やはり俺がデュエリストなのはまちがっている。 作:sewashi
今まで八幡が『万年落第生』と言っていた人(オリキャラ?)が登場。
そしてウィジャトの正体もあきらかに←読者はもうわかってる。
1年前……
デュエル・アカデミアに入学して一月くらいたった頃……
『ねえねえ聞いた?』
『聞いた聞いた』
『あのヒキタニとか言う目の腐ったオシリスレッドの1年、デュエル・アカデミアのオーナーの推薦で再試験受けて合格したんだって~』
『え~、なんであんな奴が~』
『あり得ないよね~、絶対に裏でなにかしたんだよ~』
『あいつと誰もデュエルしたがらないんだよね~』
『うわー、カワイソー』
『じゃあ、あんた、デュエルしなさいよ』
『え~、いやよ~』
オベリスクブルー女子の会話。
実際、俺は実技入試の日に事故に遭い受験に失敗したかと思えばデュエル・アカデミアのオーナーから再試験の通知が来て再試験を受けて合格したのは事実だ。なんでも再試験を受けさせるように誰かが推薦したらしい……誰かはだいたい想像はつくが……
しかし、再試験と言うことでオシリスレッドに配属。そしてそのオシリスレッドでは……
『オーナーからの推薦入学だとよ~』
『へぇ、入試当日に事故ねぇ~』
『ここのオーナーもなんであんな目が腐った奴を……』
『おい、あいつをデュエルで倒せば目立って昇格できるかもしれないぜ?』
『えー、やだよあんなやつとデュエルするなんて……』
オシリスレッドもオシリスレッドで俺を除け者扱い。
日常で会話するのは教師何人かとルームメイトの材木座と落第し続けてなんと5年。デュエル・アカデミア自称8年生(学園での席は3年)の藁巻先輩だけだ。
そんな日々が続き、学園祭のシーズンが来た。
といってもこの学園は島にあるため外部からはあまり訪問者は来なく、生徒と学園関係者だけの学園祭になる。
そして毎年出し物も各寮で同じ……
「えー、オシリスレッドのみなさん、今日は学園祭の実行委員を決めないと聞けないのニャ、実行委員は各寮各学年1人ずつなのでこの寮から3人なのニャ、3年生は去年も一昨年もその前の年もやった藁巻君でいいとして、2年と1年で誰かやりたい人いないかニャ?」
さらっと大徳寺先生が藁巻先輩をいじって進めると2年は名前も知らない先輩になり、1年は……
『せんせ~、俺、ヒキタニ君がいいと思いまーす』
誰かがそう言う。誰だよヒキタニ君……
『俺もそれでいいと思いまーす』
『意義なーし』
『なーし!』
「ふむ、では1年は比企谷君に決定でいいニャ」
ちょっと、大徳寺先生? 名前間違われていること指摘して!? もう牛乳や納豆押しつきてきても食べないよ?
……。
…………。
………………。
「え~、実行委員会を始めます。一応司会はこの実行委員を過去4回も経験してる俺、藁巻 和典が勤めます」
普通実行委員は多くても3回しか経験しないのでは?という突っ込みはでない。藁巻先輩が8年も学園に通っていることは誰もが知ってるからな……
「とりあえず自己紹介からじゃ、オベリスクブルー男子3年から」
藁巻先輩がやってオベリスクブルーの3年が自己紹介をして次にオベリスクブルー2年が自己紹介をする
「丸藤 亮だ。よろしく頼む」
オベリスクブルー2年の実行委員はカイザー亮と言われる丸藤亮だった。まさかあんなビッグネームが委員になっていたとは……いや、俺とは真逆の意味で推薦されたのか?
