落第騎士の英雄譚~規格外の騎士(アストリアル)~【凍結】   作:那珂之川

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#18 騎士の約束の為に

また夢を見ていた。それは、前に見た夢の続き。

 

光景に映っているのは大人たちと、恐らくは自分を庇っているであろう少年。大人たちが彼に向かって技を放った瞬間…いや、()()()()()()()()、少年の姿が消え……武器を持つ大人たちに立ち昇る光の柱が容赦なく包み込まれ、まるで()()()()()()()()()()()()()ように跡形も残っていなかった。強いて言うならばその柱によって削られたであろう複数のクレーターと、他に襲ってくる人物がいないことを確認して霊装を解除した。すると、その少年はゆっくりとこちらを向く。

 

『―――大丈夫かい?』

 

気遣うような優しい声。そしてその表情を窺おうとしたところで、突如目の前が真っ白になり意識が遠くなっていく。だが、その声は間違いなく聞き覚えがあった……

 

 

場面は変わり、森の中を走るように敷かれた街道。天候は先程の吹雪から穏やかな乾いた雪へと変わっていて、街道はきちんと除雪の手が入っていた。そして、光景の中では今までになかった声―――護衛の騎士や自分の姉、少年の同行者と思しき青年が光景にいることもそうなのだが、それ以上に気になったのは、他でもない“自分自身”と思しき声。

 

『どうして!?貴方達は恩人なのに!?』

『ごめん、元々そこまで長く滞在する予定でもなかったんだ。それに、早めに出発しないと山の中で一夜を過ごすことになるから。』

『いや、行っちゃ嫌!!』

『―――様、あまり彼らを困らせてはいけません。』

『―――、気持ちは解るけれど、彼等は困ってた私達を助けてくれた。なら、彼等には見返りを求める権利があるの。貴女の我侭で、この人たちを困らせたいの?』

 

理解はしても、納得できないことがあった。この才能のせいで同年代の友達などいないに等しかった。元々用事や勉学などはお城の中で事足りてしまっていたこともそうだが、それに拍車をかけたのは自身の異能の力。そのせいで家族に本音を話せても、本音を話せる友達という存在はいないに等しかった。いや、いないというわけではないがそれは同性の友達で、それには多少なりとも主従関係が絡んでしまっていた。で、異性の友達で尚且つ自分という存在を皇族という色眼鏡なしに見てくれる人は正直いなかった。

 

だが、少女は出会った。『ヴァーミリオン皇国の第三皇女』ではなく『エリス・ヴァーミリオン』として見てくれた一人の“サムライの国の少年”に。今ここで別れたら次に会えるのは何時になるか解らない。少女はそれが怖かったのだろう……そんな少女を見て、少年は頭を撫でて慰めた。

 

『これで永遠のお別れじゃない。君がもし魔導騎士を目指すのならば、また会える。』

『本当、に?』

『勿論。この分だとすぐに追い抜かれそうな気はするけど。』

『何を言うか。俺よりも低い歳でそこまで磨き上げた曾孫の言うことではないぞ。』

『それを言わないでくださいよ……』

 

元々魔導騎士を目指そうと頑張っていた。だが、その志をさらに強めるような目標が彼女の中に確かに芽生えたのだ。目の前にいるこの少年の隣にいても恥じることのない騎士になることを。そして、その強さを認めてもらえた時には………その想いも込めて、少女は母から譲り受けた約束の証を少年に手渡した。それをしっかりと受け取った少年は青年と共にその場を去っていった。

 

『お姉ちゃん、私決めたよ。あの人の隣に恥じない魔導騎士を目指すって。』

『そう………そういえば、名前は聞いたの?』

『あっ……しょ、しょうがないの。さっきまでそんなこと忘れてたし……』

 

その後、その顛末を聞いた父親が『娘を誑かした奴は死刑』とか言い放ったことにエリスが珍しくも怒りを露わにして実の父親をウェルダン並にこんがり焼いたことは、さしもの姉ですらドン引きであった。

 

あれから四年の月日………『あの約束』と『彼の言葉』を信じ、留学を決めた。もしかしたら、再び会えるかもしれないという淡い期待を持って。そこで意識は引き上げられ、現実へと戻されることとなる。

