モモンガ様迷惑を受ける   作:大きな像の金槌

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やっと主人公の姿を書けた。

ガガーランは良いキャラだと思うんだけどな。




7.王国

6.王国

 

王国へ向かう戦士団の姿があった。その中に白い塊がいる。

 

白い塊こと、シロモフの上にはウエスタンハットを被り、服のすそにはひらひらとした飾りがついている。

傍目に見ても丈夫そうな生地であり、一目で旅装と思われるものであった。

 

実際には、伝説級装備であり、聖遺物級の防御力。だが、もっともデータ量を割り振られているのはテイム成功率の上昇だった。

この効果を付与するために能力的には今一つなのだ。

 

テイム目的でユグドラシルをプレイしていたのでテイムさえ成功すれば他はどうでもいいのだ。

 

そういう意味合いでは、この装備は都合がよかったのだ。特に人間種だったため滅多に狙われるということがなかったからね。

ちなみに指輪なども、全てテイムと、召喚モンスターとペットの強化に特化しているので、召喚が出来ないとユグドラシルでは結構弱い。

代わりに、召喚モンスターさえだせれば、結構いいラインまで戦える。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、

グレンさんは自力で設計する技量がなかったのでイメージを伝えて、

制作を請け負う鍛冶師(ブラックスミス)に作ってもらった物と、露店に売られているもので装備は買いそろえました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガゼフさん、報酬の確認をしたいんですけど」

 

と、馬上のガゼフに話しかける。

 

「そうですね。如何ほどなら満足していただける?」

 

よく、あの飛び跳ねる背の上で落ちないでいられるなと、その安定したバランス感覚に感心する。

あれだけの強化魔法に、回復魔法を行使して尚且つ身体能力まで高いとは・・・

 

困ったな。こちらの世界の常識が無いってことがバレ・・・・ま、いっか。正直に言ってしまおう。

嘘をついた方が辻褄合わせで不審がられるかもしれないし。

 

「ん~こちらの相場が実はよくわからないんですよ。銅貨、銀貨、金貨で支払いをしているとは聞きましたが?」

 

「ええ、そうですね。ということは、相当遠くから来られたのですか。たとえば、金貨3枚あれば、平民が一か月生活できます」

 

 

それならばと思い、

「じゃぁ金貨30枚で」

 

3枚で1か月生活できるなら、これくらいもらえば十分だろう。ほぼ年収に相当する金額を要求したのだ。

 

「グレン殿は欲が無いのだな」

 

ガゼフは驚いていた。もっと、遥かに多い額を要求されると思っていた。

 

あれ、なんかまずった?

 

「路銀が欲しいだけですから。

それなら、追加報酬として先日の陽光聖典の装備を引き取ってくれるところを紹介してもらえませんか?

王国も見回ってみたいので案内してもらえる方を貸してください。」

 

「それならば私が案内しよう。装備も王国で引き取らせていただけないか?無論相場を誤魔化したりしないし、色を付けさせていただくが」

 

ガゼフさんなら、嘘をつくこともないだろう。

 

「それじゃお願いします。」

 

 

 

ガゼフ達がいるおかげで検問所など簡単に通過していたが本来であれば、通行税が取られる。

しかも魔獣を連れている場合は登録が終わらないと通れないらしい。

登録できる場所も紹介してもらう必要があるようだ。あ、でもこの世界の文字ってどうなってるんだ?

