やはり俺がデュエリストなのはまちがっている。   作:sewashi

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ハッピーニューイヤー!
今年も頑張ります。


依頼編
10話


ある晴れの日の昼休み……俺はドローパンをいくつか買い、食べたドローパンがトマトパンかきゅうりパンでないことを祈りながらベストプレイスでマッカンと共に食している。すると……

 

「あ、ヒッキー!」

 

と俺の至福の時を邪魔する奴が現れる。

 

「何してんの?」

 

「見りゃわかるだろ? 飯食ってんだよ」

 

「なんでこんなところで? しかもドローパン」

 

「ここの理由は察しろ。最近、失礼な後輩に前の場所を取られつつあるからな……ドローパンなのは……金銭問題だ……」

 

「ふーん、あ! そうだ、ドローパンといえばさ、ヒッキーは黄金のタマゴパンって食べたことある? 一日一個限定で手にはいるかは運次第の!」

 

「ああ、あれはなかなか旨かった……」

 

「今、一年生の男子が十連続で――って、へ? ヒッキー……食べたことあるの……?」

 

「ああ、去年たまたま引き当てた……」

 

「そ、そんな……ヒッキーが食べたことあるなんて……」

 

失礼な、自慢じゃないが、俺は引きは強い方だぞ? あれ以来、全く引けてないが……

 

タマゴパンといえば、大山先輩はどうしたのかな~、ドローが弱くてめざしパンとかばっかし食べてたな~、なんかわけもわからず山に混もって行方不明らしいがまあいいか……

 

俺はそんなことを考えながらドローパンにかぶりつくと――俺の嫌いなトマトパンだった……

 

「んで、由比ヶ浜はなんでここに来たんだよ」

 

「あー、うん、罰ゲームで……」

 

「俺と話すのが罰ゲームなのかよ……本人に濁すことなく言うとかひでーな……」

 

「いや、違うし! 罰ゲームはジュースの買い出し!ゆきのんとレベルが高いモンスターをドローした方が勝ちっていうゲームしてあたしが負けて……」

 

あいつ、そんな下らなそうなゲームやるんだな……ちょっと意外だな……

 

すると……

 

「あ! さいちゃーん!」

 

「あ、由比ヶ浜さん!」

 

デュエル・アカデミアのジャージを着た女子がよってきた。

 

「さいちゃん、テニスの練習?」

 

「うん、部長が引退して一気に実力が落ちちゃったから、昼休みにも練習しないと……」

 

どうやらこの女子はテニス部のようだ。しかし、ここのテニス部は結構強かったハズだが……

 

「なんか前任の部長が失恋のショックで半端なこの時期に引退しちゃったから引き継いだぼくが強くしないと……」

 

ああ、なるほど……そういうことか――って失恋かよ!? なにやってんだよテニス部元部長!

 

「別に前任の部長が強かったからって、お前まで強くなる必要はないだろ?」

 

「いや、でも受け継いだからにはやるべき事はやらないと……そういえば比企谷君って、こないだの授業でやったテニス、上手かったよね?」

 

「そうなの?」

 

「さあな、俺はずっと壁打ちしてたからな……」

 

「フォームがすごく綺麗なんだよ」

 

「へぇ、そうなんだ……」

 

「いやぁ、で、誰?」

 

「はぁ!? いまさら!? てか、寮一緒じゃん!」

 

「いや、俺はオシリスレッド寮だが、お前らはオベリスクブルー寮だろ……」

 

すると戸塚は……

 

「あはは、ぼく、男だよ……今はジャージだけど、いつもは比企谷君と同じレッドの制服だよ……」

 

「は?」

 

なにいってんの? この子……

 

「……証拠見せてもいいけど……」

 

ハーフパンツに手をあてた……

 

「いや!? いい!?」

 

珍しく声をあげてしまった……

 

「あはは、冗談だよ。改めて、戸塚彩加です」

 

冗談か……よかったような惜しかったような……

 

「それじゃあ、ぼく、いくね」

 

「ああ」

 

戸塚はテニスコートの方へ行った。

 

「由比ヶ浜……ジュースの罰ゲームはいいのか?」

 

「あ!」

 

由比ヶ浜も急いで去っていった。

 

俺は、ドローパンの二個目を食う………きゅうりパンだった……

 

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 

体育の授業。本日も鮎川先生の――

 

「えー、本日は鮎川先生が急用ナノーで、私が受け持ちマスーノ!」

 

――とは違いクロノス教諭が担当だった。

 

「えー、鮎川先生カラーワ、本日は自由練習と聞いているノーネ、ナノーで、皆さん、自由にテニスの練習を行ってくだサイーノ!」

 

