骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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記念すべき100話です。まさかここまで続くとは…
原作発売されましたね。この話を書いていたのでまだ読んでませんが楽しみで仕方が無い。


第081話 「ナザリックでのパーティ」

 ぼっちはただ部屋でボーとしていた。

 暇だなーと思いつつ何もしない。いや、何もさせてくれないのだ。

 今日は至高の御方々が帰還されたとの事でパーティが開かれることになったのだが…

 料理を手伝おうとしたらやんわりと追い出され。

 パーティの飾り付けを手伝おうとしたら僕たちにやらせてくださいとマーレに泣かれそうになった。

 廊下を散歩していたら用意が済むまでお部屋でお待ちくださいとセバスに言われた。

 仕方なく本を読んでいるのだがルプスレギナがキラキラした視線を向けて来るんだよな…

 

 「・・・どうした?」

 

 視線に耐え切れずに聞いてみた。

 

 「いえ、今日のパーティでぼっち様のダンスが見れると聞いてわくわくしているっす!!」

 「・・・」

 

 ワッツ!?はぁ?どゆこと…確かにダンスは覚えたけどそんな事言った覚えは…

 

 「・・・誰が言った」

 「?モミ様っすけど」

 「・・・もしもしステラ。モミにトリシューラを」

 

 即座にメッセージを切るとルプスと見詰め合った。

 今更ながら俺ってルプスと関わり少ないような気がする。ってか少ない。いっつもカルネ村で頑張ってるんだし何かご褒美をあげても良いよね?

 ぼっちは立ち上がりルプスを手招きして奥の宝物庫へと連れて行った。

 

 

 

 「「「「「「お帰りなさいませ。アインズ様。ぼっち様」」」」」」

 

 皆から歓迎されて始まったパーティ。心から喜んでいるのは分かる。デミウルゴスなんて…

 

 「この前行なった『ゲヘナ』の作戦概要をお話してないのにすべてを理解し、最大限利用するその頭脳。。王国内で頭脳だけは私やアルベドと並ぶ者を瞬時に取り込む機転。救国の英雄と言う建前に加え、裏切る可能性がある王女を縛り付ける策を同時に実行するとは流石はぼっち様。このデミウルゴス、感嘆するばかりでございます」

 

 と長々と言ってきたんだけど俺ってそんな腹黒に見えてるのかな…少しショック…兎も角、帰れる場所があるのって良いよね。

 『僕にはまだ帰れる場所がある…こんなにうれしいことは無い…』

 本当にね。現実世界だったら…止めよう。実家に帰ったって良い思い出もないしね。あれ?悪い思いでしかないんだが…

 『涙が出ちゃう。だって女の子なんだもん』

 性別違ぇし、涙も出ねえよ!!怒りが込み上げてきたわ!!…はぁ、とりあえずそれは置いといてあいつは何してんだよ。

 パーティ会場には音楽が響き渡っていた。音の強弱や己で理解したのであろう曲が求める感情を込めた音色。給仕しているメイドの中には聞き入っている者まで居るほどだった。

 しかしナザリック内に楽器を扱える者などいなかった筈だ。設定上でも思い当たる人物は居ない。けれども音楽は流れ続ける。

 ぼっちの視線の先には音を鮮明に聞く為に視覚情報をカットしようと目を閉じ、曲に合わせて感情を身体を使う事で表現しているタキシードを着たモミの姿があった。

 何であいつが弾いてんの?Quatre mainsだとは思うんだけど…上手過ぎるだろう!!ってか『それぐらい真面目に仕事をしろよ』みたいな目でステラが見てるよ。気付け!!

 

 「ぼっちさん」

 「・・・なんでしょう?」

 「アレはどういうことでしょうか?」

 

 うん。やっぱりモモンガさんは気付いてたよね。ぼっちも気付いてたんだよ。でも現実を直視できない事ってあるじゃん。だからジトーと睨まないで。

 アインズの視線の先はモミではなく女性NPCが集まっているところに向けられていた。

 

 「あんたは何時見ても服装変えないよね」

 「何を見ているでありんすかチビスケ。これはパーティ用のドレスでありんす」

 「えー?真っ黒でいつものと変わらないじゃん。あ!盛りに盛った胸だけは違うかなぁ」

 「キー!!こういう場では見栄を張るのも作法でありんす」

 「見栄を張るのは別に良いとしても胸を盛る必要はねぇ」

 「ちょ、お姉ちゃん。アインズ様とぼっち様のご帰還を祝うパーティなんだよ…」

 「マーレはそこの所をよく分かっているでありんすね。どこぞのチビは弁えもせず騒いでいるんでありんすな」

 「あんたも騒いでたじゃないの!…あれ?ナーベラル」

 「何で御座いましょうかアウラ様」

 「いつものメイド服はどうしたの?」

 「いえ、祝いの席でしたのでこちらを選ばせて頂きました」

 「でもそれってバニーでありんすよね?」

 

