骸骨と共にぼっちが行く   作:チェリオ

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 はじめまして、チェリオです。
 今回初投稿となります。
 文章力はあまり(?)無いと自覚していますのであまりご期待せずに楽しんでいただければ幸いです。
 


本編
第001話 「今までの過去~プロローグ~」


 プロローグ

 

 なぜこうなってしまったのだろう?

 

 今でもこの疑問が消えることはない。人生とはこうも上手くいかないことを実感させてくるのだろうと何度思ったことか…

 幼稚園時代は何処にでもいるただ人見知りする小さな子供だった。この頃は楽しかった。何をするにも新鮮で何かあっても守ってくれる人が多くいた。

 小学校に上がると知らない子達に囲まれるようになった。と言ってもいじめられている訳ではなく、ただ幼稚園の友達がいないのである。だが僕にはそれこそが恐怖だった。

 

 「ねぇ、いっしょにあそぼ」

 

 たぶん隣の席の子だっただろうか?俺は急に声をかけられ驚いたのとスキル《人見知り》が発動してしまい、首を縦に振ることはなかった。

 再び声をかけられてもその度にスキルが発動してしまい誰も声をかけなくなった。暇な時間は漫画や小説を読むようになった。時間を忘れ創作された世界へと旅立つことのみを楽しみとしていた。自然と誰とも会話をしなくなり、やがてぼっちが産まれた…

 ぼっちだと実感するたびに「あの小説の主人公のように特別な何かがあれば良かったのに…」と思うようになっていた。それさえあればこんな風にはならなかったんだろうと妄想するようになった。が、これは間違いだと思い知った。

 産まれてから12年が経ち中学生となった頃の測定だったか?自分に特殊な力があることがわかった。なんと俺は脳から筋肉へと伝わる電気信号が異常らしいのだ。見てから反応できる反応速度…まるで金剛 ●含ではないか!

 この新たなスキル《インパルス》を手に入れて世界が劇的に変わる。特に運動面では大きな効果を発揮……するはずだった。

 6年間に亘るぼっち生活では授業以外で外で運動することがない。

 6年間に亘る読書生活で部屋や教室に篭る事がほとんど。

 6年間に亘るだんまりでコミュニケーション力の低下&上位スキルまで上がった《人見知り》。

 

 もうお分かりだろうか…。誰も相手にしないし活動することもない。部活動?入部してますよ。もちろん帰宅部に…

 結局宝の持ち腐れである、そんな状態で三年が過ぎて高校生に。さらに三年が経ち社会人に…

 

 会社はとあるプログラム会社。たいして大きくも小さくもない普通の会社。人とは会話せず黙々とパソコン画面と睨めっこ。

 

 「すまないねぇ。これも頼むよ」

 

 宴会に向かうため残業を渡してくる上司。もちろん誘う気はない。まぁ誘われても行く気もないけど。嫌味的な意味ではなく人が多いのにも拘らずぼっちになるからだ。

 

 働き始めて10年が経ち俺は思った。これではダメだと!このぼっち生活に終止符をうつために一歩でも踏み出そうと決意した。

 

 町に出よう!大勢の人が居る所に行って何をするんだ?本屋かコンビニに寄るだけで帰宅するだろう。

 友達に俺が知らない友人など紹介してもらおう! まず友達を作るところから始めなければ。

 親や親戚に何かしら頼んでみる!だめだ。電話する勇気すら湧いてこないと言うか、電話番号すら定かではない…

 諦めかけたある日、俺はソレにであった。

 

 DMMORPG『ユグドラシル』。なにやら今大人気のゲームらしい。自由度がどうやらモンスターがどうとか宣伝してたがそんなことはどうでも良かった。ゲームであれば面と向かって会うことは無い。ならば普通に会話も出来るのではないか?それだけではない、弱いプレイヤーだろうからゆっくり時間をかけて友達をつくっていこう!期待で胸がいっぱいになった。

 

