるところも多い……

 

「わかった、協力してやる」

 

「ありがとう」

 

「うんうん! 3人で頑張ろう!」

 

こうして、デュエル・アカデミアに『奉仕部』が出来たのだった。

 

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 

『あいつが部活……? ふざけないで……うちをこんな目にあわせておいて……』

 

『奴に復讐したいか?』

 

『……誰?』

 

『そんなことはどうでもいい……奴に復讐したいか?』

 

『……したいわ……というか学園祭の記憶を丸々消してやり直したいわ……』

 

『そうか……ならば………※※※※※にこい、力を授けてやる……』

 

『…………わかったわ…………』

 

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 

奉仕部ができて数日……学園でも話題の部になっていた。

 

ブルーでもリア充グループの一員でコミュ力の高い由比ヶ浜が依頼人を連れてきて、ブルー実力指折デュエリストの雪ノ下が、悩みを聞き、俺が一番効率的な解決案を考えるという方法で学園生徒の悩みを次々と解決していく……

 

そんな活動をしていたせいか俺はレッド寮では大徳寺先生よりも頼られる存在となっていた。

 

『比企谷~、俺の部屋の壁に穴が!』

 

『比企谷~、同室の奴のイビキがうるさくて寝られねぇ!』

 

『比企谷君~、私のニンジン食べて欲しいのニャ』

 

等と頼られる__いや、良いように使われるようになった……

 

そしてある日……

 

「ん?」

 

俺のもとに一通の手紙が届いた。手紙の内容は……

 

『今日の夜9時にここへ来てください』

 

ど一通の手紙と地図が……

はて? 悪戯か? それとも果たし状か?

由比ヶ浜と雪ノ下に相談したところ……

 

「悪戯ね」

 

「いや、もしかしたらラブレターかも!?」

 

やはり悪戯が一番可能性がありそうだ……

 

「よし、スルーしよう」

 

「いや、ダメだよ!?」

 

「そうね、悪戯でも一応行くべきだわ。もしかしたら他にも被害者がいるかもしれないわけだし……」

 

「そうか……」

 

面倒だが行くことにはなった……

 

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 

手紙にあった場所は今は使われていない特待生寮だった。

俺はそこを進むとある人影を見つけた。

 

「……来たわね」

 

そこにいた人物は……

 

「……相模」

 

__だった。

 

「なんで……相模が……俺を……ここに……?」

 

「ふふふ、なんで? うちにこんな仕打ちをしておいて良い気味ね、全部計算だったんでしょ?」

 

なんのことだ?

 

「あの場所でうちに罵倒浴びせたこともカイザーのフォローも全部計算だったんでしょ? 全ては自分の周りの印象を変えるための……うちという生け贄を作って……」

 

なにを言っている?

 

「うちが嫌われものになるのはまだ良いわ……自業自得だもの……でもそれがきっかけにうちに散々罵倒したあんたの印象が良くなるのは許せない……あのとき……あんたがうちを見つけなければうちは嫌われ者になったかもしれないけどあんたは変わらなかった。だからもとに戻すの全部ね……」

 

相模はそういうと何やら腕輪と仮面を出してそれぞれ装着……

 

「流石に時を戻す能力は使えないけど記憶を消す能力ならあるわ。これを使って記憶を消す!」

 

記憶を……消す……? なにを馬鹿な……

 

だがマジだったら? せっかく勇気出して謝りに来た由比ヶ浜や雪ノ下は? 奉仕部は?

 

「や、やめろ!」

 

「もう遅い!」

 

パチィィン!

 

相模が指をならすとデュエル・アカデミアの島に住む人全てから『相模南』と『学園祭』に関する記憶が消えていた……




以上が相模が消していた記憶全てです!

日常ストーリー無理矢理です!

次回相模南編クライマックス!

じっくり投稿します!

セブンスターズ編終わったら進級試験編か飛ばして春休み校外学習編かを迷っていますがどちらが見たいですか?

  • 進級試験編(結衣ちゃん大ピンチ)
  • 校外学習編(あの小学生登場)
  • どちらでもなく新学期(小町ちゃん現る)

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