 シャルティアが言ったようにナーベラル・ガンマはあの時のバニースーツを着ているのだ。普通はアウラやマーレのようにドレスを着てくるでしょう…ん?何かおかしな点があったような…。シャルティアは…正直いつもの服装に近いドレスの為に違いが分からない。ナーベラルはまさかあげたからって着てくるとは思わなかっ…

 

 「…ぼっち様が『・・・綺麗だよ』と仰って下さいましたので///」

 

 階層守護者のみならず声が聞こえたプレアデス、そしてモモンガさんから視線を感じる。とりあえず何か言って誤魔化したい。この視線だけでHPがゴリゴリ削られている気がする。

 

 「・・・着てみる?」

 「それ私に言ってます?」

 「まだある・・・」

 「いやいや何着あろうと関係ないですよ!なんで私に薦めるんですか」

 「・・・・・・ラビッツ・イヤー仲間?」

 「それだけで勧めないで下さいよ」

 「どう思う・・・・・・アルベド」

 「良いと思います!!」

 

 アインズの斜め後ろで待機していたアルベドに振ると満面の笑顔でアインズに詰め寄る。さすがにニ、三歩引いていた。

 

 「あの衣装は胸元や太もも、腕、肩…ああ、アインズ様の至る所が見えるなんて…はぁ…なんて光景でしょう。ぼっち様の言う通りですわ。思ったが吉日と言いますし今すぐお着替えを!!宜しければ私がお手伝いを…」

 「こうなったのは久しぶりだな…って落ち着けアルベド!!ぼっちさ…って逃げないで下さいぼっちさん!!くっ!こうなったら…デミウルゴス!コキュートス!我を助けよ!!」

 「お任せを!!」

 「スグニオ助ケイタシマス!!」

 

 慌しくなったアインズの側を離れたぼっちはアウラ達に囲まれた。解せぬ…

 

 「ぼっち様あたしにはどのような衣装が似合うでしょうか?」

 「ぼ、僕も知りたいです」

 「ぼっち様。私と踊って頂けないでありんしょうか?」 

 「あーズルイ!!」

 「ズルくはありん…」

 「僕と踊ってください」

 「「マーレ!!」」

 

 どうしてこうなったし…三人には悪いけどさ。

 

 「・・・すまない、先約がいる」

 「え!?だ、誰でありんすか?」

 「抜け駆け…」

 「あんたも言えないでしょうがマーレ」

 

 『先約がいる』。うん、嘘ではない。まぁ、こっちから頼んだんだけど。で、その相手はずっと入り口で動かないのだが…

 視線の先には入り口から顔だけ覗かしているルプスレギナが。

 

 「うー///」

 「貴方は何をしているのです?」

 「ユリ姉!?こ、これは…」

 「ぼっち様をお待たせするとは何事ですか。さっさと行きなさい」

 「いやぁ、でも…」

 「でももへったくれもありません」

 「ちょ!押さないでほしいっすよ!!」

 

 後ろから押し出されたルプスレギナはバランスを崩しそうになりながらも何とか体勢を立て直した。その場はちょうどぼっちの目の前だった。

 皆がルプスレギナを見て息を呑んだ。

 花を模した髪飾りで髪を後ろで束ね、服は胸元が大きく開いた純白のドレスで着飾っていた。フリルやレースがふんだんに使われ、至る所にピンクの薔薇の刺繍が施されていた。

 皆の視線が集まり、至高の御方であるぼっちにも見つめられる事で顔が真っ赤になる。

 ぼっちはゆっくりと片膝を付き、手を差し出す。

 

 「一緒に踊ってくださいますか?」

 「―っ///は、ひゃい///」

 

 緊張しすぎたルプスが噛んだがそんなの気にせずに、手の上にそっと乗せられた手を乗せたまま立ち上がる。モミに視線を送ると頷きさっきと違う曲を弾き始めた。

 

 「その…踊りは初めてで…」

 「・・・大丈夫。リードする」

 

 王国の舞踏会でいっぱい練習したから問題なし!経験した事って役に立つね。使うとは思わなかったけど…そしてモミ!やっと分かった。Quatre mainsに今弾いてるカノンで分かったよ。どんだけアニメネタ知ってんだよ!!

 頬を染めたままルプスはぼっちに身を預けて踊っている時を味わう。本当に幸せそうに笑みを零しつつ。

 …この後自分も踊らなければならないのだろうかとぼっちの動きを真剣に見つめるアインズはモミに誘われるままアルベドと踊ることになったのだった。

 




 褐色の女の子に純白のドレスは合うと思う。
 純白は褐色を引き立てて、褐色は純白を引き立てる。
 
 次回は…まだサブタイトル考えてないので不明で
 

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