途中でやめないようにとだけ思って、最終話にたどり着きたいところ
何かの問題が起こるかと思っていたけど・・・・
最初の襲撃場所もなんなく潰し、次の場所のアジトも問題なく潰した。
それも当然か?。この世界には俺以上の能力を持った者はほとんどいない。
六腕と言われているアダマントタイト級と思われている6人を相手にしても敵ではないだろう。たぶんだけど・・・・
こっちのチームは、その六腕と出会う機会がなかったのだが、それ以上にヤバイ存在と出会ってしまった。
3チームにおける襲撃の7か所目。
もっとも優先順位が低いと思われた場所で、その場所に似つかわしくないメイド服を着た女がいた。
いや、メイド服を着た化け物というべきだろうか。
まるでオヤツと言わんばかりに・・・・その小さな手に似つかわしくない『人間の腕』を、とても美味しそうに喰っている。
「よぉ、良い夜じゃねぇか」
ガガーランが平然と話しかける。
あんな恐ろしい行為、人間を喰うことが当たり前の存在を前に堂々としている。
本当にすごい肝っ玉を持った人だと思う。本当に惚れるね。
この世界に来てから、人も殺したし、死ぬ場所も見てきた。だけど人を喰うような存在を前にして
身体から恐怖が抜けきらない。確かに以前見かけたけど、あの時は逃げればよかった。
だけど、今回は逃げられない。そういう場面じゃないんだ。
「美味しそうに人間の肉を喰うモンスターを八本指が飼っているとは聞いてないが、飼うのに失敗でもしたか?」
まるで、いまこちらに気づいたかのように、ゆっくりとこちらを見つめてくる。
「ん~、今わぁ、お腹いっぱいだしぃ。さっさと何処かに消えてぇ、くれないぃかなぁ?お腹ぁいっぱいだし相手しないであげるぅ」
逃げれば、相手にはしないと言っているように聞こえるが。
「さすがに、人の姿をした人喰いをするモンスターは放っておけねぇな」
ああ、ガガーランさん。あんた人間の鏡だよ。
そのセリフを吐くと同時に、メイド服を着たモンスターへ襲い掛かる。
会話だけ聞けばガガーランが悪者に見える気がするが、人間種としてはガガーランが正しいのだろう。
・・・・・臆病者:チキンと言われようが、近寄りたくないので強化魔法で応援するだけにする。
負への防御魔法と、HP上昇魔法、敏捷力アップ、武器への魔力強化の魔法を使用する。
ガガーランがウォーピックを構えたまま、モンスターへ頭からつっこんだ。
あのメイド服へ体当たりをかましている。
「いきなり強化魔法を使うなっ、タイミングがずれただろうがっ」
怒られてしまった・・・・・・・・理不尽な・・・・・・・・・・
だが、支援した甲斐があったのか、ガガーランは押している。
そのまま邪魔にならないように鞭で敵の攻撃を無力化しているのも、それに拍車をかけている。
そりゃそうだ。
本来であればガガーランの位置には、テイムしていたモンスターか召喚モンスターがいるだけで、
俺からすればユグドラシル自体の狩りをしているようなものだ。
盾になる者を配置し、それを守りつつ攻撃する。基本通りだ。
召喚士の戦いであれば、召喚物が攻撃も担当する。あとは支援魔法を掛けつつ戦況を見守るだけだ。
ユグドラシルでは当たり前の狩りだ。
ただのモンスター狩りであり、召喚モンスターがガガーランになっているだけで、いつもの狩りとなんら変わらない。
そう、ただのモンスター狩りだ。
このままいけば、あのメイド服を着たモンスター?は狩れるだろう。
色々と気色の悪い虫型モンスターを使役してきたが、俺からすれば
気色悪いっ
その一言に尽きる。
手に盾代わりにまとった虫や、剣の代わりに呼び出したムカデという虫だろう。
はっきり言って、リアルの世界で図鑑や、特別な場所でしか見られないはずの存在だ。
それを差し引いても、『虫』という存在は、背筋が凍りそうな気味が悪い生物だった。
特に、可愛らしいメイド服を着たモンスター?と思っていたけど、
ダメージを与えていくうちにメイド型モンスターの顔面にガガーランのウォーピックがまともに決まった。
これは決定的な一撃になったと思ったのに