「オベリスクブルー1年の葉山 隼人です。よろしくお願いいたします」
続けてオベリスクブルー男子1年、女子3年が自己紹介をしていき、女子2年は……
「オベリスクブルー女子2年実行委員の城廻 めぐりです。よろしくお願いします」
おっとりとした女子が言う。そしてオベリスクブルー女子1年が自己紹介をする。
「オベリスクブルー女子1年の実行委員になりました相模 南です。みなさん、よろしくお願いします!」
赤毛に短髪のピアスを着けた女子が代表だった。
そして周りは驚くしぐさを見せる。
「ん~? 今年のオベリスクブルー女子1年の実行委員は雪ノ下家の次女じゃないのか?」
藁巻先輩の言うように今年の女子1年の委員は雪ノ下だと思ったのだろう。しかし違った。
「ああ、えっと、雪ノ下さんは遠慮したのでうちが……」
「そっかぁ……えーと、なら次はラーイエロー3年」
「はい、ラーイエロー3年の___」
そう言って藁巻先輩は自己紹介を続けていく。
「はい、最後にオシリスレッド1年」
俺の番が来た。
「は! はひぃ!?」
かんだ。死にたい。
「お、オシリスレッド1年の比企谷 八幡でしゅ」
かんだ。死にたい。ふたたび。
「えーと、んじゃ、まず実行委員長を決めたいと思う。あ、因みに俺は3年前にやってるからダメな」
そうなんかい! と突っ込みを入れたいが入れない。
「やりたいやついないか?」
誰も手を上げない。
「ん~、なら丸藤。お前はどうだ?」
「ん、まあ、かまわないが結論を急ぐな。委員長の仕事の内容を説明してからもう一度立候補を待とう」
「おー、んじゃ、委員長の仕事を説明すっぞ」
藁巻先輩は実行委員長の仕事を説明する。聞いているだけで疲れそうな大変な仕事だ。当然、誰もやりたがらない……
「あ、あの! うちで良ければ!」
そして立候補したのはオベリスクブルー女子1年の委員になった相模南だった。
「ん~、まあ、いいんじゃね? はい、じゃ、決定」
相模はみんなの前に出る。
「この度、学園祭実行委員長になりました相模 南です。よろしくお願いします!」
俺はこのとき、まあ別に誰でもいいだろうと軽く考えていた。
……。
…………。
………………。
実行委員が決まった後日。各寮の毎年決まった出し物の準備に入る。
オベリスクブルー寮は豪華なレストラン。
ラーイエローは縁日のような屋台。
そしてオシリスレッドは……
「コスプレデュエル?」
「そーだ、レッド寮の毎年恒例のイベントだ。看板は前田、頼んでいいか?」
「ええ!? お、俺!?」
「おう、描くのはお前の好きなモンスターでいい。あと比企谷はコスプレ衣装を外部から借りる手続きを頼む」
「おう」
「ああ、あと、ブラマジガールの衣装は学園内にあるから申請しなくていいぞ」
は? ブラマジガールの衣装って……オシリスレッドに女子なんていないのに誰が着るんだよ……
俺の疑問が顔に出ていたのか、藁巻先輩が真剣な顔になる。
「比企谷……女子のいないオシリスレッドで誰がブラマジガールの衣装を着るのか?なんて考えてるなら教えてやろう……ついてこい!」
藁巻先輩は着替えルームになってる食堂の扉をノックしてからあける。そこには……
「うっふん♥️」
「「「ぎいぃやああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」
ブラマジガールの衣装を見にまとった、自称・ミス・デュエル・アカデミアのトメさんがいた。
見るだけ目に毒だ。リアル恐怖だ。
「このコスプレデュエルで参加する唯一の女が購買部のおばちゃんのトメさんなのさ」
いや、この人は絶対に《治療の女神 ディアン・ケト》の方が似合うだろ……なんて思いながら俺は申請の為に委員会室になっている会議室に向かった。
……。
…………。
………………。
『おい! 実行委員! どうなってんだ! なんで縁日の食材や景品が届いてないんだ!?』
『レストランの食材もだ! そろそろ届かないと当日に間に合わないぞ!?』
『ええ~と、す、すこし待ってください……』
なにやら会議室に人だかりができている。
「あっ! 実行委員! 助けてくれ~!」
オベリスクブルー女子2年の実行委員……城廻先輩だったか?が俺に声をかけて会議室に入れる。
会議室の中を見るとオベリスクブルーの実行委員や関係ないオベリスクブルー生徒何人かがグロッキー状態となっていた。机には大量の書類がある。ほとんど手付かずだ……
