骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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 チェエエエエリオ!!
 皆様おはようございます。チェリオです。
 今日はニグンさんを除く陽光聖典と第11階層のNPCの話になります。


第032話 「イレブンの日記」

 私は元陽光聖典の隊員の一人だ。今は昔の名前ではなくナンバーで呼ばれており、私はナンバー11だからイレブンと呼ばれている。

 配給で紙と万年筆が手に入ったのでニグン隊長を除く我々ナンバーズの生活を書いていこうと思う。

 

 我々ナンバーズの一日は朝の四時から始まる。寝惚けた頭や身体に活を入れ、素早く身支度をする。こんな時に至高の御方々に仕えるメイド達を羨んでしまう。彼女らは寝る事無くあの方々に仕えることが出来るのだ。これほど羨ましい事はないだろう。これは私一人の考えではなく全員の総意である。

 身支度を終えた私は急ぎ足で居住区を後にする。この居住区は我々がここ『第11階層』に来る事になり急遽造られた建物なのである。個人の部屋は無く、全部4人部屋の二階建て木造建築である。

 

 「ふむ…今日も皆さん時間通りにいらっしゃいますね」

 

 四時三十分。居住区から程近いところにある教会に辿り着くと黒い祭服に身を包んだザーバ様が時間通りに現れた。

 ザーバ・クンスラァ様はぼっち様に創造された御方である。真ん中分けされた髪に端整な顔立ちや垂れ気味な目などが特徴的な優しそうな青年である。いや、優しそうなではなく実際にお優しい方なのだ。こんな末端である我々に嫌な顔せず端正な身のこなしで相手をされながら毎日いろいろなお話をして下さっている。

 

 「では、昨日の続きから始めましょうか。4冊目の135ページから…」

 

 いつものように『聖書』読み上げていくザーハ様。『聖書』と言うのは法国にあるような下等な物ではなく真なる神々である「アインズ・ウール・ゴウン」の方々の歴史やご活躍が描かれた冊子である。これはぼっち様が司書長様に作らせ、何も知らない無知な我々に配布してくださったのである。

 始めの九人からギルド「アインズ・ウール・ゴウン」結成の話などが描かれており、今はナザリックをどうやって攻略するかの話を聞いていた。

 

 

 

 読み始めてから1時間が経過しようとした時、読み上げていたザーハ様が聖書を閉じた。

 

 「今日はここまでとしましょう。皆さんお疲れ様でした」

 

 その言葉に感謝を告げ、セラス様の元へ向かい始める。

 

 「あぁ、イレブン君。少し良いかな?」

 

 自分が呼び止められた事に驚きつつ、振り返る。頭の中では何か仕出かしてしまっただろうかと考え始めていた。

 

 「明日から私は主命でここを離れます」

 「え!?主命…と言うことは至高の御方々の!」

 「ええ。なので明日からは各人で読むようにして下さいね」

 「はい、了解いたしました。この事は皆にも伝えておきますので…」

 

 話を終えたのか後ろを見せ「Good Luck!迷える子羊諸君」と告げると文字通り消えてしまった。消えていったといってもぼっち様のように視界から突如消えるわけではなく、瞬きや余所見をした瞬間消えているのだ。

 っと、そんな事を思いながら立ち尽くしている場合ではなかった。次はステラ様が鍛錬をつけて下さるのだ。急いで行かねば…

 

 

 

 ステラ様の鍛錬は素振りから始まり軽い打ち合い、最後には一対多数の試合をするという流れになっている。今まで一度たりとも攻撃を当てるどころか触れたことも無いが…

 ヒュパ!っと風を斬るような音を立てて顔を食堂の方向へと向ける。

 

 「今日は朝からシチューですか…はっ!きょ、今日はここまで」

 

 何故あの方はかなり離れている食べ物の匂いを嗅ぎ分けれるのだろう…もう誰にも突っ込める体力は無かった…

 朝七時から八時までは朝食の時間だ。ステラ様が仰ったようにシチューとパンが出てきた。至高の御方々に祈りを捧げ静かに食す。食事が喉を通るたびに先ほどの疲れが消えていく…。ここの食事はパン一個にしても異常である。どれだけの付与効果がついているのか分からないほどであった。法王でさえこれほどの食事はしたことが無いだろう。

 食事を済ませ時間を確認する。時刻は七時二十八分。ちょうど良い時間なので《中央家》へと向かう。

 日によって担当者が代わり、今日はイレブンの担当日なのだ。……モミ様を起こしに行く…

 

 日の光も遮断された部屋で眠っている少女。ここだけ書くと何の問題も無いのだがこの部屋…とても汚いのだ…

 食べ物が転がっていたりとか変な液体が!なんて事は無いがいろんな物が散乱している。特に資料系が…

 

 「モミ様朝ですよ」

 

