スレイン法国の大半は捏造・・・するしかないよね?
会話をすることもなく夜道を進んでいた。会話もなく・・・ただ目的の場所に着くまでの同行と護衛。
シロモフに乗って、また移動かと思っている。それに・・・・・
いくらなんでも、これは酷いだろう。そりゃ陽光聖典が無くなったのは俺にも少しは責任があるのかもしれないけど・・・
そもそもが、ガゼフさんを殺すなんていう計画を立てなければ陽光聖典が無くなることもなかっただろうに。
スレイン法国に着いた際の事を思い出す。
へぇ~、ここがスレイン法国か。王国より立派じゃないか。
元の世界と比べるわけには行けないが、交通網の整備に建物の一つ一つがしっかりと作られている。
遠目から見て街並みが整っていることが分かる。
シロモフに少し離れた場所で待っていてもらうよう伝える。
さすがに魔獣に乗って敵地にはいけない。
改めて眺めてみるが王国の様にお城に相当するもの。それが見当たらないのだ。
宗教国らしいから神官長みたいな人がトップだと思うんだよね。
王様にあたる人物はいないだろうし、襲ってきた部隊に関しての事はその人達に聞きたいところだが?
とりあえず、神殿らしいところに行ってみることにした。
これは教会っぽいな。あっちは神社?お寺?しかも鳥居?あれは狛犬か・・・・パルテノン神殿?
地球に昔あった神事に司る雰囲気の場所が何か所もあった。もしかして、六大神っていうのはユグドラシルのプレイヤーだろうか?
ここに来ていた人達好き勝手にやってたんだろうなぁ。もしかして宗教家達だったのかな?
実際には社会的弱者であった人類種を救おうとプレイヤー達が頑張った成果であり、彼らの故郷にあった建物を模して造られただけだ。
適当に回ってみるか。手近なお寺っぽいところへ行こうとしたら止まるように警告された。
先ほどから取り巻きに見られている気がしていたが、どうやら警戒する人間としてマークされていたのかもしれない。
敵対する意思が無いと伝えると、神官の一人が我らが神官長様たちがお会いしたいとのこと。
こちらとしても望んでいたことなので着いていった。
少なくとも、この周囲にいる人間なら敵ではない。力づくで逃げられることは間違いない。
やばそうな、人間?が一人いた。
少女の姿をしているが、左右で銀色と黒髪をしていて左右の目の色が違う。
だが、一番の問題は彼女の装備だ。
明らかに神器級装備で固められている。
彼女は?と尋ねても沈黙・・・・
こっちの質問に答える気はないようだ。
この神官に連れられて、彼女の前を通り抜ける。
「結構強そうね。戦ってみたいな」
後ろから微かにそんな言葉が聞こえたが、こっちとしては戦いたくはない。PvPはほとんどしていないんだ。
装備をガチガチに固めた相手とは戦いたくない。
あれが攻撃してくることがあれば逃げると決めておく。
少なくとも、よほどの逃亡対策をされない限りはカンストプレイヤー同士の戦いは逃げることが可能なのだ。
・・・・・完全に奇襲された場合は不可能に近いが。
ここが目的地のようだ。通りすがら、案内してくれた神官に話しかけるが何も答えるつもりはないようだ。
全て沈黙で返されてしまった。
こっちに何かの情報を与える気はないってことか?少なくとも友好的ではないよなぁ。
無言の仕草で入るように言われたので、入ると扉を閉められてしまった。
普通は閉めるものか。うん・・・きっと大丈夫。
疑い過ぎ・・・か?