 

 

 

 

 

ガゼフにこの世界の文字を見せてもらったが、読めん――――――

 

 

 

 

 

報酬をもらったら、スレイン法国へ向かおうと思っていたけど予定変更しよう。

この世界の常識を学んで、多少文字を習わないと、かなり困りそうだ。

 

あ、誰に習えばいいかな。ガゼフさんに頼むわけにはいかないし・・・

 

頼めば教えてくれるだろうけど、さすがに王国でも偉い人に習うのはちょっとな。

 

観光中に考える・・・か?学校みたいなのでもあればいいんだけど。

 

王国に着くなり、報酬を渡したいので城まで来ていただきたいと言われる。

 

城を見物するのも悪くないと思い快諾する。

 

城かぁ。写真でしか見たことないけど立派なんだろうなぁ。

 

城門でに着くと、シロモフが囲まれてしまう。

 

「戦士長殿。この魔獣は一体っ!?」

 

どうやら スピアニードルのシロモフが恐れられているようだ。

街中でも注目されてるなって気はしていたけど、まさか怖がられているなんて・・・・・

 

「安心して大丈夫だ。騎乗されている方の魔獣だ」

 

「・・・・・これほどの魔獣を従えているなんて」

 

「可愛いでしょう?危害を加えなければ悪さはしないので安心してください」

 

 

 

危害を加えようとすれば、衛兵が全員殺されるかもしれないけど。

 

 

 

「大丈夫っす。襲わないっす。」

 

「しゃべった!?もしや森の賢王とかでは」

 

「いえいえ、違いますよ。」

 

「驚くのは無理だと思うが・・・至急、王にお会いしたいのだ。こちらのお方の身分は私が保証しよう」

 

「戦士長がそうおっしゃるのなら」

 

そういって、衛兵長?っぽい人が下がる。

 

「ですが、城内を魔獣が歩くのはいかがかと思うのですが。」

 

それもそうか

「シロモフ、悪いけど、城門前で適当に待っていてくれないか?」

 

「了解っす。」

おやつ代わりに、ペレットを一個作成して置いておく。

 

「ガゼフさん、お待たせしました。

 

「こちらこそすまない。では、王の間へ行くとしよう」

 

え、王様と会うの?なんで?

 

 

 

 

 

「王よ、只今戻りました」

 

あれが王様かぁ。ずいぶん痩せているみたいだけど王様は小食なの?イメージしていた王様ってのはお腹が出てていかにも美味いもの食って

ますよ。って雰囲気だと思ってたんだけど。

 

初対面で気づくはずがない。王派閥と貴族派閥の争いが続いており、王国を蝕んでいるのだ。

さらには毎年恒例の帝国による攻撃でさらに蝕まれている。

そのことが王に苦労を掛けているのだった。

 

「よくぞ戻った。ガゼフよ。して、そちらにおられる方はどなたかな?」

 

帽子を脱ぎ頭を下げる。

「おっと、失礼。グレン・ターナーです。あなた方でいうところの旅人ですよ。

村が襲われていたときにたまたまガゼフさんと会ったんです。」

 

「王よ、そのことでご報告したいことが。近辺を回りましたが、いくつかの村が壊滅させられていました。最後にカルネ村へよったのですが

帝国の鎧を着たものに襲われていたところを、こちらのターナー殿と魔法詠唱者であるゴウン殿が助けてくださいました。」

 

「して、ゴウン殿はどちらに?」

 

「そのまま、ナザリックという場所へ戻ると言っておりました。できれば王国に来ていただいてお礼をしたかったのですが」

 

「そうか、村を救ってくれたことに感謝せねばな」

 

「帝国の鎧を着たものといいましたが、どうやらスレイン法国の手の者のようでした。

その者たちを倒した後でスレイン法国の六色聖典と思われる部隊が現れ、ターナー殿の協力により無事を得ました」

 

「無事を得たのは分かるが、その六色聖典の者はどうしたのだ?」

 

 

おや、会話に入ってきたけど、王様の横に居たってことは大臣とかいう役職の人?

