今回から三話ぼっち出番無しの回です。これからモモンガ…いや、アインズ…否!『モモン・ザ・ダーク・ウォリアー』の冒険が始まる…
この回は残業が終わり寝るまでの3時間で書いた為いろいろと間違いがあるかもしれせん。誤字の指摘があれば頂ければ次の日までに直そうと思います…
ナーベラル・ガンマは鼻高々であった。
ナーベラル自身ではなく共に歩を進めているアインズの事であった。いや、違った。冒険者モモンと名乗っている主と言ったほうが良いのか。
現在モモンとナーベは漆黒の剣と言う冒険者チームと共に薬師のンフィーレア・バレアレの依頼を受けてカルネ村にと向かっている最中である。
つい先程戦闘を終えたばかりだ。と言っても低レベルのゴブリン、オーガ程度であったが…されど絶対的支配者であるアインズ様が一刀両断するさまは圧巻であった。相手が有象無象だろうがなんだろうがどうでも良い。アインズ様が行なわれた事こそが重要である。元々魔法職であるアインズ様が接近戦を行なう事などなく、これを目の当たりに出来た幸運を心の底より喜んだ。
「さすがでしたねモモンさん」
「凄まじい一撃だったのである」
「てかオーガを一撃ってどんな腕してんだよ」
下等生物がモモンさ…んを称えている声が聞こえる。普段なら気にも止めない存在ではあるが主を称えるのであれば多少価値が出る。
(後でユリ姉さんやエントマに話してあげようかしら…)
羨ましがる二人を想像しながら道を進んでいると柵が見えてきた。
「あれ?前はあんな柵無かったんだけど…」
一人荷馬車に乗る少年、今回の依頼者であるンフィーレアが首を傾げながら口を開いた。
漆黒の剣のペテルにルクルット、ダインにニニャがそれぞれ辺りを警戒する。
入り口付近には不恰好ながら身を隠すだけの茂みが作られていた。思ったとおりにその茂みより何かが現れた。ゴブリンであった。それも武器を構えこちらを警戒しつつ囲んでいた。
囲まれた後、一同はカルネ村の中へと案内されていた。囲んでいたゴブリンは以前アインズ様とぼっち様が出会った少女、エンリに渡したアイテムにより召喚された者達であった。すぐに包囲は解かれ今こうして居られるわけだが…
「あぁ…」
頭を抱えたくなる。
ここに来て自分のミスが発覚してしまったのだ。それも重大な物だった。道中ルクルットに「ナーベちゃんってモモンさんの彼女?」という問いに焦り「モモンさんにはアルベド様という方が!」と答えてしまったのだ。その結果、前回カルネ村に来たのがアルベド様とアインズ様だったことからモモンさん=アインズ様とンフィーレアにばれてしまったのだ。
先程までの歓喜は消え失せていた。そんな時に…
「ナーベちゃん何かあったの?俺が慰めて…」
バキャ
ルクルットが言い終わる前に近くにあった木に一撃を入れる。あまりの怒気にルクルットもたじろぎ離れる。
「ルクルット。次はお前だぞ」
「お、おう。今行くよ」
漆黒の剣の面々は稽古をつけてもらっていた。相手はロートル・スケルトン・ナイトである。何故こんな村に中レベルのモンスターが居るのか分からなかった。モモンさ…んにお伝えしようとも村長やンフィーレアと話していてる最中なのである。
ニニャを除いて皆楽しそうに剣を交える。呆れてものも言えない…誰一人気付いていないのだ。相手がどれだけの脅威なのかを…
中レベルモンスターと言ってもこの世界では勝てる者などそうそう居ないだろう。下手をすれば国が滅ぶレベルである。そんな化物が手加減して相手をしてくれている事すら気付かぬとは…
ため息をつく。
「どうかしましたか?」
少年が心配そうに声をかけてきた。確かロートルを先生と慕っていたマイン・チェルシーだったか…
この村は至高の御方々のアインズ様とぼっち様自らがお助けなさった村。例え蛆虫以下の下等生物であろうと邪険にしては無礼に当たると思いいつもの凛とした表情に戻す。
「いいえ、大丈夫ですよ」
「そうですか…」
