今年も一年よろしくお願いいたします!!
『あけましておめでとうございます。アインズ様』
「うむ。おめでとう」
現在モモンガの私室に守護者達が集まっていた。
この前行ったクリスマスパーティーから一週間が経ち現実世界では1月1日になった頃だろう。
今回も守護者各員に説明するのには骨が折れた…アインズ様の…
「アインズ様。ぼっち様にも新年のご挨拶を行いたいのですがどちらに?」
「ああ、ぼっちさんなら…言うよりそろそろ向かうか」
アインズが立ち上がり守護者達が追従していった。ぼっちが居る第六階層へと
ぼっちはせっせと働くプレアデス達の近くでぼっちしていた。
まあ、ぼっちしたくてぼっちしている訳ではないのだ…
洗い物を片付けようとすると「ぼっち様!?洗い物ならぼ、こほん、私が致します」
火を熾そうとすると「すすで汚れてしまいます。火を熾されるのでしたら私が」
食器を用意しようものなら「私がやるっす!?じゃなかった」
こうしてぼっちは何も出来なくなりぼっちとなってしまったのだ…
その中転移してくる者達を視認した。
「ぼっち様ぁ」
「待ちなさいよマーレ」
「そうでありんす!」
遠くからマーレが駆けて来る。その後ろには守護者達にモモンガさんが歩いてくる。
二名を除き皆いつもと違い晴れ着を着ている。デミウルゴスは白をベースとした袴に着物で身を包んでいる。対して女性人の着物は華やかであった。
いつもの白ではなく淡い桃色をベースにし桜が描かれた着物を着るアルベドに黒をベースとして薔薇模様のシャルティア、赤をベースとし明るい花で彩られるアウラ、緑をベースとし落ち着いた花々で彩られた…マーレ…
「ぼっち様いかがですか?」
「・・・・・・良く似合っている」
「えへへへへへ」
「あーマーレずるい!」
「くぅぅぅ…マーレに先を越されるとは…」
マーレの頭を撫でながら思い出す。衣裳部屋に仕舞ってあった着物類を手に「・・・どれが良い?」と聞くと最初は至高の御方からなど言われたが着て欲しいと言うとそれぞれ受け取ってくれたのだがなぜかマーレは女性陣に混じって選んでいたんだよな…なれって恐るべし!そしてなぜに誰も突っ込まないし…
「・・・アウラもシャルティアも似合ってる」
「本当ですか!?」
「お褒めのお言葉あり!?」
喋る前に撫で始めると二人とも表情が和らいでいった。止められ頬を膨らますマーレは別として…
「ぼっち様御仕度終わりました」
ナーベラルより報告を受け撫でるのを止めてプレアデス達の元へ。もちろん…
「~♪」
「わ、わたくしもですか!?」
「これは…」
「…落ち着く」
「ぼ、ぼくも…こほん、私も宜しいのですか?」
「気持ちいいっすね」スパン!
プレアデスの面々も撫でていく。なんでこうも撫でるのが自然に出来る様になったのだろうか?これも馴れだよな。あとルプスレギナだけ頭はたかれてるんだけどなぜに?
