骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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今日はいつもより少し少なめかな?


第083話 「ナザリック大墳墓(仮)」

 雲ひとつ無い快晴。

 深々と広がった大森林。

 一頭の馬に二人の男女が乗っていた。

 

 「~♪」

 

 鼻歌を歌いながらご機嫌なアウラはより深く背を深く預ける。それに答えるようにぼっちはもたれるアウラを支えるように胸を貸す。

 本日はアウラがアインズに命じられた偽のナザリック大墳墓へと向かっているのだ。進行状況を書類では確認していたが現地に赴いて視察した方が良いとアインズが提案し、暇そうだったぼっちに頼んだのだ。最初はハムスケを乗り物として貸しましょうか?と言われたがさすがにハムスターに乗るのは勘弁って言った。

 「なぜでござるか!?」と言われたけどねぇ…。何となく恥かしくない?可愛い女の子とかなら大きなハムスターに乗ったとて絵になるけども大の大人が乗るのは…。

 と言う訳で通常の馬よりふた周りほど大きな黒馬に跨っている。これはぼっちの宝物庫に転がっていた召喚物のひとつである。レベル25の防御力特化、速度はこの世界の馬よりは早いけれども召喚系の動物では鈍足の類に入る低レベルの壁にしかならないような馬で毒沼を渡る際に役に立つかな程度の物である。しかしながらぼっちは気に入っている。名前は『黒王号』である。他にも攻撃力特化の白馬『風雲再起』に速度重視の鹿毛の『松風』など名をつけて持っている。

 

 「あ!もう少しで着きますからね。ぼっち様」

 

 ぼっちの前に腰掛けるアウラの言う通り森の真ん中に砦が見えてきた。墳墓と言うか本当に砦である。石垣ではなく木材や石で作られた西洋の砦。

 初めて見たけどこれ(仮)で建設するものじゃなくね?このまま王国か帝国に渡したら国最高の砦になっちうよ。平原じゃなくてこの大森林で戦おうとするんじゃないか?

 そんな感想を抱きながら門を潜っていく。見掛け倒しの砦ではなく内部もしっかりとした構造物が建っていた。

 

 「どうですかぼっち様。あまり良い出来ではありませんが…」

 

 どんまいこの世界の砦を造った人々。これで良い出来じゃないってよ。じゃあ良い出来になったら文字通りの難攻不落の要塞が出来るな。

 

 「・・・よくやったな」

 

 たった一言であったが…一言しか喋れない…言葉に続いて撫でられる事で満身の笑みを浮かべる。

 黒王号より降りたアウラは背を伸ばしてから少し寂しそうに振り返った。次には笑顔に戻った。

 

 「では中をご案内します!」

 「・・・頼む」

 

 手を引かれてぼっちは中へと歩いて行く。

 

 

 

 「…おお。お久~」

 

 何故か砦の指揮官室の椅子にはモミが座っていた。駆け出したアウラは思いっきり跳んだ。

 

 「なんであんたがここに居るのよ!!」

 「ザズゴ!!…ググング!!」

 

 跳び上がったままモミの顔面にドロップキックが綺麗にヒットしてぶっ飛んで行った。壁にぶつかり跳ね返ってぼっちの方へと転がって行った。何も躊躇う事無く蹴り返した。

 

 「ゾゴック!!…改いいいいい!!」

 

 そんな機体は無いわ!!と叫びたかったが無視して放置する。再び転がったモミは勢い良く立ち上がった。

 

 「凄く…痛いです…って何故にぼっち様まで!!」

 「・・・何となく?」

 「あんたはここで何してるの!!」

 「…じゃ」

 

 声を大にして叫んだモミであったがアウラの言葉に口を閉ざして軽く手を挙げて帰って行った。

 本当に何しに来たんだよあいつ。まぁここでサボってたんだろうけど…

 頬を膨らませたアウラを宥めるように頭を撫でる。ポカンとするがすぐにトロンと表情を変える。

 

 「・・・にしても」

 「どうか致しましたか?」

 

 ちょっとした想いを呟いただけだったのだがしっかりと聞こえていたらしい。どう言おうか悩みつつ口を開く。

 

 「・・・この砦・・・対地戦用」

 「はい。もし敵が来たとしても地面を歩いてくるしかないですから」

 「砦の壁上に対空兵装・・・航空戦力も欲しいな・・・」

 「分かりました!急いで用意させます」

 

 指揮官の椅子ではなくソファに腰掛けたぼっちは自分の太ももを軽く叩きつつ、もう片方の手で手招きする。ぱああと顔を輝かせ「良いんですか?」と訊ねてくるのに「もちろん」と首を縦に振る。とことこ歩いてきたアウラは隣に座り、ぼっちの太ももを枕にするように転んだ。『ここにおいで』と意味を込めて叩いたのだがどうやら膝枕してもらえると勘違いしてしまったのだろう。それを正す気も無い為、そのまま頭をなで始める。

 

 「・・・完成したら」

 「?」

 「・・・皆で・・・パーティー」

 「パーティーですか!?アインズ様もぼっち様もですか!?」

 「・・・(コクン)・・・料理を用意して・・・リクエストある?」

 「ぼっち様がお作りになられたものであれば何でも!!」

 「・・・そうか」

 

 「むふぅ~♪」と声を漏らすアウラを優しく、優しく撫で続けながら考えを巡らす。

 パーティーだからなぁ…ローストビーフ?ピザ?バイキング方式でするか。ここは自然豊かだから外でバーベキューと言うのも良いな。それとも皆で何かを作って食べると言うのも…。

 まだまだ先であろうパーティーで作るものを考えていたらいつの間にかアウラは安らかな寝息を立てていた。微笑みながら転んでいる状態から何とか背負ってナザリックへの帰路に着いた。到着して起きたアウラは本当に申し訳無さそうに頭を深々と下げてきた。別に怒っている訳もなく、逆に可愛い寝顔が見れたと思いつつ許した。

 仕事も終わり後は報告だけだなと思い、アインズの元へと歩き出したぼっちにアウラが大声で言った。

 

 「パーティーのこと約束ですからねー」

 

 叫んだのは距離があったからだと思うがここで言うと…

 ぼっちが思うよりも早く周りのメイドやたまたま居たデミウルゴスがアウラを囲んでいた。とりあえず手と手を合わせた後、その場を去って行った。

 

 

 

 この後、アインズの私室に向かったぼっちが完全武装でアインズの執務室に向かう事態になろうとは誰も思いもしなかっただろう… 

 




さぁ~ていつパーティーしようかな?

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