|そのダメージを負ったのは、顔に張り付いていた虫だった。《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》
その可愛らしいかった、お面ともいうべきものの下にあったのは無数の虫の足だ。
仮に、俺の顔全体に虫が這っていること想像すると、あまりのおぞましさで卒倒しそうだ。
問題なく、あのメイド服を着たモンスターは殺すことが出来た。あんな存在とは二度と出会いたくない。
本当にガガーランが前衛をしてくれていてよかったと思う。
イビルアイと、双子の忍者がこちらに合流したが遅かったくらいだ。
俺からすれば、無駄に支援魔法を飛ばさないで済んだので助かったと思った。
あの、魔王と名乗る存在が出てこなければだ。
「まったく・・・・・・至高の御方に生み出された存在を殺すとは・・・・・あなたがたは・・・・・・・許しがたい生き物ですね。大人しく人間種らしく、私に飼われていればよいものを」
先ほど倒した存在とは、まったく異なる化け物が目の前に現れていた。
その化け物が涼しげに囁いた。
「時間もないことですし、あなた方にはさっさと死んで頂くとしましょう」
その瞬間、ガガーランと双子へ黒い炎が襲う。
咄嗟に、身体を張って止めにかかるが、その脇からわずかに漏れた炎にガガーランや双子ダメージを負う。
蟲メイドと戦っている間に、魔法防御を高めるシールドを張っているに関わらず、それなりのダメージを
つまり、ユグドラシルでいえば先ほどの蟲メイドより高いモンスター、いや魔王なのだろう。
最優先は、ガガーラン達をこの場から逃がすことだ。
戦線を離脱して後方へ下がって
だが、ユグドラシルでも上位モンスターなだけだ。基本さえ守れば倒せない相手ではない。
所詮は1体だけなのだから。
どれだけ強力なモンスターであろうとも、ワールドエネミー級のボスモンスターじゃなければ基本を守れば狩ることは出来る。
「イビルアイさん、召喚魔法の時間を稼いでくださいっ」
手駒が足りなくなるだろうと思い、追加の手駒を出すべく召喚魔法に行動を移す。
ヤルダバオト名乗る魔王が近づいてくるが、俺の強化魔法で支援されたイビルアイの《クリスタル・ウォール/水晶防壁》が阻む。
《サモン・エンジェル・7th/第7位階天使召喚》
ニグンが魔封じの水晶で呼び出そうとした天使だ。威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)の召喚に成功する。
だが、召喚者の能力が違うおかげで、性能が圧倒的に違う。ニグンとグレンの魔法詠唱者としての能力の差がはっきりと表れている。
それに神器級装備による効果のおかげでlv60台のはずの天使だが80台の能力に強化されている。
イビルアイが、俺の強化魔法で支援され70台クラスの存在となり、
威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)とのコンビネーションプレイにより、徐々にヤルダバオトが押されている。
どんなゲームでも魔王は一人だ。
それを補助する存在はいても、完璧に使役する存在はいない。
だからこそ、魔王という存在は人間側の存在には勝てないのだ。
では、魔王でありながら、補助する存在を共にし、その驕りを捨て去った存在がいれば?
絶対に勝てないだろう。だが魔王のような存在は、己の存在を脅かす存在を知らずに魔王となるからこその魔王なのだ。
決して弱者など気にも留める存在ではない。
ヤルダバオと名乗った魔王は、イビルアイと俺の連携により徐々にダメージを負っている。
このままいけば、この魔王も殺すことができる。
これほどの存在は、そこらにはいないだろう。
人間種最強が集まっているスレイン法国にも、これほどの力をもった者はほとんどいなかった。
恐らく、突発的に湧いてしまった魔王か何かだと思っていた。アンデットがいつの間にか湧くような世界なのだ。悪魔だって勝手に湧くんだろうと、その時は思っていた。
目の前に、あれが降ってきて、あんな言葉さえ発しなければ・・・・・・・・・・・・・・・・
本当にごめんなさい。
本気で虫系は苦手です。