ぼっちと共に用意していたのはもちつきの準備である。もち米は昨晩より水でつけて準備し、今日になってから蒸して臼と杵を温めていたのだ。
「誰がつく・・・?」
その言葉にアインズとぼっちを除く全員が首を捻った。その光景にため息が出る。
「これからもちつきと言うものを行う」
何度目か忘れるようなやり取りをアインズが始めた。守護者というよりナザリックの者達は現実世界の文化や職業などあらゆるものを知らないのだ。
「臼に入っているもち米をこの杵でついてもちと言う食べ物にするんだ」
それぞれに感想が漏れる中、コキュートスが名乗り出た。
「良ケレバ」
「うむ。では、コキュートスから順番でつく事にする」
その宣言を聞いて皆が用意をする。このときのぼっちの行動によってコキュートスは停止したが…
「ぼっち様…ナニヲナサッテイルノデ?」
「?・・・返し手だが・・・」
その説明だけでは不十分だったかアインズが補足…と言うか説明を入れる。
「返し手とは杵でもちをつくと杵にくっついてしまう為に杵が離れた瞬間にもちに湿らすのと同時にもち全体をつけるように真ん中へと折り畳む事だ」
「も、もちろんもちはゆっくりつくものなのでありんすよね?」
「何を言っている?冷めぬように連続でつくのだぞ」
「「「!!!???」」」
どったの皆?そんな血相変えたような顔して…
「ぼ、ぼ、ぼ、ぼっち様危なくないですか!?」
「ぼっち様!お手に怪我をされては…」
いや、皆落ち着こうね。そこまで過保護にされるとぼっち何も出来ない。それに…
「・・・・・・問題ない。回避は得意・・・」
反射神経しかとり得ないんだから。つく側に周ればアウラより非力なのを見せることになるしな…
「デ、デスガぼっち様…」
「・・・当たらなければどうと言う事は無い」
うぉう…何さらっと赤い彗星が出てきたの。当たらなければ問題ないけど相手はコキュートス。かすっただけでも手が爆散しそうだけどね。
この言葉に意を決したのか守護者各員緊張のもちつきが開始された。ちなみに怪我は無かったが守護者達の精神疲労が凄かったという…
「これは美味しいですわねアインズ様」
「そうだな」
つき立てのもちと言うのは旨いものだ。皆それぞれ砂糖醤油やきな粉、餡子などで食べている。
守護者達はぼっち、もしくはアインズを中心になるように囲んでいた。中でもアルベドはアインズに接触しそうなほど迫っている。それを見たぼっちは悪戯したくなったのである。
「!?きゃ」
「うお!?」
「・・・スマン(ww)」
立つと装ってアルベドにぶつかりアインズへと倒した。急に来たもので体勢を立て直すことなく押し倒されたのだ。
「大丈夫かアルベ…ド!?」
「申し訳ありませんアインズ…様?どうなされました」
目が一箇所を見て固まっていた。不思議そうにアインズを心配するアルベド。
「おま!?下はどうした!」
「下?し、下着でございますか?」
下の意味を理解し、恥じらいながら答えた。
「着物を身に着ける時は女性はつけないものとぼっち様から…」
「ちょ、ぼっちさん!?」
モモンガさんから抗議の視線が向けられているのが分かる。だが、向けば対応せねばならぬという事でスルーします。っていうかこっちも忙しいの!皆子供みたいな事してんだもん。
「動くな・・・」
馴れない食べ物のせいか口の周りに醤油や餡子をつけていた。
「も、申し訳ないんでありんす…」
「シャルティア…あんたワザとじゃないでしょうね?」
「むー」
ワザとやられても困るんだけどね。手間がかかるばっかで…って言ってるそばからルプスレギナがやらかしてるし…
「ルプスレギナも…」
「いいんっすか!?はっ!いいんですか?」
スパパンッ!!
せっかく言い直したのにアウト判定とは…そう思ってやさしめに拭いてやろう。
「♪ありがとうございます」
何か餌付けではないんだがそんな気分だ。肩をちょんちょんと突かれた。振り向くと口の傍に餡子をつけ真っ赤にしたユリが…ってブルータスお前もか!?じゃなかったユリ!?まあ、拭くんだけどね…
「!?ありがたき幸せ」
「次からは皆自分で拭くように・・・」
何故か皆がっかりしているようだけどきりがなさそうだもん。エントマとシズがきな粉の皿に顔から突っ込もうとしてたの視界に入ってきたし。ここらで仕舞いにしないと…
ふとアインズを見た。
今回のアインズは物が食べれるのである。この前のクリスマスにサンタぼっちがプレゼントした肉体付属用スライムは無色透明で肉体を再現するアイテムである。ゆえに内臓や味覚を作り出すことが出来る為骸骨のアインズが食すことが出来るのだ。ちなみに消費アイテムではないので何度でも使用可能である。
だから楽しんでいるであろうアインズを見たのだ。
押し倒された状態から馬乗りされてアルベドの下でもがいているアインズが視界に入った。他の守護者はぼっちの方を見ていた為気付いていない…
「あれ・・・止めなくて良いのか?」
皆が一斉に振り向く。理解して慌てて止めに入る。
「・・・デジャブ・・・」
一言呟き空を見上げる。今年も一年楽しい一年であることを祈りながら…
こうゆう感じでチェリオも正月楽しみたい…まあ、外に出たくないから家に篭城するんだけどね。
これから三日まで特別編で本編はお休みいたします…