やはり俺がデュエリストなのはまちがっている。 作:sewashi
三沢登場
謎の人影とのデュエルが途中で終わり、俺は寮に戻る。そして俺の部屋へ行く。
(いやー、本当に一人部屋っていいな~、これで小町がいれば最高なんだけど……)
去年は材木座と万年落第生によって毎日がウザかったからな……まあ……
(ボッチィー)
この幻覚はいいとして……
しかし、本当になんだったんだろうか? あの人影は……
それはそうと今年の本校とノース校との代表交流デュエルもそろそろだな……まぁ、今年の代表もカイザーだろうが……
考えていると……
「こんばんはー、比企谷君、帰ってましたかニャ?」
「……大徳寺先生」
オシリスレッド寮長の大徳寺先輩。飼い猫のファラオと痛々しい語尾が特徴の先生だ。ちなみに納豆、牛乳、人参等が嫌いで生徒に押し付けてくるあまりいい先生ではない。ちなみに担当科目は錬金術。
「なんのようっすか?」
「いやぁ、実は先生、ちょっと出掛けなきゃいけなくなっちゃってニャ、比企谷君にファラオの世話を頼みたいんだニャ」
ファラオの世話かよ……ちなみに俺は実家でカマクラを飼っていたお陰で猫の世話はなれてる。
「いつまでっすか? てか何処へ?」
「明日の放課後には戻ってくるのニャ。行き先は森の奥の遺跡ですニャ」
遺跡? そんなものがあったのか?
「では、それまでファラオをお願いニャ」
ファラオは俺のベッドに乗っかり寝だした……
……。
…………。
………………。
翌日の放課後……俺は注目の的になっていた。なぜならファラオが何処までもついてくるからである。
本当になんでここまでついてくるの? このデブネコ……いや、デブってほど太ってはいないか……
俺は仕方なく、ファラオを奉仕部の部室に連れていった。
……。
…………。
………………。
「(もふもふもふもふもふもふもふもふもふ)」
ファラオは雪ノ下に捕まって嫌そうに尻尾を振っていた……
と言うか、雪ノ下がここまで猫好きとは……
「やっはろー! って、うわっ!? ゆきのん? どうしたの!?」
「俺が大徳寺先生に世話を任されてな……連れてきた……つーか、ついてきたらこうなった……」
フミャアア!?
ファラオは何とかして、雪ノ下の元から逃げ出した。
そして俺の後ろへ来ると……
「うひぃ!?」
今度は由比ヶ浜が警戒しだした……
「なに? お前猫苦手なの?」
「い、いやぁ、あんまし得意じゃないだけで……」
それを世間じゃ苦手と言うんだ。
そして雪ノ下は――
「コホン、少し取り乱したわ。ごめんなさい」
雪ノ下が息を整えると――
「奉仕部と言うのはここで間違いないでしょうか?」
――ラーイエローの制服を着た男子生徒が訪ねてきた。
「ゲフン、ラーイエロー1年の三沢大地君ね。なにか用かしら?」
ラーイエロー一年の三沢大地。と聞くと結構有名な奴だ。入試首席でいつオベリスクブルーに入ってもおかしくない実力と言われる期待の星だとか……(材木座情報)
「あ、はい。実はこんなことを人様に頼むのは少し心苦しいのですが、ラーイエロー寮の部屋のペンキ塗りを手伝って欲しいんです」
ペンキ塗り? ラーイエローの黄色い塗装が剥がれたのか?
「ラーイエロー寮の塗装の?」
「ああ、いえ、自分の部屋の塗装です。えっと、来ていただければわかるかと……」
「ええ」
俺達は、ラーイエロー寮へ移動した。材木座とあったら嫌だなぁ……
……。
…………。
………………。
ラーイエロー寮の三沢の部屋。見てみて俺達は納得した。三沢の部屋は散らかってはいないものの、部屋中が油性ペンでの落書きだらけなのだから……
「これは……新手の虐めかしら……? それにしては罵倒ではなく数式なんて……こった悪戯ね……」
「うわぁ……この学園に虐めなんてあるんだ……」
「なにいってんだ、由比ヶ浜。この学園なんて虐めの宝庫だろうが、制服で優等生か劣等生かと差別して上のものは下のものに逆らえなくして偶然でもデュエルで下の奴が上の奴に勝てば叩かれる。オベリスクブルーはラーイエローにラーイエローはオシリスレッドにとな……」
「うわー、ヤなこと知った……」
「しかも、各寮内でも――」
「あー、何か勘違いされているようですが……これを書いたのは自分です」
「「「はい?」」」
俺、雪ノ下、由比ヶ浜の言葉がハモった。え? 自分でやったの?
