骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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三連続投稿は今日で終了!そしてカルネ村での戦闘はこれで終了です。


第011話 「勇敢な戦士と強大な悪魔:後編」

 「命乞いにでも来たのか?」

 

 敵の指揮官であるニグンからでた一言はそれだった。この状況下で命乞いに出てくると思っているのか…

 

 「いえいえ、実は貴方と戦士長との会話を聞いていたのですが…」

 

 そんな蛆虫の台詞にモモンガさんは答える。横からひしひしと殺気のようなものを感じる。……蛆虫って、アルベドのがうつったかな…

 

 「…お前達はこの私が手間をかけてまで救った村人を殺すと広言していたな。これほど不快なことがあるか」

 「不快とは大きく出たな。で?だからどうした」

 

 モモンガさんの殺気混じりの声をものともせずよくでかい口が利けるな、あのニグンという男。我々を打破できる何か切り札でも持っているのだろうな。

 

 「抵抗することなく命を差し出せ。そうすれば痛みは無い。だが、拒絶するのなら愚劣さの代価として絶望と苦痛の中で死に絶えることになるだろう」

 

 うおーい!それ、その台詞は悪役の台詞では?気持ちは分かるが落ち着こうよ。ね。

 

 「天使を突撃させよ」

 

 ふふ、そんな攻撃が我らがモモンガさんに効くわけないじゃないですかって、刺さってるううう!? 舐めプですか? 効いてないようだから良いけどよ……もしこれで死んでたらどうすんだ…

 

 「人の忠告は聞くものだぞ」

 

 天使二体が地面に叩きつけられ粒子へと還っていった。今の格好良かったなあ。そしてこれモモンガさんだけでよくね。だってぼっちがぼっちですよ。毎度だから慣れたけども…

 

 「次はこちらの番だ。行くぞ?鏖殺だ!」

 

 拝啓タッチさんへ。タッチさんから受けた恩を思い出し、カルネ村へと向かったギルド長が悪鬼になってます。

 超怖いんですけど。しかも楽しそうに言うし……あなた絶対タグに『こいつが主人公です』とか『主人公がラスボス』とか付けられるって。

 

 「全天使たちを突撃させよ。急げ!」

 

 ほらニグンも焦りまくってるじゃないですか……まあこちらは少数だから数で押しつぶすのは分かるけど実力差を知ろうよ。無駄うちだって分かれ!って言うか分かってください。

 

 「アルベド下がれ…」

 

 ほう、アルベドは下がらすのか……なら指示を受けてないから待機っと。この程度の天使なら殴殺しますか?でももっと手っ取り早く行きたいですね。

 

 「ネガティブ・バースト!」

 

 あれれ?耳がおかしくなってない俺。確かネガティブ・バーストは範囲技だったような気が……ほら来た!モモンガさんの負の波動が…

 

 「・・・コントロール・ デシジョン」

 

 コントロール・デシジョンとは己の当たり判定を操るスキルである。当たり判定を任意のままに集めることも出来る。ここまで聞けばチートに聞こえるかも知れないがデメリットは当然ある。

 まずはタイミングである。作動させるタイミングには厳格なルールがあり、それを少しでも外すと効果は無効化される。それだけならばまだ良い。失敗したら受けるダメージが倍化されるのだ。あと使える回数が少ない。だから誰も使うことが無いマイナースキルなのであるが、ぼっちの反応速度はそんなルールは破るほうが難しいのだ。

 しかしこの技は当たり判定をずらす事であって無効にすることではない。ぼっち的には試してみよう程度の事だった。結果…

 

 「・・・痛い・・・」

 「え!?な、なんでぼっちさんも下がってないんですか」

 

 なんでってあんたが言わなかったからだよ。でもよかった。忘れられたわけではなかったんだ。避けるだろうという信頼だったんですよね? ……よし、自己暗示終了…

 群れと言って相応しいほどの天使達を一瞬で消滅されて、ニグンはあまりの動揺を隠せないままでいた。非現実的だ。あのようなことが出来る者が他にいるだろうか?否、居るはずがない。居ていいはずが無いのだ!

 顔つきがが変わった。まだ焦りの色は見えるが先ほどによりは良くなっただろう。まあ、たぶん何かのトリック程度にしか考えてないだろうが…

 

 「プリンシパリティ・オブザベーション、かかれ!」

 

 消滅したアークエンジェル・フレイムよりは上位種が来たけど…

 

 「・・・ナイフ・バット・・・」

 

 モモンガさんの手間をかけさせる物でもないと判断し魔法を使う。ホーミング出来る飛びナイフで吸血鬼であるから得られる初心者向きに近い魔法。こんなものでも奴には絶大なダメージだったのだろう。柄から生えた蝙蝠の翼が軌道を変えて上位天使の眉間に突き刺さる。上位種も他の天使と変わらず粒子に還っていった。

 もろい。もろすぎる……モモンガさんもそう思ったのであろう。ため息が聞こえた。

 

 「ひゃあああ。化物め!」

 

 いまさら言うのかよ!遅すぎるだろうにさあ…

 

 「よく言われる。それと対峙しているお前は何だ。人か狗か化物か?」

 

 ダメー!なに言ってるの。さっき後悔したばっかなのに……助けて旦那…だめだって、また空母を出してくる…

 《人間種魅了》《正義の鉄槌》《捕縛》《炎の雨》《衝撃波》《聖なる光線》…

 低攻撃ばかりだな。その程度の攻撃が効くと思ってんのかな?それにしても《捕縛》って……髑髏の縛りって需要あるんかいな。あったな……身近な吸血鬼とか…

 ブシャアアアアアア!

 

 「・・・ナイスショット・・・」

 

 突如一人の頭が吹き飛んだ。吹き飛んだと言うか爆散したようにも見えたが……アルベドがモモンガさんの前でバルディッシュを振り上げている。俺らだけだろうな相手が放った石つぶてみたいのを跳ね返したのが見えたのは。だって陽光聖典の皆さん唖然としてらっしゃるもん……

 あと前々から思ってたんだけど俺油断しすぎ?さっきからちょくちょく場面が変わってるような…

 

 「最上位天使を召喚する!」

 

 あれは魔封じの水晶か!?最上位天使が本当に入ってるんなら少し厄介な……アルベドは前衛でモモンガさんは後衛、俺は遊撃で動いたほうがいいかな……天使で時間がかかりそうなら召喚者を狙うか…

 予想通りにモモンガさんはアルベドにスキルを使用させ守りに徹底させるようだ。こちらがいつでも行けるようにスキルを使用してることを見て確認するとモモンガさんはニグンへと向き直った。そうだ。これだよ、これ。我らアインズ・ウール・ゴウンは戦闘中に言葉を返さなくても戦えるんだ!

 徐々に水晶の光が強くなっていき、ニグンが微笑んでいるのが分かる。よほど勝利を確信しているんだろう

 

 「見よ!最高位天使の尊き姿を!ドミニオン・オーソリティ!!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なにあれ?

 

 ごめん、ぼっち馬鹿だから理解できない…あれが最上位?おっかしいなあ。あまりの驚きに何か高らかに喋ってるニグンの声が聞こえないなあ。モモンガさんなんてホーリー・スマイトをシャワーのように浴びてるし……もう敵さん絶望だよ……

 別の意味で疲れたよ……さて早く帰ろうよモモンガさん。なんだかのど渇いてきたしさあ…




 今年の投稿も後二回…次回マインをどうしようか決めようと思います。

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