 朝起こすのに暗黙のルールが三つある。

 一つ。起こす際に絶対触れない。自動防衛魔法が施されており最初に触れた者は片腕が吹き飛んだ。後でモミ様が治療して治ったが…

 二つ。中々起きないからと言って諦めて帰らない。起きなかった事によりステラ様に説教された八つ当たりにより一週間呪いをかけられる。

 三つ。起きてないからと言って部屋を物色しない。部屋を整理しようとした者が何かトラップに引っ掛かり以下略。

 

 などの事があるために声をかける事しか出来ないのだ。最近では楽になった。

 

 「…ステラ様に報告を…」

 「あっちょんぶりけ!!」

 

 よく分からない奇声を上げながら飛び起きたモミ様は用意をする為に動き出す。この前は「ザクレロ!」とか叫んでいたらしいが我々には何の事か分からない。

 分からないと言えばこの前ぼっち様がアインズ様と戦わなければならない事件が発生した。最終的には一時的にぼっち様の左腕を失って終了したのだがその時お見舞いに行ったモミ様が「シャルティアの相談に乗ってたらシャンクス状ぼっちに会えなかった…」と言われていたのだが誰だったのだろう?未だに不明のままだ。

 

 あの事件の時は第11階層はナザリック内で一番荒れていたらしい。特にぼっち様に忠誠を誓う騎士のステラ様は戦う事を耳にしたときには「武力を持ってでもアインズ様を止める」と叫び上の階層へ向かって行くほどだった。途端、ゴルゴーンの恩恵を受けれなくなり100もの人形系アンデットとハイネンス様より頼まれたザーバ様に包囲され拘束された。その際に半数以上の人形系アンデットがやられたとか。

 

 とにかく仕事は終わった為《中央家》から即刻立ち去る。いくら治してくださると言っても爆散したくはない。それに八時からは仕事があるのだ。

 仕事とは生産のお手伝いである。私は第二班なのでボルックス様のお手伝いとなる。

 

 ボルックス・トレミー様はこの第11階層の生産を指揮するお方である。何でも戦闘能力が皆無に近い代わりに生産技術が高いらしい。見た目は14、15歳ぐらいの少女で水色の髪に無口無表情が特徴である。特に無口なのはぼっち様より上でたまに喋ったかと思うと「ん」程度で接するならこちらが先に察しなければならない。

 黙々と生産していくペースを見て出来上がった品物を倉庫に運んだり、素材となるアイテムを次々と運んで行く。この作業が第二班の仕事で昼休憩を挟んで午後の五時まで続くのだ。

 

 「調子はどうだボルックス」

 

 今日は珍しいことにボルックス様の兄君のカストル・トレミー様が顔を見せに来られた。銀髪で腰まで伸ばした髪に長身、そのうえ綺麗な面立ち。美しいと言う言葉がよく似合う男性であったがその鋭すぎる眼光から発せられる雰囲気は人を寄り付かせない。

 『兄より優れた妹などおらぬ』を公言し不仲に見えるが周りから見れば仲のよい兄妹なのである。そのことを指摘した者は軽く半殺しにされていたが…

 

 「ん。平気…問題ない」

 「そうか」

 

 返事だけ聞くと悠然と帰っていった。双方口数が少ない為これでもよく喋っているのだ。ちなみにカストル様の後ろには離れて第一班が追従している。

 第一班は第二班と違い、彼らの仕事は農業系の世話・収穫が主の任務となっている。週三回で回復系魔法を多少使えるハイネンス様の元で羊皮紙の生産の手伝いをしているが私は内容までは知らない。第一班に所属する友人が「かなり痛いがやりがいがある」と話していたぐらいのことしか知らない。

 

 十二時の昼食ではナポリタンが出された。少し遅れ20分に到着すると大皿いっぱいに盛ったナポリタンを黙々と食べる

ステラ様を発見した。これはいつもの光景である。朝食は《中央家》でモミ様にハイネンス様と一緒に食べられる為見たことが無いが昼食は食堂で召し上がられるのだ。顔の血の気が引き、少し慌てながらナポリタンを入手する。ステラ様の胃袋は我々と違い底なしなのだ。三十分に到着した時は残りが無く昼食抜きなんて事があった。もちろん飲食不要のアイテムなど持っていない我々にとっては一大事である。私より遅れ到着した者達も慌てて自分の食事の確保に急ぐ。

 

 昼食が終わると午前と同じく黙々とボルックス様のお手伝いで4時間が過ぎて就業時間となる。終わると居住区に戻り各々担当となっている箇所の掃除を行い、ある者は聖書を読み返し、ある者は鍛錬をしたりなど自由に時間を過ごす。

 七時の晩飯ではハンバーグを食べて八時より入浴、九時には就寝する。これが我々ナンバーズの日常である。




 次回14日は本編と特別編の二本を投稿しようと思います。
 外伝の2を掻いてる場合じゃなかった…急いで特別編を書かなきゃ!!

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