少なくとも人類の守り手として動いているとイビルアイさんからは聞いている。
いきなり襲ってくることは無いだろう。
逆光になっているために相手の姿をはっきりと確認出来ないが、6人・・・いるようだ。
「先に言っておきたいことがあるんだけど?」
先にこちらの言い分を伝えておこう。そのほうが、相手がどういう対応をするかを見極めて、最悪逃げよう。
「なんだ?」
相手の一人が答えてくれた。
先ほどの神官とは違い会話をする気はあるようだ。
「襲ってきた部隊の件だが、こっちとしては襲われたから俺の身を守ったに過ぎないとい認識でいる。そのつもりで話し合ってもらいたんだけど?」
報酬目当てにガゼフさんを助けただけなんだけど・・・・・・・
「何を馬鹿なことを言っている。お前がしゃしゃり出て来なければ何も問題は起きなかったと思うのだが?」
「周囲の村を巻き込んで、たった一人の人間をガゼフさんを殺そうと行動することは問題じゃないのか?」
道すがら、何を言われるかある程度は想像しておいた。
いきなり問題を突き詰められれば回答できないが、何を言えば何を返されるかは予め考えておけばある程度は想像できる。
仕事のときだって、事前にどれだけ準備できるか、想像できるかどうかで対応が出来るか出来ないかが決まっていたのだ。
そういう意味では、今言われたことは想定内だ。
「我らは人類こそ選ばれた民だと考えている。そのためには人類をまとめ上げるためにガゼフストロノーフの死は必要だったのだ。」
「少なくとも、その考えは理解できないので敵対行動を取ったんだ。」
何か問題ある?という雰囲気で答える。
「このままではお互い平行線だな。少なくともこちらの部隊が1つ失われたのだ。少なくともそこに責任を感じてほしいのだが?」
「それを言われると辛いね。だけどあなた方も村人をたくさん殺していると思うんだけど?」
「それを言うのであれば、ニグンより奪い取った魔封じの水晶を返してほしいのだが?」
嫌なことを言う。付き合う必要は感じないが
「あれは、どんな効果があるか気になったから使っちゃったよ」
この件に関しては、嘘をつくつもりだったので予定通りだ。
「これで、そちらの非は2つ、こちらは1つだと思うのだが?」
「回りくどいね。何かさせたいことがあるなら、さっさと言ってくれないか?」
ここまでは予想通りなんだけど、ここから先が想像できなかった。
「分かっているなら話は早い。先日ある占いにより、
それに伴い、我らが部隊の1つを派遣し支配下に置こうとしている。あなたには同行してもらい援護を頼みたい」
一人でも多くの戦闘力を必要としているから、俺のような得体のしれない相手でも使おうというのか。
それとも、能力を測ろうと?
考えても答えは出ないな。
「で、報酬は?結構危険なんだろ?」
「お前が襲った部隊は陽光聖典というのだが。そのことに関してのことを不問とすることでいかがかな?」
「俺としては力ずくでどうにかしてもいいんだけど」
「なら、帰ってきてからその件については相談しよう。少なくとも同じ人間種なのだ。分かり合えると思うのだが?」
人間種であることを引き合いに出されると、ちょっと弱いな・・・・・
「すぐ出発するのか?」
「食料や消耗品などの用意は終わっている」
踵を返し部屋を出ていく。
「案内してくれ。」
少なくともすぐに敵対関係にはならないだろう。よほど破滅の竜王:カタストロフ・ドラゴンロードを警戒しているのか。
だけど、どうやって支配下におくのだろう?
そういったこともあり、エ・ランテルの近くに来たのだが向こうの部隊名を教えてもらえないどころか、一つの会話もない・・・・
自己紹介すら不要だと言われてしまった。
俺は一体何のためについてきたんだろう・・・・・・・・・・・・
だが、カイレっていう婆ちゃんは少し話をしてくれた。
この部隊の人間じゃないって言っていた。部隊の人間ではないが法国内でも高い地位の人間らしい。
着ている服のことを教えてくれた。が・・・
え、これ
ユグドラシルの世界であれば、問答無用で支配下におけるアイテムだよな。テイマーに着く全てのプレイヤーであれば、その存在を知れば
欲しがるアイテムだ。
だけど、確証は無い。が昔から伝えられたってことは、六大神がプレイヤーだとすれば、俺より先に来ていたプレイヤーが持っていたのか?
噂の範囲だが、存在は語られていた。だけど、誰も手に入れたことがなかったんだ。
つまり、過去に居なくなっていたプレイヤーがワールドアイテムを持っていたと過程して、
そのまま転移してユグドラシル上から喪失していた?