 

 

「ん……」

 

本日二度目となる意識喪失から目を覚ますエリス。目を覚ましてまずは自身の置かれた状況を確認する。見るからに二段ベッドの上……記憶が確かならば、ここには“彼”が眠っていたはずの場所。その寝床にそのまま寝かされたということになる。そしてなぜそうなったかというと……それを思い出して、彼女はため息を吐く。

 

「自業自得、だよね。」

 

彼に尋ねたいことがあって起こそうとした際、ハプニングとパニックが連続してきたものだから、それを現実逃避しようとした結果の気絶であった。こればかりは彼に責任などなく、エリス自身の責任。模擬戦で怪我がなかったとはいえ影響位は残っているだろう……ここに寝かされたということは、自分を気遣った上での判断だと結論付け……エリスは起き上がって梯子を伝い、床に降り立った。すると漂ってくるのは美味しそうな匂い。そして、彼女が疑問を尋ねようとした相手―――葛城翔がエリスの様子に気づいて、声をかけてきた。

 

「エリスさん、もう起きたんだ。気絶してから30分位だったけど、顔色も良くなってるみたいだし安心した。」

「ええ。その、ごめんなさい。カケルに色々迷惑をかけたみたいで。」

「気にしなくていいよ。模擬戦の前に聞いた噂に関しても、ぶっちゃけ事実みたいなものだからな。あんな戯言ごときで動揺してるようじゃ、この先なんてやっていけないし。」

「……強いんですね。」

「傍から見りゃやせ我慢してるだけ、と言われてもおかしくないけどな。…っと、ついつい前のルームメイトに言う感じで話したけど、問題なかったか?嫌なら直すけれど。」

「そのままでいいですよ。その方が気を遣わなくて済みますし。」

 

先程の事もそうだが、模擬戦の前に聞いた彼に関わる噂に関しても『特に気にしてない』と一蹴するように答えた翔に対し、その胆力は凄まじいものであるとエリスは正直に褒め、それを聞いた翔は苦笑を零す。何はともあれ、パニックが収まったことに対しては一安心……翔は問いかけた。

 

「で、模擬戦で勝った方が部屋のルールを決める……それに異存はないよね?」

「ええ。でも、その……二つ質問をさせてほしいのです。それの返答で相部屋を了承するか決めたいんですが、構いませんか?」

「それは構わないよ。その代りこちらからも一つ質問させてほしいんだけど……それでいいかな?」

「はい。」

 

留学していきなり異性での部屋割りには誰だって困惑することは目に見えている。それが一国の皇女ともなれば尚更だ。それを翔は理解しているからこそ、エリスの提案した条件を了承した。勝った側とはいえそれぐらいの器量を見せなければ男として恥ずかしい側面もあるのは内緒である。いくらなんでもぶっ飛んだ質問なんて飛んでくることはないだろう、とは思う。(ステラ)から質問が飛んできたらその限りではないが。そして、エリスが問いかけた。

 

「一つ目なんですが…カケルの力の事を葛城先生から聞きました。それが特質的なことも……それでも尚、カケルは何故魔導騎士を目指そうとしているのですか?」

「あの姉貴、何で人の事を簡単に……ま、いいか。仮にルームメイトになったらいつかは話さなきゃいけないことだからな。そうだな……俺の場合は『約束を守るため』かな。」

「約束、ですか?」

 

エリスの言葉を聞いて、翔は頭を抱えたくなった。異能の事もそうだが、そうなると留年した類の事も程度は解らないが聞かされている可能性は大きい。そこまでばれてしまっている以上はどう取り繕っても意味がないと諦めつつ、翔は魔導騎士を目指す理由を話す。

 

「俺には、さ。弟が()()。正確には双子の弟。魔術の才能がなかった俺とは違って、幼い時から才能に恵まれていた」

 

翔はまともな魔術は出来ず、せめて剣術ぐらいは負けない様に研鑽していた。その反面才能のある弟は伐刀者としての実力を付けていった。才能の有無を羨むことはあっても、それに対して憎むことなどしなかった。それが己の運命なのだと……いずれは翔のたどり着けない領域にまで弟は辿り着くのだろうと、正直感じていた。