何かを聞きたそうにもじもじしている。何なのだろうかと聞こうとすると再び口が開く。
「さっき…一緒に居たももんさんでしたっけ?皆さんに聞いたら途轍もなくお強いと聞いたのですが…」
「ええ、もちろんです。この世であの方に敵う者などいませんから」
心の底から当たり前ですと思いつつ答える。この少年も彼らからの話を聞きモモンさんを称えるであろう。ナーベの予想はナーベの言葉により脹れた少年の一言で吹き飛ぶ。
「確かに強いとは思うけどそれだけだと僕は思うよ」
ピシ
額の辺りで何かが割れた音がした。気付かぬ間に人を殺せるような睨みをマインに効かせていた。が、そんな事気にせず見つめ返してくる…
この下等生物が!と灰にしてやろうか!!と言う気持ちを何とか抑えつつ口を開く。表情は抑えていないが…
「何を言っているのですか貴方は…世界を知らないのですね。あの方こそ最強です」
「そんな事はぜっっっっったいに無いよ」
「っ!?……貴方も見たでしょう?貴方の先生がモモンさんに敗れたところを」
そうだ。漆黒の剣の面々が稽古を付けてもらう前にモモンさんが剣を交えたのだ。結果はモモンの勝利だった。
「む!確かに先生は負けたよ。でもあれが剣士の戦い方って言える?ただ肉体に物を言わせただけの物じゃない。剣士としての技能がまったくの皆無だよ」
「へぇ…言ってくれるじゃない」
あまりの空気に稽古を止めて心配そうに皆が見つめていた。そんな事には気付きもせず言い合う。
「だったらあの方より優れた者を教えてもらえるかしら?居るはずもないでしょうけど」
「居るよ!アルカード様なら一太刀を浴びることなくぼっこぼこに出来るよ」
「アルカード?誰ですかそれ」
まったく聞き覚えの無い名に首を傾げる。ぼっち様が得られたこの世界の有名な戦士のリストにはそのような名は無かった。
「まあ、大した事ないでしょうに…」
「そんな事ないもん!あの人の剣技は神業なんだから。あの完成された剣捌きを見れば分かるよ」
「そんなにすごいんですか?」
この怒気漂う空気に負けずペテルが輪に入って来た。ナーベを睨んでいたマインの顔がぱあっと明るくなった。
「すごいんですよ。とっても強くて貴族なのに僕たちにも優しく接してくれるんですよ」
怒涛のようにペテル達に話している。その中に容姿の話になった。黒いスーツに赤いコート、白い面…何か身体の中の血が凍てつく感じがした。いや、そんなはずはないと頭を振るう。
「もしかしてアルカード・ブラウニーさんですか?」
貴族と聞いた時は渋い顔をしたニニャがこんどは笑って話に参加して来た。意外そうに皆が見る。
「あれ?ニニャは貴族が嫌いじゃなかったか?」
「もちろん嫌いですよ。でも何かあの人は違うというか…」
「ああ、この前話していた貴族であるな」
「あー…はいはい、ニニャの初恋ね」
「初っ!?ち、違いますよ。そんなんじゃないですって!ほ、ほらお礼でこんな物まで頂いたし…」
一本の短刀が目に入った。装飾された高価そうな短刀。そんな事はどうでも良かった。そのステータス…ぼっち様が製作するナイフ・バットであった…
確定した…黒いスーツに赤いコート、白い面を付けた剣技に優れた貴族でナイフ・バットを所有する…アルカード・ブラウニーはぼっち様の偽名なのだと…
アルカード・ブラウニーの名を知っているのはカルネ村で名を聞いたマインに、共をする事になったシズとニグン、報告を受けたアインズだけで他には話していないのだ。
「ん?どうしたナーベ」
村長との話が済んだモモンが頭を抱えるナーベを発見し声をかける。
「い…いえ…お気になさらず…」
「そ、そうか…」
余りの沈みっぷりにモモンはそれ以上聞けなかった…
モミ 「ナーベが…沈んでく…」
チェリオ「そっとしておこう…」
モミ 「……2連続誤字もそっとしとく?」
チェリオ「すみません。そして誤字のご指摘ありがとうございます!」
モミ 「…ありがとう……ヒヒッ」