DMMO-RPG かつて日本の、世界のゲームに革新ももたらした技術であった。
その中で「無限の楽しみを追求できる。」そんな宣伝文句さえあった、日本でDMMOと言えば『コレ』と呼ばれるほどの
大人気ゲーム―――『ユグドラシル』
そう、ここでの生活はとっても楽しかったんだ・・・・・
12年、オープンβテストからずっとプレイしてきたこの日本古残のゲームもついに終わりを向けることとなった。
「ついに、このゲームも終わりか・・・リアルでは飼えなかった動物(テイムモンスター)達との別れがくるなんてね・・・」
地球が技術的革新を進めると同時に、失ってしまったもの。
それが自然だった。人間だって、外を出歩くときは酸素マスクなどいくつもの道具を身に着ける必要があった。
であれば、自然界に生きる動物達は?
当然生きているわけがない。人間の屋内動物園や水族館で生きているものがすべてであった。
当然それらに触れることができるわけがない。それどころか個人で飼うなんてことは極々一部の金持ちの特権であった。
当然ながら俺自身、そんな金は無い・・・・・・・・
なればこそ、仮想現実世界にそれを求めてもいいだろ?
と思ってプレイし続けて来たんだけど、
「今日でユグドラシルも終わりか・・・・」
この世界で初めてテイムに成功して、歓喜し続けて気絶しそうになった場所にやってきたんだ。
ビーストテイマー
この職業は、ユグドラシルを初めて暫くしてからから気づいた職業だった。
というのも、俺はゲームにあまり興味がなく、動物園や水族館巡りが趣味だったから。
初めは昔は歩くことが出来たという森を散策できるってことを聞いた。
興味につられて、ユグドラシルを始めてみたんだが今どきのゲームってのはこれほどすごいのかっ!!
て思ったよ。
匂いや触感はいまいちというか、匂いは全く無い。
触感も、ん~~?
触れている感触はあるんだけど、何か当たっているだけ?って感じだった。
それでも、この目に映るものは感動の嵐だったよ。
で、サモナーって職業がある。
ああ、これって狼とか悪魔とかを召喚できる職業なんだって思ってた。
狼が召喚できるなら、疑似的にでも動物を飼った気分になれるんじゃね?って思ってサモナーを取得するべくゲームを進めていった。
初めて狼召喚を使ったときは感動と同時に不満だった・・・・
俺に従うのはいいんだが、触ってみても毛のふさふさした感触がまったく感じられなかったんだよ・・・・
でも、狼を飼うっていうのを疑似的にでも体験できるのはいいなって思った。
召喚モンスターを強化するべくプリースト系スキルを取得して、召喚中に回復できたらいいね~ってくらいで色々所得して
いった。
プレイしていくうちに、このゲームを教えてくれた人たちと交流を持つうちにゲーム知識を教えてもらった。
一番興味を惹かれたにが、モンスターを飼う職業があるということ。
えっ
って、召喚時間に関係なく俺のそばにいるモンスターを飼えるってことかっ!!
いろいろと条件はあるが、いままで取得したレベルを下げてでも取りたいって思った。
このゲームは未知を求めることをウリとしているだけあって、レベルは割と簡単に上がることもあって、俺の望む職業は簡単に
手に入った。
それから色々あったが、今日がユグドラシルの最終日となった・・・・・
「いままで、ドラゴン(課金ガチャ)を手に入れたし、テイム可能そうな動物系モンスターはたいがい飼うことが出来た・
愛玩動物として秋田犬(今じゃ絶滅種だ)を飼うこともできた。やりたいことはやったんだけど、満足いかん・・・」
というのも、このゲームの最大の不満点が触れた時の感触なんだよね・・・・・・・・・・・・
どんなに柔らかそうって思っても手に当たっているって感触しかないんだ。
爺ちゃん婆ちゃんに子供のころに聞いた動物に触れる感触ってのを味わってみたかったんだよ。
電脳法だかなんだか知らないが、この手に感じる触感くらい再現してもいいだろうに。
その世界もこれでお別れってことで、一番印象深いこのエリアへやってきた。
モンスターを初めてテイムしたこの場所。
今でもユグドラシルで一番可愛いと思っているモンスターがいる場所だ。
『スピアニードル』レベル67のモンスターで、決して強くはないが狩るためには面倒くさい能力をもっているため、生息してい
る狩場の割に、lvの高いプレイヤーがいることで有名な場所だ。
最後だと思って飼っていたモンスターは全て逃がしていた。奇跡に近い確率だがテイムを解除した場合、野生化はするがモンスター達は
こちらの事を覚えているというシステムになっていて、いつでも再テイムが可能だ。
・・・・誰にも狩られなければという条件が付くが。
でも最初のテイムモンスターである、この子くらいは飼っていたい。
そう思って、スピアニードルのテイムを行っていた。
23:42
テイムに成功し、残り2分弱
「ああ、リアルにこの子を持って帰れたらなぁ。いやまぁ無理なんだけどさ。
なんで終わっちゃうかなぁ・・・・・」
23:59
目の前で大人しくしている2m弱の可愛らしい兎。
名前をどうしよっか?って考えていたら、もう終わりだしつけなくても?
と思いつつ、もふもふを感じる名前、シロモフにしようと決めた。
今日からお前はシロモフだっ
その瞬間、世界は変貌した。