陽光聖典が隊長ニグンは予定通りにことが進んでいることに気を良くしていた。
「王国も馬鹿なことだ。下らない権力争いのために自ら最強の駒を捨てるというのだ。」
さまざまな手を回し王国の4つの秘宝をガゼフから剥ぐことに成功し、獲物が檻に入ったのだ。
「ニグン様。ガゼフ・ストロノーフが村から出て来ました」
「よし、狩りの最終段階だ。決して侮るなよ。秘法を身に着けていないとはいえ、王国最強の戦士なのだから。」
秘宝を装備していないなら負けるはずがないと思いつつ、気を引き締める。
・・・・・懐にある最上位のマジックアイテムを確認し、最悪これを使えば勝てる存在などいないと安堵する。
だが、なぜか、胸騒ぎがするのだ。
なぜだ・・・・・準備は万端であり、必勝の体制を整えているというのに、今見えている光景に違和感を感じる・・・・・・
先頭を走るガゼフストロノーフに精神系魔法をかけようとして、違和感の正体に気づく。
ガゼフの周りにいるモンスターがいる?
何かのマジックアイテムで呼び出したのだろうか・・・
サル?だろうか。その程度問題がないだろう。天使に比べれば多少耐久力がありそうだが、負けるはずがない。
何を恐れる必要があるというのだ。
「行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。奴らの腸を食い散らかしてやれぇええええ」
馬に拍車をかけ、部下たちと、召喚モンスターとともに敵陣へ突撃する。
草原を一つの団体が敵に向かって走り込む。
「邪魔だぁぁぁぁあぁぁ」
剛剣が一閃される。両断されるかと思ったが天使の腹部から剣が押し戻されようとする。
「ちぃぃ」
腕、身体を思いっきり振って天使を吹き飛ばしたがダメージがあるようには見えなかった。
「魔法というのはなんでもありか」
武技でなければダメージは通らないと悟る。あれは、特定の力がこめられた武器でなければダメージを大幅に軽減する能力をもった
天使なのだろう。
そうであれば、部下の大半はダメージを与えることが出来ない。
そう思い、部下の方を軽く見やると
あっさりと切り裂いていた・・・・・・・・・
少し場面が戻ります。
ん~、魔法で支援するっていったけど、どこまで使おうかな。
どうも、この戦士に人たちの武器は、ただのブロードソードとかバスタードソードっぽい。
部下の方たちの装備をちょっと拝見させてもらうと、魔法付与は一切されていない・・・・・
ちなみに全員がそうらしい・・・・王国最強部隊なんだし、魔法武器くらい揃えなよと思う・・・・
さっきの帝国騎士の装備だって、少しは魔法が掛かってたぞ?弱いけどさ・・・
そういえば装備を剥がれたとかどうとかいってたし、その一環なのかなぁ?
もし、魔法の武器をそろえる程度の事ができないなら、報酬は期待できなさそうだなぁ・・・望むだけって言ってたのに・・・・・
なら、かける最初の魔法は一択か。
ユグドラシルをはじめて30lv付近でよくお世話になったものだ。
効果範囲内のプレイヤーの武器に魔力を付与するだけど魔法なんだけど、結構効果があるのかも?
他の戦士達から声が上がる
「何なんだこの威力っ」
「この力があれば勝てるぞっ」
そんな大声が上がるが、
え~、ただの魔力付与なのにそこまで驚かれても・・・・・
だけど、さらに気を良くしてしまうのは力を持つ者の特権だろうか?
今度はガゼフも含めて、全員に効果が及ぼされる。
敵の魔法詠唱者達から、炎の上位天使だけでは火力が足りないと思われる防御系強化魔法であろうか。
魔法の矢、束縛、炎の雨、聖なる光線、衝撃波、恐怖、呪詛、・・・・いくつもの下位魔法が襲う。
「ああ~、面倒くさい・・・・
飛ばされていた魔法すべてが打ち消された・・・・・・・・・・・・・・・・・さらに召喚されていた全ての天使たちも消滅した・・
「そんなわけがあるかぁあぁぁぁあぁぁあ。あれだけの魔法を打ち消すだとっ。そんなことが出来る人間が存在するわけがないっ」
「ガゼフストロノーフ殿。今なら敵は魔法が使えないぞ。攻めてくれ。」
ガゼフが最初の勢いのまま進む。
グレンの強化魔法が、ガゼフに更に力を与える。
ニグンは、いくつもの魔法防御がかけられるのを見て、切り札を切る覚悟を決める。
早すぎる判断かもしれない。だが、後方支援をしているあの人間は、ガゼフよりも危険だ。
どう少なく見積もっても、あれを倒さない限りは絶対に勝ち目がないのだ。
このアイテムの使用方法を教わった通り、その切り札を天に掲げ、祈りつつ思いを声にだす積りで祈る。
「これを見よ。これがお前への切りふ・・・・・・・・・・・・・」
その瞬間・・・・・手から・・・・・・・希望が消失する。
いや、切り札なら相手に見えないように切るものだろうにと思うんだけど、この世界の人間は違うのか?