そう言ってクロノス教諭はテニスコートを去っていった……

 

俺は、いつも通り壁打ちを――

 

「比企谷君……」

 

――しようとしたら、戸塚から声をかけられた……

 

「いつも組んでる人が今日は、風邪で休んでるんだよね……代わりに組んでくれないかな?」

 

「お、おうぅ」

 

俺は、戸塚とラリーを始める。そして、授業が終わると……

 

「やっぱり上手だね」

 

「そ、そうか?」

 

「うん、それでね、お願いがあるんだけど……テニス部に入部してくれないかな?」

 

「はい?」

 

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 

「無理ね」

 

「即答かよ」

 

放課後の奉仕部部室。俺は戸塚から勧誘を受けたことを雪ノ下に話すと、雪ノ下は即答した。

 

「貴方に集団行動が出来るはずないもの。いえ、ある意味貴方という共通の敵が出来たことで部内の結束は高まるかも知れないけど、それが自身の向上へ向けられることはないわ。ソースは私」

 

「体験談かよ……」

 

さしずめ、中途半端な時期に入部してメチャクチャ上手くて嫉妬されて排除されそうになったか?……いや、排除去れたのかもしれないな……

 

まあ、戸塚の件は俺も元々断るつもりだったし、いいか……俺は、本を読もうと座ると――

 

(ボッチチチィー!)

 

半透明な《クリボッチ》が俺の目の前に現れる。

 

あ、こいつ。最近大人しいと思ってたのに……

 

「どうしたの? ついに目だけじゃなくて頭も腐ってしまったの?」

 

「ちげーよ。ちょっと痛々しいところはあるが平常運転だ」

 

「痛々しいところがあるのは認めるのね……」

 

それは認めるな……《クリボッチ》の幻覚が見えてるし……

 

すると――

 

「やっはろー!」

 

由比ヶ浜が部室に入ってきた。

 

「えっと、今日は依頼人を連れてきたよ!」

 

「ど、どうも」

 

そして、後ろにはオシリスレッドの制服を着た戸塚がいた……本当に男子だったんだな……

 

「つか、なんで由比ヶ浜が依頼人連れてくんだよ……」

 

「いやぁ、ほら、あたしも部員じゃん? だけどあんまし役にはたってないから、すこしはと思って……」

 

「由比ヶ浜さん……」

 

雪ノ下が言う。

 

「由比ヶ浜さんは部員ではないのだけれど……」

 

「違うんだ!?」

 

違うんだ? てっきり、いつの間にかパターンかと思っていたが……

 

「ええ、入部届けも受け取ってないし、顧問の承諾もないし……」

 

「書くよ! 入部届けくらい、何枚でも書くよ! だから仲間にいれてよ!」

 

由比ヶ浜は制服のポケットから小さなメモ帳を出して1ページを破り、そこに『にゅうぶとどけ』と書いた。漢字で書けよ……

 

「それで、オシリスレッド2年の戸塚彩加君。ご依頼かしら?」

 

「あ、うん。うちのテニス部……部長が引退して一気に実力が落ちちゃったから、実力アップのための特訓に付き合って欲しくて……」

 

「テニス部部長が引退? こんな時期に? 綾小路先輩が?」

 

「テニス部の元部長知ってんのか?」

 

「ええ『綾小路モータース』の御曹司で私も何度かお会いしたことがあるわ」

 

ほぉ、つまりはボンボンか……

 

「うん、なんか1年の遊城君と、天上院さんとの交際を賭けたデュエルで負けちゃって、すっかりヘコんじゃって……」

 

引退の理由、それかよ!? てかその天上院の意志は無しか?

 

「なるほど……そんなことがあったのね……」

 

「あー、明日香ちゃんか~、たしかに美人だしね、デュエルも強いし……」

 

「そうなのか?」

 

「……話を戻すけど、依頼内容は貴方のテニスの実力向上でいいのよね?」

 

「あ、うん」

 

「なら、テニスコートへ行きましょう。とことん練習。それ意外には、ないわ」

 

「うん、わかった」

 

こうして、戸塚のテニス実力向上の特訓に付き合うことになったのだった。




綾小路先輩。テニス部部長。オリキャラではない!
戸塚のデッキはこの人とほぼ同じ予定。

セブンスターズ編終わったら進級試験編か飛ばして春休み校外学習編かを迷っていますがどちらが見たいですか?

  • 進級試験編(結衣ちゃん大ピンチ)
  • 校外学習編(あの小学生登場)
  • どちらでもなく新学期(小町ちゃん現る)

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