 

王様の横には、それっぽい服を来た、あれが貴族の服ってやつか?昔の中世物の物語に出て来そうな服を着た人がいた。

 

レエブン候と、ブルムラシュー侯爵だ。

 

「いえ、生き残った者はゴウン殿が後処理をするといって、連れていきました」

 

「馬鹿な、スレイン法国がこのような事をしたというのであれば、こちらがそいつらを捕虜にするのが道理ではないかっ」

ブルムラシュー侯爵が、憤然とした面持ちで怒鳴る。

 

「だいたい、戦士長ともあろうものが得体のしれない魔法詠唱者と、そこの汚らしい旅人の力を借りるなど。その地位に相応しい行動では

ありませんな」

 

「ブルムラシュー侯爵、助けて頂いた御仁にそのような無礼はやめて頂きたい」

 

「ふん、戦士長も落ちたものだ」

 

 

ああ~、なんでこんな風に言われにゃならんのだろう。あとで、どういう人物か聞かないと。王様はまともっぽいのに、このブルムラシュー

侯爵は気に入らないな。殺してやろうか?

 

この数日間で、自分の手でも殺してしまったせいか、安易な考えをしてしまう。

何人も死ぬのを見て慣れてしまった?

 

1人殺せば一生悩み、2人殺せば悔やみ、3人殺せば慣れてしまう。そういう本があったな。なんていうタイトルだったろう?

俺も慣れたのか?

 

 

 

ビーストテイマーの能力と、100LVの能力が合わさって当然足は速い。それは常人が理解できないほどに・・・・

 

一瞬にして近づき首を持ち上げる。

 

「な、何をする。貴族である私に向かってっ」さらに首を絞める。

 

苦しみもがき泡を吹きそうなタイミングで手を放す。

 

突然のことに戦士長もあっけにとられる。

 

床の上で、ぜぇぜぇと呼吸を整えようとする貴族に上から声を掛ける。

 

「分かりやすいように力を見せてあげたんですよ。」

 

「貴様、貴族にこんなことをしてただで済むと思っているのかっ」

 

「王国の人間じゃないし、ただで済むと思っているんだよ?」

砕けた口調だが、恐ろしい殺気を込められていたのかブルムラシュー侯爵は黙って出て行ってしまう・・・・

 

「身内の者が失礼しました。」

 

もう一人の貴族が頭を下げる。お?この人は普通というか、理知的な感じがする。

 

「いえ、こちらこそやり過ぎたかもしれません。」

 

「ははは、貴族にああいうことをする者はなかなかいないのでね?

ブルムラシュー侯爵にも薬になったでしょう。どうも貴族というのは、貴族、王族でなければ、ああいった態度をとるもので」

 

ふ~ん、貴族ってそういうものなのか。何というか、まさに本で読んだ悪役貴族そのものだなぁ。他にもたくさんいるんだろうか?

 

 

その後、報告を終え、俺としては待っていた報酬の受け取りとなった。

 

王様が、国の宝であるガゼフ戦士長を救っていただいたのに金貨30枚ではさすがに少ないと思うのではとかなんとか言っていたが

大したことをしたつもりは無いので、そのまま受け取っておく。

ただ、城内を割と自由に歩き回って構わないとということ、城内の個人部屋を貸してくれるというので、ここを当面の拠点にしよう。

 

しかも装備品が想像以上に高く買い取ってもらえたので、かなりの金貨となった。さすがに、かさばり過ぎて邪魔過ぎる。

 

ここでアイテムボックス開くわけにはいかないし・・・・・どうやら、この世界の者はアイテムボックスを持っていないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

実は金貨の10倍の価値を持つ交易共通白金貨が、あるのだが知らないので両替してもらおうという考えが浮かばない。

 

 

 

 

 

 

その結果、無限の背負い袋をこっそり取り出し、押し込んだ。

 

今度からこれを1個は担いでないと怪しまれるかなぁ・・・・ある意味羨ましい悩みである。

 

 

 

 

 

城内を少し案内してもらい、クライム君と出会った。

 

王女に直接仕える王女付の兵士らしい?。少し話をしてみたが、生真面目で好ましい性格をしている。

こういう子は好きだよ。

いや、趣味とかそういうのじゃなくって、人物とて好ましいって意味でね?