「えっとですね……俺……自分はいつも勝負事になると徹底的にその勝負の方程式を書き出す癖がありまして……デッキ構築の際にいろんな確率や方程式を考えていたら無意識に壁や床にまで書き出してしまいまして……気がつくとこうなってしまったわけで……」
つまりは、全部三沢のメモって事か?
「ほ、方程式……?」
バカ組の由比ヶ浜はわかっていなかった。
「つまり、この貯まりきった方程式をペンキで塗りつぶして真っ白にするのを手伝ってほしいと言うことかしら?」
「はい、僭越ながら」
「なんで俺らに頼むんだよ。お前は同学年の遊城や丸藤。同じラーイエローの奴に手伝いを頼めばいいじゃねぇか」
「はい、前はそうしたのですが――」
え? したの? つまりはこの部屋は既に1回はペンキで塗りつぶされたと言うことか?
「前とは状況が違い、この方程式から情報が漏れる可能性もあるので、できれば十代達には内密にしたいんです」
十代? ああ、遊城の下の名前か……てか情報漏れ?
「ああ、ノース校との対抗戦の代表決定戦だっけ? 今年のノース校の代表が1年生だから本校も1年生を代表にすることになったんだっけ? それで、代表は十代君か三沢君のデュエルで勝った方がってことになって……」
ほぅ、そうだったのか……今年もカイザーが代表だと思っていたが……
「ええ、なので十代がこの方程式を解読できるかどうかは置いといて、十代を倒すためのデッキの情報を漏らさないためにも彼らには頼れなくて先輩達に頼らせていただきました」
「なるほど、そういうことなら……とりあえずジャージに着替えてペンキ塗りの作業に入りましょう」
「うん、わかった」
「おう」
「ありがとうございます」
俺達は、三沢の部屋のペンキ塗りを行うことになった。
……。
…………。
………………。
ペンキ塗りが終わる頃は夜だった。
「それじゃあ、ペンキが乾くまでは盗難等には気をつけてね」
「ん? そういや三沢。お前はペンキが乾くまでは何処で寝るんだ? ペンキ塗りたてじゃ、部屋は無理だろ?」
「確かヒッキーの部屋って3人部屋に1人じゃなかった?」
「え? なんで知ってるの? ストーカー?」
「違うし!? さいちゃんに聞いたんだし!」
戸塚か……そういや戸塚の部屋ってちょうど真下の部屋なんだよな……隣ならよかったのに……
「では、比企谷先輩。今日だけよろしくお願いします」
え? マジで、俺の部屋に泊まるの?
……。
…………。
………………。
翌日。三沢の部屋は夜にはペンキが乾くらしく、朝は普通に学園に行く。俺の部屋まで方程式の落書きをされたら困るとか思ったが、それはなんとか回避した。
そして放課後。
「昨日はありがとうございました。無事にペンキも乾き、部屋に戻れます」
「そっか、よかったね三沢君」
ほ、まだ乾かなくて今日もよろしくとか言われたらどうしようかと思ったが一安心だ。すると三沢は――
「実はもう1つお願いがあるのですが……」
なんだと!? いったいなんだ!?
三沢は言う。
「実は対十代用のデッキがまだ完成していなくて……テスト的なデュエルの相手をしてほしいんです」
デュエルの相手? それはまた面倒な……
「雪ノ下先輩は2年でも指折りの実力と聞いていますし、比企谷先輩もその雪ノ下先輩と引き分けるほどのデュエリストと聞いています。どうでしょうか?」
雪ノ下の返答は……
「いいわ、1年生の、しかも今年の学園代表候補ともなれば相手に不足ないわ。私が貴方を氷付けにしてあげる」
雪ノ下が氷デッキなだけにか?
まあ、なんにせよ、雪ノ下と三沢のデュエルを行うことになった。
次回は三沢対雪ノ下です。
本当はブルーの万丈目も出したかったけど、色々矛盾が出そうなので、 万丈目の登場は先送りになりました。
セブンスターズ編終わったら進級試験編か飛ばして春休み校外学習編かを迷っていますがどちらが見たいですか?
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進級試験編(結衣ちゃん大ピンチ)
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校外学習編(あの小学生登場)
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どちらでもなく新学期(小町ちゃん現る)