それなら、存在していると言われていて、誰も手に入れたことが無いとしても説明が付きそうだ。
手に入れたプレイヤーが喜んでWikiに書き込んだとすれば、存在がしていたという情報だけが残り、その後誰も手に入れられないという
ことが成り立つ。
でも、ユグドラシルのプレイヤーであれば、安易に貴重な情報は書き込まないだろうし、何よりゲーム上から
ワールドアイテムクラスが失われていた場合、運営が気づくだろう。いや・・・あの運営なら、そのまま放置とかやりかねない。
なにせ
いくら考えても仕方がない・・・か。
どうせ答えなんてでないんだから。
「止まれ。」
隊長?が指示を出したため止まる。
ん?狼が近づいている?
敵ではないと思うが。
簡単に襲ってきた狼たちを狩っていく。
ああ、ますます俺の出番が無い・・・・・
「この辺のモンスターにしては強い気配だ」
そうなんだろうか?
エ・ランテル近くのモンスターの強さなんて知らんよ。もう不貞腐れて付いていく気しかしない。
何かすごい勢いで、近づいてくる気配がある。
この部隊の装備を改めてみてみると、聖遺物級か伝説級も混ざっている。ほとんど俺の装備と変わらないよ・・・・
この世界に来るなんて分かっていれば、もっと課金していたんだけど・・・・こんなことに巻き込まれるって分かるわけがないか。
俺の装備と比べても遜色ないのだ。LV的には勝てそうだけど、全員を相手にするのは無理か?召喚さえできれば、でもわざわざ敵対する必要も。
そして服の下に隠してある腕輪の感触を改めて確認する。これがあれば、大抵は大丈夫のはずだ。
俺が持つ2つの神器級装備。名もない鞭と、流れ星の腕輪。
確認したと同時に、近づいていた相手が姿を見せる。
あれは
このメンバーの装備からすれば勝てるかもしれないけど、この面子だと正面から戦えるのは、カイレの婆ちゃんがアイテムを使う
しかないだろう。
その判断は正しかったのか?隊長がすぐさま
「使え」
と指示をだしていた。
それが意味することは
大したものだ。
目的に引っ張られて、守るべきものを優先したんだろう・・・と思う?
対象は支配されようとされながら何かのスキルを発動しようとしている。
あれは、やばいっ
腕輪の力を使い、
これが流れ星の腕輪。
アインズさんが持っていた流れ星の指輪と同じ効果だが、使用条件が違う。
240時間のクールタイムが必要だが、冷却期間を置けば再度使用可能。要は10日間待つという条件さえ満たせば何度でも使えるのだ。
この腕輪を実装すると聞いたとき、え、まじっって思ったけど、なんと入手条件が全プレイヤーを巻き込んで、たったの1度きり。
12年間の間で、たった1度しかなかったんだ。
しかも、この腕輪の入手方法がユグドラシル全土でのビンゴゲームという代物。
プレイヤー全員強制参加の運試しだぞ?
まぁ、かなり盛り上がった。Wikiにも運営の気まぐれが酷過ぎるとかいろいろ書かれていた。
幸運にも、このアイテムは俺が手に入れることとなった。幸い、宝くじと同じで当選者は秘匿された。
当たり前だと思いたい。さすがに、こんなレアアイテムを持っていると知られたらPKに会い続けるだろうよ。
持ってないって主張しても、信じないだろうしなぁ。
当然のことながら、高額だが、恒久的な効果を持つ課金アイテムによってPKされてもドロップしないよう守ってある。
腕輪に願う思いは一つ。この攻撃を防いでくれ!
腕輪への願いが聞き届けられ、
この超位魔法、ユグドラシル時代と違いすぎる・・・・願いの幅が桁違いなのだ。
もしかすると一般人を高位レベルの存在にすることも・・・・・・・・可能・・・か?
これは誰にも渡したくないなぁ。
カイレが守られたが、盾に入った一人が死んでしまったが、
その結果、
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ここからの時系列調整が難しいんだよね。
どう辻褄を合わせようか?