 失敗した、失敗した、失敗した。とあるボードゲームをしているニート&引きこもり、その他スキル所持した少年ではないが心のそこから叫びたかった。

 

 人間種を選んだ俺は剣士として名乗りを上げてしまった。理由は簡単で中学時代に封印されたスキル《インパルス》が最大限に発動されたのだ。なぜに今! と悶絶したほどだった。相手の動きを見てからの回避行動に攻撃、たまに買う本以外お金の使い道が無かったため故に奮発できた高性能にカスタマイズしたパソコン機器達。

 人間離れしたプレイからチーターを疑われたがそんな事実はなく、噂話や都市伝説の類になった。二つ名は《無口な英雄》。なんですかこれは?無口なのはただ話すのが苦手なだけで英雄にはなる気はまったく無かったんです!

 人が集まりいつの間にか大手ギルド長となっていた。持ち上げられ大勢に囲まれる生活…もう耐えられなかった…

 ギルドをサブリーダーに渡し、記念に大きな大会に出てから引退しようと思った。まさかこれが転機になるとは米粒ほども思わなかった。

 順調に勝ち抜き上位者に数えられるぐらいに勝ち上がった。最後の相手は人間種でも亜人種でもなく異形種だった。白銀の剣を持った異形種が神々しく見えた。

 

 経験から生まれたであろう戦い方

 

 その磨きぬかれた技の数々に

 

 俺は強く美しい異形種に敗北した。清々しいと言うか心のそこから楽しかった。彼が去る際に何か声をかけようとした。これまでの人生で自分から動こうとしたことは無かっただろう。だが、俺は動きを止めた。言っておくが断じて、断じてびびった訳ではない!おかしかったのだ。俺ではなく周りが…

 

 「なによアレ?気持ち悪い…」

 「異形種の癖に…」

 

 あんなに強くて礼儀正しい勝者にかける言葉がこんな侮蔑の言葉であって良い訳が無い! 一瞬でも体の奥から信じられないほどの感情の渦がまった。しかしそれらは一瞬で鎮火された。

 

 そうだ。俺も異形種になればいいんだ!どれだけ強かろうが。どれだけ有能であろうが異形種であれば他者との接触を減らせる。

 思ったらすぐに動いていた。プレイヤーキャラを最初っから創り始めた。前から得意だった剣士を選んだが、ちらほらと異形種狩りの噂が出始めたために隠密や索敵に優れた盗賊や忍者も取得。ひたすらモンスターを倒し、人がやってきては隠れるの繰り返しの毎日。疲労感は無く毎日が期待であふれていた。いつの日か運命の出会いがあるのだろうと。

 

 かなりの数の人が居た。慌てて変身型スライム種のスキルで液体化させてやり過ごそうと思った。一団は俺を狙ってたのではなく一人の骸骨のプレイヤーを襲っていた。

 魔法使いらしい服装をしていることから魔法使いか魔法詠唱者なのだろう。近くに前衛もいるのだろうがちょっと離れたところから戦闘音が聞こえるからそちらで戦っているのだろう。

 

 「ぐぅ…」

 

 大きなダメージをくらったのか骸骨が倒れる。楽しそうに笑うプレイヤー達。俺は何とかやり過ごそうかと思ったが一団の一人と目が合った気がした(最上位スキルで隠れているためばれるはずはない)。手前の奴めがけて襲い掛かった。何とか一団を返り討ちにすると骸骨にお礼を山のように言われた。

 結果的に助けたことになった骸骨と共に仲間の援護に向かった。その仲間の前衛は大会で戦った彼であった。あれよあれよと話は進み俺は《アインズ・ウール・ゴウン》の一員となった。

 ブルー・プラネットさんやたっちさんなど多くの交流を持つことが出来た。始めた頃の目標は達成でき何時までもこんな時が続くと思っていた。

 

 徐々に皆が抜けていき俺とモモンガさんは彼らが何時かは戻ってきてくれることを信じて残り続けたがユグドラシル運営よりメールが届いた。

 

 ……ユグドラシルのサービス終了日を知らせるメールだった……


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