 

「俺は才能のある弟を羨ましいと思った。でも、弟も俺に対して同じような渇望を抱いていたんだ」

 

……そんな弟は、魔術の才能の無い兄を“羨ましがった”。『優秀な伐刀者』としての当人を見るばかりで、周りの大人の誰しもが『翔の双子の弟』として見てくれていなかった。当時そんな色眼鏡など関係なしに見てくれるのは、他でもない血が繋がった兄であった。そんな兄を心より尊敬するとともに、弟はこう決めていた。『兄の様に、その人自身を認めてあげられる人間になりたい』と。

 

「いいお兄ちゃんをしてたんですね……でも、いたってことは……」

「亡くなったよ。いや、そういう言い方じゃないほうがいいな……()()()()という表現の方が正しいかもしれない」

「!?……まさか、<解放軍(リベリオン)>に!?」

「それならば、まだ納得していた。………こっから先は一輝に言わないでほしい。アイツが聞いたら、動揺しそうだからな」

 

翔が亡くなったという表現ではなく、殺されたという表現をしたこと。解放軍相手ならばまだ納得していたということ……そして、これから話す内容を一輝には言わないでほしいということ。その言葉にエリスは一輝の“名字”を思い出し、恐る恐る問いかけた。

 

「まさか、それは……」

「黒鉄厳(くろがね いつき)―――国際魔導騎士連盟日本支部長、黒鉄本家当主、一輝の実の父親にして……俺の双子の弟であった葛城健(かつらぎ たけし)を()()()()()()()()()()だ」

「っ!!」

 

怖れていたことが現実となったことに、エリスは驚きを隠せなかった。一輝と翔が元ルームメイトということは今朝の段階で聞いていた。だから尚の事言えなかったのだろう……親友の父親に自分の弟を“殺された”だなんてこと、言えるわけがない。その翔が彼に対してそのことを言わなかったのは、一輝自身が自分の父親に認めてもらいたいという気持ちを翔が察していたからに他ならない。

 

「葛城家と黒鉄家で行われた御前試合。本来ならば俺や健は出る予定などなかった。あくまでも魔導騎士同士での戦いということだったからな」

 

だが、異を唱えたのは厳。長男同士での御前試合―――しかも<実像形態>での真剣勝負を申し出た。事前の黒鉄家の根回しにより、やむなくその勝負となってしまった。だが、魔術の才覚などない翔に荷は重すぎる。最悪死を招く恐れがある……その代役を買って出たのは健であった。相手は<風の剣帝>黒鉄王馬。戦って無事に済む相手ではないと彼も解っていたが、健は言った。

 

『兄貴が出るよりは分があるだろ?心配すんなって』

 

そう言って挑んだ試合……世界王者ともなった王馬相手に引けを取らない互角の様相。元々健は才能云々言う大人たちを嫌って公式戦には出ていなかったため、ここまでの強者が日本にいたことに王馬は笑みを零した。だが、そこに水を差すように姿を見せたのは―――解放軍の襲撃。健は観客席にいた翔を逃がそうとして、命を落とした。王馬はその際黒鉄家の人間を渋々守っていたため、彼の加勢に手を貸せなかった。そして、弟の死という事実に直面した翔は……その“異能”に目覚めた。

 

「……カケル、その話を聞いた限りでは解放軍に非があるように思えるのですが。」

「確かにそう。家族の殆どもそう思ってる。でも、俺は健から『貰った記憶』で、その解放軍が『黒鉄家が雇った』ことを知った。そして、その試合の後……黒鉄本家が持ち前の権力で圧力をかけて来たんだよ。『葛城家が解放軍と内通し、御前試合の混乱を狙って黒鉄家を抹殺しようとした』という無茶苦茶な理由でな」

「っ……」

 

健の『雷』の能力は『あらゆる記憶を拾う』能力を持つ。で、御前試合に来ていた黒鉄家の人間の中に雇った事実を知る人物がいた。大まかな流れを両親も姉たちも気付いていることだろう。だが、その詳細を知るのは翔だけ。健はその記憶を翔に渡した上で、死に際にこう言った。