 

ガゼフさんに・・・・・曖昧にだが・・・・・王国内での微妙な立場を教えてもらい、何だか手助けしてあげたいなぁと思う。

戦士の強化ってどうすればいいんだろと思うけど、アドバイスなんて何もできない。

模擬戦くらいならできるけど、鞭以外だと、短剣なら少しは使えるし、それで練習相手くらいならできるかも?などと考えていた。

 

 

 

王国を旅行?していて

 

冒険者ギルドや、魔術師ギルド、酒場、ついでに娼館も。など概ね用がありそうなところを教えてもらい部屋に戻ってきた。

 

シロモフを部屋に連れていきたかったのだが、止めてほしいとお願いされた。サイズ的にも扉通れないしね。

そんなわけで、今は馬小屋を丸ごと借りている。藁に包まれて意外とご機嫌そうだった。

 

 

 

さて、宿をとる必要があるかと思ったがこれで必要がないな。

今後の方針を決めなきゃなぁ。報酬をもらったらスレイン法国へ行こうと思ってたんだけど、文字の習得が先か・・・

文字を読むためのマジックアイテムは持ってないし、読めても書けなければ都合が悪い。

 

城内で教えてくれる人を探すか?

でも、貴族に教わるのは避けたいところだが・・・・何となく馬鹿にされそうで問題を起こしてしまいそうだ。

 

あのレエブン候なら頼めば教えてくれそうだけど、聞いた話によると6大貴族の筆頭で王派閥と貴族派閥のどちらにもすり寄っているらしい。

派閥に巻き込まれたくないし、誰もいなかったら頼んでみよう。

 

 

他にっていうと、ガゼフさんの部下の人たちとか、クライム君とか。あ、クライム君はいいかもしれない。

訓練に付き合う代わりにとか

言えば教えてくれるかも?

 

 

よし、明日頼んでみよう。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、クライム君の私室を訪ねると誰もいなかった。

 

結構早い時間のはずなんだけど、どこ行ったんだろう?朝食か?

 

数は多くないが、何人かが食事をとっている。

 

ついでにご馳走になっておこう。

 

ジャガイモに、パン、シチューか。うん、結構うまい。パンがちょっと硬いがこれはこれでいい。

 

食器を返そうと思って、返却口へ。

 

足を出してきた奴がいたが、逆に踏みつける。なんか文句を言ってるが無視する。

 

どうせ何をされようが負けるわけがないし。

 

 

(あとで分かったがブルムラシュー侯爵の派閥らしい。今度闇夜に紛れて襲ってやろうか?)

 

食べながら考えていたのだが、兵士の仕事って何をやっているんだ?

 

その辺の適当な兵士に聞いてみると主に警備任務が多いらしい。あとは所属する部隊での訓練とか。

 

クライム君って、そういえば王女のお付きらしいので王女様の部屋へ向かう。

 

行っていいんだろうか?まぁ好きに歩いていいって言われたし、気にしないで行こう。王女様には用が無いし。

 

 

 

 

 

 

美人なら会ってみたいけど・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

場所を聞いて向かうと、部屋の前に立っているクライム君発見。

 

「おはようございます。ターナ様こちらへ来られたということは、王女様への謁見でしょうか?王女様にお会いするには王のご許可が

必要なので申し訳ありませんが・・・・・」

 

「いやいや、クライム君に用があるんだ。朝、部屋に行ったら留守だったみたいで城の中を探していたんだけど」

 

「それは申し訳ありません。朝は訓練場でトレーニングをしてから、ここの警護に来ていますので」

 

「訓練場にいたのかぁ。そこには行かなかったから気づかないかったや」

 

「ですが、私に用というのは?近衛の任務中ですので離れるわけにはいきません」

 

 

扉の奥から声が響く。

「クライム?どなたかおいでたのかしら?」

 

「ラナー様、昨日ストロノーフ様がお連れになった、ターナ様がいらっしゃいました。」

 

「面会の予定はなかったと思うんだけど?」

 

「いえ、ラナー様ではなく、私に用があるとのことで」

 

「それなら構わないわ。クライム入ってらっしゃい。ターナさんもどうぞ」

 

 

ずいぶん気さくな王女様なんだなぁ。簡単に入ってこいって言うなんて。

 

 

入ると先客がいるようだ。ほ~ブロンドの髪をした美人さんだね。もう一人は・・・忍者?