「実はオベリスクブルーの実行委員が手伝いを呼んだらその人達が『オシリスレッドの仕事なんてミスだらけだろ』とか言ってオシリスレッドやラーイエローの生徒を閉め出しちゃって……」
あー、確かにそんなことあったな……楽できるからいいかとか、思ったけど……
「それでもギリギリで回ってたんだけど『まず各寮の出し物をみんな手伝えるように!』なんて実行委員長が仕事のペースを落としちゃって申請やらなにやらが遅れちゃって!」
なんだよそりゃ……自業自得じゃねえか……
「自業自得なのはわかってるよ! だけどこのままじゃ学園祭が中止になっちゃうの! しかも私達オベリスクブルーのせいでだよ!? それだけはなんとか避けたい! だから頼む! 他の寮の実行委員も……ううん、この際仕事ができれば誰でもいいから人手をつれてきてくれ!」
要するにオベリスクブルーに傷が付くのがいやなのね……まあ仕方がない。とりあえず材木座と藁巻先輩、あと看板を描き終わったら前田も連れてくるか……
……。
…………。
………………。
俺は藁巻先輩にこの事を伝えて何人かを連れて会議室に戻ってきた。
「へぇ、前田君って絵上手だね~」
「は、はい、カードデザイナー志望で……」
前田は城廻先輩の言葉に照れている。
しかも、オベリスクブルー1年の雪ノ下を誰かがつれてきたお陰で仕事はかなりスムーズに進んだ。
しかし、実行委員長の相模は自身の仕事を放棄して見回りと扮して学園内を歩き回ってサボっている……
俺はというと記録雑務で他にも明らかに俺の仕事でない仕事まで押し付けられて仕事をしている。
「これはこの時期には終わっていないと間に合わないわ、優先してお願い、こっちの申請はまだ余裕があるから後回しにして、でも期限だけは覚えておいて、こっちは__」
そして仕事は進み現在はスローガンの作成。
実行委員長の相模が提案したのは……
『絆 ~ともに助け合う学園祭~』
だった。
「うっわぁぁぁっ」
思わず反吐がでた。
俺のため息はみんなに聞こえていたようで……
「なにか意見あるのかな?」
相模が怒り気味の声で言う。
「いえ、別に」
「そう、何かあるなら案を出してくれる?」
そういわれたので俺は言ってやった。
「『人 ~よく見たら片方楽してる学園祭~』なんてどうです?」
周りは引いていた。いや、何人かはよくわかっていないようだが……するとカイザーが聞いてきた……
「それはどういう意味だ?」
「いえ、ほら『人と言う字は人と人が支え合ってできている』とか言いますけど、あの例えって片方寄りかかってるじゃないっすか、そんな風に誰かを犠牲にして成り立っているのがこの学園祭、もとい学園祭実行委員に相応しいのではないかと俺は思うんですよね。それともこれが実行委員長の言う『ともに助け合う』ってことなんですかね? 俺は助けあったことがないのでよく知りませんけど……」
長々と話してしまったな……
「犠牲とは具体的に何を意味する?」
生活指導担当の平塚先生が俺に聞いてくる。
「俺とか超犠牲でしょ? バカみたいに仕事させられてるし、てか他人の仕事まで押し付けられてるし……」
そして今や実行副委員長(仮)となった雪ノ下は……
「却下」
そして学園祭のスローガンは『アカデミア名物! デュエルと火山! 同じアホなら踊らりゃblack magic』に決まった。
……意味不明だな……
……。
…………。
………………。
学園祭当日。
オープニングセレモニー。実行委員長の挨拶。相模の名誉挽回のチャンスだが……
キーン
マイクのハウリング音でまともにしゃべれずに失敗に終わる。
俺はコスプレデュエルの為に《鎧武者 斬鬼》の仮装をして見回りの仕事をする。
『なにあれ~』
『うわぁ~、いくらか学園祭でもあれは無いわ~』
どうやらレッド寮の出し物はかなりマイナーで学園にも知られていないようだった……
そしてデュエルフィールドの近くに来た……おかしいな、この時間はここでエキジビションデュエルが行われているはずだが……
「ん? おい、そこの《鎧武者 斬鬼》」
ん? 他にもそんな仮装した奴いたのか?
「おい、お前だ」
俺の肩に手を置く人がいた。やっぱりそうだったか……
「え?」
俺に声をかけてきたのはカイザーだった……
「今からそこのデュエルフィールドでエキジビションデュエルを行うんだが俺の相手が腹痛で戦えなくなってしまってな、お前の格好は目立つし代わりを頼みたい」
え? マジで? カイザーとデュエルするの?