 

「弟は『黒鉄にもいい人はいる……恨んじゃだめだ』ってな。確かに、口下手で戦闘狂だけど根っこは優しい奴もいるし、人間不信だけど実は誰よりも思慮深かったり……一輝の様な人間がいるってことにも驚いた。だから、別に彼等に対して復讐だとか恨み辛みを言いたくないんだ」

「すみません、黒鉄家の人間がまともに聞こえない様な発言に聞こえたのですが」

「悪口言うつもりないんだけどね。でも事実だからなぁ…」

 

その圧力のせいで葛城家は危うく空中分解しかけた。だが、何とか立ち直すことが出来た。そしてその噂に関しては事実無根という勝利を勝ち得ることも出来た。その過程で色んな黒鉄家の人間にも会ったが、大半は不相応としか言わない人間ばかりだ。だが、一輝や彼の兄や妹は違っていた。単純に子育てが失敗して反抗期MAXの『一般社会不適格者』という言われ方をしそうな性格を持っている奴等ばかりだが、その根っこは黒鉄家の思想に染まっていない人間であると。

 

「で、弟とはひとつ約束をしたのさ。能力とか関係なく、その人自身を認めてあげられるような魔導騎士になるって。才能がありながらも道半ばで倒れてしまった大切な弟の分まで背負うとかはできないけど、本来目指せなかった道を目指せるのならば……そうしたいって。ま、他にも『約束した人』がいるっていう理由もあるんだけれど。……ごめんな、こんな重い話をしてしまって」

「いえ、それを言うなら質問をした私の責任です。ごめんなさい、カケル」

「そこで謝られてもねぇ……で、もう一個質問があったんだっけ?」

 

翔自身誰かに言いたかったのもあるかもしれない。しかし会って間もない人間に言うことではなかったと詫びたが、エリスの方も言いだしっぺであるということを聞きつつ、翔は苦笑を零した。念のため、盗聴などがないかは前もって確認してある。そもそも、彼女は秘密を公にするような人間ではないだろう。何はともあれ、重い話はこれで終了ということにして翔はもう一個の質問に意識を向けた。

 

「カケル、正直に答えてください……貴方はヴァーミリオン皇国で少女を助けたことがありますか?私やお姉ちゃんの様な紅蓮の髪を持つ少女を」

「……ひょっとして、そこのアルバムを見たの?それだったら、答えは『YES』になるかな」

「えっ………」

 

翔は、正直予想もしていなかった問いかけに少し動揺しつつも、その問いかけに答えると……それを見たエリスは動揺を隠しきれなかった。この反応には正直翔も内心困惑していた。元ルームメイトならばともかく、こんな自分にギャルゲー的展開などありえないと。というか、この先どう切り出したものか……翔は息を吐いて、首にかけていたもの―――そのさきに括り付けていた指輪を彼女に見せる。翔の答えに対するあの反応からすれば、少なくともその事情について何らかのことを知っている。その時に出会った少女、それは翔にとって『大切な約束』を交わした人物なのだから。

 

「なら……エリスさん、この指輪に見覚えはある?実はその時にその女の子から貰ったものなんだけれど」

「………嘘、ですよね?」

「エリス、さん?」

 

その指輪を見たエリスは驚きを隠せなかった。その一方で、その表情を不思議に思う翔は首を傾げる。すると、エリスの頬を伝うように流れるものに気付く。それは紛れもなく『涙』であったことに。これには流石の翔も動揺する羽目となる。何か粗相をやらかすような態度を取ったのかと思ってしまうほどに。

 

「って、ごめん!俺、気が付かずに何かいけないことしたのかな?だったら謝るんだけど」

「……ううん、カケルは悪いことなんてしてないですよ。というか、“以前も”私が突然こうなっちゃった時()()()()()()()()()()()()()

「え……それって……」

 

慌てる翔に対して、涙をぬぐいながらも笑みを浮かべるエリス。そして、彼女の言葉の意味―――それを聞いた翔とてそこまで鈍感ではない。指輪を見せた時の反応、先程までのやり取りにおける彼女の表情と合わせて導き出される答えは一つ。その結論に翔は息を吐いた。その様子を見たエリスも翔の気持ちを察したのか苦笑を零すほどであった。