 

となると、明らかにお姫様っぽい恰好をした金髪の女の子がいる。彼女がラナー王女様かな?

 

アダマンタイト級冒険者蒼の薔薇のラキュースと、ティアだ。

 

3人に名乗られたので、こちらも名を返す。

 

自己紹介も済んだのでよければお茶を勧められるので頂戴する。クライム君は遠慮しようとしていたが結局座ることに。

 

部下と一緒にお茶を飲むこともするのか。ますます気さくな人だと思う。

 

「ところでお聞きしたいのですが、アダマンタイト級というのは?」聞いたことが無い言葉だ。

 

「・・・え、この国にいて私たちのことを知らない人がいるなんて。もしかして冒険者も知らないとか?」

 

そんなにも有名人なのか――――

 

「かなり遠いところから来たので、この辺の常識をまったく知らないんですよ」

 

もう知らないものは知らないと言ってしまおう。

 

「どう説明したらいいかしら。そうね、まず冒険者はご存知?」

 

「察するところから魔物を対峙したり、秘境を探る人達ですか?」

 

「だいたいそうね。冒険者ギルドに所属していて、功績を上げ昇格試験を受けるの。初めは、鉄から始まって、胴、銀、金、ミスリル、

オリハルコン、アダマンタイトの順で上がっていくわ。王国にはアダマンタイト級のチームは私たち蒼の薔薇と、朱の雫の2チームのみよ」

 

なるほど、最高位の冒険者ともなれば有名人なのだろう。だけど、アダマンタイトが最高位?

 

「もっと上の階級はないのですか?例えば、アポイタカラとか、ヒヒイロカネとかの七色鉱なんて、あってもよさそうだけど?」

 

「アポイタカラ?ヒヒイロカネ?どういう鉱石なの?」

 

ありゃ、知らないのか。この辺では産出されないのかな?

 

ポケットを探るふりをしてアイテムボックスを開く。確か少し残ってたと思うんだけど。

 

ユグドラシル時代、この鞭を作ってもらうために露店で買い集めたものが少しあったはず。高かった・・・・ヒヒイロカネの欠片を取り出す。

 

元の世界では伝説というか、存在が疑われる鉱石だが数々のゲームでは名前が出ていた。

この世界ではどういった位置づけになるのだろう?

 

「この鉱石ですよ」

 

「手にとっても?」

 

どうぞとジェスチャーで示す。

 

「専門家じゃないから分からないけど、火が揺らめいている輝きとでも言えばいいのかしら?見たことが無い鉱石ね。

よければ、何日かお預かりしても?」

 

どうせ、たったあれだけの少量じゃ何もできないしな。

じゃぁなんで売らなかったかっていえば、取っておきたかったからっていうただのコレクター魂なだけ。

 

「そのくらいの量であれば、使い道がありませんから差し上げますよ」

 

「そう?それじゃせめてものお礼に、なにかあれば言ってください。出来る限り手伝いますから」

 

「その時はお願いします」

 

 

そこでラナー王女から声がかる。

「ところで、クライムに用があったとのことですが、どういったご用件だったのかしら?」

 

「ああ、えっと・・・・・とても言いにくいのですが、この国の文字の読み書きを教えてもらえないかと」

 

「相当な魔法詠唱者と聞いていたのですが、読み書きができないのですか?」

 

クライム君からも、そう言われて、せめてもの言い訳をする。

 

「実は、ちょっとしたトラブルに巻き込まれましてね。ここからかなり遠い場所にある国から飛ばされたんですよ。ガゼフさんにこの世界の

文字を見せてもらいましたが全く読めませんでした。」

 

そう言って、適当な紙にひらがなとアルファベットを書いてみる。

 

「これが俺の国の一般的な文字なんですけど・・・・」

 

確かに見たことが無い文字だ。

 

「私などでよければ公務の時間外でよければ教えられるだけは構いませんが・・・」クライムがそう答えたが

 

「いえ、さっきの鉱石のお礼も兼ねて、蒼の薔薇の面々で教えても構いませんけど?」

 

「あ、そうですか?出来るだけ早く覚えたいので、クライム君の空き時間以外は蒼の薔薇さんのところで教えて頂けますか?