その手にはニグンが掲げた魔法封じの水晶が敵の手に・・・・・・
き、貴様何をしたっ(といいたいらしいような顔をしている。驚きの甘り声が出ないようだ)
「だって、ほら・・・・・明らかにこちらへの切り札を使おうとしたみたいだから、この鞭で奪ったんだけど・・・・」
ば、ばかなぁぁああぁぁあぁぁぁぁぁ(と言っているんじゃないかと思う)
「馬鹿って、切り札を頭上に掲げるなんて真似をする人に言われたくないんですけど・・・・・・・」
ガゼフの剣がそのままニグンに切り付けられる。
「そんな捨て台詞吐くくらいなら回避行動くらいすればいいのに・・・この世界の指揮官は馬鹿なのか?」
その瞬間、ガゼフの剣がニグンを切り殺した。
「ふん、この世界最強の戦士と言われていてもこの程度か・・・・・」
モモンガは確信した。この近辺にアインズ・ウール・ゴウンに勝てる存在はいないと。
もし敗れる可能性があるとすれば。、プレイヤー達がかつての規模で波状攻撃をしかけてきた場合だけだと。
確かにこの周辺は人間国家だけなのかもしれない。だが・・・・この程度が滅ぼされない国家なのであれば、敵ではないと・・・
「お疲れさまでした、グレンさん」
モモンガさんが明るい声をかけてくれるので
「そりゃまぁ明らかに格下ですからね。後ろから見ていただけで終わりましたよ」
「もしよろしければ、捕えた残りの捕虜をこちらに預けていただけませんか?情報が引き出せましたらお話しますし、
もちろん装備など剥いだものはお渡ししますから。」
なんと、装備をもらった上に情報までくれるとは何と気前がいいのだろう。くれるというのであれば頂こう。
「いやぁ申し訳ない。遠慮なく頂ます」
「有難いです。では、一人は戦士長殿にお渡しするとして、残りはこちらでお預かりします」
「ははは、こちらとしては、面倒を処理してくれるので大助かりです。まぁついでといっては、噂のナザリックを見てみたいところですが」
「そうですね、同じ同郷です。一度ご招待しましょう。これが終わり次第帰りますが、ご一緒されますか?」
「え、いいんですか?いやぁ、噂でも名高いナザリック地下墳墓を見られるとは、有難い。是非お願いしたいです。戦士長さんは、
ここで何日か休んでいくとのことなので、1日ご迷惑してもかまいませんかね?」
「こちらは、1日休ませていただいてから周囲を確認したのにち戻ろうと思う。2日ほど確認してから戻ろうと思うので3日後に
戻ろうと思う。お二人を王国で歓迎したいので、出来ればお二人一緒に招ければと思うのだが」
「いえいえ、私はなにもしておりませんから」
「俺は報酬を受け取りたいので後で合流したいと思います。1日で帰るつもりですが、戻らなければ後で追いかけますよ。
では、アインズさん。少しだけお世話になります」
「こちらこそ、歓迎しますよ」
「あ、シロモフ。すまないが、この村でちょっと待っていてくれ。もう問題ないとは思うが、この村の防衛を頼む。
ご飯は、村長さんに必要分渡しておくから。」
そういって、シロモフ用のペレットをいくつも作り出す。
「村長さん、申し訳ないが1日預かってもらえます?」
「ええ、ですが・・・・だいじょうぶでしょうか?」
「ご主人さまがいないのは、さみしいっすけど1日くらいがまんするっす」
「なるべく早く戻るから、頼むよ」
「グレンさん、別に連れてきていただいても構いませんが?」
「いえ、初めて訪ねるお宅へ動物と一緒にというのは、どうかと思ったので」
「それなら構いませんが、」
そうして、グレンはナザリック地下大墳墓に赴くことになったのだった。
ガゼフさんが無事にニグンさんを殺すことが出来ました。
アインズさん:招待はしたけど、ナザリックを案内するとは言ってない
グレンさんは9階層の一部しか見れないのでした