 

「まさか、こんな形で約四年越しの再会をすることになるだなんて、誰が想像できるよ……しかも、ランクに至っては俺より上だからなぁ」

「そんなランクを覆して私に勝った人がそれを言いますか?」

「小説並に現実離れした出来事が起きたんだから、それぐらいは言わせてください。久しぶり、エリスさん……いや、“エリス”。俺からの約束はとりあえず果たせたかな」

「はい、久しぶりですカケル。後は、私からの約束も果たしてくれると嬉しいんですけれど」

「面識あるとはいえ、ほぼ何も知らない状態でというのは……とりあえず、エリスが良ければ俺もいいんだけれど。あ、ルームメイトの件な」

「……カケルの言うことも、そうですね。こちらこそよろしくお願いします、カケル」

 

エリスは嬉しかった。力をまともに扱うことも出来ず、ただ逃げ惑う自分を救ってくれた少年。それがまさか目の前にいる葛城翔という人物その人だということに。彼女にとっての“初恋”……叶うことないと半ば諦めかけていた。だが、想いは叶った。でも、全てではない。知れば知るほど更に知りたいという欲求が際限なく溢れ出してくる。そして、彼女の心に決めた想い。それをいつか、目の前にいる少年に明かせられるように、自らを高める。そして交わされる握手―――その手に込められた熱を互いに交わすかのように。

とりあえず、406号室のルームメイトの件は片が付いたところで、翔はエリスに問いかけた。

 

「そういえば、さっき言った俺からの質問なんだけれど……何で模擬戦を突発的に申し出たの?」

「あ、えと、それはですね……言っても怒りませんか?」

「今更、別に怒る理由もないんだけれどね……大方の予想はつくけれど。」

「うっ……実は……」

 

エリスはその辺りの説明を始めた。時間は遡ること今日の朝―――エリスが406号室に入って着替え終えた時であった。実は朝食をまともに食べれなかったため、テーブルに置かれた朝食(和食)とキッチンの状況を把握した上でそこに準備されていた朝食を食べたのだ。恐らくはルームメイトであるだろうと、心の中でその人に詫びたのだ。で、実際にそのルームメイトは“男性”であったことにエリスのプライドが許さなかった。

 

第二皇女のステラもそうだが、第三皇女のエリスは嫁ぐのが自らの役目と幼い頃から花嫁修業であらゆる家事スキルを磨いてきた。その一つである料理でここまで卓越したスキルを目の当たりにされた側としては納得いかなかった。その辺りの“逆恨み”が入ってしまったことを消え入りそうな声で翔に話すエリス。その表情は軽く怒っただけでも泣きそうな状態だ。

 

「まぁ、いいよ。こればかりはエリスのせいと言うのも可哀想だし……」

「ダメなんです!粗相をやらかした責任として私を躾けてください!」

「何でそうなるのか、理解できないんですが!?俺が許すって言ってるじゃないか!」

「それとこれとは別問題なんです!こんなことしたら、カケルに嫌われるじゃないですか!」

「この程度で嫌われるって、エリスの中で一体どんな基準が敷かれてるの!?」

 

エリスの理由を聞いて流石に怒る気にもならなかった翔であった。寧ろ、その後の彼女の完全脱線発言に対してツッコミを入れることしかできなかった。その光景に対して翔は思う。あの(ステラ)にしてこの(エリス)あり、と。そもそも、ヴァーミリオン皇家において一体どんな男性が基本水準となっているのか知りたくなったのであった。

 




というわけで、かな~り重たい要素を書き加える形となりました。

当初は黒鉄家の人間を打ち負かしたというぐらいのものだったのですが、それだと主人公がその道を志した理由として薄いと感じてしまったため、急遽設定を加える形としました。その辺りは原作4・9巻あたりを参考にしています。

で、再会シーンは出来るだけテンプレを薄目に仕上げました。だって、ここからテンプレまみれになるんやで?(吐血)

次回、皇女が平民にセクハラ回(爆発しろ)

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