……。
…………。
………………。
「《サイバー・エンド・ドラゴン》でダイレクトアタック!」
「くっ」
比企谷 八幡 LP 0
デュエルは俺の惨敗。
てか、カイザーに勝てるわけないがな……
「……ふむ、なかなか面白いデュエルをするな。お前は……」
「え? あ、はい、どうも……」
「改めてお前の名前は?」
「へ? ああ、比企谷 八幡です……」
「比企谷か……来年、俺の弟がこの学園に入学する。その時お前もまだレッドだったなら、気にかけてやってくれ……」
「え?あ、はい……」
てか、カイザー、自分の弟がレッドで入学する前提で話してたけど、カイザーの弟ならラーイエローで入学できるんじゃ……まあともかく早く戻らないと……
そしてエンディングセレモニーが始まる頃……
『相模さんがいない?』
『おい、集計結果あいつしか持ってないのか?』
『集計しなおすことは?』
『ダメだ。間に合わないぞ』
まったく、最後の最後まで手のかかる実行委員長だ……
俺は学園の屋上にあたる俺のベストプレイス近くで相模を見つけた。
相模は『なんだ、あんたか』と言う感じのガッカリした表情だった。
「エンディングセレモニーが始まるからさっさと戻れ」
「は? もうはじまってんじゃないの?」
「お前が集計結果持っていったせいで始められないんだよ」
「なによ、うちのせい? だったら集計だけ持っていきなさいよ!」
すると……
「あー、こんなところにいたのか」
俺のあとに葉山 隼人が表れる。あと名前は知らないがオベリスクブルー女子3人。
「あ、ヒッキーもここに……」
ヒッキー? 誰だよヒッキー……
「みんな心配してるよ。早く戻ろう」
「うちなんかが今さら戻っても……」
このままでは時間だけが過ぎていき、相模は攻められるだろう……攻められるのは自業自得だが、これ以上失敗を重ねられるとこの学園の評判にもかかわる。
だから俺はとにかく最低にやった。
「うち……本当に最低」
「本当に最低だな」
空気が止まった。
「相模、お前はちやほやされたいだけだろ? ただそんなことないよって言われたいだけなんだろ? そんなんだから誰もお前を実行委員長として認めないんだよ。本当に最低だ」
「な、なによ……」
「お前のことをなんにもわかってない俺がわかるくらいだ」
「あんたなんかと一緒にしないでよ!」
「一緒だよ。最底辺の世界の住人だ。そもそもなんでお前にまったく興味のない俺がお前を真っ先に見つけたのか、それは誰もお前を真剣に探してなかったってことだろ? もうわかってるんだろ? 自分がその程度__」ガンッ
俺は葉山に壁に叩きつけられた。
「お前………黙れよ………」
『み、南……行こ』
『そうだよ行こ……』
『てか誰あいつ……』
『レッドのくせに生意気なのよ……』
全員が見えなくなって俺は呟いた。
「これで誰も傷つかずにすむな……」
俺はこのときはそう思っていた。
……。
…………。
………………。
相模は結局エンディングセレモニーでもかみまくり失敗。
そして今は後片付け。
『それ本当かよ~』
『いつかはやると思ってたけど最低だなあいつ……』
『さっさと退学しろよ……』
オベリスクブルーの連中の話し声。まあ当然だな……
『あいつのせいで俺達まで同じと思われるのはやだな~』
『あー、早くレッドから出て~』
『てかあいつがいなくなってくれたらな~』
同じレッド寮の連中も同じように俺を除け者にする。まあいい。今まで通りだ。
すると………
「本当にそう思うか?」
カイザーが言い出す。なんだ?
「なんだよ亮、あんなやつかばうのか?」
「いや、俺はあいつが相模に暴言を吐いたのは当然だと思ってな」
「それをかばうって言うんじゃないか?」
「たしかにそうだな。しかし、相模も相模だ。自らの仕事を放棄していた。あいつにたいして苛立ちを思っていた奴も少なくないだろう」
「そ、そりゃ、そうだけど……」
「そして比企谷……あいつは文句を言いつつも自らの仕事を放棄せずコツコツとやっていた。なのに最後に堪忍袋の緒が切れてこの扱いだ」
「で、でも、いくら苛立ってても暴言をはいていい理由には……」
「ああ、だからなにもしなかった俺達には相模も比企谷も責めることはできない。比企谷に暴言をはかれた相模も堪忍袋の緒が切れた比企谷も責めるべきじゃない。俺が言いたいのはそれだけだ」
カイザーの話にみんなが考え込む……
『ま、まあ、そうだよな……』
『確かに苛立ってたら暴言くらい言いたくなるよな……』
『てか実行委員長はそんなに仕事サボってたのかよ……』
『てかよく考えたらよく暴言はけたな……』
『やっぱりカイザーは考え方が違うよな……』
『やっぱり実行委員長はカイザーがやるべきだったんじゃね?』
『暴言はいた比企谷? だっけ、たしかカイザーといい勝負したよな……』
どんどん周りの声が俺に対する批判からカイザーによる好感に変わる。
あといい勝負はしてない。
「てか、やっぱり実行委員長無能じゃね?」
「だよな~、実行委員長、オベリスクブルーの評判落とすなよ~」
そして相模を批判する声がふたたび出て、俺を批判する声は消えた。
そして相模を批判する声はそのあとも続き、相模は学園で居場所を失っていった。
そして学園祭が終わった数日後……気がついたときには、相模は学園から姿を消していた__
次回はデュエル再開。
ウィジャトが比企谷を恨む理由はまだあります。
八幡はまだ完全には記憶を取り戻していないです。捕捉。
セブンスターズ編終わったら進級試験編か飛ばして春休み校外学習編かを迷っていますがどちらが見たいですか?
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進級試験編(結衣ちゃん大ピンチ)
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どちらでもなく新学期(小町ちゃん現る)