夜、クライム君の空き時間に、またお願いします。」

 

 

 

そういう訳で、今日から蒼の薔薇の面々に文字を教わることとなった。

 

 

 

ラキュースに案内されて、王国の宿屋にたどり着く。どうやらここを拠点として使っているらしい。

 

「雰囲気だけで、すっごい高そうなんですが、一泊いくらほどなんですか?」

 

「食事とか条件によるけど、最低で金貨1枚ね」

 

 

金貨1枚あれば、平民一人が1か月生活できるんじゃなかったけか・・・・・確かに今は金があるけど、定期収入が無い以上

泊まるわけにはいかんな・・・・ガゼフさんに頼んで、当面泊めてもらえるようお願いしておこう

 

 

「クライム君、アダマンタイト級冒険者ってのは金持ちなんだな?」

 

「ええ、それだけ難易度の高い依頼を受けますから、報酬も高額になるそうです」

 

でも、冒険者を銅から始めて・・・・・・・・・・・・・・上げてくのはだるい・・・・・

 

 

 

入ってみると、1階が酒場兼用の食事場所のようだ。城で朝食を食べたが、目に見える食事は旨そうだった。

 

 

「ラキュース、童貞は分かるが、横の男は誰だい?」

 

大きい女?が声を掛ける。蒼の薔薇のメンバーだろうか。

 

「その呼び名は勘弁して下さい。ガガーラン様」

 

移動中に聞いていたメンバー名を聞いていたが、あれが前衛のガガーランか。

姉御肌っぽいところは好みだが、童貞って言われると傷つく・・・・

 

「グレン・ターナです。実は・・・」

 

文字の読み書きを教わるために来たことと、その経緯を説明する。

 

「ほぉう。何となくお前さんも童貞っぽい気配がするんだが・・・?」

 

 

はぁぁあ、そうだよ童貞だよ。別にいいじゃないか・・・・・

 

「ええ・・・・・・・女性経験はありませんよ・・・・・・・どうせなら貴方が教えてくれませんか?」

 

冗談のつもりで行ったのだが

 

「おっしゃ、寝室に行くぞっ」

 

首根っこを捉まれ2階に連れていかれてしまった。

 

 

な・・・・なぜだ身体が動かせない・・・・・俺lv100だよなっ!?王国最強の戦士ガゼフにだって絶対負けないのにっ

 

 

 

 

卒業できるという誘惑に、例え筋肉ダルマの相手とはいえ姉御タイプは好みなのだ・・・・見かけは違うけど・・・欲に勝てなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

1時間ほどして

「・・・読み書きを教わる約束だったけど、今日は帰ります・・・・・」

 

「おう、気が向けばまた相手してやるぞ?」

 

「ははは・・・・その時はお願いしますよ・・・・クライム君、俺は今日はもう休むよ・・・・・」

 

「お、お気を付け下さい。自分も戻りますから、支えますよ」

 

クライム君に肩を借りて部屋へ戻るのであった。

 

 

 

 

 

「ガガーラン・・・・・一体どういうやり方をしたんだ?」

イビルアイが訪ねたが

 

 

「何、軽く何回か相手しただけだ。さすが初めてだっただけのことはある。いきがよかったぜ?」

 

 

 

 

 

 

そうじゃない・・・・・「まぁ、ほどほどにな」

 

ガガーランに襲われて?抵抗しないなら大した力は無いのかもしれない。警戒する必要はないか?

 

顔を真っ赤にしているラキュースを横目に、あれが敵になることは無いだろうと思うのであった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

ついに主人公は卒業しました。







ついに主人公は卒業しました。

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